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2008年3月25日 (火)

EOS 5D赤外カットフィルターはずし

Photo1041

まな板の上の鯉。EOS 5Dくん。 安物のNikon D40とは緊張度が違う。。。

Photo1042

こんなところにネジがあります。

Photo1043

ご開帳。この電磁遮蔽板を取らないと、CCDユニットと基板を分離できません。しかし、15Wのコテではまったく歯が立たず。仕方がないので、このまま続行。

Photo1044

ご開帳から、ここまでくるのに一時間くらいかかった。それほど厄介だった。

この後、赤外カットフィルターユニットをはずそうとしたが、なかなかとれない。一度あきらめて元に戻したが、再度挑戦して、やっとはずれた。かなり固着していたようです。

Photo1045

やっとはずしたフィルターユニット。今度は赤外カットフィルターがはずせません。完全に接着されています。そこでカッターで無理やり切り取りました。

ということで、無事終了。テスト撮影も問題なしで一安心。

それにしても緊張したなぁ。もうこんな趣味は嫌だ。

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2008年3月21日 (金)

天文屋のための電子工作

お月様が明るい。こんな暇な時期は楽しい電子工作で過ごそう。ということで新連載開始、満月期の暇つぶし企画です。というより、これ一回で終わってしまうかも知れない。

いちおう、予定しているのは、電源の製作。タイマーリモートシャッターの製作。モータードライブの製作などなどです。基本的に、よほど暇でない限りやりません。早くやれー!という方はコメントにて。

最初はヒーターコントローラーの製作です。実は、冷却D40作った時の部品が余ったので、それでこしらえたのですが、ちょい工作にはちょうど良いです。

基本的なこと

ヒーターの発熱量をコントロールするには、3つの方法があります。まず、可変抵抗(ボリューム)で抵抗値を変えることです。しかし、1Aとか流れますので、電子工作用の小さな可変抵抗は使えません。また発熱もしますので、損失が大きいです。

次は、電圧を変えることです。電圧可変式のスイッチング電源などで、電圧を変えます。スイッチング電源でない場合は損失が大きいので、普通はスイッチング電源を使います。私も以前はこの方式でした。しかし、いくつか問題があります。1 電圧範囲が限られること。2 装置が大きくなること。3 発熱量は電圧の2乗に比例しますのでリニアでないこと。4 スイッチング電源でも10~30%くらい損失があること。

そこで、これらの問題を解決したのがPWM制御です。モータなどのパワーコントロール系によく使われます。ようするに下図のようなパルスを出力して、ヒーターを高速でON/OFFさせるのです。ONの時間とOFFの時間を変えて、発熱量を調節します。理論上は、発熱量を0~100%の範囲で調整でき、しかもリニアです。損失も非常に少ないです。

Pwm1

欠点は、高速でON/OFFを繰り返しますので、ノイズの発生源になりえることです。ただ、これはスイッチング電源でも同じです。(電源については次回)

今回はタイマーIC555でパルスを発生させ、MOS FETと呼ばれる素子で、ヒータの電流をON/OFFします。

タイマーIC 555は、電子工作の王様です。子供向けの電子工作本に必ずといっていいほど出てきますね。応用しだいで、いろんなことができます。

回路図

Pwm2

この回路は応用範囲が広く、CPUのファンコントローラとほぼ同じです。またそっくりそのままペルチェ素子のコントロールにも利用できます。難しいことはおいといて、とりあえずこの通り作れば動きます。LEDは出力に応じて明るさが変わります。

回路の説明

47μの電解コンデンサ。コンデンサは電気を貯めておくものですが、急激な電圧の変化をならす働きがあります。そのため電源投入時のサージやノイズをとることができます。電解コンデンサは極性があり、マイナスはマイナスのマークがあり、かつプラスのリードが長いです。

0.1μのコンデンサ。コンデンサは交流成分を通すためプラスとマイナスをショートするように入れると、交流成分つまりノイズを取ることができます。このような使い方をするコンデンサをパスコンといい。ICのそばに入れるのが基本です。0.1μのコンデンサは表面に104と書かれています。

555。 タイマーIC555は、コンデンサC1に充電と放電を繰り返すことにより三角波形を作り、内臓のコンパレータというものでデジタルパルスに変えます。充電時は右側のダイオードを通り充電されます。充電時間は抵抗RとコンデンサCの積に比例します。放電時は左側のダイオードを通り放電されます。放電時間もRとCの積に比例します。したがって、可変抵抗で充電時間、放電時間を変えることにより、ON/OFFの時間をコントロールできます。

ダイオード。役割は上記で説明したとおりで、一方向にしか電流を流さない特徴があります。極性がありますので注意してください。

LED。出力比率を見るためにLEDを挿入しました。LEDは電流を20mAくらい流すようにするのが基本です。LEDの両端の電圧は電流によらず一定でだいたい2Vくらいです。ですから、LEDと直列にある抵抗値は次のように求まります。

R = V / I = (12V-2V)/20mA = 500オーム

MOS FET。 ゲートと呼ばれる端子がだいたい4V以上になると、ドレイン、ソースという端子間に電流が流れます。この性質を使って、ヒータをON/OFFします。MOS FETはNチャンネル型とPチャンネル型の2種類ありますが、上の回路図なら必ずNチャンネルを使うようにしてください。

可変抵抗(ボリューム) ボリュームは指数関数的に変化するAカーブと直線的に変化するBカーブがあります。Bカーブを選択します。

製作

まず部品をそろえます。ほとんどすべて秋月電子で購入できると思います。

Pwm3

最初は、基板のカットから

Pwm4

次にケースの穴あけ。なに?ドリルがない? 綺麗な天体写真を撮りたいならドリルの一つや二つ。。。

Pwm5

次に基板の製作ですが、最初に抵抗などのリードの切れ端で電源ラインを配線します。電源ラインのレイアウトが良いとその後の結線が楽になります。ここは経験ですね。

Pwm6

電源ラインができたら後は部品を取り付けていきます。MOS FETのリードは根元から曲げないように。

Pwm7

裏側はこんな感じ。

Pwm8

ケースに入れて、ボリュームやLEDをつけます。

Pwm9

完成です。

Pwm10

実はコンデンサC1の容量を一桁間違えてパルス周期が29Hzになってしまって、LEDが点滅しているのが分かるようになってしまいました。ほんとは288Hzにしたかったのですが、288Hzなら点滅は分からないと思います。でも点滅が分かった方が分かりやすくてよいかも。

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2008年3月20日 (木)

暇なもんで

PWM制御のヒーターコントローラを作ってみました。

Photo103

出力0~100%、効率ほぼ100%、リニア、超小型。これはお勧めです。

製作記は明日アップします。大したもんでないけど。

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2008年3月16日 (日)

湯沢遠征

土曜夜の天気予報は良かったのですが、夕方から雲がもくもく出できましたね。ダメもとで湯沢に遠征してきました。

現地は、濃い霧の中。。。

とりあえず、撮ってきました。

Photo1021

Sigma 10-20mmF4-F5.6 ->20mmF5.6

Cooled D40 Honmaka-Special -10℃ ISO800 10min

霧のため、星がほとんど写りません。

霧が出るほどですから湿度は高かったです。ペルチェ素子の周りにびっしり霜がつきましたが、カメラ内部に結露はなかったです。カメラの気密性の高さが確認できました。

あたりが、明るくなると、ご覧のような幻想的な景色が現れました。

Photo1022

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2008年3月11日 (火)

失敗作

うまく撮れた写真だけを載せていたのでは、参考にならないので、失敗作を掲示します。あえて、等倍で載せます。いったん右クリックでダウンロードしてから見るといいと思います。

Photo1001

ISO1600 、5分ですが、昨日のISO800 30分の画像と比べるとザラザラです。

昨日の画像も等倍で掲示します。

Photo1002

雪の部分を比べると、全然違うことが分かります。ISO800 30分の方がはるかに滑らかです。

マイナス15℃だし短時間だから、ISO1600でもいけると思いましたがだめでした。ノイズとザラザラ感は別もののようです。

私のいつもの星野写真はISO1600ですが、それはコンポジットして、さらにモザイクしてるから成り立つのであって、一枚撮りだとさすがにISO1600は無理があるようです。

冷却したら長時間露光ノイズは確実に減りますから、冷却を生かすには低感度長時間露出が良いようです。

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2008年3月10日 (月)

できた~

できました。完全にEasy-PhotoPrintと同じになりました。

Photo995

よっちゃんさん。ありがとう。

これで、プリント作業楽になりました。カラーマネージメント以前のほんと基本的なことでしたね。ほんとうに勉強不足で申し訳ない。

CS3は別の高速で大きなモニタのパソコンにインストールしてあって、処理の大半はこれでやっています。

最後の微調整と印刷は、いつでも気楽に操作できるノートパソコンで、エレメンツを使っているんです。CS3を2つ買う余裕はないもんで。

恥を忍んであえて公開のブログでお聞きしたのは、他にも悩んでいる人がいるなら参考になると思いまして。よっちゃんさん。皆さん。ありがとうございました。

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誰か教えて~

非常に基本的なことで、今更なんですが、恥を忍んで告白します。私、未だにフォトショップ(エレメンツ)で印刷できないんです。

昨日出した画像ですが。

Photo982

これをフォトショップエレメンツ4で印刷すると、下の写真の上段のようになってしまいます。

Photo991

やたら明るく、彩度もあがっています。下段はいったん、JPGに変換して、キャノンのEasy-PhotoPrintで印刷したものです。

今まではEasy-PhotoPrintで印刷していたので、「別にいいや」とほったらかしにしていたのですが、さすがにJPGに変換するのは無駄で面倒なのでフォトショップから印刷できたらいいなぁと思い始めてます。

どこがいけないんでしょうね?

プリンターはキャノンのPixus ip7100です。フォトショップエレメンツ4の設定は

Photo992

プリントボタンをクリックして出てくるドライバの設定は

Photo993

色/濃度はマニュアル調整にしていて、その設定ボタンをクリックして出てくる画面は

Photo994

です。

誰か知ってる人いたら、この惨めな天体写真家に愛の知恵を授けてやってください。お願いします。

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2008年3月 9日 (日)

D40冷却改造奮闘記 その11

迷いに迷っていたレンズ選びですが、結局、

シグマ 10-20mm F4-F5.6

にしました。

Photo981

本命は、タムロンの新レンズですが、いつ出るか分からないレンズを待っていてもしょうがないので、思い切って買ってしまいました。マップカメラで中古5万円ほどでした。

このレンズにした決め手ですが、やはり広角10mmからですね。トキナーほど重くないし、コンパクトです。周辺減光も思ったより出ないです。レンズには、赤カブリ補正用のブルーフィルターC8をつけています。

で、マップカメラ行ったその足で、霧ヶ峰に遠征してきました。一晩中晴れで、この時期には珍しく透明度も良かったです。皆さんも今日はすばらしい写真撮れたのではないでしょうか。

現地の温度はマイナス6℃でした。全然冷却の必要なかったみたいですが、マイナス15℃に設定しました。このときの湿度レベルは5で、注意レベルの7までまだ余裕があるので、もっと冷やせそうでした。しかし、すでに撮影を開始していたので、今晩はマイナス15℃でやることにしました。(ダークの関係もあるので途中で変更できないのです。)

機材は何のトラブルもありませんでした。すべてをコントローラにまとめたおかげで、取り回しがよく、三脚を肩に担いで、バッテリーを持ちながら、電源を入れたままあちこち移動できました。最強の星景カメラができたと思います。

で、本遠征の成果一枚だけお披露目します。

Photo982

Sigma 10-20mmF4-F5.6 -> 10mmF5.6

Cooled D40 honmaka-Special -15℃

ISO800 30min ケンコーC8フィルター

今日はテストなので、わりと短時間露出で、数多く撮るようにしましたが、これなら1時間露出でも大丈夫そうです。

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2008年3月 7日 (金)

レンズ選び

前回記事で、超広角ズームの選択肢が多くて困ってしまうと、お話ししましたが、そんな中、タムロンから新レンズのアナウンスが。。。(実は一ヶ月前ですが。。。知らなかった。)

『SP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical [IF] (Model AB001)

実際性能はともかく、スペック上は非常にそそられます。ほしいですね。テレ端24mmまであるのは嬉しいですね。それにシグマより明るい。そして何よりも嬉しいのは軽い!370gだそうです。これならスナップや風景撮影にも使えそう。またまた選択肢が増えてしまいました。

 値段は、おそらくシグマ10-20やトキナー12-24にぶつけてくると思うのでそのくらいでしょう。問題は発売日ですね。話によると、タムロンは発表から、発売まで長いそうです。そこで、4月に発売になる

SP AF70-200mmF/2.8 Di LD [IF] MACRO (Model A001)

の発表日を調べてみると、

SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO (Model A001)開発発表

なんと去年の今日。

なんだよ、来年の話かよ。

でも今回は「開発しました」とあるからもっと早いかも。いずれにせよ、またまた悩んでしまいますね。

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2008年3月 5日 (水)

D40冷却改造奮闘記 その10

FFフィルターが到着しました。早速、取り付けて見ました。

Photo97

後は、レンズだけです。星景写真を撮りたいので、超広角ズームを検討しているのですが、いっぱいありますね。どれにしようか迷ってしまいます。そこで、各社の超広角ズームをまとめて見ました。

●ニコン

12-24mm F4  高い

●シグマ

10-20mm F4-F5.6  10mmからは魅力

12-24mm F4.5-F5.6 特になし

15-30mm F3.5-F4.5 でかいが、マウントアダプタでEOS5Dで使用可

●タムロン

11-18mm F4.5-F5.6  シグマの10-20に比べるとちょっと。。。

●トキナー

11-16mm F2.8  明るい! 新製品なのでちょっと高い

12-24mm F4 評判いい。F4通しも使いやすい。

う~ん。ほんとに迷ってしまう。

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D40冷却改造奮闘記 その9

プログラム解説の二回目です。前回説明し切れなかったところを補足説明したいと思います。

アナログ入力

 このマイコンは8チャンネル10ビットのAD変換機を内臓していて、0~5Vの電圧をデジタルの0~1023の値に変換してくれます。温度センサーをAD変換機のチャンネル0(AN0)、湿度センサーをチャンネル1(AN1)に接続しています。

 どのチャンネルから入力するかの選択はシンボルADCSRの下位3ビットで設定します。たとえばチャンネル1から入力したいなら最初にADCSR = 1;と初期化します。

スイッチ入力

 3つのプッシュスイッチを割り込み入力端子(IRQ0~IRQ2)に接続しています。IRQ端子は入力レベルが5V->0Vに変化すると割り込みが発生して、関数irq0()~irq2()が自動的に呼ばれます。

 3つのプッシュスイッチは、モード、アップ、ダウンの機能があります。モードスイッチは、どの値を変えるかを選択するスイッチで押すと、液晶のカーソル(>)が移動します。アップスイッチは設定値を上げるスイッチです。ダウンスイッチは設定値を下げるスイッチです。ほんとは、スイッチを4つにして、カーソルの移動を両方向にしたかったのですが、ケースの中に入りませんでした。

 スイッチは押すと、チャタリングというON/OFFを繰り返す現象が必ずおきるので、一回押しただけなのに、何回も割り込み関数が起動されてしまうということが起こります。それを避ける処理が関数の先頭に記述されています。まず、2000ループ待った後、スイッチの状態を入力し、指が離れるのを待ちます。それからもう一度2000ループ待ってから処理を始めます。このループ回数はスイッチによって違うので、実際に確認しながら決めます。

 もし、もう一個スイッチを増やすなら、IRQ3端子に接続してプログラムを次のように変更します。

460行目を次のように変更

//スイッチ入力IRQ割り込み初期化
PMR1 |= 0xF0;
IENR1 |= 0x0F;

次に、YellowIDEのメニューの(プロジェクト)→(設定)を開き、(割込み)のページをクリックし、ベクタ番号17、関数名irq3として(登録)をクリックします。

割り込み関数は次のように記述します。

void interrupt irq3(void)
{
int i;
for (i = 0; i < 2000; i++) {
  ;  //スイッチのチャタリング防止のため少し待つ
    //この間、タイマー割り込みが入らないので、時間がずれる可能性あり
}
PMR1 = 0;
while ((PDR1 & 0x80) == 0)
  ;
PMR1 = 0xF0;
for (i = 0; i < 2000; i++) {
  ;  //スイッチのチャタリング防止のため少し待つ
    //この間、タイマー割り込みが入らないので、時間がずれる可能性あり
}

==ここに処理を書く==

IRR1 &= ~8;
}

液晶表示

 液晶表示に関しては少々込み入っていますので説明を省略させてもらいます。回路図どおり作成すればプログラムは問題なく動作します。

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2008年3月 4日 (火)

D40冷却改造奮闘記 その8

コントローラのプログラムを公開します。

「CoolSystem.zip」をダウンロード

解凍したフォルダを適当なフォルダに保存してください。デスクトップはだめです。

プログラムの組み込み方

まずは、イエローソフトのホームページからYellowIDEの体験版をダウンロードして、インストールします。

CPUボード(YHN64-1)にインターフェースボード(YHN64-2)を接続し、インターフェースボードとパソコンのCOMポートをRS232Cケーブルで接続します。インターフェースボードのトグルスイッチをLEDが点灯する方向に倒します。LEDが光っていれば書き込みできる状態です。(COMポートのないパソコンの場合はUSB-RS232C変換器を使います。)

YellowIDEを起動したら、メニューの(ファイル)→(プロジェクトを開く)で、ダウンロードしたフォルダの中にあるCoolsystem.yipファイルを開きます。

スピードボタンの青い三角のボタンをクリックすればプログラムがコンパイルされ、フラッシュROMライタが起動しますので、次のように設定して、書き込みボタンをクリックします。

Fwrite

書き込みが終わったら、トグルスイッチを反対側に倒し、リセットボタンを押せば、プログラムが実行します。

今回、プログラムサイズが体験版の制限である16Kバイトをオーバーしてしまったので、湿度センサーの入力部分をコメントアウトしています。このプログラムではsprintf関数を使っていますが、この関数が大きいので、これを使わなければ、もっともっとプログラムを追加できます。

プログラムの解説

 C言語はちょっと知っているけど、マイコンプログラムは初めてという方向けにちょっと解説します。というより、ほとんど桃太さん向けの解説なのですが。。。

 マイコンプログラミングは、通常のC言語プログラムと変わりありませんが、マイコンはCPUコアのプログラム以外に内蔵周辺機能の操作をしなければならないところが独特です。内臓周辺機能の操作で基本的なのはポートと呼ばれるものです。ポートはマイコンの端子のことで、このポートをON/OFFすることによってポートに5Vまたは0Vを出力することができます。回路図でP81とか書いてあるのがポートです。P81はポート8のビット1ということです。ポートはプログラム側から見れば、番地をもったメモリとまったく同じで、ポート8の番地のビット1をセットすれば、P81から5Vを出力できます。

 ポートは番地を持ったメモリと同等ですから、ポインタを使ってアクセスできます。しかし、ヘッダファイルH83664.Hの中にポインタ定数としシンボル定義されていますから、通常はシンボルを使ってアクセスします。ポート8のシンボルはP8DRです。

たとえば、ポートのP81をセットするには

P8DR |= 2;

となります。ポートのP81をリセットするには

P8DR &= ~2;

となります。

 ポートは、入力方向と出力方向が切り替えられます。初期状態では入力方向なので、出力方向にしたい場合は最初に次のように命令を記述します。これはP81を出力にします。

P8DDR = 2;

P81、P82、P83をいっぺんに出力方向にしたい場合は、次のようにかけます。

P8DDR = 0xE0;

ほんとは、シンボルP8DRとP8DDRはヘッダファイルH83664.Hの中で、PCR8、PDR8と定義されているのですが、私が使いやすいように次のように再定義してあります。ここは注意してください。

#define P8DDR PCR8
#define P8DR PDR8

あと、このプログラムではタイマー割り込みを使って、周期的に起動する関数を定義しています。timerという関数がそれです。この関数は40msごとに起動されます。起動される周期は、main関数の初期化の部分で

GRA = 12500*4;   //0.04秒

 この値を変えれば、変えられます。GRA=12500とすれば、10msごとに起動できます。ただし、GRAの値が65535を超えてはいけません。また起動周期があまりにも早いと、処理が追いつかない場合もあります。このプログラムでは液晶の表示とかけっこう時間がかかって、40msの周期でないと正常に動作しませんでした。

 以上で簡単な解説は終わりです。分からないことがあったら質問してください。

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D40冷却改造奮闘記 その7

冷却D40も完成したので、コントローラ部の解説をしたいと思います。ここらの話は、興味のない人にはまったくつまらない話なのであしからず。

まず、全回路図のPDFファイルを掲載します。

「CooledD40.pdf」をダウンロード

それでは詳細を説明します。

Cooledd401

制御用マイコンはH8マイコンを使っています。H8/3664というマイコンです。マイコンはPICマイコンがちょっとした工作には有名ですが、私は仕事でH8マイコンを使っていますので、このマイコンにしました。このマイコンのCPUボードはイエローソフトから入手しました。ネットで購入できます。

必要なのはCPUボード本体であるYHN64-1 と、プログラムを転送するためのインターフェースボードYHN64-2、それとRS232Cケーブルの3点です。製品ページはこちら

開発ソフトウェアは、イエローソフトのYellowIDEの体験版がプログラムサイズ16Kバイトまでなら利用できます。

今回のプログラムは16Kバイトをちょっと超えてしまったのですが、なんとか16Kバイト以内に収まるようにして公開したいと思います。プログラムの組み込み方等についてはまた後日説明したいと思います。

LCDは秋月電子通商から購入したSD1602HUOBです。小型のLCDでオレンジ色のバックライト付きです。(使っていませんが) 今回、ほとんどの部品を秋月電子で購入しました。

Cooledd402

 温度センサーは秋月電子から購入したS8100Bというもので-8mV/℃というマイナスの係数を持つ温度センサーです。-40℃から測定できます。温度センサーからの入力はオペアンプLM358N(秋月)で増幅してマイコンに入力します。この回路図での増幅率は抵抗の値で決まります。

 増幅率=((1K+470) + 1K) / 1K = 2.47です。

この温度センサーの出力電圧は冷却D40の温度範囲内ではだいたい1V~2Vなので、2.47V~4.94Vになります。マイコンの入力上限が5Vなので、5Vを超えないようにします。オペアンプの電源電圧は5Vでは低すぎます。オペアンプの出力電圧は電源電圧-1.5V位なので、4.94Vを出力させようとしたらもっと高い電圧が必要です。そこでオペアンプにはカメラ電源からとった電源(約8V)を供給します。

 結露センサー(湿度センサー)ですが、このキットのものを利用しています。センサーの資料が入っていなかったのですが、たぶん、これと同じです。

 結露センサーは、湿度によって抵抗値が変わるものです。ですから10Kオームの抵抗と結露センサーで5Vの電圧を分圧し、オペアンプを通して、マイコンに入力します。オペアンプは抵抗を使っていないので増幅率1になります。

Cooledd403

 ペルチェ素子はデンシ電気店というところから購入しました。15V3Aのタイプのものです。ヒートシンクとファンはCPU用のものでパソコンパーツショップで購入しました。熱伝導グリスも一緒に買いました。

 さて、ペルチェ素子をON/OFFさせるのに、MOS FETという素子を使っています。H7N0308CFというもので秋月電子から購入できます。MOS FETはトランジスタの仲間のような素子ですが、電圧の大小で電流をコントロールします。このMOS FETの場合、だいたい4Vの電圧で電流をONさせることができます。マイコンの出力は5Vなので、ちょうど良いです。

 今回温度制御は、設定温度を下回ったらOFF、設定温度+0.2℃を上回ったらONするという簡単な制御方法にしました。これだと設定温度を中心に温度が波打つのですが、PWMというパルスを出力して、PID制御というフィードバック制御をすると非常に安定的に温度制御することができます。MOS FETという素子はこのPWM制御に向いた素子であることが選んだ理由です。必要であれば将来PWM制御に拡張できます。

Cooledd404

 リモートシャッター部です。アナログスイッチと呼ばれるIC(74HC4066)を使っています。このアナログスイッチICは単純で、Eの端子がHIGH(5V)になると、YとZの端子が導通するというものです。このICだけは秋月電子からは購入できず、千石電商から購入しました。

 スイッチは4チャンネル入っていますので、一つをシャッターへ、2つをLEDに接続しています。

Cooledd405

 最後に電源部です。今回必要なのは5Vのデジタル電源と、8Vのカメラ電源、赤外線リモコン用の3.3Vの電源で、合計3つです。すべて3端子レギュレータという安定化電源素子を使っています。5Vと3.3Vの電源は3端子レギュレータとコンデンサ2個を使った非常に簡単なものです。これで十分です。秋月電子からICとコンデンサがセットになったものが売っていますので、それをそのまま利用しました。

 カメラ電源だけは、電圧が特殊なので、可変型の安定化電源キットを利用しました。キットの基板を利用すると大きくなってしまいますので、部品だけ利用しています。

 次回は、プログラムの公開と簡単な説明をします。

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2008年3月 3日 (月)

D40冷却改造奮闘記 その6

完成!

Cooled D40ほんまかスペシャル!まずは正面から。

Photo961

ファンがでかいです。適当なものがなかったもので。。。次は後ろから。

Photo962

でかいコントローラ。温度コントローラの他に、タイマーリモートシャッターや、カメラ電源、ヒータ電源まで入っています。撮影に必要なすべてをまとめました。取り回しがいいんです。電源一本つなげれば、はい、撮影準備完了です。上段右端の3という数字は湿度レベルです。0~9まで表示します。7になったら、湿度95%で、それ以上温度を下げませんが、強制的に下げることも可能です。結露レベルは9です。

次は上から。

Photo963

3つのスイッチで操作します。露出中は赤のLEDが点滅。インターバル中は黄色のLEDが点滅します。

冷却テストしてみました。

Photo964

最初は17.7度ですが、この温度計校正していないのでかなりいい加減です。

Photo965

0.4度まで下がりました。冷却能力はマイナス17度ほどです。思ったほど下がりませんでした。湿度レベルが7まで上がっていますが、カメラを露出したまま冷やすと、湿度レベルは4までしか上がらないことが分かりました。これは大発見です。どうせ、露出したら温度上がるので、最初から上げておくほうが安全ということですね。

実際にダークを撮影してみました。まずは冷却なし。ISO1600、30分です。

Photo969

次に冷却してみました。

Photo968 

一見、差がないようですが、、、、

いつものようにレベル調整255->50にすると。

Photo9610

どうです。これだけ差が出ます。

ほんまかのメイン星野撮影システムはすでにEOS 5Dになっていますので、このカメラは固定撮影の星景写真に使う予定です。つまりサブカメラですね。サブカメラが冷却仕様とは、なんて贅沢なんでしょう。

今週末あたりフィールドテストしたいですが、FFフィルターがまだ届いていません。それから、レンズもまだないんですよね。

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