現代天体写真の宿命
天文を再開した3年くらい前、先輩たちの素晴らしい画像を見て、この元画像がどうなってるんだろうと興味津々でした。画像処理って、どのくらいゴリゴリやるのだろうかと。
そこで、そんな初心者のために(私もまだ初心者かも)、昨日の「さそり座上部」の写真の元画像を載せてみます。コンポジット、モザイク結合した画像に、レベル調整後、分かりやすいように彩度、コントラストアップした画像です。
ひどいですね。こんなひどい画像、今までの中でも最悪の部類に入ります。とにかく透明度が悪く、もやに光害が散乱した眠たい空でした。緑色の輪っかはLPS-P2フィルターの影響です。LPS-P2は入射角が大きくなると効果が薄れるので、光害がひどいとこのような輪になります。
以前の私しでしたら、これを見たら即ボツでした。しかし、最近は画像処理技術も向上したので、これでもなんとか仕上げるようにしています。
今の時代、光害ないところないし、しょっちゅう遠征にいけるわけでもないし、透明度の良い日もそんなにあるわけでもないです。透明度が悪いとか光害があるとか、そんな事言ってられません。これでも何とか仕上げられないと、いつまでたっても天体写真は完成しません。
強度の画像処理に否定的な人もいますが、私はそうは思いません。創作はあってはいけないと思います。しかし、基本的に「画像処理は引き算」=「余計なものを取り除くのが画像処理」と思っています。その上で多少の強調処理をしているだけです。私も20年前は暗室作業をやっていましたが、多い焼きや焼き増しはマスク処理と本質的には変わりありません。昔よりやりやすくなっただけです。
実は私も少し前まで画像処理否定派でした。しかし、最近は風景写真でも画像処理するようになりました。以前はまったくしなかったのですが。デジタルの場合、白とびだけはどうにもならないので、アンダーで撮ってあとは画像処理で仕上げるようにしています。現代のデジタル写真は、「撮影+画像処理」のセットで初めて成り立つものだと思います。あまり否定的にならず、あるいは苦手意識を持たず、どんどん技術を身に付けていくように努力した方が結果はいいと思います。
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コメント
昨夜よっちゃんさんからお電話があり、その中でほんまかさんの話題になりました。
「ほんまかさんの画像処理技術は凄いですね!」とべたぼめでした。
この元画像を拝見し納得です。私にはどうやったら良いか分かりません。よくぞあそこまで滑らかで美しい作品に持っていけるものだと感心してしまいました。
LPS-P2の広角における緑のわっかは困りますね。私のようにキスデジならFFフィルターを使うという手がありますがフルサイズの5Dでは無理なんですよね?
今度ぜひ画像処理講座もお願いいたします。
投稿: T-Fix | 2008年4月21日 (月) 22時53分
t_fixさん。こんばんは。
なに、よっちゃんさんがベタ褒め?信じられない。基本的に私はモザイクに逃げてるだけです。一枚画像の方がはるかに難しいです。画像処理も技術といえるものはほとんどないです。基本的にグラデーションマスクを作り、明るさ、レベル調整、カラーバランス。この3つだけです。トーンカーブはほとんど使いません。(使えないので)
あえて自慢できるところといえば、技術がないので忍耐ですね。とにかくコツコツです。一度に修正しようとせず、細かく細かく少しずつ少しずつ、コツコツ、とにかく少しずつですね。
LPS-P2の入射角依存性はほんと困ったものです。レンズの後部につけるのは確かに有効ですね。5DはFF使えませんが、私の場合はレンズとボディーの間にイメージシフト装置があるので、そこに入れることは可能です。事実、赤外カットはそこに入れてあります。こんどやってみようと思います。
ただ、レンズ後部に入れて改善されるかどうかは分かりません。具体的にはレンズのテレセントリック性(光がCCDに直角に当たるかどうか)が問題になります。中判レンズはテレセントリック性が悪いのであまり期待はできません。
最近のAPC-C専用レンズはテレセン性が良いので、もしかしたら広角レンズでもLPS-P2使えるかも知れませんね。
投稿: ほんまか | 2008年4月22日 (火) 00時16分