広角モザイクって簡単にできるんだよ。その2
前回の記事で広角モザイクが簡単にできると思っていただけたでしょうか。特にカッティングだけで合わせることができることについては不思議に思われるかもしれませんね。しかし、同じ条件で撮影し、同じ条件で現像するれば合うのは当然です。
それでも明るさとかずれるのでは?
はい、ずれる場合もあります。実は前回の写真、やはり上側が少し暗いです。+5くらいがちょうどいいです。(あの写真は上下で時間差がありすぎるのです。)でもそのままでも十分です。ではなぜ、明るさの調整をしないで合わせることができたのか。その答えは。。。
背景に明るさの傾斜、ムラ、周辺減光があるためです。
完全にフラットな画像な場合、明るさが、色合いが完全に一致していないと、どこにつなぎ目を持ってきても合いません。
ところが、背景に傾斜、周辺減光がある場合、
よほど、違いがない限り、どこかに一致する部分があります。ですからこの一致する部分をつなぎ目にすればよいのです。
つまり、カブリや周辺減光を逆手にとって、合わせこんでいるのです。
強調処理のため、極限までフラットにしないといけない星雲星団の写真は無理です。ある程度背景のムラを許容できる「広角系星野写真」ならではの手法です。
結論は、周辺減光補正やカブリ補正など気にせず、現像したらすぐつなげればよいのです。下手な処理は不要です。即モザイク。
しかし、このようにうまく結合させるためには条件があります。(やっぱりあったのね)
簡単に言うと。。。
「絞り込んで短時間で撮る」
絞りは思い切ってF5.6まで絞っちゃいましょう。露出時間は、長くても5分程度。できれば保険の意味で2枚コンポジットがいいですね。
それでは、淡い星雲が写らないのではという疑問もあると思います。でも、
「写らなくていいんです」
星野写真の主役は「星」です。まず星を美しく表現することが第一です。よく淡いHαとか天の川の淡い部分を出そうとして強引にコントラストを上げている星野写真を見ますが(かつての私。。。) とても美しい写真とは言えません。
星中心に考えるなら短時間露出で十分です。それにモザイクするとノイズが目立ちませんので高感度撮影、強調処理ができますので、短時間でもそれなりに写ります。
まとめ
モザイクを困難にしている要因は3つあります。
モザイク3悪→ 時間差、周辺減光、カブリ
時間差、カブリに関しては、短時間露出でクリアです。周辺減光に関しては絞り込んで対処しましょう。もちろん腕に自身のある方はある程度絞りを開けて、フラット補正するのも良いでしょう。でもちゃんとやらないと、かえってムラになり、合わなくなります。どうしても絞りを開けたい人は、フォトショップの「フィルター」→「変形」→「レンズ補正」の周辺減光補正が簡単便利です。星野写真の場合、それほど強調処理するわけではないのでこれで十分です。
それから、これも重要ですが、画像の重なり部分を多くとりましょう。周辺減光やケラレは重なり部分を多くするとほとんど影響を受けません。
最後に、これは当たり前のことですが、天体写真の基本として次のようなことを注意すると完成度が上がります。
1 なるべく暗い場所で撮影する。
2 対象が南中するのを待って撮る。
3 ピントはちゃんと合わせる。
4 構図は試写を繰り返して念入りに合わせる。
5 機材にある程度お金をかける。良いレンズは周辺減光も歪みも少ないです。
ワンポイントアドバイス
どうしてもつなぎ目が分かる場合は、輪投げツールで範囲指定し、部分的にあわせこみましょう。
PS3のフォトマージで「画像を合成」をチェックするとカッティングもちゃんとやってくれます。この機能はかなり正確で使えます。面倒ならフォトマージに任せちゃいましょう。(PS2以前にはないのが残念)
明るさや色合いがあまりに違う場合はやはり、ある程度の合わせこみが必要です。その場合、つなぎ目だけに注意しないで全体のバランスを大切にします。画像を小さくして見るのが有効です。
明るさや色合いが、ちゃんと合っているか見るには、調整レイヤーを作って、コントラストや彩度をアップしてみると楽です。必ず調整レイヤーで行ってください。元画像はそのままです。
現像はすべてのコマで同じ条件で現像しましょう。現像時、ヒストグラムの山を中央付近にもってきましょう。星野写真としては明すぎますが、画像が明るい方がモザイクしやすいです。
次回は(えっ、まだあるの)、写野の切り替え方法です。
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