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2008年12月12日 (金)

「デジタル星野写真入門14」レベル調整の真実

今日もまた、難しい話で恐縮です。。。もうちょっとの辛抱です。

前回の復習

 前回は「明るさ・コントラスト」について説明しました。明るくするということは、ヒストグラムの山を右へ移動するということでした。暗くするのはその逆。コントラストを上げるとは、ヒストグラムの山を広げるということでした。コントラストを下げるのは、山を狭くすることでした。

レベル調整

 レベル調整は、明るさコントラストよりも、もうちょっと複雑です。実際にやって見ましょう。(画質調整)→(ライティング)→(レベル調整)を開きます。

まずは、一番左側の三角をつまんで、右側に移動して見ましょう。

Lebel2

ヒストグラムの山が左に移動して暗くなります。ここまでは「明るさ」を暗くすることと一緒ですが、ヒストグラムの山が広がっていますね。ですから、コントラストも同時にアップしてます。

左側の三角は0~255の階調の下部分を切り捨てて、残りを新たに0~255に割り振っているのです。わかりづらいので絵を出します。

Lebel7

階調の低い部分は、背景のカブリや、ノイズ、ムラなどです。このような部分は要らないのでばっさりカットしてしまって、残りの階調を新たに0~255まで振り分けようという「こんたん」です。

でもこの下の部分は星雲の淡い部分や、背景の雰囲気など微妙なトーンが含まれていますから安易にカットするのは危ないですよ。

次は、右側の三角を左側にずらして見ましょう。

Lebel3

ヒストグラムの山は右側に移動し、画像は明るくなります。山は広がりますので、コントラストがアップします。

Lebel8

露出不足の画像は、階調の明るい部分は何もありませんから、ここをカットして階調を再配置します。

さて、次は、真ん中の三角です。真ん中の三角をつまんで、左に移動して見ましょう。

Lebel1

ヒストグラムの山は右側に移動し、画像が明るくなります。逆も試してみてください。ここまでは「明るさ」コマンドと同じように見えます。でも「明るさ」コマンドとは違うのです。そこで、分かりやすいように次のようにしてみます。

まず、「明るさ」コマンドでヒストグラムの山がだいたい中央にくるようにした後に、レベル調整の真ん中の三角を右側にずらし、レベルが0.5になるようにします。

Lebel5

ヒストグラムの山がどのように変わるか見てください。レベルを0.5にするということは、ヒストグラムの中央を左側半分に寄せるということです。つまり127->63にするということです。

そして、山の形は、右側は広がっていますのね。つまりコントラストアップです。逆に左側は山が狭まっています。コントラストダウンです。分かりやすいように図を出します。

Lebel6

画像の暗い部分(赤の部分)ここは最初128階調あったのですが、それが64階調まで減らされます。つまり、コントラストダウンです。

画像の明るい部分(青の部分)ここは最初128階調あったのですが、それが192階調に引き伸ばされます。つまりコントラストアップです。

なんとなく分かりましたか?

ここで注意があります。階調の切捨て、およびコントラストダウンは輝度情報を失います。

コントラストダウンは輝度情報を圧縮します。たとえば、輝度情報が1,2,3,4,5,6とあったものが圧縮されると1,1,1,2,2,2のようになってしまいます。このまま圧縮されたままなら別に良いのですが、その後コントラストアップすると最悪です。3倍にコントラストアップすると、3,3,3,6,6,6になり。滑らかさのない画像になります。星雲の淡い部分が背景にべったり張り付いて立体感のない画像を見ますが、その原因はこれです。

だからと言って、階調の切捨てやコントラストダウンをするなと言っているわけではありません。画像の見せたいメインの部分はコントラストアップさせるわけで、階調は256しかないのですから、どこかをコントラストアップしたら、どこかをコントラストダウンするか切り捨てるしかありません。特に背景などは、輝度情報を圧縮してコントラストダウンした方が滑らかで美しく見えます。背景がコントラスト高くてノイズやカブリがギンギンだったらおかしいですから。

このように「階調の再配置こそが、まさに画像処理なんです。」

最後にレベル調整ですが、これは3原色、別個に行うことができます。後から説明するカラーバランスで多用します。

下の例は、チャンネルをレッドに選択し、赤を強くする例です。

Lebel4

次回はカラーバランスについてです。

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コメント

ほんまかさん こんばんは
いやー 10日の解説と今回の解説とても分かりやすいですね
今、諧調の滑らかさ、連続性で悩んでいるのでとても参考になります
続きがとても楽しみです

投稿: GENTA | 2008年12月12日 (金) 23時53分

GENTAさん、こんばんは。
この入門講座は、初心者向けに書いたのですが、なぜか、gentaさんやt_fixさんらベテランの方に好評です。っていうか、私自身も、自分で書きながら「やっぱ基本は大切だなぁ」なんて反省してます。

gentaさん、満月会に出るのですね。いいですね。私もいつか出てみたいです。

投稿: ほんまか | 2008年12月13日 (土) 00時30分

明るさ、コントラスト、レベル調整・・・
どれを使っても、情報が失われることを、意識しないといけませんね。

これらを何度も使えば、階調がおかしくなって、ザラザラになったりするんでしょうね。

あと、トーンカーブ調整の神になれば、上の3つは不要と言うことなんでしょうか。

フォトショップ、読み進めています!
でも、新しく何かを知ると、またその場で、画像処理したくなって、なかなか前に進みません^_^;

投稿: 星太朗 | 2014年7月14日 (月) 20時39分

星太朗さん、
明るさ、コントラスト、レベル調整、トーンカーブ。

コントラストはまず使いませんね。あとは、どれも必要に応じて使います。レベル調整はきちきちに切り詰めなければ使っていいと思います。

ここで重要なのは、どれが重要かということではなく、どれが使いやすいかです。

たとえば、明るさは、レベル調整で真ん中のスライダーを下げることと同等です。またトーンカーブを山なりに持ち上げることと同様です。
それぞれの相関関係を知っていれば、何を使うべきか自然とわかると思います。

投稿: ほんまか | 2014年7月14日 (月) 23時11分

ほんまかさん、こんばんは!
回答ありがとうございます!

レベル調整で真ん中のスライダーを下げること=トーンカーブを山なりに持ち上げること

これは、納得できますが、明るさをあげるとは、
たとえば、ヒストグラム上のy=xを、傾きを変えずに原点だけ持ち上げる、たとえば、y=x+50、とかに。で、白とびが増える、つまり、全体的に持ち上げる、ということかな、と理解しています。

コントラストを変化させるとは、(128,128)の点を中心に直線を回転させることで、コントラストをあげると、白とびと黒つぶれが、同時に起こる、ということ、と理解しています。

間違っていますか?

コントラストは、情報が失われる割合が大きいので使いたくない、ってことですよね?今まで私は、バンバン使っていましたが・・・(笑)。

フォトショップの本、読み始めています。ほんまかさんのブログも、少しずつ読み始めています!
新しいことを知ると、すぐに試してみたくなるので、そのつど、再処理して、ブログの記事にしています。時間がありましたら、のぞいてみて下さいね。

処理の回数が増えると、ざらざらになるのが、理解できるようになりましたが、これは、露出時間を増やしたり、枚数を増やしたりすることで、なめらかになるので、回避できるようになるのでしょうか?
それとも、画像処理を進めることで現れるザラザラは、撮影とは別のものでしょうか?
また、別物であれば、どのように対処されているのでしょうか?ステラナビには、バックグラウンドスムースと言うのがありますが、うまくいきません。これは使いこなしが難しいですね。

長々とすみません・・・。
よろしくお願いします。

投稿: 星太朗 | 2014年7月15日 (火) 00時18分

星太朗さん、コメント欄は狭いので、本文で回答しました。

投稿: ほんまか | 2014年7月15日 (火) 10時50分

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