「ワンランクアップの星野写真2」カメラあれこれ
前回の補足
前回、自由雲台の使用は良くないと言いましたが、構図の自由度にどうしてもこだわるなら、三脚座のあるレンズを使うか、レボルビング雲台を使うことをお勧めします。これなら自由雲台と同様どんな構図もOKです。しかもバランスも崩れません。
ただ、レボルビング雲台ってなかなか手に入らないんですよね。と思っていたら、こないだ新宿のヨドバシカメラで見つけました。メーカーはどこだったけな?
でも、レボルビング雲台使って、星野写真撮るなんて、なかなかツウですよ。遠征地で一目置かれること間違えなし!
赤道儀をアップグレードしたら、次はカメラということで。最近は冷却CCDも安くなってきました。(それでも高いけどね)
カメラについて思うことをあれこれ書いてみたいと思います。
デジカメ VS 冷却CCD
冷却CCDってどうなんでしょうか? 私は冷却CCD使ったことないので、実際のとこよく分かりません。ただ、扱いの難しさやライブビューがないことと、質の向上を天秤にかけた場合、私個人としてはあまり魅力を感じません。
それと冷却CCDで不思議に思うのは、なぜ広角レンズ(20mmとか)や魚眼レンズを使った作品が少ないのでしょう。ネット上ではたまに見ますが、天文誌とかにあまり見ません。冷却CCDが絶対的にデジカメより優れているなら、広角星野写真や星景写真だって、きっと今までにないすごい写真ができると思うんですよ。
単にやらないだけですかね? だったらねらい目ですよ。フォトコン入選のもっとも簡単な方法は人のやらないことをやることです。私も、D40を冷却改造して真っ先にやったことは星景写真でした。そして星ナビに入選させていただきました。フルサイズ冷却カラーCCDで撮られた素晴らしい星景写真というものを見てみたいものです。
星景写真は解像度や階調よりも、機動性の方が重要だから、手軽なデジカメの方が向いているという意見はなしですよ。これは普通の考え方です。徹底的に階調や解像度を追求した星景写真だってあったっていいじゃないですか。
冷却CCDでよくやるナローバンドの擬似カラー合成ってあるじゃないですか。私、これ広角でやったら、特にはくちょう座あたりが面白いと思うんですよ。なんで誰もやらないんですかね?(私の中ではデジカメで擬似カラーやる計画がある)
それともそもそも冷却CCDって、広角には向かないのでしょうか?だとしたら、結局冷却CCDってその程度のもんなんですね。(私が思うに広角レンズにはオーバースペックなんだと思います。ただノイズは少なく階調も豊かだから創意工夫のしがいがあると思います。)
デジカメもいつまで改造できるか分かりませんからね。本来天体写真は専用カメラで撮るべきなんでしょうね。
冷却・非冷却
ノイズの面から言えば明らかに冷却された方が有利ですね。ただ値段が高いこと、電源を食うこと、フルサイズの冷却がないこと、などが問題になります。そのへんがクリアできれば使いたいですね。私はフルサイズ派なので、冷却はあきらめるしかありません。(えっ、自分で改造しろって? やだよD40とは値段が違いすぎる!)
フルサイズ VS APS-C
今日の本題はこれです。フルサイズの利点はずばりプリント拡大率が小さいことです。逆にAPS-Cは常にフルサイズの1.5倍です。レンズの結像性能もピント精度も1.5倍が要求されます。面積比も2倍以上ですから、フルサイズはAPS-Cの2枚モザイクと同じです。
そうすると明らかにフルサイズの方がいいように思えますが、欠点もあります。イメージサークルが大きいことから、周辺まで、結像性能がよく、周辺減光の少ない光学系が要求されます。カメラレンズで言えば大口径のLレンズなどです。カメラレンズの場合はまだいいのですが、望遠鏡となるとなかなかフルサイズイメージサークル周辺まで性能の良い物は高価になります。ミニボーグとかはフルサイズだめですし。
またフルサイズは長焦点系でシステムが大きくなります。APS-Cで400mmと同じ画角の写真を撮ろうとすると600mmの焦点距離が必要です。焦点距離が長くなれば当然、赤道儀も大きくなりシステム全体が大型化します。
個人的には広角ほどフルサイズが向いていて、望遠ほどAPS-Cの方がいいような気がします。
ライブビューは便利
ライブビューは便利です。便利であること以上にピントを正確に合わせられるので、星が従来よりシャープになります。またフィルターを使った撮影ではフィルターのあるなしで、ピントの合わせなおしも簡単にできるようになりました。長時間撮影では温度変化によるピントのズレもライブビューでピントの合わせ直しができます。
ライビューはそれだけでもカメラを買い換える理由になると思います。私はもうライブビューなしでは生きていけません。
次回はレンズについて
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コメント
僕もほんまかさんと同じ意見で、冷却CCDが本当に良いのかどうか、分からないことがあります。
けど、皆さんがやっぱりモノクロ冷却だよなぁって言うので買いましたし、そう言われて見れば確かに階調が良いような気がしてきましたね。先入観かもしれませんが。カメラレンズを冷却CCDで使わないわけですが、自分も使わないのですが、どうして使わないのだろうと今自問自答してみたら、「面倒だから」という回答になりました(笑 あれって、例えばキャノンのレンズなら、44mmのフランジバックでのピント位置をそのまま固定した状態で合焦するように光路調整(シムなどで)しないと厳密な意味での性能発揮が出来ないみたいですね。
その点カメラレンズなら、EFマウント対応なら即キャノンのカメラで使えますし(当たり前だけど)当たり前のことをするのにすっごく準備と手間が必要で、手軽じゃないですね。
フルサイズとAPSの比較については、一長一短あるのでしょうが、安く楽しむならAPSが一番でしょうね。中古も安くなってるし。
そうそう、ほんまかさんは星野写真という言葉をよく使われますが、僕の認識では星野写真の定義は僕がやってる500mmとかの焦点も入ってくると思ったのですが、実際は焦点距離などの線引きはあるのですか?
僕の記憶だと、景色を含む写真が星景写真で、そうでなければ月など例外のぞいて「星野写真」と言うんだったような・・・。
投稿: よっちゃん | 2010年8月19日 (木) 19時35分
よっちゃんさん、
星野写真の定義ですが、これは以前にも口にされていましたね。
確かに星野写真の定義は人それぞれですね。私の定義は、
一つの星雲星団を被写体にしたものが「星雲・星団写真」です、
そうではなく、星雲星団を意識しながらも、広い範囲を写し撮ったものが「星野写真」です。
一般写真でいえば
「ポートレイト」に相当するのが「星雲・星団写真」
「街角スナップ」が「星野写真」です。
焦点距離で分けるというより、被写体が何かということですね。あえて焦点距離で分けるとすると200mmくらいが分岐点ですかね。
これらの混乱を避けるため、私は最近「広角星野写真」とか「星座写真」とか言うようにしています。
あつ、そうそう私が言う「星野写真」を「星景写真」にひとくくりにする人が居るのにはびっくりしました。
よっちゃんさん、これからもコメントお願いします。ほんとたまにでいいですから。
こうゆうの一人でやっているとすごく不安になるんですよね。
投稿: ほんまか | 2010年8月19日 (木) 22時18分
ほんまかさん、こんばんは。
コメント拝見しましたが、消えてしまったようです。
素直なご意見なので全然OKだと思います。
僕も冷却CCDユーザーですが、デジカメ時代同様に使いこなすための努力は忘れないようにしています。
どちらかと言えば、過去のイメージとして冷却CCDって裕福な方が「楽をするために買う」という印象が強かったです。
つまり「こんな簡単に写っちゃいます。」というステータスをお金で得るための道具としてCCDカメラが存在し、ているような印象がありました。
けど、僕がデジカメの立場でその頃抱いていたのは、ほんまかさんと同様に「そんな素晴らしいCCDカメラがあるなら、それで真剣に撮った作例を見せてくれ。」ということでした。
けど、あまりそういう人はHP上ではいなかったですね。
やはり、楽でいいわぁ…と、いいたい人の声が大多数です。
余裕をかましながらもそこそこの効果をあげることが、この上ないオーナーとしての「特権」だったのでしょう。
僕は、楽をするために機材を得るのではなくて、
自分の求めるクオリティを実現するための道具として、これと向き合いたいです。
投稿: よっちゃん | 2010年8月21日 (土) 00時50分
あと、「凄い画像」という表現があったと思うのですが、
単純に淡い部分を高い輝度値で描出するということは、凄くはあっても、綺麗かどうかは別問題だと思います。
(もちろん、ほんまかさんも熟知されているでしょう)
例えばある夜快晴で、Lを30枚ぐらいじっくり長時間露出できたとして、それを処理する際、淡い部分までもがどんどん滑らかに描出可能な素材だったとしても、もしそれが弱い処理バージョンと比較して綺麗さで劣るとすれば、あえて強調せず完成とする…みたいな感じですね。
美しさ…機材やスペックはそいつに巡り合う可能性を高めるための選択手段に過ぎず、必然的なもんではないのでしょう。
機材もスペックも今まで色々な論議がされていますが、結局僕としては結果として美しさに寄与するものだけにのみ、興味を抱くでしょうね。
自分が引き出すことが出来るのであれば、手段は何だっていいんだと思います。
愚痴になりますが、周りを見ているとスペックから推察した「後だしジャンケン」が多すぎるような気がしますね。
「やはり…だめでした。」とか。
やはりって、いつそんなこと言ったんだよ?ってね(笑
投稿: よっちゃん | 2010年8月21日 (土) 01時01分
あと、
「デジカメの限界なんてなかなか達することが出来ないものだ。」
とのコメントもありましたね。
同感です。
僕は冷却CCDに移行する際、デジカメは卒業、とカッコつけて言った覚えがありますが、内心は逆で「結局デジカメの持てるクオリティを天体写真で引き出すことが出来ずに終わらせてしまった。」という逃げが内心ありました。
直接の理由はゴースト処理から逃れる策としてCCDの道に踏み出したのですが、いまだにデジの可能性(特に冷却改造機種)を引き出す為のあれこれの妄想が自分の中に湧き上がっては消えたり…と繰り返すことがあります。
デジカメの限界への挑戦は、今後も続くでしょうし尽きない楽しみだろうと感じます。
投稿: よっちゃん | 2010年8月21日 (土) 01時18分
よっちゃんさん、お返事遅れまして大変申し訳ございません。胎内から帰ってきました。
私の冷却CCDに対する危惧は冷却CCDそのものに対するものではありません。また冷却CCDユーザすべてに対するものでもありません。
それだけは誤解のないよう付け加えてさせていただきます。
「美しさ」についての価値観は私と、よっちゃんさんでは少し違うと思います。これについては連載記事でいずれ書かせてもらいます。私の場合は「美しさ」はそれほど絶対的なものと思っていません。
お忙しい中、長文のコメントありがとうございます。
投稿: ほんまか | 2010年8月22日 (日) 19時21分