「デジタル星野写真入門6」撮影計画をたてよう
道具も揃ったところで、いよいよ撮影です。でも撮影現場で「さて何を撮ろうかな」、なんて悩んでいるようではだめ。事前にしっかり計画を立てましょう。
時期は
結論から言うと月の出てない晴れた日なら一年中撮影できます。星野写真は普通、天の川に沿って対象を狙います。星野写真は天の川が入っていないと実に寂しい写真になってしまうからです。春は天の川の季節ではありませんが、まだ沈まない冬の天の川や、朝には夏の天の川が登ってきますので、結局春も忙しいです。
時間は
月が出ていない夜で、薄明終了から薄明開始までの時間です。薄明というのは、人間の目には感じませんが、写真に撮ると影響が出る明るさです。薄明が始まってしまうともう写真は撮れません。月出、月入、薄明の時間は、アストロアーツのホームページで確認できます。
まとめると、星野写真が撮れるのは月の出てない「新月」前後の一週間で、当然ですが晴れた夜になります。これに週末だけという条件が加わると、そう滅多にチャンスがあるわけではありません。
場所は
天体写真を撮る人にとって都市の明かりほど邪魔なものはありません。これを「光害」と言います。光害があると、写真が緑色にカブリます。少しくらいなら画像処理で補正できますが、あまりひどいと、もうどうにもなりません。ですから、都市から離れた暗い場所ということになります。得に星野写真の場合は画角が広いので光害の影響を受けやすく、相当暗い場所でないとだめです。
また、星野写真は南側の対象を撮ることが多く、南側が暗いことも重要ですが、最近はそのような場所は少なくなりました。
天体写真に向いた暗い場所はネットなどで検索して探すと良いでしょう。有名スポットは他の天文ファンもいますから、仲良くなればアドバイスも受けられます。
構図を決めよう
ステラナビゲータなどで事前に構図を確認しておきましょう。構図を確認するには、ステラナビゲータを起動し、撮影時の日時を設定し、表示形式を適当に選びます。
メニューの[天体]→[視野円・写野角]を選択します。
ここで、[写野角]の[表示]をチェックし、レンズの焦点距離を入力し、カメラからAPS(Cタイプ)を選択します。(フルサイズの場合は35mm)
これで構図の確認ができます。
赤い線が表示されていますが、これを赤経、赤緯線と呼びます。表示されていない場合は経緯線のボタンをクリックし、[赤経、赤緯]を選択します。
真南の方角では、赤経線は水平ですが、東西では水平ではありません。
さて、ここで重要なことがあります。星野写真では普通、構図は赤経、赤緯線に平行または直角に合わせます。カメラを雲台を使わず直接赤道儀に固定している場合は何もしなくても自然とこうなります。
このルールは必ずしもそうしなければいけないものではありません。写真は自由ですから。ただそうした方が写真としての安定感があります。つまり我々天文屋はこの構図に見慣れているのです。
風景写真を撮る場合は、地平線を水平に入れるでしょう。それと同じです。もちろん斜めの写真もそれはそれで斬新で良いですが、うまくはまれば素晴らしいけど、その自信はありますか。ないなら無難に赤経緯線に合わせておいた方がいいです。天の川を対角線に入れたいとか、何かしら意図があるならこの限りではありません。また、地上部分が入る星野写真では、地上の水平を優先させる場合もあります。
次回は「カメラ、レンズの設定」です。
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