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2012年2月29日 (水)

アンタレス付近の画像処理その2

間が空いてしまって大変、すみません。続けます

これが、前回までのフラット処理が終了した画像です。

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さて、天体写真の特性としては、星、と星雲の輝度差が大きいというのがあります。ですから、星雲と星を同じように処理するのは難しいところがあります。輝星の場合は既に中心部が飽和しているし、あまり密集していなからよいのですが、微光星の場合は、星雲と同じように強調すると、なんともギンギンな画像になってしまいます。

これを避けるため、従来は、星雲選択マスクや、星除外マスクを使ってきましたが、マスクの作り方によってだいぶ結果が異なる写真になってしまいます。それにマスクの弊害は、輝度の逆転現象を起こしてしまうことがあります。星の周りのくぼみなど見られる写真があると思います。

そこで、最近、星雲マスクや星除外マスクを使わない処理を考えてみました。

まず、背景レイヤーを複製して、それに対し、(フィルター)→(その他)→(最小値)を施します。これで微光星が消えます。(完全ではないが)

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次に合成方法を「比較明」にします。

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元に戻りました。これで、この画像は、「背景、微光星」の部分と「星雲、輝星」の部分に分離できました。よって、それぞれ、独立に処理することができます。これがこの方法の最大の長所です。

それでは、最初に星雲・輝星レイヤーをトーンカーブの調整レイヤーで強調してみましょう。ここで注意するのは、調整レイヤーを作る時に、
「下のレイヤーを使用してクリッピングマスクを作成」にチェックを入れておきます。そうしないと、すべてのレイヤーに影響してしまいます。

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中央部分が少し、黄色カブリしているので、カラーバランスで調整します。

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星雲の彩度を上げてみます。

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これで、星雲・輝星部分の処理は終わりです。次に、背景と微光星部分の処理をします。このとき背景レイヤーのすぐ上に調整レイヤーを挿入するようにします。

まずはトーンカーブで、微光星をもう少し明るくします。

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ただ、明るくすると、微光星のハイライト部分がちょっと、カリカリして目にきついところがあったので、図の矢印のようにハイライト部分を下げています。これでだいぶ柔らかい感じになります。

次に、背景の彩度を落とします。これは、微光星の周りに多少赤ハロがあったのと、背景のムラを目立たなくするためです。

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以上で、背景と微光星の処理は終わりです。

さて、最後に画像全体の調整を行います。まず、フラット処理が不完全でまだ中央部分が明るいので、ここで、中央部分の明るさを下げます。

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さらに、背景を滑らかにするため、トーンカーブでお決まりの処理をします。このならし処理は定番ですが、気をつけないと、星雲の淡い部分が潰れてしまいます。ほんと、ギリギリの処理です。結局こういったところのさじ加減で、良し悪しが決まるんですよね。

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最後に、星雲・輝星レイヤーの不透明度を落として、星雲と星とのバランスを整えます。
また、元画像にフィルムのキズや、ノイズなどが多少あったため、このレイヤーにダストアンドスクラッチを6ピクセルほどかけています。普通6ピクセルもD&Sをかけるとボケボケになるのですが、比較明合成していることと、不透明度を落としているので、それほど影響はありません。

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最後にレイヤーを統合しておしまい。

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コメント

こんばんは、僕の素材を処理&解説記事にまでして下さりありがとうございました。
ほんまかさん流の処理方法も参考になります。
背景の調整方法も確実で安定感がありますね。
この明るさの最小値というフィルターは、何かしらの画質劣化を伴うので僕は使わないようにしています。確かに星をそのままに星雲だけを抽出する効果はあるのですが、拡大比較すると明らかな画質劣化を伴いますよね。出来ればこういうスマートな方法で星雲を独立処理したいという気持ちがありますが、どうしてもこの画質劣化が気になって使わずにいます。何か良い方法ないでしょうか。

投稿: よっちゃん | 2012年2月29日 (水) 18時46分

よっちゃんさん、早速のコメント有難うございます。

確かに明るさの最小値を単独でかけると画像劣化しますよね。でも、比較明合成をしていることと、不透明度を落として、元の画像とブレンドしているので、かなり劣化を少なくしているとは思います。

他の方法ですか?
微光星だけの選択としては、私は、ハイライトで選択して、選択の範囲の(縮小)と(拡大)で適当な大きさに調整しています。結局それで、マスクを作るのですが、あまりスマートではないですね。

あと、ハイパスフィルターがありますよね。これなんか使えそうな気がするのですが、今のところ、これはというアイデアにはいたっていません。

投稿: ほんまか | 2012年2月29日 (水) 19時31分

以下は僕の作例を切り出して300%に拡大したものですが、

http://www.geocities.jp/yottyan_cryyagi/hikaku.gif

これを見てもらうと、その劣化が分かって頂けると思います。燃える木の細部が失われ背景全体がブロックノイズ的になりますよね。

この「処理後」の処理の手順は、

①元のレイヤーを複製
②複製されたレイヤーに「明るさ・最小値」を1ピクセルのみ実施
③最上部にトーンカーブレイヤーをクリッピングマスクで配置。星雲を適宜強調するためのS字カーブを与える。

です。
この画質劣化は、僕的には絶対に許容出来ないし、もしこれを許してしまうなら、コンポジット枚数稼いだり暗い夜空へ行く必要性を疑ってしまいます。

この弊害をいかに乗り越えるのか、ほんまかさん流の考えを聞かせて下さい。

投稿: よっちゃん | 2012年2月29日 (水) 20時18分

よっちゃんさん、300%は厳しいですね。
それと、明るさの最小値を実施した画像に対し、比較明合成をしてさらに、不透明度を落としています。
また、比較するなら、明るさの最小値を使用しないで、他の方法で同程度に強調処理した画像と比較するべきです。

いずれにせよ、どんな手法であり、万能ではありませんので、その都度、出来た画像を吟味して、その手法を採用するかどうか決めています。よっちゃんさんの出されたサンプルの画像のようにここまで、劣化するなら、私はこの方法は採用しないで他の方法をやっていたでしょう。

今回この画像を処理した限りにおいては、私は十分許容範囲でした。(比較画像を次の記事に載せます)
許容できるかそうかは人それぞれと思います。
私は、たぶん、よっちゃんさんのレベルには到底達していません。そもそも、コンポジット枚に2ピクセルもずれるノータッチガイドで未だにやっているくらいですから。
でも私の場合は細部を重視するより、ぱっと見の全体のインパクトを重要視しているのは確かです。ここは方向性が全然違うと思います。

ところで、私は、こういった議論は大好きです。
技術論というか、哲学論というか、議論は大事だと思います。

投稿: ほんまか | 2012年2月29日 (水) 23時19分

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