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2008年12月17日 (水)

「デジタル星野写真入門15」夏の天の川の処理

今日から、実際に作例を元に説明したいと思います。いつまでも理屈ばっかこねていてもしょうがないですからね。で、お題はこれ。

Sample11

オリジナル画像はこちら「sample1.jpg」をダウンロード

私が、天文趣味を再開して初めて撮った写真です。ノイズの多いistDsというカメラで、もちろん、無改造。コンポジットなどという高級なことはしてなく、もち一枚撮り。ノイズうんぬんの前に構図からしておかしいですね。

で、初めて画像処理したのがこれ。

Sample112

カラフルでいいですね~。カブリがなければこれはこれでいいかも。これでも天の川が写って大喜びしたのです。

で、今回の処理例がこれ。

Photo213

なんか、彩度が足りないような気もしますが、改造カメラで赤いやつが写っていて、4枚くらいコンポジットしてあればもっと見栄えが良くなるでしょう。

さて、最初の画像も良いですが、決定的に良くないところがあります。カブリが補正していないのはしょうがないとして、他に何が悪いでしょうか。

1背景がザラザラ

 ただコントラストアップしただけでは背景はザラザラになります。とくにこの例のようにコンポジットなしの場合はなおさらです。

2カラーバランスがおかしい

 天の川のカラーバランスは初めての写真にしては良いですね。しかし、背景がニュートラルグレーでありません。ニュートラルグレーとは、赤、青、緑の輝度が完全に一致した状態です。彩度0ともいいます。天体写真の基本は背景がニュートラルグレーです。

 必ずしもニュートラルにしなければならないというものではありませんが、ニュートラルにした方が全体的に綺麗に見えます。色の偏りがあると必ずどれかの色が死んでしまいます。3色すべての色を綺麗に見せたいと思えば背景はニュートラルしかありません。ただ、地上部分が写った星景写真風の写真は臨場感を出すためにどれかの色に偏らす場合があります。私も良くやりますが。

 さぁ、この2点に注意して画像処理をしましょう。

手順1 カラーバランスを整える

 画像処理を始める場合は、まず色のバランスを整えます。色の偏りがあると色の正しい判断が出来ません。ですから、まずカラーバランスです。

 前回説明した「レベル調整」を使って、ヒストグラムの山の左斜面がだいたい一致するようにします。

Sample12

画像処理を繰り返すとカラーバランスが崩れますから、最後にもう一回調整することになります。

それから、ヒストグラムの山が中央にない場合は「明るさ」で中央になるように調整してください。トーンカーブが使えるソフトの場合は必ずしも中央にある必要はありませんが、トーンカーブのないエレメンツで処理する場合は山が中央にないと後々、おかしなことになります。

手順2 強調処理

 それでは手始めに「明るさ・コントラスト」でコントラストを上げてみましょう。

Sample13

背景がザラザラになりますね。これは駄目です。なぜ背景がザラザラになるか。ヒストグラムを見てください。山が両方向に伸びています。暗い部分までコントラストが上がると、背景がつぶれ、滑らかさがなくなり、ノイズやムラが目立つようになります。

初心者の作品に見られるこのザラザラ感の原因はここにあったのです。つまり、山の右側だけコントラストアップして山を伸ばせばよいことが分かります。では、どうするか。

実はトーンカーブを使えば、一発でできます。しかし、トーンカーブは使えないので、ほんまかが開発した「比較明によるコントラストアップ方法」を紹介します。

まず、「レイヤー」→「レイヤーを複製」でこの画像をコピーします。レイヤーを複製できない場合は「イメージ」→「モード」→「8bit/チャンネル」にしてから複製します。そして、赤丸の部分を「比較(明)」にします。この状態で、「画質調整」→「ライティング」→「明るさコントラスト」でコントラストを上げます。

Sample14

山の右側がだけが伸びているのが分かりますね。背景は滑らかなままです。コントラストは上げすぎてはいけません。上げすぎるとヒストグラムの山が不連続になり、トーンジャンプという不自然な階調になります。一回の操作ではせいぜい+20までぐらいにしてください。最後に「レイヤー」→「画像を結合」で、画像を結合します、

この操作を数回繰り返してください。一回のコントラストアップを少なくして繰り返しを多くするとより滑らかになります。

3回繰り返した状態がこれです。だいぶ天の川がはっきりしてきました。

Sample15

今日はここまで。次回はカブリ補正からです。

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コメント

こんにちは。石川町SLFでお会いしましたhawk_chことTと申します。デジタル星野写真入門のページ、楽しく拝見させてもらってます。画像処理の方法があまりわかってない私にとっては、このページすごく参考になります。

*ist Dでこれだけの画像が撮れるのにも感心しました。私の場合、*ist Dsで撮影したものの、ダークノイズが多かったので画像処理もせずに、早々に諦めてしまったクチです。

またいろいろ見させていただきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

投稿: hawk_ch | 2008年12月17日 (水) 23時17分

Tさん、覚えてますよ。石川町では楽しいお話しができてよかったです。
私、石川町は初めて参加したのですが、寒かったですね。来年の参加は考えてしまいますよ。また、どこかでお会いできると嬉しいです。

星野写真入門ですが、なるべく簡単でかつ、綺麗に出来る手法をこれからも説明しますので、また来てくださいね。それでは。

投稿: ほんまか | 2008年12月18日 (木) 00時14分

こんにちは。最近天体写真を撮り始めたばかりなので、この入門講座はとても助かります。
天の川のサンプル画像のヒストグラムを見ると前の章で紹介されていたように山がちょうど真ん中(120くらい)に来ているのですが、カメラでの撮影時にはどのあたりに山があったのでしょうか?
外で撮影した時にカメラのディスプレイで写真をみるととても鮮やかに写って見えたのですが、帰宅後確認したところ山のピークは5でした。
なるべく左側に寄せたほうがS/N比が多きくなるようなのですが、自分で撮った写真は露出不足だと思います。
とても基本的なことだと思いますが、教えて頂けたら嬉しいです。

投稿: | 2012年10月11日 (木) 00時59分

???さん、はじめまして。

カメラの撮影時でも同じです。山は中央です。

カメラの背面液晶の画像はレベル調整されて、表示されることがありますから、実際よりかなり明るく表示される場合もあります。また暗いところで見ると、けっこう鮮やかに見えます。

山のピークが5というのはあまりにも小さすぎますね。
RAWで撮影して現像すると思いますが、現像時の明るさなどのパラメータをすべて0にして、それで山が中央(127)にくるくらいが理想です。

あと、なるべく左側に寄せるというのは露出を少なくするということで、ノイズを低く抑えられるからS/Nが大きくなるという理屈だと思いますが、露出を短くすると信号レベルも低くなるので結局S/Nは同じです。
露出時間でS/Nは大して変わりません。S/Nを大きくするのは、コンポジットが一番有効です。

投稿: ほんまか | 2012年10月11日 (木) 12時01分

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