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2008年11月28日 (金)

「デジタル星野写真入門7」カメラ、レンズの設定

え~、皆様、こんちは。最近この連載息切れです。。。

天体写真を撮るには当然ですが、カメラ、レンズの設定を考えなくてはなりません。事前に十分考えておきましょう。考えておくのは

  1. ISO感度の設定
  2. 露出時間
  3. コンポジット枚数(連続撮影枚数)
  4. レンズの絞り値

以上4点です。

1 ISO感度の設定

 ISO感度が高いほど暗いものが良く写り露出時間を短くできますが、その代わりノイズが多くなります。私はどちらかというとISO感度を高くして露出時間を短くする派です。ですからノイズの少ない冬場ならそのカメラの常用設定での最高ISO感度を使用します。私のカメラではISO1600です。ノイズの多い夏場はその下のISO800を使います。

2 露出時間

 これもISO感度と同じで、露出時間が長いほど良く写りますが、ノイズが増えます。また露出時間が長いと失敗する可能性は高まります。失敗する可能性とは、たとえば赤道儀の追尾ずれ、飛行機の通過、雲の発生などです。また、光害カブリなどで画像が真っ白になるほど露出をかけてはいけません。

 星野写真の場合は、それほど露出時間は長くかけません。せいぜい数分でいいと思います。私はだいたいISO1600、レンズの絞りF4で露出5分前後くらいを目安にしています。

3 コンポジット枚数

 コンポジットとは、天体写真でよく使われる手法です。たとえば、露出12分で1枚を撮るところを6分露出で2枚連続で撮るのです。あるいは3分露出で4枚連続して撮ります。そして、画像処理の段階ですべて重ねるのです。なぜ、このような事をするかと言えば、まずデジカメの場合、露出時間が長いとノイズが増えます。また撮影ミスの可能性も高まります。

 ですから、露出時間を短く区切って、枚数をたくさん撮るのです。この画像を重ねる処理のことをコンポジットと言います。コンポジットには2種類あります。

●加算コンポジット

 単純に画像を加算で重ねます。これは露光量を増やす効果があります。

●加算平均コンポジット

 たとえば2枚コンポジットなら、2枚の画像を加算して2で割ります。露光量は一枚のときと同じです。しかし、ランダムな場所に発生するノイズは2枚の画像でまちまちですから、加算平均によって半分になります。ノイズが減れば、画像処理でより強調処理がしやすくなります。

 下の画像を見てください。左側は一枚撮りのバラ星雲です。右側は同じ露出時間のものを8枚加算平均コンポジットしたものです。どちらも違いがないように見えます。

Comp1

しかし、バラを出そうとコントラストを上げると違いがはっきり分かります。

Comp2

右側の8枚コンポジットの方がはるかに滑らかです。

 こうしてみるとコンポジットはいいことずくめですが、では、ノイズを無視した場合、露出5分2枚コンポジットと露出10分一枚撮りを比べた場合、どちらの画像が良いでしょうか。

 答えは一枚撮りです。露出5分で写らない淡い部分は何枚重ねても写りません。0は何倍しても0ですから。

 最近はデジカメのノイズが少なくなり、冷却デジカメなるものも出てきていますから、コンポジットの重要性は低下してきています。しかし、まったくノイズレスになったわけではなく、また露出時間が短い方が確実に撮影の成功率は上がりますから、ぜひコンポジットしてみてください。私は最低でも2枚コンポジット、多いときは8枚コンポジットします。露出5分なら8枚コンポジットしてもトータル40分です。星雲や星団などの写真に比べれば撮影時間は少ないほうです。

 それから、コンポジットですが、通常は何枚でもかまいませんが、私の場合、コンポジットの重ね合わせ作業をより精密に行うため2枚ずつ組にして重ねていきます。(トーナメント方式という)トータルのコンポジット枚数は2の累乗にする必要があります。(2枚、4枚、8枚、16枚、、、)

Comp3

[図 トーナメント方式のコンポジット]

4 レンズの絞り値

 レンズの絞りをどれくらにするかも、悩みどころです。一般には絞ったほど有利です。

  • 周辺減光が減る
  • 周辺の収差が減る
  • 色収差が減る
  • 星がシャープに写る

 ただ、絞ると暗くなりますから、露出時間を長くする必要があります。結論から言うと、広角レンズは周辺減光や周辺収差が大きいですから、2段くらい絞った方が良いでしょう。

 望遠レンズもEDレンズなどを使った高価なレンズ以外は2段くらい絞った方が良いでしょう。望遠レンズの場合は特に色収差が問題になるからです。

 開放F値がF2.8ならF5.6になります。

最後に

 よくネット上で見かける初心者の星野写真を見ると、レンズの絞りが絞込み不足で、コンポジット枚数も足りないように見受けられます。よく絞り込んで、コンポジット枚数が多ければ、後の画像処理が非常に楽になります。まだ画像処理が未熟な初心者こそ、絞り込んで、コンポジット枚数を増やすべきだと思います。

 なかなか良い作品が出来ない方は「絞りは2段絞り、8枚コンポジット」でやってみたらどうでしょう。見違えるように良くなりますよ。

 次回はピント合わせについてです。

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2008年11月27日 (木)

「デジタル星野写真入門6」撮影計画をたてよう

道具も揃ったところで、いよいよ撮影です。でも撮影現場で「さて何を撮ろうかな」、なんて悩んでいるようではだめ。事前にしっかり計画を立てましょう。

時期は

 結論から言うと月の出てない晴れた日なら一年中撮影できます。星野写真は普通、天の川に沿って対象を狙います。星野写真は天の川が入っていないと実に寂しい写真になってしまうからです。春は天の川の季節ではありませんが、まだ沈まない冬の天の川や、朝には夏の天の川が登ってきますので、結局春も忙しいです。

時間は

 月が出ていない夜で、薄明終了から薄明開始までの時間です。薄明というのは、人間の目には感じませんが、写真に撮ると影響が出る明るさです。薄明が始まってしまうともう写真は撮れません。月出、月入、薄明の時間は、アストロアーツのホームページで確認できます。

 まとめると、星野写真が撮れるのは月の出てない「新月」前後の一週間で、当然ですが晴れた夜になります。これに週末だけという条件が加わると、そう滅多にチャンスがあるわけではありません。

場所は

 天体写真を撮る人にとって都市の明かりほど邪魔なものはありません。これを「光害」と言います。光害があると、写真が緑色にカブリます。少しくらいなら画像処理で補正できますが、あまりひどいと、もうどうにもなりません。ですから、都市から離れた暗い場所ということになります。得に星野写真の場合は画角が広いので光害の影響を受けやすく、相当暗い場所でないとだめです。

 また、星野写真は南側の対象を撮ることが多く、南側が暗いことも重要ですが、最近はそのような場所は少なくなりました。

 天体写真に向いた暗い場所はネットなどで検索して探すと良いでしょう。有名スポットは他の天文ファンもいますから、仲良くなればアドバイスも受けられます。

構図を決めよう

 ステラナビゲータなどで事前に構図を確認しておきましょう。構図を確認するには、ステラナビゲータを起動し、撮影時の日時を設定し、表示形式を適当に選びます。

Sn1

メニューの[天体]→[視野円・写野角]を選択します。

Sn2

ここで、[写野角]の[表示]をチェックし、レンズの焦点距離を入力し、カメラからAPS(Cタイプ)を選択します。(フルサイズの場合は35mm)

Sn3

これで構図の確認ができます。

赤い線が表示されていますが、これを赤経、赤緯線と呼びます。表示されていない場合は経緯線のボタンをクリックし、[赤経、赤緯]を選択します。

真南の方角では、赤経線は水平ですが、東西では水平ではありません。

さて、ここで重要なことがあります。星野写真では普通、構図は赤経、赤緯線に平行または直角に合わせます。カメラを雲台を使わず直接赤道儀に固定している場合は何もしなくても自然とこうなります。

このルールは必ずしもそうしなければいけないものではありません。写真は自由ですから。ただそうした方が写真としての安定感があります。つまり我々天文屋はこの構図に見慣れているのです。

風景写真を撮る場合は、地平線を水平に入れるでしょう。それと同じです。もちろん斜めの写真もそれはそれで斬新で良いですが、うまくはまれば素晴らしいけど、その自信はありますか。ないなら無難に赤経緯線に合わせておいた方がいいです。天の川を対角線に入れたいとか、何かしら意図があるならこの限りではありません。また、地上部分が入る星野写真では、地上の水平を優先させる場合もあります。

次回は「カメラ、レンズの設定」です。

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2008年11月26日 (水)

よっちゃんさん画像を処理

よっちゃんさん主催の何とか選手権。私も参加してみました。

Photo199

ポイント。とにかく赤いので、赤一辺倒にならないように色を配分する。

暗黒部の落ち込み、ハイライト部を強調してメリハリをつける。

赤い星雲の周りにオレンジの星雲があるのでそれを強調して色バランスを良くする。

左上と右下の星が密集してる部分を明るくして画像全体で見せる。

これらのことに配慮して仕上げました。強調処理で画像が荒れ荒れなので適当にごまかしています。最優秀はいいから入選くらいしたいな。

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2008年11月25日 (火)

「デジタル星野写真入門5」購入シミュレーション

ではいったいいくらかかるの? 実際に買うつもりになってシミュレーションして見ました。ただし、これから星野写真撮ろうと思う方はカメラやレンズ、三脚、フォトショップエレメンツくらい持っていると思うのでそれらは外します。カメラはEOS KissX2と仮定します。

[エコノミーモード]

とにかく安けりゃいい。しかもコンパクトにしたい。多少の不便は承知の上。

赤道儀 アイベルCD-1(コンパクトドライブシステム)  32,800

自由雲台 スリック SBH-320BKN 13,800 ヨドバシカメラ

EOSバッテリー(取替え用) LP-E5  5,670  ヨドバシカメラ

タイマーリモートコントローラ(Kiss用)  17,800 趣味人

ダーク減算ソフト RAP 9,800 趣味人

露よけヒーター(タイプ2) 1,500  ヤフオク

バッテリー ユアサNP7-12 9,975 安川商事

バッテリー充電器 ユアサPS12-12T 15,700 安川商事

ターミナルセットE2 (バッテリー接続用) 1,360 ホームセンター

パワーヒューズホルダー 200円 ホームセンター

ヒューズ 100円 ホームセンター

====================================

合計              108,705円

10万超えてしまった。高っ。バッテリー関係が高いですね。車用のバッテリーにすればもうちょっと安くなるかな。でもユアサの密閉型が小型で倒しても良いので扱いやすいです。

[本格モード]

しっかりした装備にしたい。将来は望遠鏡を使った写真も。

赤道儀 ビクセンGP2赤道儀ユニット  30,660 KYOEIネットショップ

三脚 HAL-130WT 25,200 KYOEIネットショップ

二軸モータドライブD2Mセット 35,280 KYOEIネットショップ

GP2極軸望遠鏡セット 13,440 KYOEIネットショップ

システムプレート オリジナルマルチプレートS 12,800 趣味人

自由雲台 スリック SBH-320BKN 13,800 ヨドバシカメラ

EOS用DC12Vアダプター本体 9,800 趣味人

EOS用カプラーケーブル 3,990 趣味人

DC12Vシガー電源ケーブル(ヒューズ入り) 1,500 趣味人

タイマーリモートコントローラ(Kiss用)  17,800 趣味人

ダーク減算ソフト RAP 9,800 趣味人

ステライメージVer.6 29,400 アストロアーツ

ステラナビゲータVer.8 12,600 アストロアーツ

露よけヒーター(タイプ2) 1,500  ヤフオク

上記オプション プラグ付きリード線 1,000 ヤフオク

ディープサイクルバッテリー充電器セット 26,980 Yahooショッピング

3連シガーソケット 1,980 ホームセンター

パワーヒューズホルダー 200円 ホームセンター

ヒューズ 100円 ホームセンター

====================================

合計  247,830円

軽く20万越え。天体写真はお金がかかるのです。モータードライブは1軸で十分ですが、将来の拡張に備えて2軸にしました。バッテリーも将来を見据えて大きめのディープサイクルバッテリーにしてあります。カメラ、ヒータの電源はここからとります。

[割り切りモード]

 星野写真に特化したシステムを組みたい。星野写真を極めたい

赤道儀 ビクセンGP2ガイドパック  66,780 趣味人

パノラマ雲台 12,800 CAT 在庫3つしかないです。お早めに。

L型ブラケット マンフロット340エルボーブラケット 7,350 ヨドバシカメラ

EOS用DC12Vアダプター本体 9,800 趣味人

EOS用カプラーケーブル 3,990 趣味人

DC12Vシガー電源ケーブル(ヒューズ入り) 1,500 趣味人

タイマーリモートコントローラ(Kiss用)  17,800 趣味人

ダーク減算ソフト RAP 9,800 趣味人

ステラナビゲータVer.8 12,600 アストロアーツ

露よけヒーター(タイプ2) 1,500  ヤフオク

バッテリー ユアサNPH12-12 13,965 安川商事

バッテリー充電器 ユアサPS12-12T 15,700 安川商事

ターミナルセットE2 (バッテリー接続用) 1,360 ホームセンター

パワーヒューズホルダー 200円 ホームセンター

ヒューズ 100円 ホームセンター

====================================

合計    175,245円

星野写真だけに限ればこのシステムがもっとも理想的かな。

ここに示した例は一例です。価格は変動します。何か足りないものがあるかも知れません。赤道儀を始めて買う方はショップの人のアドバイスを受けてください。

次回は「撮影計画を立てよう」です。

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2008年11月21日 (金)

「デジタル星野写真入門4」ソフトも揃えなきゃ

今日は、天体写真の画像処理に必要なソフトの話です。

現在、天体画像処理での主流ソフトはなんと言っても、フォトショップです。やはり天体写真を突詰めるとレイヤー処理など必ず必要になってきますのでフォトショップは必要かと思います。ただ高価なCSではなくエレメンツでも十分と思います。私もCSもっていますが、現在でもエレメンツだけで処理することも多いです。「デジタル星野写真入門」も画像処理編はエレメンツでやるつもりです。

Soft1

天体分野ではアストロアーツの「ステライメージ」も有名です。こちらは天体専門ソフトになります。最近バージョンアップされてかなり高度な処理ができるようになりました。ただ、レイヤーの概念はまだなく、処理も重いように感じます。やはりフォトショップの方がいいように思います。ただ、フィルター機能など部分的には優れた機能もありますし、コンポジット処理(後述)は0.1ピクセル単位でできますので、部分的に使うのが良いと思います。私はコンポジット専用ソフトとして使っています。

Soft2

それ以外に必要なソフトですが、天体写真は普通RAWで撮影しますので、現像ソフトが必要です。カメラメーカが提供するものでも良いですし、上記フォトショップ、ステライメージにも含まれています。ただフォトショップに含まれている現像ソフトが評判が良いようです。私もフォトショップで現像しています。色彩豊富で素晴らしく、一度フォトショップの現像に慣れてしまうと他の現像ソフトは使用する気になれません。

あと、忘れてはいけないのがダーク減算ソフトです。デジカメはご存知の通りノイズが出ます。天体写真は高感度長時間露出をしますのでノイズは無視できません。特にアンプノイズと呼ばれるノイズは出方が派手ですからなんとしてでも消さなければなりません。

ノイズは固定ノイズといって、決まった場所に決まったように出るノイズとランダムに出るランダムノイズがあります。固定ノイズはダーク画像といってレンズにキャップして撮った画像を減算することによりある程度消すことができます。そのためのソフトがダーク減算ソフトです。

ダーク減算ソフトは、ステライメージの機能にありますし。RAPと呼ばれる専用ソフトもあります。ダーク減算は現像前に行っておくのが基本です。ですから撮影もRAWで撮影する必要があります。

Soft3

それでは、どのソフトを買えばよいかといえば、結論から言うと全て買うのが無難です。ただ、そうも言ってられないので、ほんとに必要なものに絞ると、次のようなパターンが考えられます。

1 [ステライメージ]でダーク減算、現像、コンポジット、画像処理

 ステライメージはもともと天文専用ソフトですから、これ一本で全部できてしまいます。ただ、最後の画像処理だけはやはりフォトショップでやりたいですね。レイヤーの威力は絶大です。そうすると

2 [ステライメージ]でダーク減算、現像、コンポジット→[フォトショップ]で画像処理

 このあたりで妥協しておくのが無難か。ただ、ステライメージの現像はいまいちなところがあります。理想を言えばフォトショップで現像したいところです。ステライメージでダーク減算後、フォトショップで現像できないのがつらいのです。ダーク減算と現像は一体化していると思っていいです。ニコンのカメラなら、ダーク減算ソフトRAPを購入して次のようなフローが可能です。

3 [RAP]でダーク減算→[フォトショップ]で現像、コンポジット、画像処理

 ステライメージよりRAPの方が安いので経済的です。ただキャノンのカメラの場合、3のフローはできません。(現在ベータ版のRAP2では可能)したがって、フォトショップの現像はあきらめ

4 [RAP]でダーク減算、現像→[フォトショップ]でコンポジット、画像処理

 ステライメージのコンポジット機能を使いたいなら2のフローになりますが、ダーク減算はRAPの方が優秀と思うので、以下のフローがあります。

5 [RAP]でダーク減算、現像→[ステライメージ]でコンポジット→[フォトショップ]で画像処理

 これはすべてのソフトを買うことになります。

なお、私の場合はRAPでダーク減算、フォトショップで現像は絶対に譲れないので以下のようなフローでやっています。

6 [RAP2]でダーク減算→[フォトショップ]で現像→[ステライメージ]でコンポジット→[フォトショップ]で画像処理

まとめ

 最も経済的なのは、3または4になると思います、必要なソフトはRAPとフォトショップエレメンツになります。ですから。「デジタル星野写真入門」も3または4のフローで説明することになります。

それ以外にあると便利なソフト

 天文シミュレーションソフト(簡単にいうと星座早見板のパソコンソフト版)があると便利です。ぜひ購入しておきたいところです。単に現在見える星座の表示だけではなく、構図の確認や月齢、薄明開始時間(空が明るくなる時刻)の確認もできます。

 アストロアーツの「ステラナビゲーター」が有名です。

Soft4

次回は、「それでは全部でいくらかかるの?」購入シュミレーションをしてみたいと思います。

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2008年11月20日 (木)

「デジタル星野写真入門3」他に何が必要なの

え~、皆様、こんちは。デジカメの冷却改造で一躍有名になった成り上がりのほんまかです。今日は、赤道儀以外に必要なもの。

デジタル一眼レフカメラ

 星野写真撮ろうと思っている人は、もう既にデジカメもっていると思うから、いまさらデジカメは何がいいと言ってもしょうがないわけですが、、、

 メーカですが、ノイズの面とかから言って、やっぱキャノンかニコンでしょうね。できればキャノン。なんか特に最近は天体写真の分野ではキャノン独走のような、ちょっと寂しい。最近の新しいやつはアンプノイズ(後述)出なかったり、ノイズが少なく、超高感度撮影も可能で、天体写真にとってはいいことばかり。

 ところで、天体写真の分野では、デジカメのC-MOS直前についている赤外カットフィルターは邪魔者でこれがあると赤い星雲の写りが悪くなるため、これを他のフィルターに替える改造が普通に行われています。個人でやる人もいますが、普通は天文ショップなどに依頼するか、最初から改造されたものを購入します。先日紹介した「趣味人」でも扱っています。もちろんこのような改造機の方が完成した写真の見栄えはいいです。ただ、星野写真に限って言えば、すぐに改造しなければいけないものではありません。改造してしまうと、まず一般写真はカラーバランスが崩れますから使い物になりません。まぁ、様子をみながらいずれは、改造というくらいでいいと思います。

レンズ

 普通星野写真といった場合、焦点距離は魚眼~200mmくらいでしょうか。最初はより広角の方が失敗が少ないです。新たに買う必要はないと思います。既にもっているレンズの中から広角レンズで試してみるのが良いと思います。

 一般的に値段が高いレンズの方が写りはいいです。これは天体写真に限った話ではありませんが。ただ上を見ればきりがないですからね。最初は手持ちのレンズで十分かと思います。最近はズームレンズでもけっこう性能いいですしね。

レンズフード

 星野写真においてレンズフードは必須です。露よけ対策にもなりますし。

外部電源

 天体写真では当然ですが、電源が必要です。電源が必要なのは

●デジカメ

●赤道儀のモータドライブ

結露防止のヒータ

 この3つです。デジカメ、モータドライブは普通電池ですが、電池はすぐなくなります。特に冬場は氷点下になりますから電池の能力が落ち、あっという間なくなってしまいます。予備をたくさんもっていって、取り替えながら撮影することになりますが、継続的に天体写真を続けていくなら、車のバッテリーなどからとるようにした方が良いでしょう。なお、カーバッテリー買ったら、バッテリー充電器も必要です。

 このとき必要になるのがカーバッテリーから、カメラやモータードライブの電圧に変換する電圧コンバーターです。天文ショップなどのでは、カーバッテリーからEOS電源に変換するアダプターなどを売っています

 あるいは、ちょっとした電子工作などできる人は作ってもいいでしょう。秋葉原の秋月電子通称などは、利用できそうなキットが売っています。私のブログのカテゴリー「天文屋のための電子工作」にも自作記事がありますので参考にしてください。

ちなみに↓は私が使っている密閉型の鉛蓄電池です。容量10Ahが2つで、一晩もちます。(10Ahというには1Aの電流で10時間もつということです)カーバッテリーより小型で軽量なので良いです。購入もとは「安川商事」

Photo1941

結露防止ヒーター

 天体写真は寒い夜中にしかも長時間撮影しますので、まず間違えなくレンズが曇ります。そのための結露対策を考えなくてはいけません。レンズにオイルカイロを巻きつけたりしますが、やはりニクロム線などで作ったヒータを巻きつけるのが一般的です。もちろん天文ショップでも扱っています。たとえばこんなの。ヤフオクなどでも安いのが出てます。また、ニクロム線などで自作しても良いでしょう。

↓は私がニクロム線で自作したものです。

Photo1942

タイマーリモートコントローラ

 天体写真は当然ですが、長時間露出ですから、バルブ撮影になります。リモートスイッチは必須です。しかし、それだけではなく、正確な時間の露出時間が必要な場合や、コンポジットと言って、同じ構図で連続して何枚も同じ写真を撮ることがあります。たとえば、露出8分を8枚連続撮影などということを頻繁に行います。ですから、タイマー機能がついたリモートスイッチ(レリーズ)があると便利です。

 定番なのがキャノンで言えばTC-80N3。Kiss系は使えませんが、変換アダプターなるものが天文ショップで売ってます。 ニコンならMC-36があります。

 なお、パソコンからコントロールする手もあります。

それ以外にあると便利なもの

L型ブラケット

 カメラの縦構図、横構図を切り替えるためのものです。雲台を使って縦構図にすることもできますが、バランス悪くなります。L型ブラケットがあると便利です。ただ、日本の市販品だと、↓のようなちゃちいものしかないのがつらいところ。アルミ板で自作か。

Photo1943

デジカメ用外部モニタ

 天頂付近の撮影ではカメラが真上向いちゃうことあるのです。そのとき、重心の低いポータブル赤道儀だとカメラの液晶モニタ見るのも大変なのです。そんなとき、外部モニタあると便利です。4~7インチの液晶モニタや小型テレビなどが使えます。パソコンと接続してパソコンで見る手もあります。

こうしてみると、必要なものけっこう多いですね。次回は必要なソフトウェアです。

  

   

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2008年11月18日 (火)

「デジタル星野写真入門2」赤道儀買おうよ

え~、皆様、こんちは。今月号の天ガと星ナビにW入選したほんまかです。 あはぁはぁ、もうこの書き出しやめよう。自分でもむなしくなる。。。

それでは、「デジタル星野写真入門」はじめます。まずは、道具編です。

天体写真は数分から数十分の露出時間をかけるのが普通です。しかし、星は日周運動で動いてしまいますから、星が線になって写ってしまいます。これはこれで綺麗な写真で「星景写真」という分野があるくらいです。このようにカメラを三脚に固定したまま長時間露出をする撮影方法を固定撮影といいます。

しかし、星を点に写したい!と思ったら、カメラを星の動きに合わせて動かしてやらなければなりません。星の動きに合わせてくるくる回る望遠鏡の架台を赤道儀と言います。もともと望遠鏡の架台ですから、結構大きいです。

Potaseki0_2

原理は簡単で、図の矢印の方向に北極星をあわせます。そうすると、モータードライブという装置で、矢印を中心に回転しますので、星の動きを追えるのです。ちなみに矢印を中心とした回転軸を赤経軸、それと直角の回転軸を赤緯軸と言います。望遠鏡はこの2軸で好きな方向に向けるのですね。で、星を追うのは赤経軸のみになります。星を追尾中は基本的に赤緯軸は動かしません。

それで、星を点に写す星野写真を撮ろうと思ったら、この赤道儀は絶対に必要です。将来カメラが超高感度になって短時間で星が写るようになったら必要ないかも!

さて、星野写真は普通、カメラとカメラレンズだけで写真を撮ります。望遠鏡は必要ないですね。この手軽さが星野写真の人気かも。そうすると、あまり大きい赤道儀は必要ないわけで、星野写真に特化した小型の赤道儀のことをポータブル赤道儀と言います。

ですから、将来望遠鏡を使った本格的な天体写真を撮らないのであれば、ポータブル赤道儀を買うのが筋というものですかね。でもポータブル赤道儀もいろいろあります。最近はほんと小型のものがあります。この中からお好きなものを選びます。いくつか紹介します。

アイベルCD-1

http://www.skygrove.co.jp/eyebell/guide.htm

Potaseki1

う~ん。小さい。ポータブル赤道儀は普通赤経軸しかありません。(回転軸は一つ)これで十分なのです。カメラの方向は自由雲台で決めます。あとはモータドライブにお任せです。自由雲台の横に小さなアルミパイプが見えますか? ここを覗き込んで北極星の向きにあわせます。望遠鏡用の赤道儀には通常、赤経軸に小型の望遠鏡が入っていて(極軸望遠鏡という)それを覗いて北極星の向きにあわせるのですが、これはただのアルミパイプです。広角レンズなら、これ十分なのです。

もう少し、大きくてがっちりしたものなら、

ビクセン GP2ガイドパック

http://www.vixen.co.jp/at/at-other.htm

Potaseki2_2

これもやはり赤経軸のみです。けっこうがっしりしているので望遠レンズでもOKです。極軸望遠鏡もあります。さらに

ケンコー スカイメモR

http://www.kenko-tokina.co.jp/optical/sky_memo/index.html

Potaseki3_2   

まぁ、こんなところでしょうか。どれを選んでも間違えなく星野写真は撮れますのでご安心ください。で、どれを選べばいいかって?

私の経験からいうと、赤道儀は大きいほど楽です。

確かに小さい赤道儀は軽くて、邪魔にならず、持ち運びも楽です。しかし、実際に撮影に入るとこれがけっこう面倒。ちょっとぶつかっただけでずれるし、構図をあわせるだけで、極軸ずれて、再度極軸合わせし直したり、まぁいろいろ気を使います。

上記3機種は、どれも自由雲台を取り付けて、カメラを載せますが、この自由雲台を使った構図合わせって、結構めんどくさいですよ。やってみればわかりますが。望遠鏡用赤道儀のように赤緯、赤経軸の2軸を使った構図合わせの方が楽です。ビクセンとケンコーの両機種は自由雲台の変わりにパノラマ雲台を載せれば、赤緯軸になります。ですから、パノラマ雲台にすればよいと思いますが、最近パノラマ雲台のいいのって売ってないんですよね。

自由雲台ではなく赤緯、赤経軸を使った構図合わせでは、バランスをとってあればクランプを緩めても動きませんので、片手で構図を合わせる事ができます。

もちろん、自由雲台の使用は否定しません。私も最初は使っていました。なによりもポータブル赤道儀の魅力はその機動性ですから。

ただ、本格的に星野写真を撮りたいのであれば、ポータブル赤道儀ではなく、普通の望遠鏡用の赤道儀で小型のものを買うのをお勧めします。これなら将来、望遠鏡を買ったときも使えますからね。お勧めは特にないですが、ビクセンあたりなら、安くて信頼性も高いので良いのではないでしょうか。たとえば

ビクセン GP2

http://www.vixen.co.jp/at/gp2.htm

\38,325 モータードライブ別売り

ただね。本来望遠鏡を載せる架台ですから、カメラ載せようとすると一工夫必要です。アルミプレートというアルミ板載せて、その上に直接カメラ載せるか、雲台載せて、その上にカメラを載せます。この辺は買うショップに相談すると良いかも。

趣味人さん。

http://www.syumitto.jp/

オリジナルアルミプレート売ってます。http://syumitto.jp/SHOP/299582/299585/list.html

ほんまかの赤道儀を紹介します。

Photo1931

赤緯軸にパノラマ雲台を使っています。自由雲台ではないです。この仕様だと、バランスを合わせておけばクランプを緩めてもカメラは動かず、構図あわせが非常に楽になります。実際このようにして作品のレベルが上がりました。構図は作品のレベルを決める重要な要素なのです。

また、長時間追尾してもバランスが崩れず。トータル6時間にもおよぶ撮影が可能になりました。ただ、この仕様だとカメラの縦、横を切り替えるL型ブラケットが必要になります。

極軸望遠鏡について。

 赤道儀を使う上で、赤道儀の赤経軸の方向を北極星の向きに合わせておくことが重要です。この作業を極軸合せといいます。極軸を合せるため、普通、赤道儀には極軸望遠鏡がついています。これを覗いて北極星を視野に入れるのですが、北極星は天の北極からちょっとずれた位置にあります。そこで下記のようなパターンがあります。

Photo1932

この2つ円周上の間に入れるのですが、詳しい方法は赤道儀の説明書を読んでくださいね。

さて、実際に極軸望遠鏡を夜中に覗いてもこのようなパターンは暗くて見えません。そこで、照明装置がついているか、オプションで購入することになります。

照明を極軸望遠鏡の前面からあて、明るい視野の中にパターンが暗く見えるタイプのものを明視野照明装置といいます。照明を極軸望遠鏡の中からあて、暗い視野の中に明るいパターンを浮かび上がらせるタイプのものを暗視野照明装置といいます。後者の方が見やすいですが、どちらでも問題ありません。

ビクセンのGP2ガイドパックには明視野照明装置が、ケンコーのスカイメモには暗視野照明装置が標準でついています。オプション設定の赤道儀もありますので購入前に確認しましょう。

次回は赤道儀以外に必要なものの紹介です。

できるだけ、初心者でも分かりやすいように書いたつもりですが、結構難しい説明になってしまいましたね。分からなかったらご質問ください。

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2008年11月17日 (月)

「デジタル星野写真入門1」スタート

え~、皆様、こんちは。デジタル星野写真の第一人者(←GENTAさん公認)のほんまかです。

最近ブログの更新、滞っています。すみません。m(__)m

それはさておき、最近「星野写真」をキーワードにこのブログにご訪問くださる方多いです。「星野写真」撮って見たい方、多いのですね~。最近は一般写真の分野から、風景撮影の延長として星野写真に興味をもたれる方もいるみたいです。

これもデジタル時代ならではでしょうか。そこで、新連載スタート、内容はそのものずばり、「デジタル星野写真入門」です。ただ単に機材はこれとこれね。みたいなあっさりしたものではなく実際に撮影して画像処理する過程で、実際に直面する問題を正面から取り組んだ内容にしたいと思います。

内容は大きく分けて、道具編、撮影編、画像処理編の3部構成になる予定です。

それから、星野写真というと、星が流れる固定撮影も含まれるかも知れませんが、ここで紹介するのは、ちゃんと星が点に写る星野写真のことです。

それでは、お楽しみに。おぇ。

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2008年11月 8日 (土)

ぎょしゃ座テイク2(画像差換え)

Photo192

結局これに落ち着いた。

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2008年11月 7日 (金)

オリオン座テイク2

Photo190

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2008年11月 5日 (水)

入選

星ナビと天文ガイドに入選しました。

Photo188

星ナビさん、こんな駄作掲載いただきありがとうございます。もう、こんな作品送らないからね。

天ガさん、自作フィルターのことに触れてくださりありがとう。このフィルターけっこういけるのよ。

だめだ、先週の遠征で風邪をひいたようです。今日はもうダウン。

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2008年11月 4日 (火)

続いてぎょしゃ座だぁ~。

早っ。今日一日で2作品完成! しかもエレメンツ処理。

Photo1871

Hasselblad CF Planar 100mm F3.5->F5.6

EOS 5D ISO1600 7min×2コンポ×4モザイク 自作ソフトフィルター

これは、良く出来たので大きいサイズも掲載しちゃう。

Photo1872

デジタルは画像処理が面倒とか、モザイクは大変という向きもありますが、それは誤解。要は手法が確立していないだけ。手法が確立すればあとはルーチンワークだけ。

良い作品を作るより良い手法を残したいです。

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オリオンざぁ

言わずと知れたオリオン座。

Photo186

Hasselblad CF Planar 100mm F3.5->F4.5

EOS 5D ISO1600 7min×6コンポ×4モザイク。自作ソフトフィルター(2枚)、R64フィルター(4枚)

R64使っているので、S/N比がめちゃくちゃ良く、画像処理が楽になりました。あっという間に完成! 楽ちん、楽ちん。

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2008年11月 3日 (月)

連休遠征の成果は

好天気が期待された3連休ですが、結局撮影できたのは土曜の晩だけでした。

土曜の夜、湯沢に到着すると、すっきり快晴。今日は一晩中快晴かな、と思わせるようなほんと素晴らしい星空でした。

まずは、簡単に「ぎょしゃ座」を撮影。続いて本命の「オリオン座」を撮影、このまま朝まで晴れてくれると思ったのですが、南西から雲が次々と。。。赤道儀を追尾したまま、待機。。。

2時間後にようやく晴れてくれました。しかし、撮影計画が大幅にくるってしまいました。8枚コンポの予定が。6枚コンポ。しかも、あせっていたため、フィルターを落としてびっしょにしたり、ヒーターの巻きがいい加減だったため、レンズが曇ったり、飛行機や人工衛星はひっきりなしに通るはで、結局こんな写真になってしまいました。

Photo185

どうするんだ! う~ん。どうしよう。何とか頑張ってみます。

星が潤んでいるのは、ソフトフィルターのためです。輝星にスポークが出たのはなぜ?、フィルターを拭いたときほこりが着いたことしか考えられません。

最後は薄明ギリギリで、カメラが三脚にぶつかる寸前で、撮影終了となりました。

完成作品をお楽しみに。それでは。

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