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2010年8月30日 (月)

「ワンランクアップの星野写真その9」最後のフラット処理

それでは、実際の画像処理方法を紹介します。題材の元画像はこれです。コンポジットと周辺減光補正が既に終わった状態です。ヒストグラムを見てください。山の幅が広いです。これだけ広いと後が楽です。これは4分×32枚もコンポジットした結果です。

この山が狭いと画像処理が大変になります。(現像時パラメータ0の場合)。一般に露出時間が長いほど、そして加算コンポジット数が多いほど、この山が太くなります。

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フラットフレームによるフラット補正はすでに終わっていますが、カブリなどの背景の傾斜はまだ残っています。これらを最初に徹底的にフラットにしておかないと、後が続きません。ぱっと見、カブリはないように見えます。

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そこで、レイヤー→新規調整レイヤー→色相・彩度で、彩度の調整レイヤーを作り、彩度を上げて見ましょう。右側が緑にカブっています。天頂付近なので、この程度で済んでいますが、補正しておきましょう。

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背景レイヤーが選択された状態で、レイヤー→新規調整レイヤー→レベル補正とします。
そうすると、背景レイヤーと先ほどの彩度レイヤーの間に、レベル補正のレイヤーができます。このレイヤーが選択された状態で、

左側のツールパレットから、グラデーションツールを選び、カブリの方向にマウスでドラッグし、グラデーションマスクを作ります。

後は、レベル補正の調整レイヤーで、緑色のレベルを落とし、カブリを補正します。

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同様に右下のカブリも補正します。

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さて、ここで、カラーバランスを整えます。
1 まず、彩度の調整レイヤーをOFFにし、
2 レベル補正の調整レイヤーを作り、
3 ヒストグラムの左斜面が揃うように、レベル補正でカラーをいじります。

実は、これでは背景は正確なニュートラルになりません。正確なニュートラルにする方法は後々説明します。とりあえず今はこれで十分です。

さて、これで完璧なフラット化ができました。後は強調作業です。

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画像を強調するためにトーンカーブを使います。

トーンカーブは初めて使うという方もいると思うので、またトーンカーブは画像調整の基本でもありますので、ぜひこの連載で説明したいと思っていました。

ただ、既に、使っている人は分かりきった説明が続きますし、話の流れが中断されますので、トーンカーブについて後から、ゆっくり説明することにします。

レイヤー→新規調整レイヤー→トーンカーブでトーンカーブの調整レイヤーを作り、トーンカーブで画像のコントラストを上げます。

最初のトーンカーブで強調処理する時は次のことに注意してください。星が美しく見えることを基準に強調してください。星雲は無視です。星雲は後から強調します。ここで星雲を出そうとして、無理に強調すると、星がカリカリになります。星雲は無視です。星だけ見て。

以上で、画像処理の第一ステップは終了です。ここで、いったん画像を保存し、レイヤー→画像を統合で、レイヤーを統合します。

次回は第二ステップです。星雲マスクの作り方と、星雲強調の方法を説明します。

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2010年8月27日 (金)

「ワンランクアップの星野写真その8」ヒストグラムについて

今日から、実際の画像で、具体的な画像処理方法を説明していきたいと思います。うんちくは終わりです。拝聴ご苦労様でした。

さて、それでは題材を紹介します。

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直近の画像ということで、これにしました。まずは、右上のヒストグラムを見て下さい。このヒストグラムは画像処理中に必ず表示させておいてください。これを見ないで画像処理するのはまったく話しにならないです。

「デジタル星野写真入門」で美しい星野写真には法則があると書きました。美しい星野写真のヒストグラムはRGBの山が揃っていて、山の左斜面は、切り立っている、そして右斜面は右端隅までなだらかに減衰してるということでした。

私はこの法則にさらに確信を持つようになり、最近では、このようなヒストグラムにすることを目的に画像処理をするようになりました。つまりヒストグラムは画像処理の結果ではなく、目的そのものにしてしまったのです。これには異論もあるでしょうが、少なくとも感覚だけで画像処理するよりは失敗が少ないです。

そこで、このヒストグラムをもう少し詳しく見ていこうと思います。まず、山の左斜面を「フラット領域」、右斜面を「色彩領域」と名付けることにします。

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フラット領域
  なぜ、フラット領域というか、それは画像のフラット度に関係しているからです。端的に言うと、フラット度が高いほど切り立っています。
 まず次の画像を見てください。この画像はフラット補正を一切していません。トーンカーブでコントラストアップしています。

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ヒストグラムの山がだいたい左右対称だと思います。そして画像を見ると4隅が僅かに暗く落ち込んでいます。この暗く落ち込んだ部分が、ヒストグラムの左斜面の左端の裾野部分に相当します。

次の画像はフラットフレームでフラット補正した画像を同じようにコントラストアップしています。

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左斜面が切り立っているのが分かると思います。そして、4隅の落ち込みが消えると同時に、左斜面の裾野もなくなっています。

フラット補正には、周辺減光の補正以外にも、カブリの補正なども含まれることに注意してください。周辺減光やカブリなどを徹底的に補正した画像はこのように左斜面が切り立ってきます。そのため、この左斜面をフラット領域と呼ぶことにします。

色彩領域
 いっぽう、右斜面を色彩領域と呼ぶのは、右斜面はいわゆる背景部分以外の部分で、写真の一番の見せ場になるからです。特にこの部分は色と関係して写真の印象を決める部分でもあります。最初の画像をもう一度見てみましょう。

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ヒストグラムの右斜面を見ると、すべての領域で赤が支配的です。このような写真は、ぱっと見インパクトがあり、人の目をひきつける何かがあります。ただ、ヒストグラム的に言うと、やはり赤が強すぎるきらいがあります。そこで、中間調部分を赤を弱め、青を強めにしてみます。

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ヒストグラムを見ると、赤、青、緑が交差しているのが分かります。このような写真は、色的には美しく、透明感や立体感があります。ただ、ちょっとおとなしくなります。

どちらが良いかはその人次第です。写真に何を求めるかの違いです。私は今回は前者を選び、さらに赤い星雲を強調したものを応募しました。

以上、ヒストグラムを説明しましたが、このようなことを意識しながら画像処理することが大切です。

次回からいよいよ画像処理始めます。

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2010年8月26日 (木)

「ワンランクアップの星野写真その7」フラット補正

フラット補正の定義
 フラット補正とは、光学系の周辺減光による画像周辺の輝度低下を補正するものです。一様な光源(たとえば青空、発光パネル、パソコンモニタなど)を撮影し、これをフラットフレームという、撮影画像をフラットフレームで除算します。
 これで、周辺減光が補正されるほか、C-MOS上についたゴミの跡まで補正してくれます。(ただし、すべてのゴミを補正する場合は撮影直後のフラットの撮影が必要)

 以上がフラット補正の定義ですが、この連載では「フラット」の意味を広く解釈し、光害によるカブリやその他ムラなどをならす処理を含めてフラット補正ということにします。

フラット補正の重要性
 なぜ、フラット補正が重要かというと、以前にも書きましたが、フラット精度が高いほど、より強調処理ができるからです。今、星雲を強調しようと輝度の低いところと高いところで輝度差を10倍にコントラストアップしようとします。そうすると同時に周辺減光もカブリもその他のムラも10倍に強調されてしまいます。これではとても綺麗な写真とは言えません。実際には単に美しさの問題だけではなく、明るい部分が飽和してしまうので、そもそも強い強調処理自体ができなくなります。
 ですから、フラット補正は単なる周辺減光を緩和する処理ではないのです。

1008251 フラット補正が不十分なまま強調処理するとこうなってしまう。(北極星周辺の星雲)

フラット処理の実際
 このフラット処理を精度良くやろうとすれば、RAP2というソフトを使い、RGB各色で撮影画像と同じ相対輝度レベルをもつ光源を作成撮影し、現像前にフラット補正する必要があります。
 ただ、私の場合は、ここで懺悔しますが、このような「ちゃんとしたフラット補正」をしていません。かなりいい加減なフラット補正です。どこがいい加減かというと、

RGBカラーのRAP2ではなく、ステライメージのモノクロフラットです。
フラットの撮影はパソコンのモニタを撮影したものを加算平均しています。
フラット補正は現像前ではなく、現像後にしかも8枚の加算平均コンポジット後に行っています。
フラットは一度撮ったら使い回しです(ゴミ跡は取れない)。

 私は、今まで広角星野写真を撮ってきたので、あまり強い強調処理というのはやったことがなく、フラットの重要性もそれほど感じていませんでした。ところが今年から中望遠の星野写真を撮るようになって、星雲の強調処理も必要になり、やっとフラット補正するようになりました。で、まだ始めたばかりなので、いい加減なのですが、そのうちRAP2を使ったちゃんとしたフラット補正もしてみたいと思います。 

 ただ、こんないい加減なフラット補正でも、「やらないより、全然効果あります」

 ちゃんとしたフラット補正については私は説明できないので、他の方のホームページやブログなどを参考にしてください。ただ、私のようにフラットは面倒だという方のために、私の方法を説明しておきます。ほんと簡単です。これでもやらないより全然いいのですから。

いい加減なフラット補正方法(良い子のみんなは真似しないで)

1 パソコンのモニタ画面に白紙ファイルなどを表示させます。

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2 それを撮影しますが、ピントは無限大の位置、絞りは星の撮影と同じ値、感度は自由、シャッター速度は、ヒストグラムの山のレベルが、星の画像と同じくらいのレベルになるようにします。(つまり中央付近)

3 フラットはできるだけ一様になるように後で加算平均しますので、モニタ上の撮影位置をランダムに変えながら、数枚から数十枚撮影します。私は16枚撮影します。

4 以上の手順を、良く使う絞り値の分だけ繰り返します。私の場合はF2.8、F3.5、F4の3種類で撮影しました。

5 撮影が完了したら、次はフラットフレームを作成します。まず、現像します。現像はどんなソフトでも良いのですが、各色のヒストグラムの山が一致するように現像します。コントラストなどのパラメータは0です。(つまり星の場合と同じ)
(本来フラット補正は、光源の輝度と撮影された画像の輝度が線形関係にないとできないと思うのですが、現像してしまったのではこの線形関係が崩れると思います。しかし、逆に現像することによってRGBのレベルをそろえることができます。現在この方法でフラット補正による色ムラや輝度ムラに悩まされることはありません。結果オーライということで)

6 現像したら、ステライメージ等でコンポジットします。位置合わせは必要ないので、ステライメージのバッチ処理でコンポジットすれば楽です。

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7 最後に、できたフラットフレームを使って、フラット補正します。フラット補正は本来、コンポジット前に一枚ずつ行うのですが、私の場合面倒なので、8枚の加算平均コンポジットが終わった画像に対して行っています。加算平均では周辺減光の量に影響がないからです。

 具体的な方法は、ステライメージを使います。フラット補正したい画像を開き、(画像)→(ダーク/フラット補正)を開きます。

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フラットフレームの画像ファイルを指定して(OK)をクリックすれば完了です。

これで、フラット補正すると、ほぼ完璧に周辺減光等が補正されます。最初やった時は感動しました。露出不足のときなど、ヒストグラムの山のレベルがフラットフレームと一致していない場合はうまく補正できない時があります。このような場合はフラットフレームを撮影し直すべきなのですが、それさえも面倒な私は、「レベル調整」でフラットフレームのレベルを下げたりしています。それでも出来ちゃったりします。

かなりいい加減ですが、とにかくこれで出来ています。思うに、私の場合は以下のような事情があるからでしょう。

1 開放で撮ることはない。一段~二段絞って撮るので周辺減光が少ない。
2 R64フィルターを併用しているので、カブリによる中央集光が少ない。
3 それほど、強調処理しない。

3は重要で、逆にみんなは、「そこまで正確なフラット補正が必要なほど、そんなに強調処理しているの?」と不思議に思ってしまいます。だからみんな”冷却”、”冷却”と言うのでしょうか?

とりあえず、フラットやったことのない人は難しいこと考えずに私のように気軽に始めてみてはいかがでしょうか?効果ありますよ。

次回はヒストグラムについて。

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2010年8月25日 (水)

「ワンランクアップの星野写真その6」ほんまか流コンポジット

今日はコンポジットについてお話したいと思います。コンポジットの基本的な方法は「デジタル星野写真入門」で説明したので、ここでは、ほんまか流コンポジットということで、私のコンポジット法を紹介します。

その前に加算コンポジットと加算平均コンポジットについて

加算コンポジット
 両方の画像を単純に加算します。ただし、ヒストグラムの山が中央にある2つの画像を加算しただけでは画像は飽和してしまいます。そこでレベル調整で輝度レベルを半分にすると、加算平均コンポジットとまったく同じになります。そうではなく、後で説明する「デジタル現像」を使うと、飽和を抑えながら、淡い部分のレベルを上げられます。

加算平均コンポジット
 2つの画像を加算して2で割ったコンポジットです。上記加算コンポジット後にレベルを半分にするのと同等です。
 主にノイズレベルを半分にするため、この加算平均コンポジットが利用されます。また加算平均すると端数ができますが、画像処理の階調ビット数が高ければ端数はそのまま階調の豊かさにつながります。
 理論的には、加算平均すると階調が1ビット増えます。デジカメのもともとの階調を14ビットとします。フォトショップの画像処理の階調を16ビットすれば、2段の加算平均コンポジットで16ビットになります。それ以上やってもノイズレベルは少なくなりますが、階調は増えません。(この理屈は本当でしょうか?ちょっと自信がありません)

コンポジットのトーナメント方式
 「デジタル星野写真入門」でも説明しましたが、私はコンポジットするときにに2枚ずつのトーナメント方式を採用しています。理由は2枚ずつ手動で合わせた方が正確だからです。複数枚の場合、ステライメージのバッチ処理を利用しますが、正確性がちょっと疑問ですし、私の非力なパソコンでは非常に遅いです。

Comp5  トーナメント方式の場合、コンポジット枚数は2の累乗になります。2,4,8,16等、2の累乗でなくても加重平均を使えばコンポジットできますが、重みを計算しなければならなので、ややこしくなります。今回は説明しません。

コンポジットはやっぱりステライメージ
 コンポジットはステライメージが便利です。0.1ピクセル単位、回転は0.01度単位で正確な重ね合わせができます。また「加算コンポジット」時も飽和による情報カットがないままデジタル現像に持ち込めます。

以上を踏まえた上で、「ほんまか流コンポジット」を説明します。
ことのおこりは、「北天の分子雲」を仕上げているときでした。このときは何十枚もコンポジット用に撮影しました。私は当初から加算平均コンポジットをずっと利用していました。ところがコンポ段数が3段(8枚)くらいになると、それ以上コンポしても、淡い部分はあまり出てこないのです。ノイズレベルは確かにコンポを重ねれば減るのですが、淡い部分は何枚コンポジットして強調処理しても出てきません。

そこで加算平均はやめ、「加算コンポジット+デジタル現像」を繰り返して、コンポをしたのです。そしたら今度はノイズまで強調されたようで、背景がざらざらでした。

そこで、3段(8枚)までは加算平均コンポジットでノイズを減らし、それ以後は「加算コンポジット+デジタル現像」をするようにしました。そしたら、ノイズも十分少なく、淡い部分も良く出る写真になったわけです。

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ただし、この方法はコンポ枚数が8の累乗でなければなりません。つまり8、16、32枚でなければなりません。加重平均を使うなら、この枚数にこだわる必要はありませんし、ISO感度が低く低ノイズならば、最初の加算平均の枚数は4枚でも2枚でもいいわけです。冷却なら加算平均のところはそもそも必要ないかも知れません。そしたら、単なる「加算コンポジット+デジタル現像」と変わりありません。

(私は、ノイズを減らすために8倍の撮影時間をかけていることになります。逆に言えば、ノイズが十分低い冷却系(デジカメもCCDも)なら1/8ですむことになります。)

この私の方法が理論的に合理性があるかどうかわかりません。ただあの「北天の分子雲」はこのコンポジット方法によってやっと完成しました。それ以後、このコンポジット方法を使用しています。

デジタル現像について

 デジタル現像は、ステライメージの機能で、低輝度部分の輝度をそのままに高輝度部分の飽和を抑えることができます。

 デジタル現像については、ステライメージのマニュアルに詳しく書かれています。ここでは一例を示します。デジタル現像は下図のようにちょっと寝ぼけた感じくうらいにするのが、あとあと、フォトショップでの処理が楽になります。特に星の中心部が真っ白にならないようにすると良いです。

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次回はフラットについて

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2010年8月24日 (火)

「ワンランクアップの星野写真その5」ピントと撮影パラメータについて

ピントについて

ピントって、奥が深いです。

ピントがちゃんと合ってると、天体写真ってほんとシャープです。

でもライブビューのおかげでだいぶ楽にはなりました。ところで、このライブビューですが、どこがジャスピンなのか良く分かりません。逆に私が聞きたいくらいです。今のところ経験則でこのへんだろうと決めていますが。

私はライブビューでピントを合わせるとき、大体以下のようなことを基準としています。

1 星像が一番小さくなる時
2 写らなかった微光星が一瞬見える瞬間
3 色ニジミが消える瞬間

ほんとは1の星像が一番小さくなる瞬間なんでしょうが、これはかなり幅があります。特にレンズの収差が大きい場合は幅がかなりあり、どこがジャスピンかわかりません。そこで2の微光星が一瞬見える瞬間で合わせています。これがきっとジャスピンなんだと思います。ただ、これで合わせると、星に赤ニジミができます。そこで私は、そこからちょっと回して赤ニジミが消える瞬間で合わせています。(ということはジャスピンではない?)

今のところ、これで結果はいいように思えます。ほんとのところはどうなんでしょう?

正確には、実写して、パソコンに取り込み拡大表示してみるのがいいのでしょうが、私は遠征中パソコンを使いませんし、カメラレンズの場合はピント位置がロックできないので、ヒーターの巻きなおし等でピントリングが回ってしまうことがあり、ライブビューのような、いつでも簡単に合わせ直せる方法があっています。

撮影パラメータについて

 ISO感度、絞り、露出時間、コンポジット枚数、これらを撮影パラメータと呼ぶことにしましょう。では問題。

1 ISO800  20分1枚コンポジットなし トータル20分
2 ISO1600  10分2枚コンポジット   トータル20分
3 ISO3200  5分4枚コンポジット    トータル20分

 どれがいちばんいい?

 いいといった場合、ノイズの面なのか、淡い部分の描写なのか、いずれにせよ画像処理した最終結果の作品で判断した場合、どれが良いかです。つまり、こうです。

1と2を比べて1の方が2よりノイズが少ないとします。しかし、2の方が淡い部分が良く写っているとします。さてどちらがいい? ノイズが少なければ淡い部分を画像処理で2のレベルまで引き上げることができます。

 この問題の結果を出すには、実際にやってみて、実際に画像処理してみて作品に仕上げてみることです。簡単ですね。しかしなぜか、この実験はあまり見ないですね。こんどやろうかな。ダークレベルならあるのですが、ダークレベルでノイズが少ないとかはこの際、あまり関係ありません。作品レベルで比べた場合です。それに結果は露出時間やトータルの露出時間、気温も関係すると思うので、ある1パターンの結果をもってすべてと言えないと思います。もちろんカメラによっても違います。

 ということでこの答えはあいまいにしておきます。(私も激しく知りたい)

 私の場合の撮影パラメータの決め方を書いておきたいと思います。私の場合は、スカイキャンサーでノータッチガイドなので、露出時間の最長が事実上決まってしまいます。最近はまっている135mmレンズならせいぜい5分がいいとこです。絞りは周辺減光や星像を考慮してだいだいF3.5かF4です。この条件で、ヒストグラムの山が中央くらいになるようにするにはISO感度は3200です。(光害の程度によって違う)幸い私のカメラはISO3200でもダーク減算、コンポすればそれほどノイズは醜くありません。

 ヒストグラムの山が中央というのに理論的根拠がありませんが、この仮定を受け入れれば、撮影パラメータは自動的に決まり、あまりいじれる要素はありません。

 コンポジット枚数ですが、できるだけ多い方が後々楽ですが、私の場合は最近、8の倍数(できれば8の累乗)になるように撮影しています。この理由は次回の「ほんまか流コンポジット」で説明します。

現像パラメータについて

 撮影パラメータについて触れたので、現像パラメータについても触れておきます。私はフォトショップでRAWファイルを現像をしてしますが、その際、各種現像パラメータは0にするようにしています。明るさや露光量、コントラストなどを変えられますが、これらは現像後、変更できますので、現像時は0にするようにしています。

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コントラストアップなどは後から画像処理でやるよりも現像時にやった方が情報落ちが少ないのかなとかも思ったりしましたが、実際はあまり関係ないようです。

次回は「ほんまか流コンポジット」について

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2010年8月23日 (月)

「ワンランクアップの星野写真その4」構図について

構図について、少し書かせてください。

どうも天体写真やっている人は構図に無頓着の人が多いように見受けられます。いや、すべての人ではないですよ。フォトコンの常連、ベテランなどは構図に関しては完璧で、まったく問題ないのですが、天体写真の習熟度が低い人ほどいい加減だったりします。構図って言ったって、星雲星団写真の場合は被写体を真ん中にもってくるだけです。ちょっとはずしてしまったら、せめてトリミングぐらいしてほしいと思うのですが。。。

構図なんてやろうと思えば、特別な技術なんていらないのですから、だれでもできそうなものですが。

人間というのは不思議なもので、何かを作り上げる工程の一部に不完全な部分があると他もすべて不完全でいいやと思ってしまうらしいです。A,B,Cという工程があり、C工程がどうしても不完全で60%だとします。そうするとAもBも60%でいいやと思ってしまうのです。その結果、全体のレベルが非常に低下してしまうのです。

1008221 「できないことは仕方がないが、せめてできることはちゃんとやろうよ。」

フォトコン入選を目標に掲げるのもこの理由によるところが大きいです。「自分はフォトコン入選なんて無理だから」でスタートしてしまうと、結局すべてが、ほどほどのところで収まってしまう気がします。
私は、フォトコン入選というモチベーションなしで、天体写真のような複雑な工程を仕上げるだけの精神力は到底持ちえていません。

実際構図の良し悪しは非常に重要で、見た目の第一印象を決めてしまいます。構図で損したり、得したりすることが多くあります。

実際どのような構図がいいのか悪いのかはそれは撮影者の個性ですからここでは述べません。(天体写真なんて、被写体はすべての人にとって同じなんですから、構図にこそ個性を主張できるはずです。)
しかし、構図に関しては以下の2つのことを実践してほしいと思います。

1 事前のシミュレーションをしかっりする
 ステラナビゲーター等のソフトで事前の構図チェックをしっかりしましょう。私は、ナビソフトだけでなく、過去の自分の星野写真や他の人のサイトから勝手にダウンロードした星野写真を切り抜いて構図のイメージを事前に把握しています。
 星雲、星団のクローズアップ写真の場合は、被写体を真ん中にもってくれば良いのですが、広角星野写真になると、けっこうバリエーションが多くあり、どう切り取るか、楽しいものです。

2 試写をしましょう。
 撮影現場で、フレーミングを決めたら、実際に試写をしてみましょう。私は感度を高くし、絞りをあけ、10秒くらいの試写をするようにしています。実際に撮影時間は数時間におよぶ場合もありますので、面倒くさがらずにやりましょう。

フレーミングについて
 ところで、広角レンズの場合はファインダーを覗いても星が見えない場合があります。私の場合は明るいレンズを使っているので、ファインダーでも星が良く見えて、フレーミングに悩むことはありません。ただ、暗いレンズだどほんと何も見えない場合があります。
 このような場合はビューファインダーがお勧めです。ちょっと高いがほんと良く見えます。

1008222 フォクトレンダー

うんちくはこのくらいにして、次回はより実践的なお話をします。まずはピントから。

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2010年8月22日 (日)

胎内から帰ってきました。

暑かったので疲れた。しばらく休ませて。。。

Blog9181

ベンロの自由雲台を買いました。

Blog9182

夜になって、どっと人が増えました。よく晴れていました。

Blog9183

アストロアーツさん。

Blog9184 

楽しみにしていたアクアマリンのコンサート。奥さんがはまってます。

夜半ごろ曇ったので寝ました。(3時ごろまた晴れたそうです)

Blog9185

翌朝、暑さで目覚めました。

次は石川町です。

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2010年8月21日 (土)

胎内参戦中

設営完了

T101_2 T102  T103_2T104北側が撮影できない。。。

T105ベンロ初登場。

T106_3

カーボン鏡筒。

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2010年8月20日 (金)

胎内行ってきます

土曜午後から参戦予定。

天気はよさそう。

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「ワンランクアップの星野写真3」レンズあれこれ

「おい、ほんまか、てめぇ~のうんちくはいいから、さっさと画像処理やれ」

って聞こえてきそうです。ごもっともです。しばらくお待ちを。

っていうか、うんちくたれたいから、この企画やってるんです!今回はひっぱりますよ~。

さて、レンズ選択のお話です。

フルサイズでのカメラレンズの選択
 私はフルサイズ派なので、私のレンズ選択の方針みたいなものを紹介したいと思います。
 フルサイズはイメージサークルが広いので、私の場合、開放で使うことは最初から考えていません。1~2段絞って使うことが前提です。そのため、明るい大口径のレンズを選ぶようにしています。悩みは大口径は価格が高いことです。そのため、あれもこれも買うことができず現在所有しているのは(中判レンズを除いて)2つだけです。

EF35mm F1.4L
EF135mm F2L

もう少しラインナップを増やしたいと思っているのですが、高いのでなかなか買えません。

 私はレンズを選択する上で、周辺の収差とかよりはむしろ、周辺光量を重視しています。周辺光量は開放ではどのレンズでもみな似たりよったりですので、一段絞ったときの周辺光量が多いものを選ぶようにしています。
 そのとき、参考にするのがガンレフサイトのデータです。

 周辺減光はフラットで補正できるからいいという考えもあります。被写体が画像の中心付近にくる星雲、星団写真なら、それでも良いのですが、画像全体に広がる星雲や星などの場合は、やはり影響が大きいと思います。仮に周辺光量が50%とします。この場合、フラット補正したとしても周辺部分だけ露出時間が半分になったことと同じです。画像処理する上では、一番悪い部分を基準に全体に適用しますから、結局、画像全体で露出時間が半分になったと同じことです。やはり周辺光量は大いにこしたことはありません。

 それにフラット補正するにしても、周辺減光が少ない方が、フラット精度が高いです。それに後日説明しますが、フラット精度は、画像をどこまで強調できるかの限界を事実上決めてしまうので、非常に重要です。 ですから、なるべく周辺光量が多いレンズを選ぶようにしています。

APS-Cでのカメラレンズの選択
 APS-Cはイメージサークルが狭いので、フルサイズよりレンズの選択が増えます。また開放で撮る機会も多いです。ただ、拡大率がフルサイズの1.5倍ですから、結像性能(=シャープさ)が重要になります。特に色収差には敏感になります。色収差の少ないレンズを選びたいです。ただし、色収差のデータはメーカが公表していない場合が多いので、他人の作品とかを参考にするのが良いのですが、これがけっこうあてにならず、だまされたりします。(別にその人が悪気があるわけじゃないですよ)

 よく青ハロが盛大に出ている写真を見かけますが、これはレンズが悪いというより、無理やり強調処理している画像処理に問題がある場合が多く、またそのような写真のほとんどは開放で撮っている場合が多く、一段絞るとだいぶ軽減される場合もあります。

 また逆に、一見、青ハロがないように見えて、実は画像処理で消していたりします。ですから、他人の作品で色収差の程度を判断するのは危険です。できれば生データで判断したいものです。 

 いずれにせよ、レンズ選びって楽しいです。レンズをたくさん買ってしまう人の気持ちはよく分かります。

機材編はこれにて終了。次回は撮影編です。まだまだうんちくは続きますよ~。

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2010年8月19日 (木)

「ワンランクアップの星野写真2」カメラあれこれ

前回の補足
 前回、自由雲台の使用は良くないと言いましたが、構図の自由度にどうしてもこだわるなら、三脚座のあるレンズを使うか、レボルビング雲台を使うことをお勧めします。これなら自由雲台と同様どんな構図もOKです。しかもバランスも崩れません。
 ただ、レボルビング雲台ってなかなか手に入らないんですよね。と思っていたら、こないだ新宿のヨドバシカメラで見つけました。メーカーはどこだったけな?
 でも、レボルビング雲台使って、星野写真撮るなんて、なかなかツウですよ。遠征地で一目置かれること間違えなし!
 

赤道儀をアップグレードしたら、次はカメラということで。最近は冷却CCDも安くなってきました。(それでも高いけどね)

カメラについて思うことをあれこれ書いてみたいと思います。

デジカメ VS 冷却CCD
 冷却CCDってどうなんでしょうか? 私は冷却CCD使ったことないので、実際のとこよく分かりません。ただ、扱いの難しさやライブビューがないことと、質の向上を天秤にかけた場合、私個人としてはあまり魅力を感じません。

 それと冷却CCDで不思議に思うのは、なぜ広角レンズ(20mmとか)や魚眼レンズを使った作品が少ないのでしょう。ネット上ではたまに見ますが、天文誌とかにあまり見ません。冷却CCDが絶対的にデジカメより優れているなら、広角星野写真や星景写真だって、きっと今までにないすごい写真ができると思うんですよ。
 単にやらないだけですかね? だったらねらい目ですよ。フォトコン入選のもっとも簡単な方法は人のやらないことをやることです。私も、D40を冷却改造して真っ先にやったことは星景写真でした。そして星ナビに入選させていただきました。フルサイズ冷却カラーCCDで撮られた素晴らしい星景写真というものを見てみたいものです。
 星景写真は解像度や階調よりも、機動性の方が重要だから、手軽なデジカメの方が向いているという意見はなしですよ。これは普通の考え方です。徹底的に階調や解像度を追求した星景写真だってあったっていいじゃないですか。
 冷却CCDでよくやるナローバンドの擬似カラー合成ってあるじゃないですか。私、これ広角でやったら、特にはくちょう座あたりが面白いと思うんですよ。なんで誰もやらないんですかね?(私の中ではデジカメで擬似カラーやる計画がある)

 それともそもそも冷却CCDって、広角には向かないのでしょうか?だとしたら、結局冷却CCDってその程度のもんなんですね。(私が思うに広角レンズにはオーバースペックなんだと思います。ただノイズは少なく階調も豊かだから創意工夫のしがいがあると思います。)

 デジカメもいつまで改造できるか分かりませんからね。本来天体写真は専用カメラで撮るべきなんでしょうね。

冷却・非冷却
 ノイズの面から言えば明らかに冷却された方が有利ですね。ただ値段が高いこと、電源を食うこと、フルサイズの冷却がないこと、などが問題になります。そのへんがクリアできれば使いたいですね。私はフルサイズ派なので、冷却はあきらめるしかありません。(えっ、自分で改造しろって? やだよD40とは値段が違いすぎる!)

フルサイズ VS APS-C
 今日の本題はこれです。フルサイズの利点はずばりプリント拡大率が小さいことです。逆にAPS-Cは常にフルサイズの1.5倍です。レンズの結像性能もピント精度も1.5倍が要求されます。面積比も2倍以上ですから、フルサイズはAPS-Cの2枚モザイクと同じです。
 そうすると明らかにフルサイズの方がいいように思えますが、欠点もあります。イメージサークルが大きいことから、周辺まで、結像性能がよく、周辺減光の少ない光学系が要求されます。カメラレンズで言えば大口径のLレンズなどです。カメラレンズの場合はまだいいのですが、望遠鏡となるとなかなかフルサイズイメージサークル周辺まで性能の良い物は高価になります。ミニボーグとかはフルサイズだめですし。

 またフルサイズは長焦点系でシステムが大きくなります。APS-Cで400mmと同じ画角の写真を撮ろうとすると600mmの焦点距離が必要です。焦点距離が長くなれば当然、赤道儀も大きくなりシステム全体が大型化します。

 個人的には広角ほどフルサイズが向いていて、望遠ほどAPS-Cの方がいいような気がします。

ライブビューは便利
 ライブビューは便利です。便利であること以上にピントを正確に合わせられるので、星が従来よりシャープになります。またフィルターを使った撮影ではフィルターのあるなしで、ピントの合わせなおしも簡単にできるようになりました。長時間撮影では温度変化によるピントのズレもライブビューでピントの合わせ直しができます。
 ライビューはそれだけでもカメラを買い換える理由になると思います。私はもうライブビューなしでは生きていけません。

次回はレンズについて

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2010年8月18日 (水)

「ワンランクアップの星野写真1」赤道儀あれこれ

この連載の趣旨は、題名の通り、星野写真のレベルをワンランク上げようというものです。で、その方法で最も手っ取り早いのが、機材をアップグレードすることだと思います。ちょっといきなり安直ですが。。。

そこで初回は、機材について思うことをいくつか書いて見たいと思います。まぁ適当に読み流してくれればいいです。

●赤道儀

 赤道儀はカメラやレンズなどの話題に比べては少し陰が薄いように思えます。しかし、赤道儀をアップグレードすることによる作品レベルの向上はけっこうあると思います。特にベテランほど赤道儀を重視しているように見受けられます。
 単にガイド性能が良くなる以上の効果が、精神的な面も含めて、あると思います。ですから、もし作品レベルの向上に悩むようであれば、思い切って赤道儀をワンランクアップしてみるのもいいかと思います。

 どんな赤道儀がいいかは人それぞれですが、頑丈で大きな赤道儀ほど安定感があってよいと思います。ただ、むやみに大きくても移動が大変だけになってしまいます。星野写真ということであれば候補に挙がる赤道儀としては

ビクセンGP2ガイドパック(http://www.vixen.co.jp/at/at-other1.htm
ケンコースカイメモ(http://ec1.kenko-web.jp/category/305.html
ビクセンGP2赤道儀(http://www.vixen.co.jp/at/gp2.htm
タカハシP2Z赤道儀(販売終了、中古で探す)
タカハシEM11赤道儀(http://www.takahashijapan.com/products.html

 あたりでしょうか。望遠鏡を使った撮影もするならタカハシのEM11やビクセンGP2あたりになると思います。最初の2つはいわゆるポタ赤といわれるものです。

 ポタ赤(=ポータブル赤道儀)の中でも特に小型で自由雲台を使って撮影するものがあります。具体的な製品名はだしませんが、
 ある程度のレベルの天体写真を継続して撮影していこうと思ったら、これらのポタ赤は使わない方が良いでしょう。

 これらのポタ赤は携帯性にすぐれ、設置もお気軽でよろしいのですが、たまにちょっと星野写真でも撮ろうとか、そのレベルならまったく問題ありませんが、継続して入選を狙うようなレベルの写真を撮り続けようとしたなら、やはり避けた方がいいでしょう。

 理由はいっぱいあります。

そもそもそんなに小さくなくて良い。
 ポタ赤をリックに背負って山に登るならまだしも、今はたいがい遠征地に車で移動し、車の近くで設置すると思います。ならばそれほど小さく軽い必要はまったくないです。

安定感がない
 これら小型のポタ赤に必ずと言っていいほど付く枕言葉があります。「おきらく」とか「お気軽」です。しかし、実際に撮影してみると全然お気軽ではありません。赤道儀は重いほど安定感があり、操作は逆に楽になります。(設置は大変ですが)
 軽くて小さい赤道儀は重心が低く構図が決めにくく、ちょっとぶつかっただけで、極軸がずれます。
 大きい赤道儀は確かに設置が大変です。でもオートガイドするわけでもなく簡単なノータッチガイドならせいぜい10分もあれば設置できるでしょう。しかし、その後の撮影は楽です。設置は数分の努力です。しかし、その後の撮影は何時間も続くわけです。
 それでも小型の方がいいという方はそもそも、星野写真なんて、数分の露出で数枚コンポすればいんでしょ。ぐらいの感覚だと思います。それはそれで別に悪いことではありません。それも一つの楽しみ方です。ただそれは今回の連載の趣旨とは違います。私の作品を見てもらえれば分かると思いますが、総露出時間が2時間を超えるものばかりです。

 ただ機材には機能性や性能だけでは、図れない何かがあることは確かです。(かっこいとか、おしゃれとか) 私だって、大型の方が言いといっておきながら、結局小型のスカイキャンサーを使っているわけです。ほんとだったらP2クラスがバランス的にも良いのですが。(実はこのスカイキャンサーには思い入れがあるのです。)

 ただ、それらすべてを考慮したとしても、使いたくないのが、「自由雲台」です。むしろ小型ポタ赤が悪いのではなく、この自由雲台の方に諸悪の根源があると思います。自由雲台の弊害は次のようなものです。

構図が決めにくい
 小型ポタ赤の場合、重心が低く、カメラは当然上を向いています。つまり構図を決めるため、下から見上げるようなかっこうになるわけです。場合によっては寝っころがった状態になると思います。この状態で、右手でカメラを持って、左手で自由雲台のロックレバーを操作するわけです。カメラの向きによってはもう「腹筋体操」状態です。
 それに自由雲台って、ロックすると微妙に構図がずれたりします。広角なら問題ありませんが、中望遠あたりになるとけっこうわずらわしくなります。

 いっぽう、普通のドイツ式の赤道儀の場合はどうでしょう。バランスをとってあれば、クランプフリーにしても動きません。片手でカメラを持ちながら、微妙な構図合わせしながら、構図が決まったらゆっくりロックすればいいのです。途中でカメラを放しても動きません。楽ですよ。

構図の再現性が低い
 撮影前にステラナビゲーター等で構図の確認することがあるでしょう。でその通り、現場で再現するのは自由雲台の場合、けっこう難しいです。(この構図どおりカメラを傾けたらぶつかったなどの経験があると思います)
 また、撮影が天候の悪化等で二晩がかりになることもあると思います。こういった場合、前回の構図を再現するのは自由雲台の場合難しいです。(ちょっとでもずれると、レンズの歪曲のためコンポで合わないことがあります)

 いっぽう普通のドイツ式の場合は、基本的に構図を再現するには一点で合わせればよいので、明るい星を基準にしてだいたいこの辺ということで合わせれば楽です。

やっぱり構図がへん
 星野写真の場合、構図の縦横を赤経緯線に合わせるのが慣例です。必ずそうしなければならないことはありませんが、やはり見慣れているせいか安定感があります。自由雲台を使った場合この赤経緯線に合わせるのが難しいです。ですから、自由雲台で撮られた写真のほとんどは見ればすぐわかります。ほとんどの構図が撮影者の独創です。中にはすごい、絶妙、と思えるものもあるのですが、逆に???と思ってしまうものもあります。他の部分が素晴らしい場合はもったいないな~と素直に思ってしまいます。

長時間撮影に向かない
 基本的に自由雲台というのはバランスという概念がありません。常にバランスが崩れた状態です。本格的な写真を撮ろうとした場合に、総撮影時間は数時間におよぶ場合がありますが、自由雲台の場合、数時間におよぶガイドには向かないと思います。カメラが途中で何かにぶつかったり、極端にバランスが崩れた状態になったりします。 

 繰り返しますが、この連載は数時間におよぶ撮影をして入選レベルの写真を撮ろうというものです。けして数分程度の簡単天体写真講座ではありません。それは前回の「デジタル星野写真入門」で十分です。事実前回は使用機材のモデルとして自由雲台も取り上げていました。ですから自由雲台を完全否定するものではありません。

 また、数時間におよぶ撮影(私はせめて一時間くらいは撮影して欲しいと思うですが)も面倒だからという方は、今後この連載を読んでもあまり恩恵はないと思います。この後、星雲を強調するための画像処理を紹介しましすが、星雲が浮き上がってくるのは、画像処理が素晴らしいのではなく、長時間撮影した結果の画像だから星雲が浮き上がってくるのです。ですから、僅か数分の画像を使って、私がこれから紹介する画像処理方法を追試したとしても何も出てきません。

次回はカメラについてぐだぐだ。

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2010年8月16日 (月)

新連載開始です

大好評だった「デジタル星野写真入門」から一年半。ついに続編が始まりま~す。最近暇なもんでね。このブログもすたれてきたので、そろそとテコ入れしなきゃ。

一年半たつと、ほんまかもだいぶ進歩しましたからね~ぜーんぶテク公開します。題名は

「ワンランクアップのデジタル星野写真」

ということで、前回の続編になりますが、中望遠~望遠や短焦点屈折などのノータッチガイド撮影前提の星雲写真が中心になると思います。目標レベルとしてはずばり「天文誌に入選しよう!」ということで。

でこのレベルになると、ほんまかも実際自分の方法が正しいかどうか、わかりません。正しくてももっと簡単な別の方法ああったりしますから。でもそんなこと気にしないでどんどん行きたいと思います。だってだれも教えてくんないだもん。

内容は前回同様。機材、撮影、画像処理の3部作構成ということで。

機材編
 赤道儀の選択
 カメラの選択
 レンズの選択
撮影編
 構図とピントについて
 感度、絞り、露出時間、コンポジット枚数について
画像処理編
 ほんまか流コンポジット
 フラット処理
 トーンカーブ
 星雲マスクと強調
 背景の処理
 色と彩度で魅せる
 微光星のコントロール(8/18追記)
 シャープ系処理
 強力ノイズ処理

ぱっと思いつくのはこれだけ。実際にはもっといっぱいになると思います。

それと前回はフォトショップエレメンツでできる画像処理ということでしたが、今回ばかしはエレメンツだけだときつい。特にトーンカーブが使えないのがきつい。ということで、ソフトはフォトショップCS系ということにさせてください。

それではお楽しみに。
  

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2010年8月12日 (木)

遠征中

晴れるかな~と思って湯の丸高原きてますが。。。

雨降ってます(泣)

外で、キャンプファイヤーやってる人がいる。。。

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2010年8月 8日 (日)

長野遠征大失敗

週末、天気が怪しかったのですが、長野方面に遠征にいきました。ちょうど原村星まつりが開催されていますので、星まつりにちょっとよって、そのあと、霧ヶ峰に行く予定でした。

原村星まつり

1008081

日食の説明してました。

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アクアマリンのCDを2枚買いました。

星まつりは10時ごろに切り上げて、いよいよ撮影に向かいます。原村はよく晴れていました。このまま原村で撮影しようかと思いましたが、霧ヶ峰の方が慣れていること、星景写真も撮りやすいこと、今日のターゲットのケフェウスが登るまでまだ余裕があったことなどで、結局、霧ヶ峰に向かうことにしました。

が、しかし。。。。

到着してみるとどんぐもり。

仕方がないので、また原村に逆戻り。これで2時間のロスです。でも薄明までまだ3時間あるので、さっさと撮影準備にとりかかり、ターゲットのケフェウスを中望遠で狙います。

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が、しかし、撮影開始して20分くらいして、構図をミスしてるのに気付きます。あぁ~、

仕方がないので、ケフェウスはあきらめ、短時間で撮影できる広角に切り替えです。

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構図のチェックのため、試写をしているうちに。。。雲が。。。

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あぁ~万事休す。結局成果はなし。

最初から原村で撮影していれば3時間は撮影できたと思うと、かなりショックで落ち込んでいます。12日から始まるお盆休みにリベンジです。

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2010年8月 5日 (木)

天文誌発売

今月も入選しました。V

天文ガイド

星雲がぼけた感じの写真で自信がなかったのですが、対象が珍しいのか載せていただきました。ありがとうございます。

前回白っぽいと指摘されたので、今回は赤くなるように処理したのですが、まだピンクぽいですね。このピンクを解消するには、Lの輝度を下げればいいのですが、そうすると階調の幅が狭まり輝度差が激しい対象は表現が難しいです。まだまだ勉強が必要です。

それにしても超シャープな「よっちゃんさんの作品」の近くだとボケボケ画像が余計目立って目だって、恥ずかしい限りです。う~ん、ほんとやだ。

星ナビ

こちらの方が嬉しい入選かな。

1008051

ところで、選者さんのコメントを読むと...「....挑戦しています」と書かれています。挑戦なんてそんな大げさな話ではなく単に暇つぶしなのですが。。。でも書かれてしまった以上、頑張るしかないですよね。

このような地上の前景がある写真ですが、前景をマスクし背景だけ選択してコンポジットすれば、もっと明瞭な写真ができます。実際やってみたこともあるのですが、ただ自分自身の倫理にてらして、そのようなことはしないと決めました。一枚撮りに徹することにしました。

ただ、相当悩むことは確かです。

否定論
 それは合成写真と変わらない。

容認論
 複数画像をコンポして、前景に一枚だけの画像を使うことはいわゆる「比較明コンポの星景写真」とやっていることは同じだから、比較明が許されるなら、これだって同じこと。

否定論
 比較明の場合は画像全体すべてのピクセルでどれか一枚の画像のピクセルが選択されていて、重みが画像全体で平等。だから作為が入る余地はない。この場合、前景だけ一枚で、背景はコンポされているので、画像の部分によって重みが違う。また前景と区別するためにはマスクを使う。星景にマスクを使うのはやりすぎ。

容認論
 合成写真にはあたらない、そもそも合成写真は違う場所で撮られた写真を合成するものであって、カメラの位置を動かさないのであれば、単なるスタッキングと同じで他の分野でも行われている。それに背景をコンポすると言っても星の位置関係は最初の一枚が基準だからいわゆる「ウソの写真」ではない、「真実の写真」である。

否定論
 そんな事を言ったら、最初の一枚の背景に一等星だけ写るように撮っておいて、背景は十分時間をかけてじっくり撮ればどんな写真だってできてしまうではないか。やはり歯止めは必要。

結局最後の否定論の理屈で、一枚撮りに徹することにしました。

わたし、このような議論って、手法がどうのこうのではなく、結局程度の問題と思うんですよね。何事もやりすぎは禁物。ちょっとぐらいは大目にみましょうよ。

さて、今年の夏は、お盆休みと新月が重なります。星まつりもあったりして、星三昧の夏になりそうです。作品も量産したいですね~、がんばるぞ~。

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