「デジタル星野写真入門2」赤道儀買おうよ
え~、皆様、こんちは。今月号の天ガと星ナビにW入選したほんまかです。 あはぁはぁ、もうこの書き出しやめよう。自分でもむなしくなる。。。
それでは、「デジタル星野写真入門」はじめます。まずは、道具編です。
天体写真は数分から数十分の露出時間をかけるのが普通です。しかし、星は日周運動で動いてしまいますから、星が線になって写ってしまいます。これはこれで綺麗な写真で「星景写真」という分野があるくらいです。このようにカメラを三脚に固定したまま長時間露出をする撮影方法を固定撮影といいます。
しかし、星を点に写したい!と思ったら、カメラを星の動きに合わせて動かしてやらなければなりません。星の動きに合わせてくるくる回る望遠鏡の架台を赤道儀と言います。もともと望遠鏡の架台ですから、結構大きいです。
原理は簡単で、図の矢印の方向に北極星をあわせます。そうすると、モータードライブという装置で、矢印を中心に回転しますので、星の動きを追えるのです。ちなみに矢印を中心とした回転軸を赤経軸、それと直角の回転軸を赤緯軸と言います。望遠鏡はこの2軸で好きな方向に向けるのですね。で、星を追うのは赤経軸のみになります。星を追尾中は基本的に赤緯軸は動かしません。
それで、星を点に写す星野写真を撮ろうと思ったら、この赤道儀は絶対に必要です。将来カメラが超高感度になって短時間で星が写るようになったら必要ないかも!
さて、星野写真は普通、カメラとカメラレンズだけで写真を撮ります。望遠鏡は必要ないですね。この手軽さが星野写真の人気かも。そうすると、あまり大きい赤道儀は必要ないわけで、星野写真に特化した小型の赤道儀のことをポータブル赤道儀と言います。
ですから、将来望遠鏡を使った本格的な天体写真を撮らないのであれば、ポータブル赤道儀を買うのが筋というものですかね。でもポータブル赤道儀もいろいろあります。最近はほんと小型のものがあります。この中からお好きなものを選びます。いくつか紹介します。
アイベルCD-1
http://www.skygrove.co.jp/eyebell/guide.htm
う~ん。小さい。ポータブル赤道儀は普通赤経軸しかありません。(回転軸は一つ)これで十分なのです。カメラの方向は自由雲台で決めます。あとはモータドライブにお任せです。自由雲台の横に小さなアルミパイプが見えますか? ここを覗き込んで北極星の向きにあわせます。望遠鏡用の赤道儀には通常、赤経軸に小型の望遠鏡が入っていて(極軸望遠鏡という)それを覗いて北極星の向きにあわせるのですが、これはただのアルミパイプです。広角レンズなら、これ十分なのです。
もう少し、大きくてがっちりしたものなら、
ビクセン GP2ガイドパック
http://www.vixen.co.jp/at/at-other.htm
これもやはり赤経軸のみです。けっこうがっしりしているので望遠レンズでもOKです。極軸望遠鏡もあります。さらに
ケンコー スカイメモR
http://www.kenko-tokina.co.jp/optical/sky_memo/index.html
まぁ、こんなところでしょうか。どれを選んでも間違えなく星野写真は撮れますのでご安心ください。で、どれを選べばいいかって?
私の経験からいうと、赤道儀は大きいほど楽です。
確かに小さい赤道儀は軽くて、邪魔にならず、持ち運びも楽です。しかし、実際に撮影に入るとこれがけっこう面倒。ちょっとぶつかっただけでずれるし、構図をあわせるだけで、極軸ずれて、再度極軸合わせし直したり、まぁいろいろ気を使います。
上記3機種は、どれも自由雲台を取り付けて、カメラを載せますが、この自由雲台を使った構図合わせって、結構めんどくさいですよ。やってみればわかりますが。望遠鏡用赤道儀のように赤緯、赤経軸の2軸を使った構図合わせの方が楽です。ビクセンとケンコーの両機種は自由雲台の変わりにパノラマ雲台を載せれば、赤緯軸になります。ですから、パノラマ雲台にすればよいと思いますが、最近パノラマ雲台のいいのって売ってないんですよね。
自由雲台ではなく赤緯、赤経軸を使った構図合わせでは、バランスをとってあればクランプを緩めても動きませんので、片手で構図を合わせる事ができます。
もちろん、自由雲台の使用は否定しません。私も最初は使っていました。なによりもポータブル赤道儀の魅力はその機動性ですから。
ただ、本格的に星野写真を撮りたいのであれば、ポータブル赤道儀ではなく、普通の望遠鏡用の赤道儀で小型のものを買うのをお勧めします。これなら将来、望遠鏡を買ったときも使えますからね。お勧めは特にないですが、ビクセンあたりなら、安くて信頼性も高いので良いのではないでしょうか。たとえば
ビクセン GP2
http://www.vixen.co.jp/at/gp2.htm
\38,325 モータードライブ別売り
ただね。本来望遠鏡を載せる架台ですから、カメラ載せようとすると一工夫必要です。アルミプレートというアルミ板載せて、その上に直接カメラ載せるか、雲台載せて、その上にカメラを載せます。この辺は買うショップに相談すると良いかも。
趣味人さん。
オリジナルアルミプレート売ってます。http://syumitto.jp/SHOP/299582/299585/list.html
ほんまかの赤道儀を紹介します。
赤緯軸にパノラマ雲台を使っています。自由雲台ではないです。この仕様だと、バランスを合わせておけばクランプを緩めてもカメラは動かず、構図あわせが非常に楽になります。実際このようにして作品のレベルが上がりました。構図は作品のレベルを決める重要な要素なのです。
また、長時間追尾してもバランスが崩れず。トータル6時間にもおよぶ撮影が可能になりました。ただ、この仕様だとカメラの縦、横を切り替えるL型ブラケットが必要になります。
極軸望遠鏡について。
赤道儀を使う上で、赤道儀の赤経軸の方向を北極星の向きに合わせておくことが重要です。この作業を極軸合せといいます。極軸を合せるため、普通、赤道儀には極軸望遠鏡がついています。これを覗いて北極星を視野に入れるのですが、北極星は天の北極からちょっとずれた位置にあります。そこで下記のようなパターンがあります。
この2つ円周上の間に入れるのですが、詳しい方法は赤道儀の説明書を読んでくださいね。
さて、実際に極軸望遠鏡を夜中に覗いてもこのようなパターンは暗くて見えません。そこで、照明装置がついているか、オプションで購入することになります。
照明を極軸望遠鏡の前面からあて、明るい視野の中にパターンが暗く見えるタイプのものを明視野照明装置といいます。照明を極軸望遠鏡の中からあて、暗い視野の中に明るいパターンを浮かび上がらせるタイプのものを暗視野照明装置といいます。後者の方が見やすいですが、どちらでも問題ありません。
ビクセンのGP2ガイドパックには明視野照明装置が、ケンコーのスカイメモには暗視野照明装置が標準でついています。オプション設定の赤道儀もありますので購入前に確認しましょう。
次回は赤道儀以外に必要なものの紹介です。
できるだけ、初心者でも分かりやすいように書いたつもりですが、結構難しい説明になってしまいましたね。分からなかったらご質問ください。
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コメント
こんにちは。
私はVIXENのGP2ガイドパックを使っています。ガイドパック付属の三脚だと中天の星野を撮るときに構図を合わせるのに姿勢が辛くなるので、三脚だけは中古で買ったGPDについてきた三脚に付け変えています。
で、星撮りがメインではないのですがネパールに行ったりするのですが、GP2ガイドパックは重すぎるのでその時のために軽量なポタ赤を購入しようと考えています。
CD-1も候補に挙がったのですが、タカハシのスカイパトロールとどちらにしようかと考えています。何かご意見などがあれば伺いたいのですが、よろしくお願いします。
投稿: higurasias | 2008年11月21日 (金) 22時54分
higurasiasさん、こんばんは。
CD-1も、スカイパトロールも使ったことないので、どちらが良いとはいえませんが。
スカイパトロールは高くないですか。ただ、タカハシの信頼性と拡張性が高いので、いろいろなシステム組めますよね。
CD-1も安いし広角短時間露出なら十分な性能と思います。
投稿: ほんまか | 2008年11月21日 (金) 23時31分
はじめまして、いつも「デジタル星野写真入門」を楽しみに拝見させてもらっています。大変勉強になります。
一つご相談なのですが、手元にタカハシのH-40型赤道儀がありまして、これの赤緯部分をほんまかさんのスカイキャンサーのようにパノラマ雲台に変更したいと考えています。スカイキャンサーにはどのように接続されているのでしょうか。よろしければ教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。
投稿: shioT | 2009年1月14日 (水) 00時56分
shioTさん、ご訪問ありがとうございます。
ご質問の回答ですが、今夜させていただきます。
投稿: ほんまか | 2009年1月14日 (水) 12時59分