2008年12月31日 (水)
今年一年ありがとうございました。
今年最後の月
ゼニスター66SD+XW14+リコーGX100 ISO400
皆様、この一年いつもお越しくださりありがとうございました。おかげで、毎日100人以上のアクセスがある人気ブログ?になりました。
今年一年は天文趣味的には、ほんと飛躍の年でした。
春にEOS5Dを購入、今までのイメージサークル6分割から4分割になり、撮影効率が断然良くなりました。
そしてD40冷却改造。ブログのアクセスがぐーんと上がり、星ナビにも紹介されるという栄誉。
画像処理のレベルも格段に良くなりました。
来年もさらに磨きをかけたいと思います。そして、このブログの目的である「有益な情報の発信」もさらに充実させていきたいと思います。
来年もよろしくお願いします。m(_ _)m
良いお年を。
2008年12月30日 (火)
今年最後の物欲
今日は一日中大掃除でした。疲れた。。。
で、こんな年の瀬になって、今年最後の物欲が届きました。
あけてみると。。。
コンデジ。。。リコー Caplio GX100中古と、オプション一式。全部で3万ちょっと。
なんで、こんなの買ったかというと。。。
月の写真が撮りたい!
で、なぜGX100にしたか。
一つは私の好きな1:1のスクエアフォーマットが使用できること、風景スナップにも使えていいなぁ~と思ったこと。
それからEVFが使えること、一眼に使い慣れてると、やっぱカメラは覗いて写すもんです。それに晴天の場合、背面の液晶は見づらいですからね。
広角が24mmからというのもポイント高いです。
ケーブルスイッチが使えるのも月撮影にはありがたいです。
それにコンデジでは珍しく最高3分露出も可能で、星景写真も撮れそう。事実「星ナビ2月号」にはGX100の星景が入選してるし。。。
何から何まで自分にぴったし、
最後のとどめは、フードアダプターのフィルター径がなんと43mm、そう、ペンタクスXWアイピースに直結できちゃんです。
う~ん、素晴らしいカメラだぁ。
2008年12月29日 (月)
「デジタル星野写真入門20」美しい星野写真の法則
忙しい、なんで年末はこんな忙しいんでしょう。「星野写真入門」年内には完結したかったのですが、無理そうです。
今日はヒストグラムの話です。美しい星野写真のヒストグラムを見ているとある共通点があります。
これはある美しい銀塩星野写真のヒストグラムです。
見てすぐ思うのは、各色の山の形がほとんど一致していることです。星野写真は、ニュートラルな背景に、これまたニュートラルな星が散らばっているわけですから、当たり前といえば当たり前です。ですから、ヒストグラムだけから見ると、モノクロ写真に非常に近いといえます。しかし、だからと言って、けして彩度が低いわけではありません。星だって赤い星もあれば、青い星、黄色い星があります。平均すればニュートラルということです。星野写真は色のバラつきが極めて小さいのです。
もう一つの特徴として、山の左側の傾斜が急で、右側がなだらかに落ちていく特長があります。山の左側の彩度はほとんど0で、傾斜が緩やかなのは、背景のコントラストが低く滑らかであることを意味します。
この傾向は銀塩ほど顕著で、光量に対してリニアに反応するデジタルの場合は、こうはならないで、山が左右対称になるはずです。ですから、デジタルの場合は画像処理によって、このようなヒストグラムを作らないといけないことがわかります。デジタルはシャドー部のコントラストが非常に高いのです。
左側が急で右側がなだらかなのは星野写真だけではありません。天体写真全般に言える特長です。下のヒストグラムはあるお方の非常に美しいM31の写真のヒストグラムです。
完璧なまでに滑らかな背景の上に、色が微妙な交わりを繰り返しながら、高輝度部までなだらかに続いています。右側の斜面の下降も一様ではなく微妙に波打っています。これは細部にわたって画像処理をした痕跡です。何もしなければもっと一様に下降するはずです。そして中間調あたりの階調がぐーと引き伸ばされて強調されています。写真の一番見せ所です。とにかくこんな凄いヒストグラムは私には到底無理です。
ちなみに私が昔処理したM31の写真がこれです。
淡白ですね。それと良くないのが赤の山が細いです。赤だけコントラストが低くこれは失敗です。山の幅が一致していないのは明らかにミスです。
次は、また別のあるお方の赤い散光星雲の写真です。これまた美しい写真で、赤い星雲部分以外は非常に色のバランスが良いです。
次は悪い例です。
赤だけやたら山が太いです。このように山の幅が異なるのは、フィルターを使った場合や、トーンカーブで色別に処理をした場合などです。いずれにせよ、こうなると美しい写真とはいえません。
続いてもうひとつ。
この写真はいい線いってるのですが、赤が強いです。それと、山が輝度0から立ち上がっていて、中間で早くも山が終わっています。階調の暗い左半分しか使っておらず、実にもったいないです。もう少し全体を明るくすると淡い部分が見えるようになりますので、全然違う写真になります。
いかがでしょうか、ヒストグラムは画像処理の痕跡です。ヒストグラムだけでも写真の特徴が良く分かるものなのです。
次回は。。。来年になってしまうかも知れません。。。青ハロ対策について話します。
2008年12月28日 (日)
久々の星景写真
今年最後の伊豆遠征の成果。まずは、星景写真。
これまた久々の冷却D40で撮る予定でしたが、、、壊れていた(泣)。冷却機構に問題はないのですが、コントローラの液晶表示がおかしい。どうやら、液晶の信号線が断線したもよう。
仕方がなく、非冷却で撮影。今回は短時間露出で星を点に写す予定でした。ISO1600とISO800の両方で撮影しましたが、1600の方はノイズが多くて全滅。
●冬の大三角
D40 ISO800 1min Sigma10-20mmF4-F5.6->10mmF5.6 SoftonA
●沈むカシオペア、登る北斗七星
D40 ISO800 1min Sigma10-20mmF4-F5.6->10mmF5.6 SoftonA
冷却星景写真に慣れてしまうと、非冷却だとこんなにノイズが多いのかと驚いてしまいます。フォトショップでノイズ低減処理しましたが、これ以上、明るくもコントラストアップもできません。 1分露出だから冷却なしでも大丈夫だろう思ったけど。1分でも明らかに違いますね。やっぱり冷却の効果は絶大です。
2008年12月24日 (水)
「デジタル星野写真入門19」はくちょう座付近の処理その3
前回までで、コントラストアップと星マスクによる星の輝度アップが終わりました。ここでいったんレイヤーを統合します。
デジタルの特性ですが、星の輝度をアップすると星のエッジがたって、カリカリした印象の写真になります。これを緩和するには、星マスクにぼかしをかけることです。しかし、ぼかし系による星の軟化は星の芯が残らないという欠点があります。星の芯を残し、周辺だけぼかすことが必要になります。
そこで、ほんまかがいつもやっている方法を紹介します。簡単です。元画像をコピーして上下に1または2ピクセルずつ、ずらした4枚の画像を加算平均コンポジットするのです。↓こんな感じ。
これをフォトショップでやるのは簡単です。背景レイヤーをコピーして、不透明度を50%にします。
(イメージ)→(回転)→(レイヤーを自由に回転)をします。ビューをピクセル等倍にします。矢印キーで右に1ピクセルまたは2ピクセルずらします。リターンキーで確定です。
レイヤーを統合します。これと同じことを今度は下に1ピクセルまたは2ピクセルずらしてやります。これで完成です。
これで少しはカリカリ感が緩和されたはずです。
次に赤い散光星雲を強調するため彩度をちょっと上げてみましょう。(画質調整)→(カラー)→(色の置き換え)を選択します。
北アメリカ星雲あたりをクリックし、許容量を調整し、彩度を上げて見ましょう。あまりやり過ぎないように。
最後に天の川の色が赤に寄っていますので、補正します。これは「夏の天の川の処理」で説明しましたね。下のように元画像をコピーしてレベルを切り詰めてマスクを作ります。
後は、レベル補正で色合いを調整して終わりです。
完成です。記事には書きませんでしたが、(フィルター)→(ノイズ)→(ノイズを低減)も前回同様行っています。
次回は。。。「美しい星野写真の法則」です。美しいかどうか、ヒストグラムを見れば分かっちゃうんです。
2008年12月23日 (火)
「デジタル星野写真入門18」はくちょう座付近の処理その2
お待たせしました。はくちょう座付近の処理、やってみましょう。
手順1 コントラストアップ
まずは、コントラストアップしましょう。背景を荒らさないようにするには、ヒストグラムの山の右側だけ伸ばせばよいのでした。トーンカーブもしくは、前々回説明した比較明にるコントラストアップをしましょう。比較明コントラストアップを3回ほどこした状態がこれです。
まだ、天の川の微光星が淡いですが、大丈夫です。あとで強調します。
手順2 カブリ補正
下側にカブリがあるのでレベル補正の調整レイヤーで補正します。私の場合、2つの調整レイヤーで補正できました。
カブリの様子をはっきりさせるには、明るさコントラストまたは色相彩度の調整レイヤーを一番上に作っておくとカブリの様子がはっきりします。
手順3 微光星を明るくしよう。
さて、まだ天の川が眠たい感じですね。微光星の明るさが足りないのです。ここで、ほとんどの人がコントラストアップなど強調処理をしてしまって、背景を荒らしてしまいます。星だけを強調すればよいのです。画像全体を強調すると背景のムラやノイズまで強調されてしまいます。
星だけを強調するには、星だけを選択するマスクを作ればいいのです。 では、どうやって作るか説明します。まず、背景画像をコピーします。そして、(フィルター)→(その他)→(ハイパス)を選択します。
半径を2~4ピクセルぐらいで調整します。微光星だけが選択されるくらいの値にします。
次にコントラストを上げるため、レベルの切り詰めを行います。(画質調整)→(ライティング)→(レベル補正)を出します。
ここで上図のように3つのスライダーでレベルを切り詰め微光星がはっきりして、かつ背景が真っ黒になるようにします。
これで、星マスク完成です。(正確には星除外マスク)この星マスクがあれば、星だけ明るくすることや、星だけの色を変えるなんてこともできます。星野写真においては最強のツールです。
できた星マスクは、(選択範囲)→(すべて選択)、(編集)→(コピー)でコピーしておいてください。
星マスクを作るために作った背景のコピーレイヤーは用なしですから非表示にします。
星を明るくするために、明るさコントラストの調整レイヤーを作ってください。マスク画面を[Alt]キーを押しながらクリックするとマスク画面が出ます。
ここで(編集)→(ペースト)で星マスクを貼り付けます。
次に明るさコントラストのダイアログをダブルクリックして開き、明るさをアップしてください。
星がカリカリしすぎる場合はコントラストを下げてください。
明るさを最大にしてもまだ暗い場合は、この調整レイヤーを(レイヤー)→(レイヤーを複製)でコピーして2段がまえにします。
手順4 背景を暗くする
最後に背景が明るいので背景を暗くするため、レベル補正の調整レイヤーを作り調整してください。(背景だけ暗くするには明るさではなく、レベル補正を使うのでしたね。)
これで、完成ですが、星がカリカリして目に痛いです。次回、星を柔らかくする方法と、赤い散光星雲の彩度を上げる方法を説明します。
補足
●星の色が白ではなく偏っている場合は星の色も調整しましょう。方法は、
星マスクの「明るさコントラスト」の調整レイヤーをコピーします。次に、このコピーしたレイヤーを(レイヤー)→(レイヤー内容の変更)→(レベル補正)で変更します。そしてレベル補正で色合いを変えてください。
●星マスクをさらに加工すると、星の表現が変わり面白いです、試してみましょう。星マスクの部分をクリック(Altキーは押さないで)して選択状態にした後、以下のことを試してみてください。
- レベル補正でさらにレベルの切り詰める、つまりコントラストアップする。
- 星マスクにぼかしをかける。
- 星マスクにシャープ、ダストアンドスクラッチなどのフィルター処理をする。
2008年12月20日 (土)
「デジタル星野写真入門17」はくちょう座付近の処理
前回の夏の天の川の処理いかがでしたか。一番最初に夏の天の川をもってきたのは、実は夏の天の川は簡単だからです。夏の天の川はガス状で広がりがあり明るさも十分なので、星野写真としては処理しやすいです。
天の川が小さな星の集まりになるはくちょう座あたりからちょっとレベルが上がります。今回のお題はこれ。
オリジナル画像はこちら。「sample2.jpg」をダウンロード
前回のお題からちょうど一年後に撮った写真です。改造したので赤い散光星雲が良く写っています。しかし、相変わらずコンポジットなしです。で、そのとき処理した画像がこれです。
へたくそですね~。まったく進歩がないです。ほんまか、この一年何をやっていたのでしょう?
でも、こんな画像でもちょっと手を加えれば見栄えが良くなるのです。ちょっとやってみましょう。
まず、フォトショップで開いて、ヒストグラムを見てみましょう。
ヒストグラムの山の左端が切れています。そしてブルーが強い。おそらくカブリを目立たせなくするためブルーを強めたのでしょう。そこで、天の川の色が最適になるようにブルーを弱めてみます。
天の川の色は良くなりましたが背景のカブリや色むら、ノイズなどが目立つようになりました。そこで、必殺技です。背景のカブリをとると同時にニュートラルにしてみます。
(画質調整)→(カラー)→(色の置き換え)を開きます。
カブリの部分(赤丸)をクリックして、彩度を-100にします。そして、許容量でかかり具合を調整してください。
これで完了です。僅か2ステップでこれだけ良くなりました。
カラーバランスの重要性を分かっていただけたでしょうか。
でも背景のザラザラはどうにもなりません。この画像はA4プリントには耐えられません。不用意にコントラストアップしてしまった代償です。
そこで、今回新たに処理しなおしました。その画像がこれ、
小さい画像では良く分かりませんね。大きくしてみましょう。
右側が再処理です。背景の滑らかさが全然違いますね。
では、この処理方法を次回説明します。
2008年12月19日 (金)
「デジタル星野写真入門16」夏の天の川の処理2
前回の続きです。カブリ補正からです。
手順3 カブリ補正
カブリ補正の主役は調整レイヤーです。レイヤーは今まで何度か出てきましたね。レイヤーとは背景の上に重ねる画像です。コンポジットや、比較明コントラストアップで使いましたね。
調整レイヤーは、上に重ねるのが画像ではなく、「明るさ・コントラスト」や「レベル補正」などのアクションです。面白いですね。元画像そのものにアクションを加えるのではなく、レイヤーという形で積み重ねるのです。調整レイヤーを使えば、過去のアクションをキャンセルしたり、再調整したり、アクションの順番を入れ替えたりできます。素晴らしいです。これができるからフォトショップはいいのです。
それだけではありません。後で説明しましが、調整レイヤーはマスクを使えるのです。
それでは、やって見ましょう。まず、(レイヤー)→(新規調整レイヤー)→(レベル補正)を選択してください。((レベル補正)のダイアログが出ますが、いったん閉じてください。)下図のように背景画像の上に、(レベル補正)の調整レイヤーができます。ここで行った(レベル補正)は、これより下のレイヤーまたは背景画像に影響を与えます。
そして、矢印の白い部分を見てください。ここをマスク画面と言います。最初は全面白ですね。マスクとは、白い部分だけに影響させることで、黒い部分に影響を与えないことを意味します。中間の灰色の場合は、中間の影響を与えます。最初は白一色ですから、画像全体に影響を与えます。
つまり、マスク画面にカブリに添って白黒のグラデーションを与えてやればカブリ補正ができるのです。。
それではグラデーションを作って見ましょう。まず、マスク画面をクリックして、選択状態にします。
左端のツールパレットのグラデーション①をクリックし、画面上の線形グラデーション②をクリックしてください。
そして、カブリは下方向に向かって大きくなりますから、画面上でマウスを矢印③のようにドラッグしてください。
上図赤丸のようにグラデーションができました。(白黒のグラデーションではない場合は、(編集)ボタンで白黒のグラデーションを選択してからやり直してください)
下側が白くなるようにしてください。もし逆だったら、マウスをドラッグする方向を逆にしてください。
ドラッグする長さを短くするとグラデーションの勾配が急になります。長くすると緩やかになります。何度でもやり直しが効きますので、カブリの勾配にあうように何度も繰り返してみてください。
グラデーションがばっちり決まったら、実際にカブリ補正します。矢印のところをダブルクリックしてください。
おなじみの(レベル補正)のダイアログが出てきましたね。カブリ部分を暗くするため中間の三角を右側に寄せてください。一度にカブリ補正はできません。最初はほどほどにしてください。
次に色を補正するためにチャンネルをグリーンにして、同様に中間の三角を右に寄せてください。
同様に赤が強くなりますので、今度は、チャンネルをレッドにして、赤を弱くしてください。
できましたか。カブリ補正は一枚の調整レイヤーでは補正しきれません。同じことを何度も繰り返して、調整レイヤーを増やしていきます。
ちょっとずつ少しずつ補正していくのがコツです。
次は円形グラデーションを試して見ましょう。画面上の、線形グラデーション②のとなりに円形グラデーションがあります。ここをクリックしてマウスでドラッグすると円形のグラデーーションができます。しかし、円が黒くなるとまずいです。円が白くなるようにした方がやりやすいので、(編集)ボタンをクリックします。
そして、赤丸の矢印アイコンを左右で入れ替えてください。そして再度マウスでドラッグします。
そうすると今度は白い円のグラデーションができます。
これで円形のカブリを補正できます。
ある程度やったら、補正効果を確認するために彩度を上げて見ましょう。彩度を上げるにも調整レイヤーを使います。まず、一番上のレイヤーをクリックして選択状態にした後に(レイヤー)→(新規調整レイヤー)→(色相・彩度)を選択します。そして、色相・彩度のダイアログが出ますので、彩度を上げてみてください。
色相彩度の調整レイヤーが一番上にあることが大事です。なぜならレイヤーは常にその下にあるレイヤー全部に作用するからです。
レイヤーを新規に作る場合は、現在選択状態にあるレイヤーのすぐ上に作られることに注意してください。レイヤーの順番がおかしいときは、マウスのドラッグで順番を入れ替えることができます。
さて、彩度を上げてみると、まだまだ不十分ですね。
さらに新規調整レイヤーを作り補正を続けてください。私の場合、8個目の調整レイヤーでやっとカブリがとれました。
なお、色彩・彩度の調整レイヤーをOFFするには、目のアイコン部分をクリックすればOFFすることができます。色彩彩度のレイヤーは削除しないで、ここでON/OFFをするようにしてください。
とりあえず、この状態でファイルを保存し、レイヤーをいったん結合しましょう。(レイヤー)→(画像を統合)してください。
カブリ補正が終了した段階の画像です。
手順4 青ハロ、ノイズとり
カブリ補正をしたら、バックがしまったのか、恒星の青ハロが目立つようになりました。これを目立たなくします。青ハロはレンズの色収差からくるもので恒星の周りに青い輪ができます。天体写真では嫌われものです。なお、青ハロ低減については別の回に説明します。ここでは簡単にとる方法を紹介します。
(フィルター)→(ノイズ)→(ノイズを低減)を選択します。「カラーノイズを低減」を30%~70%くらいでずらして青ハロが目立たない最小の値にしてみてください。あまり高くすると恒星の色がなくなります。
手順6 天の川の色補正
さぁ、いよいよ最後の仕上げです。天の川の色を補正しましょう。デジカメで天の川を撮ると少し赤っぽくなるようです。
天の川の色はどのようにすれば良いか悩むところです。好みの問題もありますし。ほんまかが思う綺麗な天の川の色は、
天の川の周辺から背景にかけてはやや青白、天の川の端は黄緑色。中心部分はアンバーで赤が強いかんじ。光のスペクトルに似ていますので、これを「ほんまかの天の川スペクトル理論」といいます。また、天の川を直線上に切ってその上の色をすべて混ぜると私はニュートラルになるんではないかと思っていますので「ほんまかの天の川ニュートラル理論」ともいいます。これは綺麗な銀塩写真を研究した結果で、まんざら間違っていないように思いますがどうでしょう。まぁ人それぞれの天の川の色があっていいと思います。
天の川の色を調整するには、調整レイヤーを使いますが、その前に天の川だけを選択して背景を排除するマスクを作る必要があります。
まず、背景画像をコピーしてください。そして、コピーしたレイヤーに対して、(画質調整)→(ライティング)→(レベル補正)をします。
下図のように三角スライダーをぐっと引き寄せて、天の川以外が真っ暗になるようにします。この操作をレベルの切り詰めとよびます。天の川の端の淡い部分まで暗くならないようにしてください。
これでマスクができました。このマスクをコピーします。(選択範囲)→(すべて選択)をし、(編集)→(コピー)でコピーできます。
次に(レベル補正)の新規調整レイヤーを作ってください。そして下図の矢印のマスク画面を[Alt]キーを押しながらクリックしてください。
先ほどコピーしたマスク画像を(編集)→(ペースト)します。
そして、背景のコピーレイヤーはマスクを作るためだけのものですからもう、用なしです。目のアイコンをクリックして非表示にしておきます。
これで天の川だけ(レベル補正)できる状態になりました。下図の赤丸の部分をダブルクリックしてください。レベル補正のダイアログが開きます。まず、全体的にもうちょっとコントラストを上げられそうなので、下図のように3つのスライダーを動かしてコントラストを上げます。あまりやり過ぎないように注意してください。下図の例ではヒストグラムの山が2つに割れてあまりいい状態ではないです。
コントラストをちょっと上げたら、次に色の補正です。チャンネルを各色に合わせて好みの色にしてください。ほんまか理論に従うなら、天の川の周辺がやや黄緑になるぐらいに調整すると良いです。
手順7 天の川の彩度アップ
ちょっと彩度がたりないので、天の川の彩度を上げてみましょう。まず、先ほどの(レベル補正)の調整レイヤーをコピーします。(レイヤー)→(レイヤーを複製)でコピーできます。
次に、(レイヤー)→(レイヤー内容の変更)→(色相・彩度)を選択します。
ここで彩度のダイアログが出ますので、彩度をちょっと上げてください。
手順8 最後のレベル調整
これで最後の処理です。背景が明るいですね。背景を暗くしましょう。ここで「明るさ、コントラスト」コマンドで暗くしてはいけません。これをすると画像全体が暗くなります。せっかく天の川の輝度がちょうどよくなるように調整したのに台無しになってしまいます。(レベル補正)を使います。これを使えば階調が引き伸ばされるので、明るい部分は明るいままです。(ただし、コントラストが上がります。)
(レベル補正)の新規調整レイヤーを作成し、レベルの左のスライダーを上げ、背景を暗くします。
ヒストグラムの山の左斜面が揃っていない場合はそろえましょう。
これで完成です。
完成!
あぁ~長かった。
次回は、白鳥座付近の処理です。星マスクが登場します。
2008年12月17日 (水)
「デジタル星野写真入門15」夏の天の川の処理
今日から、実際に作例を元に説明したいと思います。いつまでも理屈ばっかこねていてもしょうがないですからね。で、お題はこれ。
オリジナル画像はこちら「sample1.jpg」をダウンロード 。
私が、天文趣味を再開して初めて撮った写真です。ノイズの多いistDsというカメラで、もちろん、無改造。コンポジットなどという高級なことはしてなく、もち一枚撮り。ノイズうんぬんの前に構図からしておかしいですね。
で、初めて画像処理したのがこれ。
カラフルでいいですね~。カブリがなければこれはこれでいいかも。これでも天の川が写って大喜びしたのです。
で、今回の処理例がこれ。
なんか、彩度が足りないような気もしますが、改造カメラで赤いやつが写っていて、4枚くらいコンポジットしてあればもっと見栄えが良くなるでしょう。
さて、最初の画像も良いですが、決定的に良くないところがあります。カブリが補正していないのはしょうがないとして、他に何が悪いでしょうか。
1背景がザラザラ
ただコントラストアップしただけでは背景はザラザラになります。とくにこの例のようにコンポジットなしの場合はなおさらです。
2カラーバランスがおかしい
天の川のカラーバランスは初めての写真にしては良いですね。しかし、背景がニュートラルグレーでありません。ニュートラルグレーとは、赤、青、緑の輝度が完全に一致した状態です。彩度0ともいいます。天体写真の基本は背景がニュートラルグレーです。
必ずしもニュートラルにしなければならないというものではありませんが、ニュートラルにした方が全体的に綺麗に見えます。色の偏りがあると必ずどれかの色が死んでしまいます。3色すべての色を綺麗に見せたいと思えば背景はニュートラルしかありません。ただ、地上部分が写った星景写真風の写真は臨場感を出すためにどれかの色に偏らす場合があります。私も良くやりますが。
さぁ、この2点に注意して画像処理をしましょう。
手順1 カラーバランスを整える
画像処理を始める場合は、まず色のバランスを整えます。色の偏りがあると色の正しい判断が出来ません。ですから、まずカラーバランスです。
前回説明した「レベル調整」を使って、ヒストグラムの山の左斜面がだいたい一致するようにします。
画像処理を繰り返すとカラーバランスが崩れますから、最後にもう一回調整することになります。
それから、ヒストグラムの山が中央にない場合は「明るさ」で中央になるように調整してください。トーンカーブが使えるソフトの場合は必ずしも中央にある必要はありませんが、トーンカーブのないエレメンツで処理する場合は山が中央にないと後々、おかしなことになります。
手順2 強調処理
それでは手始めに「明るさ・コントラスト」でコントラストを上げてみましょう。
背景がザラザラになりますね。これは駄目です。なぜ背景がザラザラになるか。ヒストグラムを見てください。山が両方向に伸びています。暗い部分までコントラストが上がると、背景がつぶれ、滑らかさがなくなり、ノイズやムラが目立つようになります。
初心者の作品に見られるこのザラザラ感の原因はここにあったのです。つまり、山の右側だけコントラストアップして山を伸ばせばよいことが分かります。では、どうするか。
実はトーンカーブを使えば、一発でできます。しかし、トーンカーブは使えないので、ほんまかが開発した「比較明によるコントラストアップ方法」を紹介します。
まず、「レイヤー」→「レイヤーを複製」でこの画像をコピーします。レイヤーを複製できない場合は「イメージ」→「モード」→「8bit/チャンネル」にしてから複製します。そして、赤丸の部分を「比較(明)」にします。この状態で、「画質調整」→「ライティング」→「明るさコントラスト」でコントラストを上げます。
山の右側がだけが伸びているのが分かりますね。背景は滑らかなままです。コントラストは上げすぎてはいけません。上げすぎるとヒストグラムの山が不連続になり、トーンジャンプという不自然な階調になります。一回の操作ではせいぜい+20までぐらいにしてください。最後に「レイヤー」→「画像を結合」で、画像を結合します、
この操作を数回繰り返してください。一回のコントラストアップを少なくして繰り返しを多くするとより滑らかになります。
3回繰り返した状態がこれです。だいぶ天の川がはっきりしてきました。
2008年12月16日 (火)
2008年12月15日 (月)
冬のパノラマ 完成
やっと納得の仕上がりになった。
2週間もかかったよ。ムラとりばっか夢中になっていたら彩度が落ちてしまった(汗)。まぁ、いいや。この構図の写真はずっと前からやりたかったが、技術や撮影上の問題でなかなかできなかった。だから、今回絶対に仕上げたいと思っていた。よかった、良かった。
完璧なヒストグラム。このように各色の山が綺麗に揃うのは星野写真の特色です。これについては次回の「デジタル星野写真入門」で話しますが、ちょこっとネタ晴らしします。
山の左側は背景でニュートラルですが、ややブルーがはみ出しています、これは微光星をちょっとブルーを強めにしたので、バランスをとるためです。背景がややグリーンだと、深みが出ます。
山の頂上付近右側はグリーンがはみ出していますが、これは天の川周辺の色です。右側裾野はブルーがはみ出しています。これは微光星の色です。高輝度部分、赤い小さな山はHαです。
山の左斜面をニュートラルでそろえて、右斜面で色の演出をする。シャドー部のニュートラルが決まっていないと、ハイライトでいくら演出しても綺麗になりません。これが私のカラー調整の基本ですが、別にヒストグラムを無理やりそうしているのではなく、美しさを追求すると自然とこうなります。
2008年12月12日 (金)
「デジタル星野写真入門14」レベル調整の真実
今日もまた、難しい話で恐縮です。。。もうちょっとの辛抱です。
前回の復習
前回は「明るさ・コントラスト」について説明しました。明るくするということは、ヒストグラムの山を右へ移動するということでした。暗くするのはその逆。コントラストを上げるとは、ヒストグラムの山を広げるということでした。コントラストを下げるのは、山を狭くすることでした。
レベル調整
レベル調整は、明るさコントラストよりも、もうちょっと複雑です。実際にやって見ましょう。(画質調整)→(ライティング)→(レベル調整)を開きます。
まずは、一番左側の三角をつまんで、右側に移動して見ましょう。
ヒストグラムの山が左に移動して暗くなります。ここまでは「明るさ」を暗くすることと一緒ですが、ヒストグラムの山が広がっていますね。ですから、コントラストも同時にアップしてます。
左側の三角は0~255の階調の下部分を切り捨てて、残りを新たに0~255に割り振っているのです。わかりづらいので絵を出します。
階調の低い部分は、背景のカブリや、ノイズ、ムラなどです。このような部分は要らないのでばっさりカットしてしまって、残りの階調を新たに0~255まで振り分けようという「こんたん」です。
でもこの下の部分は星雲の淡い部分や、背景の雰囲気など微妙なトーンが含まれていますから安易にカットするのは危ないですよ。
次は、右側の三角を左側にずらして見ましょう。
ヒストグラムの山は右側に移動し、画像は明るくなります。山は広がりますので、コントラストがアップします。
露出不足の画像は、階調の明るい部分は何もありませんから、ここをカットして階調を再配置します。
さて、次は、真ん中の三角です。真ん中の三角をつまんで、左に移動して見ましょう。
ヒストグラムの山は右側に移動し、画像が明るくなります。逆も試してみてください。ここまでは「明るさ」コマンドと同じように見えます。でも「明るさ」コマンドとは違うのです。そこで、分かりやすいように次のようにしてみます。
まず、「明るさ」コマンドでヒストグラムの山がだいたい中央にくるようにした後に、レベル調整の真ん中の三角を右側にずらし、レベルが0.5になるようにします。
ヒストグラムの山がどのように変わるか見てください。レベルを0.5にするということは、ヒストグラムの中央を左側半分に寄せるということです。つまり127->63にするということです。
そして、山の形は、右側は広がっていますのね。つまりコントラストアップです。逆に左側は山が狭まっています。コントラストダウンです。分かりやすいように図を出します。
画像の暗い部分(赤の部分)ここは最初128階調あったのですが、それが64階調まで減らされます。つまり、コントラストダウンです。
画像の明るい部分(青の部分)ここは最初128階調あったのですが、それが192階調に引き伸ばされます。つまりコントラストアップです。
なんとなく分かりましたか?
ここで注意があります。階調の切捨て、およびコントラストダウンは輝度情報を失います。
コントラストダウンは輝度情報を圧縮します。たとえば、輝度情報が1,2,3,4,5,6とあったものが圧縮されると1,1,1,2,2,2のようになってしまいます。このまま圧縮されたままなら別に良いのですが、その後コントラストアップすると最悪です。3倍にコントラストアップすると、3,3,3,6,6,6になり。滑らかさのない画像になります。星雲の淡い部分が背景にべったり張り付いて立体感のない画像を見ますが、その原因はこれです。
だからと言って、階調の切捨てやコントラストダウンをするなと言っているわけではありません。画像の見せたいメインの部分はコントラストアップさせるわけで、階調は256しかないのですから、どこかをコントラストアップしたら、どこかをコントラストダウンするか切り捨てるしかありません。特に背景などは、輝度情報を圧縮してコントラストダウンした方が滑らかで美しく見えます。背景がコントラスト高くてノイズやカブリがギンギンだったらおかしいですから。
このように「階調の再配置こそが、まさに画像処理なんです。」
最後にレベル調整ですが、これは3原色、別個に行うことができます。後から説明するカラーバランスで多用します。
下の例は、チャンネルをレッドに選択し、赤を強くする例です。
次回はカラーバランスについてです。
2008年12月10日 (水)
「デジタル星野写真入門13」階調とヒストグラムだよ
今日は階調とヒストグラムという何やら難しい話ですが、しばし、がまんを。
階調とはこれです。
明るさを真っ黒を0、最も明るい真っ白を255として表したものです。
明るさのことを輝度といいます。輝度をこのように0から255までの256通りで表現したものを8ビットの階調といいます。なぜ8ビットかというと、ビットとはコンピュータの記憶単位で1ビットにつき0か1の2通りの情報を記憶できます。ですから8ビットでは2×2×2×2×2×2×2×2=256通りの情報を記憶できます。
ちなみにカラーの場合は3原色の赤、緑、青、それぞれに0~255の階調があります。つまり256×256×256=16,772,216通りの色と明るさを表現できます。
ヒストグラムって。
画像の中の輝度の分布をグラフにしたのがヒストグラムです。一番左側が輝度0です。一番右側が輝度255です。真ん中が輝度127ですから、上図の場合、輝度90くらいの点がいっぱいある画像ということが分かります。山が右よりなら明るい画像、左よりなら暗い画像です。
さて、このヒストグラム。画像処理では非常に重要なのです。このヒストグラムを見ながら画像処理することが大切です。感覚だけを頼りに画像処理しているととんでもないことになります。あとでその例を出します。
フォトショップエレメンツでヒストグラムを見るには、(ウインドウ)→(ヒストグラム)をクリックすると上図のウインドウが出ます。常に表示させておくために、右側のパレットに入れちゃいましょう。ヒストグラムウインドウの(詳細)ボタンをクリックして、「閉じたときパレットエリアに格納」をクリックして、このウインドウを閉じます。そうすると下のように表示されます。ついでにカラー表示にしておきましょう。チャンネルをカラーにします。
これだけで、あなたの画像処理のレベルが上がること間違いなし!。
[明るさ、コントラスト]の恐怖
通常、画像処理の主役はトーンカーブです。しかし、フォトショップエレメンツにはトーンカーブないのです。まぁ、あったとしても使いこなすの難しいですがね。そこでこの「明るさ、コントラスト」または、次回説明する「レベル調整」を多用するわけです。実際、「明るさ、コントラスト」を使っている人も多いと思います。
実際に使って見ましょう。(画質調整)→(ライティング)→(明るさ、コントラスト)です。まずは明るくして見ましょう。
ヒストグラムの山が右側に行きますね。逆に暗くすると、ヒストグラムの山が左側に行きます。次に明るさを0に戻しコントラストを上げて見ましょう。
ヒストグラムの山が広がります。逆にコントラストを下げると、山が細くなります。コントラストと山の関係を覚えておいてください。
コントラストを上げるということは、明るいものはより明るく、暗いものはより暗くするということです。ですから、山が広がるのですね。ここで注意です。
明るいものを明るくと言いましたが、ここで言う明るいものとは、輝度が中間の127以上のものです。輝度が127以下なら暗くなります。もし山が全体的に左側によっている状態でコントラストを上げると、山は確かに広がりますが、全体的に山は左側によってしまい。暗くなってしまいます。
ですから、コントラストを上げるには、まず、明るさで山の頂点をだいたい中央にもっていってからコントラストを上げる必要があります。
まぁ、暗くなるだけなら大して害はないのですが、間違えるととんでもないことになります。それをやって見ましょう。
まず、ヒストグラムの山の左の裾野が左端になるように明るさを暗くしてください。
この状態でコントラストを上げてみてください。
ヒストグラムの山の左端がカットされてしまいました。この状態では、画像は荒く、やわらかさ、滑らかさがありません。こんな状態には絶対にしてはいけません。
一度ヒストグラムの山がカットされてしまうと、もう元には戻りません。
ヒストグラムの山の左側の裾野は、背景と画像のメインである中間調を滑らかにつなげる為の淡い部分の情報が含まれています。これは長時間露出してやっと得られる情報なのです。ここをあっさりカットしてしまうのはあまりにももったいない。
ヒストグラムを見ながら画像処理すればこんな間違いはしなくてすみますね。
次回はレベル調整の話しです。
2008年12月 8日 (月)
「デジタル星野写真入門12」コンポジットしよう
今日はコンポジットの話です。コンポジットは連続撮影した複数のコマを重ね合わせる処理です。主にランダムノイズを軽減する効果があります。
ノイズが減れば、より強調処理がしやすくなります。
コンポジット処理はフォトショップエレメンツでできます。最初に2枚の画像の加算平均コンポジット法について説明します。まず、フォトショップエレメンツを起動し、画像を一枚開きます。
画像を開いたら、最初に8ビットモードにします。エレメンツはレイヤー処理が8ビットでないとできないからです。(イメージ)→(モード)→(8bit/チャンネル)を選択して8ビットモードにします。
次に、コンポジットするもう一枚の画像を開きます。そしてすべて選択してコピーします。(選択範囲)→(すべて選択)で画像全体を選択します。(編集)→(コピー)でコピーします。
そして、ウインドウメニューで最初の画像に戻ります。そして、(編集)→(ペースト)を選択します。
これでレイヤーができました。最初の画像は背景で、コピーした画像がレイヤーになります。レイヤーは背景の上に重ねられた画像です。この状態ではレイヤー画像を見ていることになります。背景画像は一切見えません。
次に2つの画像の星の位置がずれている場合がありますので、位置合わせをします。レイヤーパレットの[レイヤー1]をクリックして選択してから、下図の赤丸の部分を(差の絶対値)にしてください。
2つの画像に差がないなら、画面は真っ暗になるはずです。星の位置がずれていると、ずれの分だけ明るくなります。このずれが最小になるように位置を合わせます。(完全には一致しない)
まず、表示をピクセル等倍にします。そして(イメージ)→(回転)→(レイヤーを自由に回転)を選択します。そうするとレイヤーをずらすことができます。矢印キーで左右上下1ピクセル単位でずらすことができます。画像の4すみをマウスでドラッグすると回転もできます。画像が合ったら、リターンキーで確定です。ESCキーでキャンセルです。
画像が合ったら、下図で(差の絶対値)を(通常)に戻します。次に不透明度を50%にします。これで背景50%、レイヤー50%を混ぜた画像になります。これが加算平均コンポジットです。(レイヤー1)の左端の目の部分をクリックしてレイヤーを非表示にしてコンポジットの効果を見比べてください。背景が滑らかになっているのが分かると思います。
最後に(レイヤー)→(画像を統合)で一枚画像にします。保存して終了です。
これは2枚の画像のコンポジット法です。4枚の場合は2枚ずつ組にしてそれぞれコンポジットして、それらをさらにコンポジットします。下図を見てください。ノイズレベルは最初の状態から25%までに減ります。
このトーナメント方式は2の累乗、2,4,8,16。。。の枚数でないとできません。3枚の場合はどうするか。まず、下図のコンポジットは絶対にしてはいけません。
このようなコンポジットをするとABC画像はAB画像よりノイズレベルが上がってしまいます。トーナメント方式にシードは許されないのです。
ですから、コンポジット枚数は2の累乗になるように撮影してください。もし3枚になってしまったら、できないことはないです。
下図のように、3枚を一度に合成します。最初のレイヤー1の不透明度は50%、レイヤー2の不透明度を33%にします。下図は分かりやすいように赤、青、緑の画像でやっています。各色が均等に合成されているなら、合成画像は灰色(グレー)になるはずです。
なお、画像が暗い場合は合成方法を(通常)ではなく(覆い焼き(リニア))にしてください。不透明度は100%です。これは加算コンポジットになります。露光量を増やす効果があります。この例では明るすぎますね。加算平均にするべきです。
コンポジット処理は「ステライメージ」でもできます。ステライメージの方が簡単で、しかも0.1ピクセル単位で合わせられますので、むしろステライメージの方がお勧めです。ただ、この入門ではコンポジット以外、ステライメージを使うことはないので、そのためだけにステライメージを買うのもなんですから、フォトショップを使用しました。(ステライメージはコンポジット以外にも優秀な機能がありますので買って損はないと思います。)
次回は階調と(明るさコントラスト)について話します。
2008年12月 7日 (日)
「デジタル星野写真入門11」ダーク減算ってなんだ
天体写真はノイズとの戦いです。普通に高感度、長時間露出するとこんな画像が撮れちゃいます。
左上が明るくなっていますね。これを「熱カブリ」または「アンプノイズ」といいます。他にもこの画像では分かりませんが、拡大して強調するとノイズがいっぱい見えます。
これらノイズの中には固定ノイズと言って、同条件(気温、ISO感度。露出時間)なら、同じ場所に同じように出るノイズがあります。
したがって、レンズにふたをして、同条件で撮れば固定ノイズだけの画像が得られます。これをダーク画像あるいはダークフレームといいます。これです。
よって、最初の画像から、ダーク画像を引けば固定ノイズのない画像が得られます。これです。
素晴らしい。これ最初に考えた人偉いです。このような画像操作をダーク減算といいます。カメラ内部のノイズリダクションもこれと同じことやっています。ただカメラのノイズリダクションを利用すると、毎回ダーク画像とりますので撮影時間が倍になってしまって効率が悪いです。ダーク画像は条件が同じなら使いまわすことができますから、別に撮影しておけば効率が良いです。それにカメラ内部のノイズリダクションは、微光星をノイズと勘違いして消してしまう問題などもあります。
ダーク減算は現像前のRAWファイルでないと出来ないです。現像してしまうと、種々の画像処理が入ってしまって、正確なダーク減算が出来なくなってしまうのです。ダーク減算できるソフトは2つあって、RAPとステライメージです。この講座ではステライメージは使わないことになっていますので、RAPでダーク減算します。
それじゃ、RAPでダーク減算してみましょう。まず、ダークファイルという拡張子が.RDKのファイルを作ります。RAPを起動したら[ノイズ処理]->[ダーク作成]です。
ここでダーク画像のRAWファイルを(追加)で指定します。ダーク画像は最低一枚必要ですが、複数撮影している場合はすべて指定します。ダーク画像は多ければ良いと言うものではありません。むしろどれだけ同じ条件で撮影できるかがポイントです。ただ、たくさんあると、バラつきが平均化されますので、普通はコンポジット枚数と同程度撮影しておきます。
これで(作成)ボタンをクリックするとRDKファイルを保存する場所を問い合わせてきますので、指定します。
次に、(ファイル)→(開く)でダーク減算する本画像を開きます。そして(ノイズ処理)→(ダーク減算)を選び、途中で先ほど作成したRDKファイルを指定すればダーク減算、完了です。
最後に保存しますが、キャノンのRAWファイルの場合は現像されたTIFファイルでしか保存できません。ニコンのRAWファイルの場合は現像されたTIFファイルか、RAWファイルのまま書き戻すNEF保存の選択ができます。ここで現像されたTIF保存を選択します。
ニコンのNEF保存の場合は、他のソフトで現像することになります。
この操作をコンポジットするすべての枚数を繰り返します。なお、一括変換という操作もあります。これを利用すれば、一度にできます。ただ、パラメータファイルというものを作らなければなりません。詳しくはRAPのヘルプを見てください。
それにしてもこのRAPは優秀なソフトです。開発した人偉いです。(←家にもきたけどね)
さて、ダーク減算で除去できるノイズは固定ノイズだけです。まだまだノイズはいっぱいあります。それ以外のランダムノイズは、コンポジットによって減らすことができます。
次回は、コンポジットです。
2008年12月 5日 (金)
2008年12月 4日 (木)
「デジタル星野写真入門9」撮影に行こう
さぁ、機材も揃い、準備もオッケー。いよいよ撮影です。
天気予報
天文屋は天気予報が気になります。それに最近天気予報あたりませんね。悪い予報はあたるのですが。。。、それに天気予報の晴れマーク。あれは雲が7~8割あっても晴れですから。。。 衛星画像見ましょう。衛星画像見て自分で判断します。
現地に到着したら
明るいうちに撮影現場に到着するのが理想です。周りを見回しましょう。できるだけ開けた場所を探します。特に赤道儀の極軸をあわせるため北極星の見える場所でなければなりません。電線などにも要注意です。地面が平らで、なるべく硬い場所を見つけたらセッティングです。
準備
一通りセッティングしたら、カメラの設定を確認しましょう。ISO感度、RAW最高画質にします。ノイズリダクションはOFFです。 それから赤道儀のバランスもチェックです。レンズにはヒータを巻いておきましょう。温度が変わるとピントがずれますので、早めに暖めておいて熱平衡の状態にしておきます。
暗くなって北極星が見えたら、赤道儀のモータードライブの電源を入れます。極軸望遠鏡を覗いて極軸をあわせます。次にレンズのピントを合わせます。レンズの絞りを開放にし、ピントを合わせます。方法は前回説明しました。
撮影
いよいよ撮影です。その前に、撮影対象の高度が低い場合は高くなるまで待ちましょう。それか既に高度の高い別の対象を狙います。
対象が決まったら構図合わせです。広角レンズの場合、ファインダーを覗いても、何も見えません。(明るいレンズなら一等星くらいなら分かる)だいたいこのへんだろうと勘で合わせ、実写して確認します。ここがデジタルの良いところですね。標準レンズ以上だとファインダーでもわりと見えます。
いずれにせよ、構図合わせは慎重に行い、実写して確認することが大事です。
構図が決まったらいよいよ撮影です。まず、絞りを絞り込みます。そして、タイマーリモートコントローラで露出時間、インターバル時間、コンポジット枚数(連続撮影枚数)をセットしてシャッターONです。
撮影中
とりあえず、最初の一枚が撮影できたら液晶を見て確認しましょう。画面が真っ白な場合は露出オーバーです。よさそうなら、コンポジット枚数すべて終わるまで待ちです。
撮影中は暇です。ご飯食べるもよし、車で寝るもよし、双眼鏡で星空観望するもよし。けっこうこの時間は至福の時です。
撮影終了
一つの対象の撮影が完了したら、とりあえず、すべてのコマを確認しましょう。飛行機の通過はないか、ぶれていないかなどです。問題があったら撮り直します。
良ければ、どんどん次の対象を狙いましょう。
すべての撮影が終了したら
最後にダーク減算のために、ダーク画像を撮影しておきます。赤道儀は追尾を停止してかまいません。レンズにキャップをします。ISO感度と露出時間は本撮影の時とまったく同じです。変えてはいけません。この状態で撮影します。撮影枚数はコンポジット枚数と同じくらいが目安です。
ダーク画像は真っ暗な画像で、ノイズだけが写された画像です。これを本画像から減算するのです。
ダーク画像は本撮影時となるだけ同じ気温条件下で撮影することが重要です。撮影時間が長く気温変化が大きい場合は、一番最後ではなく、途中で撮影する場合もあります。
後片付け
ダーク撮影が終了したら後片付けして終わりです。気をつけてお帰りください。
次回はいよいよ画像処理編へ突入です。
冬の撮影・観望ガイド
冬のダイヤモンドを知らない方のために線をひいてみました。
一番下のおおいぬ座シリウスから反時計周りに、オリオン座リゲル、おうし座アルデバラン、ぎょしゃ座カペラ、ふたご座ポルックス、こいぬ座プロキオンです。
T-Fixさんの「冬の星雲星団一網打尽」の言葉に調子に乗って、「撮影・観望ガイド」を作ってみました。
オリオン座付近
●エンジェルフィッシュ、バーナードループ 馬頭星雲 コーン星雲 バラ星雲 赤い散光星雲。残念ながら眼視では見えない。写真向き。どれも淡く短時間露出では薄っすらと写る。
●オリオン大星雲 鳥のように見える大星雲。肉眼でも見えます。小型望遠鏡でも飛び立つ鳥のように広がった星雲の姿が良くわかります。
●M78星雲 ウルトラマンの故郷。小型望遠鏡低倍率でもうっすらと存在が確認できます。中型望遠鏡になると良く見えます。意外と明るい。
おうし座付近
●すばる(プレアデス星団) 肉眼でもわかる星団。小型望遠鏡で低倍率で見ると、それはもう綺麗の一言。こういった星団は低倍率で見ることがポイント
●ヒヤデス星団 まばらに散らばった星団。望遠鏡で見てもあまりぱっとしない。
●カリフォルニア星雲 眼視では見えない。写真撮影向き。
ぎょしゃ座付近
●勾玉星雲 眼視では見えないが、中心部分の星が密集したところは、眼視でも綺麗に見えます。
●M35 M36 M37 M38星団 小型望遠鏡低倍率でも良く見えます。こういった星団は低倍率で見た方が明るく綺麗です。倍率は10倍~20倍で十分。
●モンキー星雲 写真向きの小さな星雲。中型の望遠鏡ならなんとなく存在がわかる。
おおいぬ座付近
●シリウス 全天一明るい恒星。この明るく青い光はほんとに綺麗です。
●M41星団 シリウスの下にあるのですぐわかります。
●M46 M47星団 低倍率なら同一視野で見えます。M46は淡く、M47はキラキラしてます。2つの星団の対比が面白い。
●わし星雲 「わし」というより「かもめ」型の星雲。眼視では見えないが、写真では天の川の中にあって綺麗に写る。
2008年12月 2日 (火)
新作だよ
[冬のパノラマ]
Hasselblad Distagon FE 50mmF2.8 EOS 5D ISO1600
6min×2枚コンポ×8枚モザイク F4 R64フィルター
4min×2枚コンポ×8枚モザイク F5.6 LEE Soft1 フィルター
先週の伊豆は凄い風だった。車が揺れるもんね。良く撮影できたものだ。銀塩風に仕上げてみました。天の川のぎょしゃ座あたりとオリオンの左側に色ムラがありますが、ここはいつもこうなので、たぶんこれが本当の天の川なのでしょう。天の川って、いろんなガスが混ざっていてけっこう汚いですよ。こういった天の川のムラはモザイクのような高解像度の画像でないとなかなか出てこないもんです。
==追記==
冬のダイヤモンドと呼ばれる6輝星とカリフォルニア星雲、すばるまで含めた欲張りな構図です。星野写真ファンなら一度は撮ってみたい構図で、やっと実現しました。この冬はもうこれで満足。
この冬はぎょしゃ撮ったし、オリオン撮ったし、後はおお犬だな。 あ、冬の大三角もあるけど、これは上の写真で代用(手抜き)
おお犬撮ったら、250mmレンズあるので星雲写真とか、撮って見たいですね。
==追記==
ちょっと彩度不足だったので、彩度アップした画像に差し替えました。
「デジタル星野写真入門8」ピント合わせだよ
今日はピント合わせの話です。
「写真はピントが命」、天体写真に限ったことではありませんがね、やはりピント合わせは重要ですね。どんなに素晴らしいレンズ、光学系を使おうとも、ピンボケじゃ台無しです。
しかし、この天体写真の世界ではピントは非常ににシビアなのです。どれだけの人がここで苦労したことか、ピントを正確に合わせる技術と根性をもった人だけが先に進める世界なのです。
といっても、カメラレンズを使う星野写真の世界ではそれほどシビアではなく、普通にちゃんとやってれば大丈夫です。ご存知の通り、ピント合わせは、長焦点ほど、Fが明るいほどシビアになります。
星野写真ではカメラレンズを使いますが、ファインダーを覗いてピントを合わせるなんて論外です。まず、夜中に広角レンズでファインダー見ても何も見えません。F2.0とか明るいレンズなら一等星くらいなら分かります。でもとてもピントを合わせられるレベルではありません。また仮にファインダーで合わせられても、それで合ってる保障はありません。ファインダーへ向かう光の光路長とC-MOSへ向かう光の光路長が、天体写真で要求されるレベルで同一である保障はないのです。
ではレンズの無限大のマークに合わせてはどうか。銀塩の時代はこれでよかったのですがね。デジタルの時代になって、ピントの要求レベルが上がったので今はレンズの無限大マークはまったく信用できません。また最近のレンズは回しきったところが無限大ではなく、そこから少し戻した位置が無限大です。では、どうやってピントを合わせるか、これはもう実写しかありません。
ライブビュー搭載カメラなら、明るい星に向けて拡大表示して合わせます。ただ広角レンズでは難しいかも知れません。私はライブビュー使ったことないので詳しいことはわかりませんが。
ライブビューがないなら実際に撮影して合わせます。そのとき必要になるのが、スケールです。
これをシールに印刷してレンズに貼っておきます。
まず、昼間に遠い場所にピントを合わせてだいたいの無限遠の位置を確認しておきます。
実際の撮影現場では、この仮の無限遠の位置から前後にずらした数枚を撮影して、その中から一番良いものを選びます。撮影するときはレンズの絞りを開放にし、ISO感度を最大にします。あまり明るい星よりも少し暗い星の方が合わせ易いです。露出時間は10秒くらいでいいと思います。撮影したら、液晶を拡大表示して一番良いものを選び、そのときのピントリングの位置をスケールにしたがって再現します。
ところで、このとき合わせた無限遠の位置は、次回撮影の時でも使えるでしょうか?これはレンズによります。
私の50mmレンズの場合、季節が同じならあまりずれることはないようです。でも夏と冬ではさすがに違いますね。100mm以上のレンズになると、もう毎回違います。またEDレンズなどは温度によるピント位置のずれが大きいようです。このようなことから、毎回合わせておいた方が良いでしょう。ピンボケの写真はみっともないですからね。
次回はいよいよ「撮影に行こう」です。
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