「デジタル星野写真入門20」美しい星野写真の法則
忙しい、なんで年末はこんな忙しいんでしょう。「星野写真入門」年内には完結したかったのですが、無理そうです。
今日はヒストグラムの話です。美しい星野写真のヒストグラムを見ているとある共通点があります。
これはある美しい銀塩星野写真のヒストグラムです。
見てすぐ思うのは、各色の山の形がほとんど一致していることです。星野写真は、ニュートラルな背景に、これまたニュートラルな星が散らばっているわけですから、当たり前といえば当たり前です。ですから、ヒストグラムだけから見ると、モノクロ写真に非常に近いといえます。しかし、だからと言って、けして彩度が低いわけではありません。星だって赤い星もあれば、青い星、黄色い星があります。平均すればニュートラルということです。星野写真は色のバラつきが極めて小さいのです。
もう一つの特徴として、山の左側の傾斜が急で、右側がなだらかに落ちていく特長があります。山の左側の彩度はほとんど0で、傾斜が緩やかなのは、背景のコントラストが低く滑らかであることを意味します。
この傾向は銀塩ほど顕著で、光量に対してリニアに反応するデジタルの場合は、こうはならないで、山が左右対称になるはずです。ですから、デジタルの場合は画像処理によって、このようなヒストグラムを作らないといけないことがわかります。デジタルはシャドー部のコントラストが非常に高いのです。
左側が急で右側がなだらかなのは星野写真だけではありません。天体写真全般に言える特長です。下のヒストグラムはあるお方の非常に美しいM31の写真のヒストグラムです。
完璧なまでに滑らかな背景の上に、色が微妙な交わりを繰り返しながら、高輝度部までなだらかに続いています。右側の斜面の下降も一様ではなく微妙に波打っています。これは細部にわたって画像処理をした痕跡です。何もしなければもっと一様に下降するはずです。そして中間調あたりの階調がぐーと引き伸ばされて強調されています。写真の一番見せ所です。とにかくこんな凄いヒストグラムは私には到底無理です。
ちなみに私が昔処理したM31の写真がこれです。
淡白ですね。それと良くないのが赤の山が細いです。赤だけコントラストが低くこれは失敗です。山の幅が一致していないのは明らかにミスです。
次は、また別のあるお方の赤い散光星雲の写真です。これまた美しい写真で、赤い星雲部分以外は非常に色のバランスが良いです。
次は悪い例です。
赤だけやたら山が太いです。このように山の幅が異なるのは、フィルターを使った場合や、トーンカーブで色別に処理をした場合などです。いずれにせよ、こうなると美しい写真とはいえません。
続いてもうひとつ。
この写真はいい線いってるのですが、赤が強いです。それと、山が輝度0から立ち上がっていて、中間で早くも山が終わっています。階調の暗い左半分しか使っておらず、実にもったいないです。もう少し全体を明るくすると淡い部分が見えるようになりますので、全然違う写真になります。
いかがでしょうか、ヒストグラムは画像処理の痕跡です。ヒストグラムだけでも写真の特徴が良く分かるものなのです。
次回は。。。来年になってしまうかも知れません。。。青ハロ対策について話します。
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