お月様が明るい。こんな暇な時期は楽しい電子工作で過ごそう。ということで新連載開始、満月期の暇つぶし企画です。というより、これ一回で終わってしまうかも知れない。
いちおう、予定しているのは、電源の製作。タイマーリモートシャッターの製作。モータードライブの製作などなどです。基本的に、よほど暇でない限りやりません。早くやれー!という方はコメントにて。
最初はヒーターコントローラーの製作です。実は、冷却D40作った時の部品が余ったので、それでこしらえたのですが、ちょい工作にはちょうど良いです。
基本的なこと
ヒーターの発熱量をコントロールするには、3つの方法があります。まず、可変抵抗(ボリューム)で抵抗値を変えることです。しかし、1Aとか流れますので、電子工作用の小さな可変抵抗は使えません。また発熱もしますので、損失が大きいです。
次は、電圧を変えることです。電圧可変式のスイッチング電源などで、電圧を変えます。スイッチング電源でない場合は損失が大きいので、普通はスイッチング電源を使います。私も以前はこの方式でした。しかし、いくつか問題があります。1 電圧範囲が限られること。2 装置が大きくなること。3 発熱量は電圧の2乗に比例しますのでリニアでないこと。4 スイッチング電源でも10~30%くらい損失があること。
そこで、これらの問題を解決したのがPWM制御です。モータなどのパワーコントロール系によく使われます。ようするに下図のようなパルスを出力して、ヒーターを高速でON/OFFさせるのです。ONの時間とOFFの時間を変えて、発熱量を調節します。理論上は、発熱量を0~100%の範囲で調整でき、しかもリニアです。損失も非常に少ないです。
欠点は、高速でON/OFFを繰り返しますので、ノイズの発生源になりえることです。ただ、これはスイッチング電源でも同じです。(電源については次回)
今回はタイマーIC555でパルスを発生させ、MOS FETと呼ばれる素子で、ヒータの電流をON/OFFします。
タイマーIC 555は、電子工作の王様です。子供向けの電子工作本に必ずといっていいほど出てきますね。応用しだいで、いろんなことができます。
回路図
この回路は応用範囲が広く、CPUのファンコントローラとほぼ同じです。またそっくりそのままペルチェ素子のコントロールにも利用できます。難しいことはおいといて、とりあえずこの通り作れば動きます。LEDは出力に応じて明るさが変わります。
回路の説明
47μの電解コンデンサ。コンデンサは電気を貯めておくものですが、急激な電圧の変化をならす働きがあります。そのため電源投入時のサージやノイズをとることができます。電解コンデンサは極性があり、マイナスはマイナスのマークがあり、かつプラスのリードが長いです。
0.1μのコンデンサ。コンデンサは交流成分を通すためプラスとマイナスをショートするように入れると、交流成分つまりノイズを取ることができます。このような使い方をするコンデンサをパスコンといい。ICのそばに入れるのが基本です。0.1μのコンデンサは表面に104と書かれています。
555。 タイマーIC555は、コンデンサC1に充電と放電を繰り返すことにより三角波形を作り、内臓のコンパレータというものでデジタルパルスに変えます。充電時は右側のダイオードを通り充電されます。充電時間は抵抗RとコンデンサCの積に比例します。放電時は左側のダイオードを通り放電されます。放電時間もRとCの積に比例します。したがって、可変抵抗で充電時間、放電時間を変えることにより、ON/OFFの時間をコントロールできます。
ダイオード。役割は上記で説明したとおりで、一方向にしか電流を流さない特徴があります。極性がありますので注意してください。
LED。出力比率を見るためにLEDを挿入しました。LEDは電流を20mAくらい流すようにするのが基本です。LEDの両端の電圧は電流によらず一定でだいたい2Vくらいです。ですから、LEDと直列にある抵抗値は次のように求まります。
R = V / I = (12V-2V)/20mA = 500オーム
MOS FET。 ゲートと呼ばれる端子がだいたい4V以上になると、ドレイン、ソースという端子間に電流が流れます。この性質を使って、ヒータをON/OFFします。MOS FETはNチャンネル型とPチャンネル型の2種類ありますが、上の回路図なら必ずNチャンネルを使うようにしてください。
可変抵抗(ボリューム) ボリュームは指数関数的に変化するAカーブと直線的に変化するBカーブがあります。Bカーブを選択します。
製作
まず部品をそろえます。ほとんどすべて秋月電子で購入できると思います。
最初は、基板のカットから
次にケースの穴あけ。なに?ドリルがない? 綺麗な天体写真を撮りたいならドリルの一つや二つ。。。
次に基板の製作ですが、最初に抵抗などのリードの切れ端で電源ラインを配線します。電源ラインのレイアウトが良いとその後の結線が楽になります。ここは経験ですね。
電源ラインができたら後は部品を取り付けていきます。MOS FETのリードは根元から曲げないように。
裏側はこんな感じ。
ケースに入れて、ボリュームやLEDをつけます。
完成です。
実はコンデンサC1の容量を一桁間違えてパルス周期が29Hzになってしまって、LEDが点滅しているのが分かるようになってしまいました。ほんとは288Hzにしたかったのですが、288Hzなら点滅は分からないと思います。でも点滅が分かった方が分かりやすくてよいかも。
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