今日はノイズ除去についてあれこれ書いて見たいと思います。その前に、
「なんか世の中、ノイズ、ノイズって、騒ぎすぎじゃありませんか?」
そんなにノイズって気になります?
私なんか、istDsというとんでもないカメラでデジタル天体写真を始めたから、キャノンやニコンのカメラの低ノイズが夢のような世界に感じてしまいます。
まぁ、ノイズって言い訳にしやすいんだと思います。とりあえず、「ノイズが。。。」と言っておけば、みたいな。
ノイズが気になる人は、今の自分の処理に問題がないかチェックしてみる必要があります。
ノイズに関するチェック項目
1 露出不足じゃありませんか?
ヒストグラムの山が中央くらいになるまで露出しましょう。露光不足だと画像処理で強調することになり、ノイズが強調されます。
2 コンポジット枚数が少なくありませんか?
加算平均コンポジットでいくらでもノイズを減らせます。
3 ダーク減算してますか?
最近のデジカメはアンプノイズが少ないので、ダーク減算を省略する場合があるようですが、ダーク減算した方が、ノイズは確実に減ります。
3 現像時、コントラスト、明るさ、露光量を上げていませんか?
これらをすると、背景のノイズまで強調されます。現像時はパラメータ0とし、後で画像処理の段階で注意深く強調処理をした方が結果は良いです。
4 加算コンポジットしてませんか?
加算コンポジットは、冷却で撮られた写真や、既に加算平均でノイズレベルが低く抑えられた画像には効果ありますが、それ以外の場合は、ノイズレベルまで強調されます。
5 画像処理で無理に強調処理をしていませんか?
特に、「明るさ・コントラスト」のようなヒストグラムの左斜面を太らせるような強調処理はご法度です。これさえしなければ、そう荒れることはありません。
以上のことを注意すれば、通常、私はノイズが問題になることはありません。もちろん皆無ではありませんが、そんな気になるレベルではありません。
さて、それでもノイズを軽減したい場合があります。どんな場合かというと、
1 淡い星雲を出したい
2 短時間高感度撮影の星景写真
3 感度設定ミス、コンポジット枚数不足など思わぬ事態でノイズが増えたとき
まぁ、いろんな理由があって、ノイズ除去に頼らなければならないこともあるでしょう。そこで、今回は画像処理でノイズを軽減する方法を説明します。
それから、最初に断っておきますが、ノイズを軽減しようとすると、必ず細部、ディーテールが失われます。だから、ノイズ処理は滑らかさの追求とディーテールの保持のせめぎ合いです。どこで折り合いをつけるかが重要になります。
非常に微妙な処理であることは確かですので安易にやるべきではありません。いっぽう、A4プリントで分からない細部までこだわってもしょうがないので、A4プリントで分からないレベルまでなら、どんどんやるべきという考え方もあります。
それでは実際にやって見ましょう、題材はこれ
ノイズが分かりやすいように強調して見ましょう。(ほんとは強調する前にノイズ除去する)
ISO6400の4秒露出、高感度で、露出不足な画像を無理やり明るくしているので、ざらざらです。しかし、このような星景写真は細部のディーテールなんて二の次ですから、多少解像度が落ちても、滑らかさが優先されます。
ピクセル等倍表示にし、レイヤーを複製します。そして、いつものように「比較明」にします。
ここで、(フィルター)→(ノイズ)→(ダスト&スクラッチ)で半径10ピクセルにします。
どうです。滑らかになりました。
ただ、多少画像がぼけます。星景写真だからこれでもいいでしょう。
しかし、画像をぼけさせないで、もっと強力なノイズ除去もできます。やって見ましょう。題材は最近撮ったこの写真。この暑い夏場にISO3200なんてバカな設定で撮ってしまいました。
これでも8枚加算平均しているのですが、ピクセル等倍にするとザラザラです。最初これを見たとき、失敗したなぁ~と思いましたが、画像処理でノイズ除去してやってみるかと気を取り直しました。
トーンカーブのレイヤーが2つ出来ていますが、これはノイズがわかりやすいように強調しているためです。この2つのレイヤーは無視してください。
先ほどと同じように、レイヤーを複製し、比較明にし、ダスト&スクラッチで半径10にします。
まだ、ノイズというか、輝度ムラみたいなものが残っています。そこで思い切って半径25にしてみます。(実際の値はカメラの画素数によって異なります)
滑らかになりました。ただ、これだけぼかすと、星雲なんかもボケボケです。ですから、背景だけをぼかすようにします。
(レイヤー)→(新規調整レイヤー)→(トーンカーブ)です。ここで、「下のレイヤーを使用してクリッピングマスクを作成」にチェックを入れます。
そうすると、この調整レイヤーは、直下の一枚だけのレイヤーに影響します。(普通は下のすべてのレイヤーが合成された画像に影響します。)
次に、トーンカーブの画面を開き、ヒストグラムの山の左側を少し、持ち上げ、右側を少し下げます。このようにすることにより背景だけぼかすことができます。(この分岐点は非常に微妙です。一歩間違ればひどい作品になります。実際の画像を見ながら何度も何度も試しましょう)
処理前と処理後を比較してみましょう。多少星雲の輪郭がぼけましたが、これはピクセル等倍ですからね。A4プリントではまったく分かりません。
背景が滑らかになったら、トーンカーブで強調処理します。順番に注意してください。背景を滑らかにしてから強調処理ですよ。
それから、ダスト&スクラッチの代わりに、ぼかし(ガウス)でもいいです。いろいろな値で試してみてください。
さて、ノイズ除去の方法いかがでしたか? フォトコン入選者はこんなずるいことしてたんですね。(みんながみんなでないですよ)
次回はカラーノイズの除去です。
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