イメージシフト奮闘記 その6
今回は、イメージシフトとケラレの問題について、いろいろ書きたいと思います。
ケラレはミラーやミラーボックスで起きますが、主に2つの要因でおきます。ひとつは、F値の小さいことによるケラレです。これは、直焦点撮影でも問題になることがあり、イメージシフトに限った話ではありません。
今、光学系のF値が2.8として、ミラーボックスの深さを3cmとします。そうするとミラーボックス開口部での光束の直径は約1cmになります。ですから、CCDの端から少なくとも0.5cmはミラーやミラーボックスが離れていないとケラレます。しかし、実際はカメラレンズではケラレません。なぜなら後玉が小さいので、光が中心から広がるようにCCDに当たるからです。内側から広がるように光線が当たるのでケラレません。
しかし、望遠鏡の場合は後玉が大きいので、光が外側から中心に集まるようにCCDに当たるので、ケラレの可能性が出てきます。
イメージシフトの場合は、この種のケラレはあまり問題ではありません。中判レンズと言えどもレンズの後玉はイメージサークルより小さいので、光が中心から広がるようにイメージサークルが作られるので、ケラレないのです。
イメージシフトで問題となるのは、光がCCDに斜めに当たることによるケラレです。この種のケラレは、後玉が小さいほど大きくなります。ですから、広角系の方が問題になります。なぜ、後玉が小さいとケラレるのか下の写真を見てください。
カメラを左下方向にシフトした状態の写真です。右上にレンズの後玉が見えています。赤い四角がミラーボックスです。CCDが左下にシフトしていますので、後玉の左下部分から出た光がCCDにあたります。それが青い○です。この図のように、上側が少しケラレてしまいます。ところが後玉が大きいとすると、白い○の部分から光が出るので、ケラレません。
つまり、後玉が小さい方が光が斜めから当たるのです。後玉が大きい方が、極端な話、イメージサークルと同じ直径なら、CCDに光が直角にあたります。
このことは、輝星で発生するローパスフィルターのハレーションからもよくわかります。広角の方がよりハレーションが大きいからです。
ケラレが発生しているかどうか、確かめるのは簡単です。ピンボケで撮ってみればいいのです。下の写真がそれです。近接側にぼかしているので、光がクロスし、正立像になります。つまり上側のミラーでケラレていることが分かります。これは広角レンズの写真で、望遠レンズではこのようなケラレは見られません。
ミラーケラレは、CCDのミラー側一部だけではなく、CCD全面に影響する可能性があります。下の写真を見ていただければわかるように上側2枚が全体的に暗くなっています。
私のイメージシフト装置はミラーケラレを軽減するために、カメラマウントの中心を光軸より2mm上にシフトしています。それでも、これだけ暗くなります。この対策をしていない場合は、もっと暗くなります。たぶん半分くらいになってしまうと思います。
レンズやカメラを選択する上での注意点としては
カメラは、CCDの大きさに比べて、ミラーボックスの広いものを選ぶことです。キャノンのカメラはミラーボックスが狭く、かつミラーがCCDのすぐ上にあります。私はキャノンのカメラを使ったことがないので、どれくらいケラレるかわかりませんが、たぶん、ミラーの影響は相当でるのではないかと思います。
レンズを選ぶ場合は、なるだけ後玉の大きいものを選びます。またバックフォーカスの長い方が有利です。ただ、カメラマウントを光軸よりシフトして取り付けるなど、対策を施せばケラレに関しては、それほど心配する必要はないです。また今までの話は6分割シフトの話であって、4分割シフトの場合でかつカメラレンズの場合は、ケラレはそれほど気にしなくてもいいと思います。
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