「デジタル星野写真入門11」ダーク減算ってなんだ
天体写真はノイズとの戦いです。普通に高感度、長時間露出するとこんな画像が撮れちゃいます。
左上が明るくなっていますね。これを「熱カブリ」または「アンプノイズ」といいます。他にもこの画像では分かりませんが、拡大して強調するとノイズがいっぱい見えます。
これらノイズの中には固定ノイズと言って、同条件(気温、ISO感度。露出時間)なら、同じ場所に同じように出るノイズがあります。
したがって、レンズにふたをして、同条件で撮れば固定ノイズだけの画像が得られます。これをダーク画像あるいはダークフレームといいます。これです。
よって、最初の画像から、ダーク画像を引けば固定ノイズのない画像が得られます。これです。
素晴らしい。これ最初に考えた人偉いです。このような画像操作をダーク減算といいます。カメラ内部のノイズリダクションもこれと同じことやっています。ただカメラのノイズリダクションを利用すると、毎回ダーク画像とりますので撮影時間が倍になってしまって効率が悪いです。ダーク画像は条件が同じなら使いまわすことができますから、別に撮影しておけば効率が良いです。それにカメラ内部のノイズリダクションは、微光星をノイズと勘違いして消してしまう問題などもあります。
ダーク減算は現像前のRAWファイルでないと出来ないです。現像してしまうと、種々の画像処理が入ってしまって、正確なダーク減算が出来なくなってしまうのです。ダーク減算できるソフトは2つあって、RAPとステライメージです。この講座ではステライメージは使わないことになっていますので、RAPでダーク減算します。
それじゃ、RAPでダーク減算してみましょう。まず、ダークファイルという拡張子が.RDKのファイルを作ります。RAPを起動したら[ノイズ処理]->[ダーク作成]です。
ここでダーク画像のRAWファイルを(追加)で指定します。ダーク画像は最低一枚必要ですが、複数撮影している場合はすべて指定します。ダーク画像は多ければ良いと言うものではありません。むしろどれだけ同じ条件で撮影できるかがポイントです。ただ、たくさんあると、バラつきが平均化されますので、普通はコンポジット枚数と同程度撮影しておきます。
これで(作成)ボタンをクリックするとRDKファイルを保存する場所を問い合わせてきますので、指定します。
次に、(ファイル)→(開く)でダーク減算する本画像を開きます。そして(ノイズ処理)→(ダーク減算)を選び、途中で先ほど作成したRDKファイルを指定すればダーク減算、完了です。
最後に保存しますが、キャノンのRAWファイルの場合は現像されたTIFファイルでしか保存できません。ニコンのRAWファイルの場合は現像されたTIFファイルか、RAWファイルのまま書き戻すNEF保存の選択ができます。ここで現像されたTIF保存を選択します。
ニコンのNEF保存の場合は、他のソフトで現像することになります。
この操作をコンポジットするすべての枚数を繰り返します。なお、一括変換という操作もあります。これを利用すれば、一度にできます。ただ、パラメータファイルというものを作らなければなりません。詳しくはRAPのヘルプを見てください。
それにしてもこのRAPは優秀なソフトです。開発した人偉いです。(←家にもきたけどね)
さて、ダーク減算で除去できるノイズは固定ノイズだけです。まだまだノイズはいっぱいあります。それ以外のランダムノイズは、コンポジットによって減らすことができます。
次回は、コンポジットです。
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