「ワンランクアップの星野写真その19」トーンカーブの例その2
今日は、トーンカーブの最後として、マスクを使った場合のトーンカーブの例を示します。
その前にマスクを使わない場合で復習してみましょう。
もう一度、北アメリカ星雲周辺の画像にご登場願います。
星雲のコントラストを上げて見ましょう。ヒストグラムの山の右側だけ太らせるためには、次のようにヒストグラムの山の左側を不変にして、右側をぐぐっと持ち上げてやります。
色に関しても同じです。少し赤みが足りないので、チャンネルをレッドにして、同じように持ち上げてやります。
「ヒストグラムの左側不変」の法則は個別の色に対しては特に重要です。左側を少しでも変えてしまうと背景のカラーバランスが崩れます。
その例を見てみましょう。
赤のトーンカーブをこのようにS字にまげてしまうと、ヒストグラムの山の左側が不ぞろいになります。つまり背景のカラーバランスが崩れます。一見、崩れていないように見えますが、背景だけを選択してみましょう。
ご覧のように背景がニュートラルではありませんね。このようなトーンカーブの操作はやってはいけません。
さて、次はマスクを使った場合はどうかです。マスクを使うと星雲だけとか、背景を排除して強調できますから、今までのような注意は不要で、わりと簡単に次のように全体的に持ち上げるだけで十分です。
個別の色に関しても同様です。
ただ、マスク自体に星雲の階調がないと、つまりベタ白、ベタ黒のマスクだともうちょっと慎重に操作する必要があります。
たとえば、次のようなベタマスクだと
ただ、持ち上げただけでは、星雲の階調がつぶれてしまいます。こうゆう場合は、ただ明るくするのではなく、トーンカーブに傾斜をつけてコントラストを上げるようにすると良いです。
こんな感じ。
逆に、マスクに階調があると明るい部分はより明るくなり、飽和しやすい傾向があるので、高輝度部は押さえ気味に持ち上げると良いでしょう。
例を上げます。
このマスクは階調豊かです。しかし、矢印の部分は飽和していますので、合成画像は飛びやすくなります。
上の図の矢印の部分を上げすぎです。ここは抑え気味にして、低輝度部分をもちあげるようにすると良いです。
こんな感じ。
以上、まとめますと、マスクの特徴によってトーンカーブの操作は異なり、
ベタマスクの場合→トーンカーブに傾斜を付け、コントラストをあげるように操作する
階調が豊富なマスク→全体に持ち上げて明るくする、ただし飽和に注意
ある程度、画像処理に手馴れた人はそんなの当たり前じゃないかというかも知れませんが、けっこうこのへんの感覚って身につめるの時間がかかるもんなんです。
次回はレイヤーのグループ化について。
| 固定リンク
コメント