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2010年9月25日 (土)

「ワンランクアップの星野写真その24」まとめ

長らく続けてきた「ワンランクアップのデジタル星野写真」いかがでしたでしょうか。本日にて終了いたします。

こうして自分の手法を記事にしてみると、あらためて、自分のネタの少なさに情けなくなります。う~ん。もっと勉強しなければならないのは私でした。と反省しております。

一方で、これから勉強始める方に一言。

この連載で紹介した方法を自分でも試してみて下さい。たぶん、うまくいかないでしょう。世の中そんなに甘くないというこですかね。まぁ、こんな事やってるんだなぁ~ってわかってもらえれば、それで十分です。

最後にもくじを書いておきます。さようなら。

ワンランクアップのデジタル星野写真
●機材、撮影編
 その1 赤道儀あれこれ
 その2 カメラあれこれ
 その3 レンズあれこれ
 その4 構図について
 その5 ピントと撮影パラメータについて
●下処理編
 その6 ほんまか流コンポジット
 その7 フラット補正
 その8 ヒストグラムについて
 その9 最後のフラット処理
●画像処理編
 その10 星雲選択マスクをつくる
 その11 星雲選択マスクをつくる2
 その12 星の調整
 その13 背景処理
 その14 ノイズ除去
 その15 カラーノイズの除去
 その16 シャープ系フィルター処理
 その17 トーンカーブの基本
 その18 トーンカーブの例S字
 その19 トーンカーブの例その2
 その20 レイヤーのグループ化
●フォトコン応募編
 その21 フォトコン応募
 その22 フォトコンの傾向と対策
 その23 フォトコン応募の注意点

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2010年9月24日 (金)

「ワンランクアップの星野写真その23」フォトコン応募の注意点

さて、この連載も大詰め。今日はフォトコン応募についてです。

プリント
 現在天文誌のフォトコン応募はデジタルデータでの入稿が認められていません。ということは、プリンタでプリントアウトしなければなりません。
 これが実はやっかいなのです。

 理想は、元の輝度情報のまま、そのまま印刷してくれればいいのですが、そうはなりません。

 天体写真を画像処理(管理)ソフトの、あるいはドライバの初期設定のまま印刷するとたいがいは、酷いことになります。これは天体写真などは全体的に暗いと判断され、自動的にレベル調整が入るためです。
 ですから、天体写真を印刷するときは、設定をマニュアル(手動)にし、各パラメーターを0にすることが基本です。

 それでも、プリンタは忠実に色を再現してくれません。私は以前、キャノンのプリンタを使っていた時は、それほど、この再現性の問題で悩むことはなかったのですが、エプソンのプリンタに変えてから、どんなに設定を変えようが、プロファイルを変えようが、色を忠実に再現してくれなく、非常に悩みました。
 最近のプリンタは色を鮮やかに印刷しようと勝手に輝度情報を変えるようです。少しくらいの違いなら、元画像に調整レイヤーを一枚追加して、ちょっと赤み強くするとか、修正が効くのですが、まったく違うのです。もうどうにもなりません。
 結局私は、プリンタプロファイルを安く作ってくれる業者を見つけて、プリンタプロファイルを作成してもらって、解決しました。この業者は、このサービスは今はやっていないようですが、興味のある方は「プリンタプロファイル作成」で検索してみてください。

染料系と顔料系
 プリンタにはご存知のように染料系と顔料系があります。現在は染料系が主流のようです。染料系は光沢感があって美しいのですが、色が落ち着くのに、時間がかかります。ですから、プリント直後に色評価はできません。プリント直後は綺麗だったのに、しばらくしたら色が変わったということがあります。
 顔料系は光沢感は染料系に劣るものの、プリント直後から、色が安定しているので、すぐ色評価ができます。

 以上のような理由から、プリンタプロファイルなどで、正確な色再現ができる印刷環境があるなら染料系が向いています。一方、実際のプリント出力を見ながら、微調整をしていく印刷環境なら顔料系が向いています。

 ちなみに私は、顔料系のエプソンPX-G930を使用しています。

色評価の環境
 印刷したプリントの色を評価する場合は、蛍光灯に注意です。実際蛍光灯の種類によってだいぶ色味が違うように見えます。特に心理的には緑色に対しては敏感なようです。選者がどんな蛍光灯下で評価しているかわかりませんが、おそらく専用の色評価用蛍光灯を使っているものと思われます。色評価用蛍光灯は売っていますが、一般の蛍光灯で言えば、昼白色(5000K)が近いようです。

背景はどのくらいの明るさがいいの
 天体写真を応募して、雑誌に写真が載ることを前提とすると、気持ち明るめがいいです。背景(星雲とか、天の川のない部分)の部分を選択して明るさの平均が60~70くらいが良いと思います。
 背景が暗い方がしまって見え、天体写真らしくていいのですが、背景が暗いと星雲の淡い部分がつぶれる可能性があります。また星がカリカリしやすく、目にきついです。(←これは実際に選者に指摘されたことがあります)
 実際、雑誌に写真が載ると、元の写真より、気持ちコントラストが高めになって淡い部分がつぶれやすくなります。(ノイズやムラとかも余計に目立ちます)

 また、色の再現性ですが、これは天文誌2誌とも、以前に比べて大変よくなりました。ただ、若干緑みが弱くなり、マゼンタよりになるような傾向があるようです。これは光害カブリを緩和してくれるので、好都合ですが。
 しかし、もともとニュートラル(グレー)なら、雑誌に掲載されてもニュートラルです。ニュートラルがニュートラル以外になることはありません。
 つまり、掲載された色が応募したプリントとあまりにも違うようなら、そもそもカラーバランスが崩れている可能性があります。雑誌のせいにするより自分の写真を疑ってみる必要があります。その証拠に入選常連者の方たちの写真はどれもみな美しいです。

いつまでに送ればいいの
 天文誌2誌とも、この日が締め切りとはっきり決めていないようですが、「天文ガイド」が月末、「星ナビ」が20日前後のようです。年末や連休などとのからみで、締め切りが早まることもあるので、数日は余裕を見て送るのがいいです。
 ただ、あまり早く送ってもメリットはないようです。

なんで送ればいいの
 郵送、宅配便、エクスパックなどが考えられます。締め切り近い場合は宅配便かエクスパックがいいでしょう。私はいつもエクスパックで送っています。

入選するとどうなるの
 特に何も連絡がありません。雑誌の発売日を楽しみに待ちましょう。だいぶ経ってから、賞金が送られてきますが、これも楽しみです。

次回はいよいよ最終回。まとめです。

 

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2010年9月23日 (木)

「ワンランクアップの星野写真その22」フォトコンの傾向と対策

前回、フォトコンはレベルだけで決められるわけでないので、進んで参加しようということ言いました。

では、どのような作品作りを目指せばよいのでしょうか、今日は私なりの作品のねらい目みたいな物を書いてみます。あくまでも私個人の感想です。

●見た目勝負
 やっぱり見た目勝負だと思います。新しいアイデアや新規性は、入選のハードルを下げてくれます。しかし、その新規性やアイデアが「作品」に表れていないと、まったく意味がありません。
 たとえば、ある画期的な方法を発見したとします。たとえば総撮影時間が半分になるような画期的な方法です。しかし、単に撮影時間が半分になっただけでは、何の意味もありません。それが作品に出ないかぎり、普通の作品と変わりありません。
 とにかく見た目勝負です。作品に表れない限り、データさえ見てもらえない可能性すらあります。

 同じことが、作品ずくりの労力についても言えます。撮影に10時間かかろうが、100枚モザイクしようが、最終的に出来た作品の見た目にインパクトがない限り、個人の労力はまったく意味がありません。

実例1
 私はイメージシフトによるモザイクといういわば特殊な方法、(新規性と言ってもいいかと思います)で、天体写真を始めましたが、結局これだけでは1年間入選はしなかったです。やはり、見た目ですぐ凄いと思えるような作品でないとダメなようです。

実例2
 2年前の秋、私はオリオン座の大作を撮影しに行きました。一晩かける大作です。しかし、まだオリオン座の高度が低かったため、手短にぎょしゃ座の写真を撮りました。
 結局、このぎょしゃ座の作品が最優秀に選ばれ、オリオン座の作品は入選すらしませんでした。個人の思い入れや労力なんて関係ありません。皮肉なもんです。

●シャープさより美しさ
 天体写真をやっている人はシャープさを過度に求める傾向があります。確かに重要ですが、美しさを犠牲にするほどではありません。

実例
 シャープさが重要なら、モザイク作品は入選しやすいはずです。私は、たくさんモザイクやっていますが、むしろモザイク作品の方が入選率は低いです。モザイクにかける時間があるなら一枚の露出時間を増やした方が、より美しく、よりインパクトのある作品を作りやすいです。(フルサイズにしたので、モザイクは必要なくなったという事もいえます。APS-Cなら、未だにモザイクに頼っていたかも知れません。)
(極論ですが、私は最近モザイクとコンポジットはまったく同じものではないかと思うようになりました。モザイクすると強調処理しやすくなりますので、これはコンポジットと同じ効果です。それとモザイクすると星が小さくなりますが、でも星があまりにも小さいと見た目へんです。そこである程度、星を強調して大きくしますので、結局同じことになります。空間的情報の蓄積がモザイクであり、時間的情報の蓄積がコンポジットになります。情報量が同じなら画像処理でいかようにも表現できますので、結局同じになります。)

フォトコンの傾向と対策を画角ごとにまとめて見ましょう。(私はあくまでも星野写真専門なので、星雲星団や月/惑星の写真は除外ですよ)

魚眼~超広角
 この画角は星野写真というより、星景写真と同じ扱いにされます。ですから、星野写真を意識するより星景写真として地上風景なども考えながら撮影計画を立てるといいでしょう。入選率で言うなら圧倒的に夏の天の川が良いということになります。
 高価な機材や、高度な画像処理技術もいらないので、初心者でもわりと入門しやすい画角です。
 見た目の美しさが重要ですから、光害の少ないところで、狙いたいです。
 広角レンズは収差が大きいので、十分絞って撮ります。コンポジットも数枚した方が良いです。星景写真だからと撮影の手間を省かず、真面目に取り組めば必ず入選できます。

Photo_ex1

広角
 主に天の川にそって撮影していきます。画角が広いので、定番の構図というものが既に出来上がっています。
○さそり座~いて座~わし座あたり
○夏の大三角
○はくちょう~カシオペア
○ケフェウス~ペルセウス
○ぎょしゃ~オリオン
○冬の大三角
 画角が広いので、いわゆるオリジナリティというのが出しにくいです。しかし選者も一期に一作品は載せたいみたいで、見た目綺麗であれば載せてもらえます。いっぽう、星景写真との兼ね合いもあるので、スペースがあるかどうか、わりと運に左右される画角でもあります。
 この画角は、中判銀塩写真では同じみですので、見慣れた作品になりやすいです。インパクトを与えるならデジタルらしく派手に仕上げてみるのも手です。

Photo_ex2_3   

標準
 この画角は、2通りのアプローチがあります。
その1 星座写真としての標準画角
 かつて、銀塩写真のころは、星座写真という分野が確かにありました。最近はめっきり星座写真が天文誌に載ることがなくなりました。私の経験でも星座写真で入選したのは僅か2作品のみです。一番力を入れて、一番たくさん送ったのも星座写真でしたが。。。
 まぁ、デジタルの時代には対象が地味なのかも知れません。

Photo_ex3

その2 星野写真としての標準画角
 これは星座を対象するのではなく、天の川の一部を切り取ったり、大きめの散光星雲群や、おうし座分子雲のような大きな広がりを持つものを対象するものです。
 この分野はまだまだデジタルでは撮り尽くされていません。開拓の余地がいっぱい残されています。
 ただ、他人の作品を見ていると、カメラレンズによるお気楽撮影気分が抜けきれていないのが残念であり、チャンスでもあるところです。望遠鏡の撮影と同じようにしっかりやれば、今までに見たこともない作品をたくさん作れる領域でもあります。

 この画角は、星が一番カリカリしやすい領域でもあるので、画像処理が一番難しいところです。広角は星が点のように小さく写りますので、わりとカリカリ感はなく天の川は全体的に雲のようになります。逆に、望遠や望遠鏡のような長焦点は星にある程度の大きさが出てきますので、星の周辺をやわらかくしやすいです。
 ところが、標準画角はこの中間で、一個一個の星が分離できるのですが、大きさが望遠ほど十分でないため、強調するとエッジがたって、星がカリカリしやすい、どぎつい写真になりやすいです。これを避けるには、露出時間を伸ばし、コンポジット枚数を増やすのが一番です。

 私はいつも思うのですが、なぜ広角系星野写真は、冷却CCDによる望遠鏡の作品と同じように手間暇をかけて撮れないのかと。どうも「星野写真=お気楽撮影」の呪縛から抜けきれないでいます。まぁ、だから私みたいな人がでも入選できるのですが。。。

中望遠
 現在私が最も力を入れている画角です。標準画角その2で説明したようにデジタルではまだ未開の領域です。中望遠画角の良い対象は全天にいっぱい残されています。
 ただ、この領域は「星雲星団」写真の領域とすこし被るので、望遠鏡派の人たちとの差別化が必要です。望遠画角では入りきれないような、大きな星雲、散光星雲群、分子雲などが対象になります。また天の川などを中望遠で撮ると、適度なクローズアップ感と、ワイド感が微妙にバランスしてあって、面白い領域と同時に難しい領域でもあります。

 また画像処理は、星野写真というより、本格的な「星雲星団」写真と同じようになりますので、画像処理技術も磨かなければなりません。

 またこの画角はノータッチガイドで撮影でき、それほど大きな赤道儀を必要もないので、安く、軽いシステムで天体写真を始めたい人に向いています。

Photo_ex4_2

望遠
 望遠レンズになると、完全に望遠鏡の星雲星団写真と被ります。画像処理方法も淡い星雲を美しく表現することが要求されます。星雲星団写真は、天体写真の花形です。人気の領域ですから入選も難しくなります。
 ただ望遠鏡よりもちょっと画角が広いので、それを利用して望遠鏡との差別化をすることが重要と思います。
 大きめな星雲を狙う、散光星雲群や、星雲星団をペアで収めるなど考えられます。あるいはマイナーな天体を狙うのもいいです。
 それから、天の川の見慣れた領域であっても望遠レンズでの切り取り方次第では、まったく新鮮に見えることもあります。「この領域はどこ?」と思ってもらえるような構図を見つければ、しめたものです。
 さらに、もっと差別化するなら絶対に人のやらないようなことをやってみることです。たとえばプレアデス星団をR64やHαフィルターで撮るなどです。こんなアイデアはいくらでも出てきます。 

次回はフォトコン応募の注意点です。 

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2010年9月21日 (火)

「ワンランクアップの星野写真その21」フォトコン応募

この連載の最後の締めくくりに、天文誌のフォトコンについて、あれこれ書いてみたいと思います。

何が、言いたいかというと、

「フォトコンに応募しようよ」

ということです。

フォトコン応募の意義
 やはり、フォトコン応募が前提だと、画像処理にしても全然、気合の入れようが違います。どんな事でも目標を持つことはいいことだと思います。だから、私は、どんどん応募しようよ、ということを言いたいのです。結局それが上達への近道だと思います。

フォトコンはレベルが高いから自分は無理
 と考えるのは間違いです。
 現在天文誌は2誌ありますが、どちらもフォトコンというより、単に読者の天体写真、あるいはギャラリーという色彩が強く、単純なレベルを競う場にはなっていません。

 もし、これらが、単に天体写真のレベルだけを競う場なら、常連さんや、高価な機材をもつ人だけの作品で埋め尽くされるでしょう。しかし、そうはなっていません。(確かに多いことは事実だが。。。)

 この点はどちらの天文誌も評価されるべき点と思います。

 では、どんな作品が掲載されるのでしょうか?

 私は選者でないので分かりませんが、おそらく、単に、選者が載せたいと思うものが載っているのでしょう。そして選者が載せたいと思う物は、読者を飽きさせないものです。(つまり来月も買ってねということ)

 つまり、フォトコンと言っても、雑誌の一コーナーであり、一部分なのです。

 だから、どんなにレベルの高い作品であろうと、毎月毎月M42の写真や、M31の作品が載るわけではありません。

 そんなこと、当たり前じゃないかと言われそうですが、これがわかっていれば、メジャーた対象を何の工夫もなく、単に綺麗に出来ました、という理由だけで送っても入選しないのは当然のこととわかります。

 編集部には毎月多くの作品が送られてきます。同じような写真がいっぱいあれば、その中から、一番レベルの高い作品が選ばれるでしょう。しかし、他にない唯一無二の作品であれば、多少レベルに問題があっても、これは載せたいと思ってもらえます。

 では、そのような作品はどうすれば出来るのでしょうか? ここはその人それぞれのオリジナリティーやアイデアと思います。ですから、私がこうだ! みたいな事は言えません。人それぞれ頑張ってください。ということになります。

 ただ、それでは面白くないので、次回から、私なりの作品づくりのポリシーというか、アイデアみたいなものを紹介してみたいと思います。参考になれば幸いです。

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2010年9月17日 (金)

「ワンランクアップの星野写真その20」レイヤーのグループ化

さて、画像処理の話も今回が最後。レイヤーのグループ化について、ちょっとお話して締めくくりたいと思います。

画像処理が進むと、レイヤーが必然的に増えてきます。私のパソコンは非力なので、処理が重くならないようにある程度レイヤーが積み重なったら、その状態で保存して、レイヤーを統合するようにしています。

もうひとつ積み重なったレイヤーの整理法としてグループ化があります。同じ目的の処理のレイヤーをグループ化しておくと整理しやすいです。

たとえば、これは星雲の強調処理のための3つレイヤーです。トーンカーブが2つ、色彩・彩度が一つ、目的は星雲の強調で同じですから、グループ化すると良いです。

1009171

3つのレイヤーをシフトキーを押しながら3つ選択し、(レイヤー)→(レイヤーをグループ化)でレイヤーをグループ化します。

1009172

グループにはグループ全体に有効なマスクをはることができます。グループのフォルダを選択し、(レイヤー)→(レイヤーマスク)→(すべての領域を表示)でマスク画面が現われますから、ここにマスクをコピーします。

1009173

この例では3つの調整レイヤーのマスクがすべて同じなので、グループのマスクに統一しました。もちろん、グループ全体のマスクと、グループ内の個々のマスクを両方をはることもできます。この場合は二重マスクになります。

同じ目的の処理をグループ化することにより、たとえば処理の効き具合を(不透明度)でコントロールすることがしやすくなります。たとえば、以下の例では、星雲の処理が派手すぎたので、不透明度を落とし、効き具合を弱めています。

1009174

レイヤーの整理法としては、私は面倒なので、あまりやりませんが、レイヤーの処理の内容が分かるように名称をつけておくのも良いです。

これで画像処理については終わりです。次回からフォトコンについてあれこれ、話したいと思います。うんちく復活!

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2010年9月16日 (木)

「ワンランクアップの星野写真その19」トーンカーブの例その2

今日は、トーンカーブの最後として、マスクを使った場合のトーンカーブの例を示します。

その前にマスクを使わない場合で復習してみましょう。

もう一度、北アメリカ星雲周辺の画像にご登場願います。

1009161

星雲のコントラストを上げて見ましょう。ヒストグラムの山の右側だけ太らせるためには、次のようにヒストグラムの山の左側を不変にして、右側をぐぐっと持ち上げてやります。

1009162

色に関しても同じです。少し赤みが足りないので、チャンネルをレッドにして、同じように持ち上げてやります。

1009163

「ヒストグラムの左側不変」の法則は個別の色に対しては特に重要です。左側を少しでも変えてしまうと背景のカラーバランスが崩れます。

その例を見てみましょう。

1009166

赤のトーンカーブをこのようにS字にまげてしまうと、ヒストグラムの山の左側が不ぞろいになります。つまり背景のカラーバランスが崩れます。一見、崩れていないように見えますが、背景だけを選択してみましょう。

1009167

ご覧のように背景がニュートラルではありませんね。このようなトーンカーブの操作はやってはいけません。

さて、次はマスクを使った場合はどうかです。マスクを使うと星雲だけとか、背景を排除して強調できますから、今までのような注意は不要で、わりと簡単に次のように全体的に持ち上げるだけで十分です。

1009164

個別の色に関しても同様です。

1009165 

ただ、マスク自体に星雲の階調がないと、つまりベタ白、ベタ黒のマスクだともうちょっと慎重に操作する必要があります。

たとえば、次のようなベタマスクだと

1009169

ただ、持ち上げただけでは、星雲の階調がつぶれてしまいます。こうゆう場合は、ただ明るくするのではなく、トーンカーブに傾斜をつけてコントラストを上げるようにすると良いです。

こんな感じ。

10091614

逆に、マスクに階調があると明るい部分はより明るくなり、飽和しやすい傾向があるので、高輝度部は押さえ気味に持ち上げると良いでしょう。

例を上げます。

10091611

このマスクは階調豊かです。しかし、矢印の部分は飽和していますので、合成画像は飛びやすくなります。

10091612 

上の図の矢印の部分を上げすぎです。ここは抑え気味にして、低輝度部分をもちあげるようにすると良いです。

こんな感じ。

10091613

以上、まとめますと、マスクの特徴によってトーンカーブの操作は異なり、

ベタマスクの場合→トーンカーブに傾斜を付け、コントラストをあげるように操作する
階調が豊富なマスク→全体に持ち上げて明るくする、ただし飽和に注意

ある程度、画像処理に手馴れた人はそんなの当たり前じゃないかというかも知れませんが、けっこうこのへんの感覚って身につめるの時間がかかるもんなんです。

次回はレイヤーのグループ化について。

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2010年9月15日 (水)

「ワンランクアップの星野写真その18」トーンカーブの例S字

それでは今日はトーンカーブの例として、コントラストアップ、つまりS字カーブについて説明しましょう。

題材は最近撮ったこれ。

1009141

天体写真の元画像って、こんなに眠たいのです。そこでトーンカーブ一発でコントラストアップしてみましょう。つまりS字です。しかし、S字って一言でいったって、それは様々です。

1009142

普通にやるとこんな感じ。ちょっと暗いですか? 天の川をもっと出したいですか?
ならば、こんな感じ。

1009143

だいぶ、はっきりしてきました。でも星がカリカリしてませんか?

どちらが良いかは人それぞれ、美的感覚の問題ですから、どちらが良いとはいいません。ただ、次の点ははっきりさせておく必要があります。

1 やろうとしていることの方向性、目的
 抽象的な表現で言っても仕方がないので、はっきりいうと、次のようなヒストグラムを作ることが目的です。

1008262_2

つまり、ヒストグラムの山の左側をあまり太らせないで右側を太らせる。私があまりにもヒストグラムの山の形にこだわりすぎていることに対する異論もあることでしょう。でもそれ以外に客観的な指標ってありますか? だれもが理解でき、再現できる方法があるでしょうか?

2  やっていることを理解する
 S字カーブなんて、だいたい表現が抽象的過ぎます。そこでまず私の例を見てください。
私は普通トーンカーブ一発でコントラストアップはしませんが、もし、画像処理がトーンカーブ一発しか許されないなら、次のようにします。

1009144

もっとはっきり天の川を出したい欲求にかられますが、トーンカーブ一発ならこれが限度と思います。さて問題は上記のS字カーブです。

実はこれは3つのことをいっぺんにやっているのです。だから抽象的になってしまうのです。この3つのやっていることを分解して、それぞれを理解すれば、話は簡単になるのです。

それでは、その3つのことを分解して見ましょう。

①全体的に暗くする。
 ヒストグラムの山が左側1/4のところくらいにくるようにトーンカーブ全体を押し下げます。実に分かりやすいですね。

1009145

②中間調のコントラストを上げる
 山の左側半分のトーンカーブが動かないようにポイントを打ってください。そして、図の矢印に部分を持ち上げます。
 この①と②を組み合わせたのが、S字になります。

1009146

③背景のコントラストを下げて、背景を滑らかにする
 図のように、ヒストグラムの山の右側を動かさないようにポイントを打ち、山の左側を持ち上げます。

1009147

 さて、以上①~③の操作の合成ですが、大事なことは①~③を一緒にやる必要はないということです。また順番もこの通りである必要はありません。

 ほんとにコントラストアップと言える操作は②だと思います。ですから②の形はよく覚えておいてください。

 ①に関しては、画像処理の初期段階であまりにも明るいと、階調の高輝度部への割り当てが難しくなるので、わりと画像処理の最初の段階で行っておくと良いでしょう。

 ②の中間調のコントラストアップですが、低輝度側が固定されているので、あまりコントラストが上げられません、そのため天の川がはっきりしません。しかし、逆にこれが無理なコントラストアップのリミッターになっています。これを超えてコントラストアップしようとすると星がカリカリになってしまったりするのです。

 画像全体でかけるコントラストアップはこれが限度と思い、後はマスク処理などと組み合わせて処理するか、何らかの滑らか処理を加えるなどの対策が必要です。

 ③の操作に関しては、階調を詰める操作であり、あまり画像処理の初期段階でやると淡い部分の情報が落ちます。なるべく画像処理の最後の段階でやるべきです。

まとめ。
トーンカーブのS字が難しいなら分けて行う。
①最初は明るさの調整、
②それから、中間調のコントラストアップ
③画像処理の最終段階で背景なめらか処理

さて、次回はマスク処理でのトーンカーブの例を示します。

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2010年9月14日 (火)

「ワンランクアップの星野写真その17」トーンカーブの基本

トーンカーブの重要性

 今日から数回にわたりトーンカーブについて説明します。フォトショップエレメンツにはこのトーンカーブがありません。今回の連載で使用するソフトをフォトショップCS系にしたのは、このトーンカーブがあるからです。
 それほど重要なわけです。フォトショップエレメンツにも「明るさ・コントラスト」なるコマンドがあります。でもこれでは絶対できない操作があるわけです。

 たとえば、画像を明るくすると言った場合、明るい場所をより明るくするのか、暗い場所を明るくするのかでは、全然意味合いが違ってきます。このような細かな操作ができるのは、トーンカーブ以外にありません。

次のような天体写真
1 背景が黒くしまり、星雲の暗部がつぶれ、明るい飽和部分が多いやたらコントラストの高い画像。
2 星がカリカリしてただの点のようで、背景がざらざらしてしている
3 色むらやカブリが目立つ

 このような症状の原因の一つに、トーンカーブを使っていないか、あるいは使っていても、使い方を間違っているケースがあります。
 トーンカーブを使えば、階調の滑らかさを維持しつつ、必要な部分だけに強調処理をすることができます。

トーンカーブの基本

1009091

トーンカーブの画面は次のようなものです。横軸は現在の階調で右へ行くほど、輝度が高くなります。縦軸は修正後の諧調で上へ行くほど輝度が高くなります。輝度レベルは最低0で最高255であらわします。

まだ何もしない場合は、補正前の輝度=補正後の輝度ですから、トーンカーブは上記のように45度の直線になります。

この直線を変形させることによって、画像を補正します。簡単な例を示します。

まず、マウスでこの直線を上に持ち上げて見ましょう。この操作は画像を明るくする操作です。

1009092

今度は、逆に押し下げて見ましょう。これは画像を暗くする操作です。

1009093

マウスで曲線をクリックすると、点が打たれます。この点をポイント(またはアンカー)といいます。ポイントが打たれると、そのポイントをマウスでドラッグすることにより曲線を変形できます。また、ポイントは他のポイントが移動された場合もこのポイントだけは移動しません。ですから、ポイントは不動点の意味合いもあります。

さて、今度は次のように2箇所を変形し、緩やかなS字にしてみましょう。これはトーンカーブの基本中の基本、つまり画像のコントラストを上げる処理です。

1009095

「コントラストを上げる=S字カーブ」と覚えましょう。実はこのS字カーブ、奥が深いんです。

実は、この曲線の接線の傾きがコントラストをあらわします。そして
傾きが急=コントラストが高い
傾きが緩やか=コントラストが低い
の関係にあります。

1009096

つまり、S字カーブは画像全体のコントラストを上げるのではなく、中間調の部分のコントラスト上げ、逆に、暗い部分と明るい部分のコントラストを下げるといえます。

なぜ、全体のコントラストを上げないのでしょうか? そこで、等間隔に並んだ階調(つまり輝度情報の間隔)がS字カーブによってどのように変化するか見てみましょう。

1009097

コントラストが高いということは階調の間隔が広いということです。逆にコントラストが低いということは階調が詰まっているといえます。階調数を補正前と補正後で普遍にするならば、つまり情報落ちがないとするならば、どこかの階調を広げたならば、どこかの階調を詰めなければなりません。いいえ変えれば、どこかのコントラストを上げたなら、どこかのコントラストを下げなくてはいけません。この難しい屁理屈がS字カーブなのです。

単に、トーンカーブの曲線を傾けただけなら必ず情報落ちが発生します。

10090913

トーンカーブで絶対にやってはいけない操作があります。下図のように右肩下がりの曲線です。これは階調の逆転現象がおきますので、絶対にやってはいけません。

1009098

また、下図の矢印の部分は通常は動かしません。このポイントは輝度255、つまり飽和点であり、真っ白な状態です。つまり、「真っ白な部分は常に真っ白であり、また真っ白でない部分が真っ白になることはない」ということです。(この点を左に動かす操作はあるかも知れない、ただそれはレベル補正と同じ操作になるので、トーンカーブ独自の操作としてはあまりない)

1009099

下図の操作は、飽和点を255より下げることになり、画像の一番明るい部分が真っ白ではなくグレーにすることである。これは階調を有効に使わないことだから、このような操作は普通は行わない。

10090910

下図の操作は、たとえば輝度200以上をすべて飽和させてしまうような操作です。前述したようにトーンカーブの操作としてはあまりしない。

10090911

最後のポイントの打ち方を説明しておきます。通常はマウスでクリックすればよいのですが、画像の該当場所から輝度をひろってくるには、Ctrlキーを押しながら、画像の該当場所をクリックしてください。

10090912

これで、そこに対応した輝度の部分にポイントを打てます。またポイントはマウスのドラッグだけではなく、矢印キーでも移動できます。(削除はDELキー)微妙な操作が必要な時は、矢印キーを使うと良いでしょう。

次回はトーンカーブ操作の具体例を示したいと思います。

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2010年9月13日 (月)

遠征の成果

完成

1009132 EF35mmF1.4L -> F4  EOS 5D MARK2 ISO1600
4min×22枚(うち8枚はR64フィルターF2.8 L成分に加算 うち4枚はソフトン露出1分比較明合成)

前回ISO3200で撮って失敗したので、今回はISO1600で撮りました。ノイズは十分少なくなりました。

この領域は天の川が淡いのですが、こうしてじっくり撮影してみると意外とにぎやかです。ぎょしゃ座の北東に大きな淡い散光星雲が写っています。淡い物好きにはたまらない獲物と思いますよ。来月あたりはここを撮ってみましょうか。

おまけ1009131_2

EF135mmF2L開放 EOS 5D MARK2 ISO6400
4秒×16枚

最近ひそかにマイブームの固定撮影の星野写真。まぁ、ここまで写ればいっか。なんしろ、たった4秒ですから。これで勘弁してください。

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2010年9月12日 (日)

遠征報告

週末は二晩にわたって遠征してきました。

金曜夜
 GPV気象予報では、本命の湯沢は雲の下。そこで、長野の霧ケ峰に行ってきました。10時に到着すると全天快晴。ところが設置場所を思案している最中に雲が湧いてきて、あっという間に空を覆い尽くしました。

 GPV気象情報を見ると、長野県に大きな雲が接近中。そして、湯沢は雲のない予想。そこで、急遽、湯沢に行くことに。

 途中、もしかしたら、と思い湯の丸高原によってみましたが、だめ。12時半に、湯沢に、向かいました。

 2時過ぎに湯沢に到着、快晴です。しかし、時間がない。今日は中望遠で、じっくりケフェウスあたりの散光星雲を撮ろうと思っていましたが、もうケフェウスは西の空。

 けっきょく広角レンズで、ぎょしゃとペルセウスのツーショットを撮っただけで、薄明を迎えました。

土曜夜
 天気予報は良くなかったものの、八千穂高原に行くことに。到着すると半分雲、西側からどんどん雲が湧いてきます。北八ヶ岳の西斜面に湿った空気があたり、雲が発生していると推察、ならば北八ヶ岳の西側に出ればと思い。峠を越えて、蓼科方面へ。

 予想はあたり、晴れています。ただいつ雲が多くなってもおかしくない天気。そこで、短時間で撮れる固定撮影の星野写真を数枚撮って、星景写真を撮るため、霧ケ峰へ、

 到着時はだいぶ晴れていたのですが、あれこれロケーションを考えているうちに、雲の中。そのまま撮影は断念。車で休憩後、翌朝、美ヶ原を散策して帰宅。

結局、週末のガソリンまき散らし遠征は
霧ケ峰→湯の丸高原→湯沢→自宅→八千穂高原→蓼科→霧ケ峰
とわたりあるき、労多くして、成果少なし、といったところ。

とりあえず、処理済み次第成果をアップしたいと思います。

 

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2010年9月11日 (土)

遠征中

湯沢。晴れた。

一作品ゲット

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2010年9月10日 (金)

「ワンランクアップの星野写真その16」シャープ系フィルター処理

天の川の広角写真などはあまり必要ではないが、星雲写真などは多少シャープ系のフィルター処理をした方が、引き締まって見えます。ただ、やりすぎると荒れた感じになるので注意が必要です。

正直言うと、私は、シャープ系のフィルター処理はいまいち、良く分かりません。なかなかこれと言う方法を見い出せないで、うまく行く時もあれば、うまく行かないときもあります。だから、まだ研究途中ということご勘弁願いたいです。

ただ、はっきり言えることは、画像全体にフィルターをかけてはいけないということは分かります。星を排除したマスクを通すか、星雲だけを選択したマスクを通すか、あるいは両方か。私は境界、エッジにだけシャープ系のフィルターをかけるのが良いと思っているんですが、そのようなマスクを未だ作成できていないです。

さて、ここではもっとも簡単な方法として、星雲選択マスクを通して、シャープ系フィルターをかける方法を紹介します。星雲選択マスクの作り方は以前説明しました。

まず、背景レイヤーを複製します。

10090815

次に(レイヤー)→(レイヤーマスク)→(すべての領域を表示)でレイヤーマスクを作ります。

10090816

ALTキーを押しながら、白いマスク画面をクリックし、コピーした星雲選択マスクを貼り付けます。(星雲選択マスクはαチャンネルにコピーしておくと便利ですが後で説明します)

10090817

レイヤー画面をクリックし、ピクセル等倍表示にします。そして、(フィルター)→(シャープ)→(アンシャープマスク)で適応具合を確認しながら、パラメーターを設定します。

10090818

フィルターが効き過ぎなら、不透明度を落として効き具合を調整します。

10090819

以上で完了です。あまりかけすぎないように注意しましょう。

補足
 マスク画像のような、いろいろなところで使いまわすものはαチャンネルに保存しておくと便利です。

チャンネルパレットにします。

10090820

右下の「新規チャンネルを作成」のマークをクリックします。

10090821

これで、αチャンネルが追加されました。ここにマスク画像を貼り付けます。
そして、αチャンネルは非表示にしておきます。他のチャンネルは表示です。

10090822

必要な時に、このαチャンネルからコピーして使うと良いでしょう。

今回をもって画像処理の一連の流れの説明は終了です。次回は、説明を省略した「トーンカーブについて基本事項を説明します。既にトーンカーブを利用している人は、ありきたりの話で面白くないでしょう。ただ、今回初めてCSを買ってトーンカーブを使う人もいるでしょうから、詳しく説明したいと思います。

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2010年9月 9日 (木)

「ワンランクアップの星野写真15」カラーノイズの除去

前回は、ノイズの除去、軽減についてお話しました。今回はカラーノイズです。カラーノイズとは、偽色やホットピクセルですが、天体写真的にいうなら、星のまわりの色ニジミです。パープルフリンジ、赤ニジミで、青ハロなども広い意味で含めることにします。

カラーノイズは、フォトショップの(フィルター)→(ノイズ)→(ノイズを軽減)でだいぶとれますが、さらに強力にとる方法を説明します。色解像度が落ちることを無視すれば、いくらでもとることができます。

前回のノイズはいわゆる輝度に関するノイズでこれを除去するのに、ダスト&スクラッチを利用しました。今回は色に関するノイズでやはりダスト&スクラッチを利用します。

その前にフォトショップCSのLabモードについて説明しましょう。通常はRGBモードで、R/G/Bの各色の輝度で画像を表現します。まず下のいつもの画像を見てみましょう。

1009081

ちょっと赤の彩度が低いように思います。もうちょっと赤々させたいです。レイヤーパレットの横のチャンネルパレットで「レッド」を選択し。、「明るさ、コントラスト」で強調して見ます。

1009082

好みの赤に近づけようとすると、全体の輝度まで上がってしまうことが分かります。これを避けるには、他のチャンネルの輝度を下げる必要があります。つまり赤だけコントロールしたいのに、他の色も操作しなければならないことが分かります。

一方、Labモードは、輝度の情報を持ったLチャンネルと、(赤み-緑み)をあらわすaチャンネル、(黄色み-青み)をあらわすbチャンネルで画像を表現するものです。輝度の情報と2次元の色の情報が完全に分離しているのが特徴です。

Labモードにするにはすべてのレイヤーを統合後、(イメージ)→(モード)→(Labカラー)とします。チャンネルパレットでLのチャンネルを選択すると、輝度チャンネルです。

1009083

これは通常のRGB画像をモノクロ化したものに他なりません。
次に、aチャンネルを選択してみます。

1009084

明るい部分が赤が強い部分です。暗い部分が緑が強い部分です。ここの明るさは実際の明るさとはまったく関係ありません。

同様にbチャンネルを選択してみます。

1009085

明るい部分が黄色みが強い部分です。暗い部分が青みが強い部分です。やはりここの明るさは実際の明るさとは何の関係もありません。さて、中央やや右上に暗いドーナッツ状の輪ができています。暗いのは、暗いという意味ではなく、青が強いということです。つまり、青ハロの部分です。これを覚えておいてください。

さて、すべてのチャンネルを表示させた後、aチャンネルを選択して見ましょう。

1009086 

ここで、(イメージ)→(色調補正)→(明るさ・コントラスト)で明るくして見ましょう。

1009087_2

aチャンネルを明るくするということは、赤みを強くするということです。今度は暗くしてして見ましょう。

1009088

aチャンネルを暗くするということは、画像を暗くするのではなく、緑みを強くするということです。

さて、ここまで準備できたら、星雲を赤々させることは簡単ですね。画像を全体的に明るくするのではなく、赤い部分はより赤く、そうでない部分はよりそうでない(へんないいかただが、緑の部分がないのでこのような表現になってしまう)、つまりaチャンネルのコントラストを上げればよいのです。

1009089

この操作によって輝度は変化しません。一般に
赤-緑の彩度を上げるには->aチャンネルのコントラストを上げる
赤-緑の彩度を下げるには->aチャンネルのコントラストを下げる
黄-青の彩度を上げるには->bチャンネルのコントラストを上げる
黄-青の彩度を下げるには->bチャンネルのコントラストを下げる
という関係が成り立ちます。

ですから、たとえば、青ハロが目立つようなら、青の彩度を下げてみるといいでしょう。それではbチャンネルのコントラストを下げてみます。

10090810

確かに、矢印の部分の青の彩度がおちました。このときのbチャンネルを見ると、確かに暗い輪が薄くなっています。

10090811

この輪が完全になくなれば青ハロは消えます。しかし、まったく平坦にしてしまうと、画像から青み、と黄色みが消えてしまいます。カラーノイズはたいがい局所的なものです。つまりbチャンネル全部を平坦にする必要はなく、その部分だけ平坦にすればよいのです。つまりぼかせばいいのです。実際にはダスト&スクラッチを使います。

よって、
赤ニジミを軽減するには->aチャンネルにダスト&スクラッチ
青ニジミを軽減するには->bチャンネルにダスト&スクラッチ

実際にやってみましょう。左下の星の周りに色ニジミが見られます。

10090812

aチャンネルにダスト&スクラッチを10ピクセル(実際の値はカメラの画素数により異なる)

10090813_2

bチャンネルにダスト&スクラッチ10ピクセル

10090814

色ニジミが完全に消えました。局所的には彩度がなくなりますが、全体的に見れば色みが変わる事はありません。輝度も変わりません。

カラーノイズの除去が完了したら、通常のRGBカラーに戻す必要があります。

次回は、シャープ系フィルター処理です。

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2010年9月 8日 (水)

「ワンランクアップの星野写真その14」ノイズ除去

今日はノイズ除去についてあれこれ書いて見たいと思います。その前に、

「なんか世の中、ノイズ、ノイズって、騒ぎすぎじゃありませんか?」
そんなにノイズって気になります?

私なんか、istDsというとんでもないカメラでデジタル天体写真を始めたから、キャノンやニコンのカメラの低ノイズが夢のような世界に感じてしまいます。

まぁ、ノイズって言い訳にしやすいんだと思います。とりあえず、「ノイズが。。。」と言っておけば、みたいな。

ノイズが気になる人は、今の自分の処理に問題がないかチェックしてみる必要があります。

ノイズに関するチェック項目
1 露出不足じゃありませんか?
 ヒストグラムの山が中央くらいになるまで露出しましょう。露光不足だと画像処理で強調することになり、ノイズが強調されます。

2 コンポジット枚数が少なくありませんか?
 加算平均コンポジットでいくらでもノイズを減らせます。

3 ダーク減算してますか?
 最近のデジカメはアンプノイズが少ないので、ダーク減算を省略する場合があるようですが、ダーク減算した方が、ノイズは確実に減ります。

3 現像時、コントラスト、明るさ、露光量を上げていませんか?
 これらをすると、背景のノイズまで強調されます。現像時はパラメータ0とし、後で画像処理の段階で注意深く強調処理をした方が結果は良いです。

4 加算コンポジットしてませんか?
 加算コンポジットは、冷却で撮られた写真や、既に加算平均でノイズレベルが低く抑えられた画像には効果ありますが、それ以外の場合は、ノイズレベルまで強調されます。

5 画像処理で無理に強調処理をしていませんか?
 特に、「明るさ・コントラスト」のようなヒストグラムの左斜面を太らせるような強調処理はご法度です。これさえしなければ、そう荒れることはありません。

以上のことを注意すれば、通常、私はノイズが問題になることはありません。もちろん皆無ではありませんが、そんな気になるレベルではありません。

さて、それでもノイズを軽減したい場合があります。どんな場合かというと、

1 淡い星雲を出したい
2 短時間高感度撮影の星景写真
3 感度設定ミス、コンポジット枚数不足など思わぬ事態でノイズが増えたとき

まぁ、いろんな理由があって、ノイズ除去に頼らなければならないこともあるでしょう。そこで、今回は画像処理でノイズを軽減する方法を説明します。

 それから、最初に断っておきますが、ノイズを軽減しようとすると、必ず細部、ディーテールが失われます。だから、ノイズ処理は滑らかさの追求とディーテールの保持のせめぎ合いです。どこで折り合いをつけるかが重要になります。
 非常に微妙な処理であることは確かですので安易にやるべきではありません。いっぽう、A4プリントで分からない細部までこだわってもしょうがないので、A4プリントで分からないレベルまでなら、どんどんやるべきという考え方もあります。

それでは実際にやって見ましょう、題材はこれ

10090711

ノイズが分かりやすいように強調して見ましょう。(ほんとは強調する前にノイズ除去する)

10090712

ISO6400の4秒露出、高感度で、露出不足な画像を無理やり明るくしているので、ざらざらです。しかし、このような星景写真は細部のディーテールなんて二の次ですから、多少解像度が落ちても、滑らかさが優先されます。

ピクセル等倍表示にし、レイヤーを複製します。そして、いつものように「比較明」にします。

10090713_2

ここで、(フィルター)→(ノイズ)→(ダスト&スクラッチ)で半径10ピクセルにします。

10090714_2 

どうです。滑らかになりました。

10090715

ただ、多少画像がぼけます。星景写真だからこれでもいいでしょう。

しかし、画像をぼけさせないで、もっと強力なノイズ除去もできます。やって見ましょう。題材は最近撮ったこの写真。この暑い夏場にISO3200なんてバカな設定で撮ってしまいました。

10090716

これでも8枚加算平均しているのですが、ピクセル等倍にするとザラザラです。最初これを見たとき、失敗したなぁ~と思いましたが、画像処理でノイズ除去してやってみるかと気を取り直しました。

10090717

トーンカーブのレイヤーが2つ出来ていますが、これはノイズがわかりやすいように強調しているためです。この2つのレイヤーは無視してください。

先ほどと同じように、レイヤーを複製し、比較明にし、ダスト&スクラッチで半径10にします。

10090718

まだ、ノイズというか、輝度ムラみたいなものが残っています。そこで思い切って半径25にしてみます。(実際の値はカメラの画素数によって異なります)

10090719

滑らかになりました。ただ、これだけぼかすと、星雲なんかもボケボケです。ですから、背景だけをぼかすようにします。

(レイヤー)→(新規調整レイヤー)→(トーンカーブ)です。ここで、「下のレイヤーを使用してクリッピングマスクを作成」にチェックを入れます。

10090720

そうすると、この調整レイヤーは、直下の一枚だけのレイヤーに影響します。(普通は下のすべてのレイヤーが合成された画像に影響します。)

10090721

次に、トーンカーブの画面を開き、ヒストグラムの山の左側を少し、持ち上げ、右側を少し下げます。このようにすることにより背景だけぼかすことができます。(この分岐点は非常に微妙です。一歩間違ればひどい作品になります。実際の画像を見ながら何度も何度も試しましょう)

10090722_4

処理前と処理後を比較してみましょう。多少星雲の輪郭がぼけましたが、これはピクセル等倍ですからね。A4プリントではまったく分かりません。

10090723

背景が滑らかになったら、トーンカーブで強調処理します。順番に注意してください。背景を滑らかにしてから強調処理ですよ。

それから、ダスト&スクラッチの代わりに、ぼかし(ガウス)でもいいです。いろいろな値で試してみてください。

さて、ノイズ除去の方法いかがでしたか? フォトコン入選者はこんなずるいことしてたんですね。(みんながみんなでないですよ)

次回はカラーノイズの除去です。

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2010年9月 7日 (火)

「ワンランクアップの星野写真その13」背景処理

今日は天体写真の背景処理について書いてみたいと思います。ぱっと見、美しい写真は背景処理に負うところが多いです。

では、背景はどのようにすればよいのでしょうか、以前出したヒストグラムを思い出しましょう。フラット領域と呼ばれる部分が背景です。

フラット部分は、山が切り立っていて、3色が一致していることが望ましいのでした。つまり、山が切り立っている→コントラストが低い。3色が一致→背景がニュートラルまたは彩度が低い。

1008262_3 

これにノイズが少ないを加えたのが、背景の条件です。

背景の条件
1 コントラストが低い
2 ニュートラル(彩度が低い)
3 ノイズが少ない

今日は1と2について説明します。ノイズの除去については後日説明します。

背景のコントラストを低くする

 前回までの画像にまたご登場願います。(落選作品ですみません)

1009071

トーンカーブの調整レイヤーを作り、下図のようにトーンカーブのシャドー部を持ち上げてください。

1009072

やりすぎに注意しましょう。コントラストを低くする処理は階調を圧縮しますので、後戻りできません、また星雲の淡い部分がのっぺりするようならアウトです。星雲の淡い部分に影響を与えない程度で済ませましょう。

また、この処理は階調を圧縮しますので、画像処理の初期の段階ではするべきではありません、最後の仕上げにしましょう。

背景をニュートラルにする

背景ニュートラルの重要性
 天体写真の背景はニュートラルが基本です。必ずそうしなければならないことはないですが、ニュートラルが一番綺麗に見えて、3色がバランスよく見えます。背景がどれかの色に偏っていると、その色の表現が死にます。
 構図と同じで、ベテランほど、背景ニュートラルに関しては完璧で、未習熟者ほど、無頓着な人が多いです。

 構図のところでも言いましたが、基本に忠実であることに縛られることはありません、ただ、基本に従わないで、なぜ、「わざわざ不利になることをするのか」、なぜ、「わざわざ自分からハンディを作るのか」 と思ってしまいます。

 さて、背景をニュートラルにする方法は、「グレー点の設定」といいますが、これは、レベル補正やトーンカーブのダイアログで矢印の部分をクリックして行うことがよく説明されています。

10090722_3   

ただ、この方法は画像の一点しか抽出していないので、正確ではありませんし、画像のクリックする位置で色合いが変わってしまいます。

もう少し広い範囲を抽出して設定する必要があります。

そこで私は以下のようにしています。まず、「レベル補正」または「トーンカーブ」の調整レイヤーを作ります。そして、画像の背景部分をなるべく広く四角で囲みます。

1009073

そして、ヒストグラムの山の左斜面が揃うように色のレベルを整えます。この例では赤がちょっと低いので、赤のレベルを上げます。

1009074

調整レイヤーを使うところがミソです。画像ダイレクトにレベル補正すると、四角で選択された部分しか、レベル補正されません。

調整レイヤーを使うと、ヒストグラムは選択された部分だけ表示されます。つまり背景部分だけのヒストグラムが表示されます。しかし、レベル補正は画像全体に適用されます。この性質を利用しているわけです。

ちなみに背景の輝度レベルですが、ヒストグラムの「平均」のところを見てください。印刷が前提なら60~70くらいにします。モニタ上での作品公開だけなら、もう少し低くてもかまいません。(40~60)

背景ニュートラルに関してはこれで十分ですが、さらに徹底して、やるなら、以下のような方法もあります。

(イメージ)→(色調補正)→(色の置き換え)で、背景部分を選択し、彩度を落とします。

1009075

許容量を十分注意してください。星雲の淡い部分の彩度まで落ちてしまうとアウトです。この処理は気休め程度と思ってください。

さて、こうやって、背景を滑らかにした画像は強調処理しても色むら等が発生せず、綺麗に見えます。

1009076

さて、次回はノイズ低減処理についてお話します。

(題材の北アメリカ星雲周辺の写真の処理はこれにて完了です)

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2010年9月 6日 (月)

残暑遠征の成果

気持のよい星見でした。暑くも寒くもなく、寝っ転がって星を見上げていました。湿気も少なかったです。

ただ夏場はやっぱノーマルデジカメ、ノイズが急上昇しますね。なんか冷却5DMk2の話も出ているようですが、やっぱ高いしね、逆に言えば、夏場以外あまり必要性を感じないのも事実。

最近の私は、淡い星雲をインパクトたっぷりにあぶりだした作品が多かったのですが、原点回帰で、秋の淡い天の川を「美しさ」を重点に処理しました。

と、言っても、トーンカーブでコントラスト上げただけで、ほとんど何もしていないのですが。

10090610_2 EF35mmF1.4L ->F4.5 EOS 5D MARK2 ISO3200
5min×32枚(うち16枚はR64使用 F4 L成分に加算)

良くできたので、縦構図でも掲載

10090611

こういった美を追求した作品で「最優秀」とってみたいもんですね~。10年早いかな。

今回は大サービス、元画像もアップ。(見やすいようにレベル調整してます)

10090613

明方にはもう、オリオンが昇ってくるんですね~。

10090612

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「ワンランクアップの星野写真その12」星の調整

この連載の題材になっている、「北アメリカ星雲周辺」の写真ですが、見事、「天ガ」に落選しましたぁ~。

ということで、「この連載、一気に説得力を失いましたぁ、あはぁ、はぁ。」

席を立って、お帰りの方、さようなら~。

はっきり言ってやる気出ません。でもとりあえず、前回までの画像。

1009061

もうこれで、ほぼ完成なのですが、ここで終わりにしたら、ブーイングなので、少し星をいじくってみます。

星の周辺の輝度をちょっと下げて見ましょう。そうすると星雲が浮かび上がってくるような効果があります。

簡単な方法を紹介します。まず、背景画像を複製します。(レイヤー)→(レイヤーを複製)

1009032

次に(フィルター)→(その他)→(明るさの最小値)で半径[1]

1009063

ここで複製したレイヤーの不透明度をいろいろ変えて、お好みの明るさに調整します。

1009064 

さて、次に星の周りの色合いまで変えて見ましょう。そのためには星選択マスクを作ります。背景画像を複製し、ピクセル等倍表示にします。そして、(フィルター)→(その他)→(ハイパス)で半径を星雲が消えて星だけが残る値にします。

1009065

次にレベル補正で下図のようにコントラストをアップします。

1009066

これで、星選択マスク完成、すべて選択s、コピーします。

1009067

レベル補正の調整レイヤーを作成し、今コピーした星選択マスクを貼り付けます。

そして、レベル補正で星の周りの色合いを調整します。この写真の場合、赤が強いので、バランスをとるため、赤を少し弱くすると、透明感が出ます。

1009068

完成です。

次回は、背景のならし処理について。

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2010年9月 4日 (土)

久々に撮影できるかな

湯沢に遠征行ってきます。

晴れるかな。

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晴れました。

画像処理中。。。

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2010年9月 3日 (金)

「ワンランクアップの星野写真その11」星雲マスクを作る2

今日は、白黒変換を使った星雲マスクの作り方を説明します。まずは、前回までの画像。

1009031

マスクを作るためにレイヤーを複製します。(レイヤー)→(レイヤーを複製)

1009032

これを白黒変換します。(イメージ)→(色調補正)→(白黒)

1009033

赤とマゼンタ以外のスライダーを左に寄せます。赤とマゼンタはハイライトが飛ばない程度に右に寄せます。

次に星を消します。(フィルター)→(その他)→(明るさの最小値)で半径「1」にします。これで微光星が消えます。

1009034

しかし、拡大して見ると、星雲にブツブツ穴が開いてしまいました。このままのマスクで星雲を強調すると星の周りに黒い落ち込みができてしまいます。そこでこのブツブツを埋めます。

1009035

そこでこのレイヤーをさらに複製します。(レイヤー)→(レイヤーを複製)
レイヤーを複製したら、レイヤーパレットで「比較(明)」にします。

1009036

そして、(フィルター)→(ノイズ)→(ダスト&スクラッチ)で半径を数ピクセル~十数ピクセルにします。(この例では10)

1009037

これで穴が埋まりました。レイヤーを結合します。(レイヤー)→(下のレイヤーと結合)で下のレイヤーと結合します。

1009038

これで星雲選択マスク完成です。(選択)→(すべて選択)、(編集)→(コピー)でマスク画像をコピーしておきます。

さて、ではこのマスクを使って、実際に星雲を強調して見ましょう。

マスクを作るためのレイヤーはもう不要ですから、非表示にして、トーンカーブの調整レイヤーを作ります。(レイヤー)→(新規調整レイヤー)→(トーンカーブ)

1009039

トーンカーブのダイアログが現われますが、いったん(OK)をクリックして閉じます。そしてレイヤーパレットの白いマスク画面を[ALT]キーを押しながらクリックします。そうすると、上のように白い画面が出ます。

次に(編集)→(ペースト)で先ほどコピーした星雲選択マスクを貼り付けます。

10090310

トーンカーブの調整レイヤーをダブルクリックして、トーンカーブで、星雲の輝度を持ち上げます。ハイライトが飛ばないように、矢印のようにハイライト部を抑えることが重要です。

10090311

このようなきめ細かな輝度コントロールができるのがトーンカーブの優れているところです。

同様に、もう一つ、トーンカーブの調整レイヤーを作り、今度は、色をコントロールしましょう。彩度が低いので、赤を持ち上げ、緑と青を下げます。

10090312

このへんはお好みで、ということで。

全体的に明るいので、もう一つトーンカーブの調整レイヤーを作りますが、今度は星雲マスクは貼り付けません。

10090313

図の矢印のように下げて、明るさを抑えます。

10090314 

完成です。だいぶ星雲がはっきりしましたね。もうこれで大方、完成です。これで終わりにしてもいいくらいですが、それだと面白くないので、もうちょっといじってみることにします。

次回は星のコントロールです。

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2010年9月 2日 (木)

「ワンランクアップの星野写真その10」星雲選択マスクを作る

ちょっと合い間が空いてすみません。仕事が忙しいもんで。前回までの画像処理でここまで、できました。

1009021

もう、これでほぼ完成と言っていいのですが、ちょっと物足りません。もう少し星雲を強調したいのと、星雲の彩度が低いので、もうちょっと色をコントロールしたいです。そこで星雲だけを選択するマスクを作ることにします。

星雲選択マスクの作り方はいろいろあるのですが、私は、ほとんどすべて白黒フィルターを利用して作っています。これは以前、赤い星雲写真で有名な某Gさん、がブログで紹介していて、これはいいやと思って今も使い続けています。

しかし、せっかくなので、今日はいろいろな作り方を試して見たいと思います。一般に星雲選択マスクに求められることは次のようなことと思います。

1 マスク自体に星雲の階調が保持されていること
 マスクは白か黒の二者択一ではなく中間(グレー)の部分は存在します。これが星雲を強調するうえで重要です。

2 星を排除できること
 強調したいのは星雲だけです。星雲選択マスクに星があってはいけません。なお、星を排除する方法は後で説明します。

3 作りやすく、再現性があること
 マスクに限った話ではありませんが、重要です。「たまたま出来た」では、手法とはいえません。

以上3つ観点で、4つの星雲選択マスクの作り方を紹介します。

1 白黒フィルターを利用する。
(イメージ)→(色調補正)→(白黒)で作ります。出来きたマスクは次の通り、

1009022

私はこの方法を多用しています。階調の保存性も良く、星も排除しやすいです。またどんな星雲には適用しやすいです。このマスクを使って強調したのが、

1009023

ハイライト部が飽和しやすいのですが、階調はかろうじて保っています。

2 色域指定
(選択範囲)→(色域指定)で作ります。

1009024
北アメリカ星雲の中の階調がおかしいです。サドル付近もつぶれています。色域指定はどちらかというと、選択か非選択の二者択一で階調の保持という意味ではあまり向いていません。これを使って強調してみると

1009025

微妙な階調がつぶれています。分かりやすい方法ではあるんですが、星雲の強調という意味ではちょっと???

3 チャンネル減算を利用
詳しい方法は省略しますが、画像の赤チャンネルから緑チャンネルを減算して作ります。赤い星雲だけ選択できます。オリジナルは最近フルサイズ冷却CCD買って、ウハウハな某Yちゃんさんです。

1009026

☆を排除できる意味では完璧です。背景は真っ暗。階調の保持も十分。ちょっと白黒しすぎているかもしれません。これで強調したのが、

1009027

マスクどおり、はっきり星雲を強調できます。ただ淡い部分が出しずらいのと、特定の色の星雲しか利用できないのがちょっと。と感じます。

4 レベル補正
 最後はもっとも簡単なレベル補正を利用する方法です。レベル補正で赤チャネルだけ選択し、レベルを適当に切り詰めます。

1009028

意外といけてます。私はこの方法はダメな方法として紹介しようとしたのですが、意外や意外。けっこういいです。

1009029

トーンカーブによる強調もしやすいです。ただ再現性や汎用性はどうでしょうか。

結論を言うと、「色域指定」以外はどれもいいと思います。

さて、次回からは、この中からいくつか、実際の作り方を説明します。

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