「デジタル星野写真入門8」ピント合わせだよ
今日はピント合わせの話です。
「写真はピントが命」、天体写真に限ったことではありませんがね、やはりピント合わせは重要ですね。どんなに素晴らしいレンズ、光学系を使おうとも、ピンボケじゃ台無しです。
しかし、この天体写真の世界ではピントは非常ににシビアなのです。どれだけの人がここで苦労したことか、ピントを正確に合わせる技術と根性をもった人だけが先に進める世界なのです。
といっても、カメラレンズを使う星野写真の世界ではそれほどシビアではなく、普通にちゃんとやってれば大丈夫です。ご存知の通り、ピント合わせは、長焦点ほど、Fが明るいほどシビアになります。
星野写真ではカメラレンズを使いますが、ファインダーを覗いてピントを合わせるなんて論外です。まず、夜中に広角レンズでファインダー見ても何も見えません。F2.0とか明るいレンズなら一等星くらいなら分かります。でもとてもピントを合わせられるレベルではありません。また仮にファインダーで合わせられても、それで合ってる保障はありません。ファインダーへ向かう光の光路長とC-MOSへ向かう光の光路長が、天体写真で要求されるレベルで同一である保障はないのです。
ではレンズの無限大のマークに合わせてはどうか。銀塩の時代はこれでよかったのですがね。デジタルの時代になって、ピントの要求レベルが上がったので今はレンズの無限大マークはまったく信用できません。また最近のレンズは回しきったところが無限大ではなく、そこから少し戻した位置が無限大です。では、どうやってピントを合わせるか、これはもう実写しかありません。
ライブビュー搭載カメラなら、明るい星に向けて拡大表示して合わせます。ただ広角レンズでは難しいかも知れません。私はライブビュー使ったことないので詳しいことはわかりませんが。
ライブビューがないなら実際に撮影して合わせます。そのとき必要になるのが、スケールです。
これをシールに印刷してレンズに貼っておきます。
まず、昼間に遠い場所にピントを合わせてだいたいの無限遠の位置を確認しておきます。
実際の撮影現場では、この仮の無限遠の位置から前後にずらした数枚を撮影して、その中から一番良いものを選びます。撮影するときはレンズの絞りを開放にし、ISO感度を最大にします。あまり明るい星よりも少し暗い星の方が合わせ易いです。露出時間は10秒くらいでいいと思います。撮影したら、液晶を拡大表示して一番良いものを選び、そのときのピントリングの位置をスケールにしたがって再現します。
ところで、このとき合わせた無限遠の位置は、次回撮影の時でも使えるでしょうか?これはレンズによります。
私の50mmレンズの場合、季節が同じならあまりずれることはないようです。でも夏と冬ではさすがに違いますね。100mm以上のレンズになると、もう毎回違います。またEDレンズなどは温度によるピント位置のずれが大きいようです。このようなことから、毎回合わせておいた方が良いでしょう。ピンボケの写真はみっともないですからね。
次回はいよいよ「撮影に行こう」です。
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