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2013年12月27日 (金)

8万円で買った安心感

スカイキャンサーをオートガイド化して今のところ問題なくガイドできています。ガイドミスで星が流れるようなことも今までには一度もないです。

ただ、たまにですが、DEC側が一方的にズレ、なかなか修正されない現象がおきます。やきもきしていると、ようやく動き出し修正されます。いわゆるノコギリ波形です。おそらく極軸のズレによるDEC側のズレに対して、バックラッシュが大きく、修正が遅れるものと思われます。

こんな時は、小心者の私は、安心できず、車の中でゆっくり休憩なんてことはできず、3分もパソコンから離れていられません。こういった経験のある人は私だけでないと思います。

●問題点の洗い出し

原因はおそらくバックラッシュが大きいことと思います。ここでいうバックラッシュとは角度のことでなく時間です。というのは私の赤道儀のDECのウオームギヤの歯数は90枚と少ないうえ、モータ伝達ギヤ比も15:16と小さいことなんです。なんでギヤ比が小さいかというと、大きくすると、ギヤがクランプにぶつかってしまうのです。

さて、私が現在使っているモーターは、オリエンタルモーターの普通のギヤモーターで、バックラッシュが1~2°あります。仮にバックラッシュが2°だとします。DECの回転速度を恒星時だとすると、バックラッシュをキャンセルする時間は

DEC軸バックラッシュ角度= 2°÷(16/15)÷90 = 0.02°

恒星時なら1°あたり240秒ですから、

240秒×0.02 =4.8秒

実際には8倍速でやってますので、0.6秒になりますが、ガイド信号はミリ秒単位ですから、相対的にけっこうな長さです。

もし、ウオームギヤの歯数が144枚で伝達ギヤ比が1:3なら、

2°÷3÷144 = 0.00462°

240秒×0.00462=1.11秒

となります。

したがって、バックラッシュを小さくしたいなら、伝達ギヤ比を大きくすれば良いのですが、前述したとおり大きくできません。そこで、モーター自体のバックラッシュを小さいものに変える必要が出てきました。

●問題点その2

もう一つ、問題点があります。今現在、DEC側は8倍速でガイドしていますが、ちょっと荒いです。できれば2倍速でガイドしたいです。しかし、実際は4倍速でもガイド失敗しますし、キャリブレーションでさえ失敗することがあります。

原因はやはりバックラッシュが考えられますが、もう一つ可能性があります。ギヤ比が低いので、モーターの回転速度が遅く、1パルスの時間が長いのです。したがって、PHDGuidingからの修正信号の長さとモータの1パルス時間がほとんど同じことが考えられます。

分かりやすく言うと、PHDの修正信号がモーターの1パルスとか2パルス分しかない可能性があります。スッテッピングモーターですが、消費電流を節約するため信号がない時は電流を切っているのですが、その場合、1パルス分のガタが生じます。つまり、PHDからの1パルス分の修正が無視されていたり、2パルス分の修正が1パルス分しかカウントされていない可能性がります。それでガイドがうまくいかない可能性もあります。

この問題を解決するには
1 伝達ギヤ比を上げてモーターを高速に回す(実際はできない)
2 モーターの減速比を大きい物に変える。(既に一番大きい物を使っている)
3 マイクロステップ駆動にする
 マイクロステップ駆動はモーターの分解能を上げる制御方法で、パルスの数を多くすることができます。
4 5相モーターにする。2相モーターは分解能1.8°ですが、5相モーターは0.72°ですから、それだけでパルスの数を増やすことができます。

●解決策

理屈っぽい話が長くなりましたが、問題点を解決するには、モータをもっといいものに変えれば良いということです。

で購入したのが、これです。

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ハーモニックギヤモーターです。ドライバ基板とケーブルのコミコミセットで8万円ほどです。ハーモニックギヤとは、なんとバックラッシュ0の夢のモーターです。少々高かったのですが、これで少しは安心できると思うと、ついつい買ってしまいました。

大きさ2cm角ですが、ほんと小さいです。SDカードと比べてみてください。

もとのモーターと比べてもこんなに小さいです。

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ハーモニックギヤは、トルクが高いので、こんなに小さくても、もとのモーターと同じだけのトルクがあります。

実はバックラッシュを減らすには、ハーモニックギヤまでいかなくても、高性能な通常のギヤで十分なのですが、28mm角以下の小型のものは高性能なギヤでもそれほどバックラッシュが小さくならないんです。それで、究極のハーモニックギヤまで行ってしまいました。

もちろん5相モータなので、分解能も高く、減速比も1/100と大きいので、パルス長の問題もこれで解決です。

さっそく、ブラケットを自作し、赤道儀にとりつけてみました。

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今日はここまで。

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コメント

は、ハーモニックモーターですか!!!
変形する歯車が入っているやつですよね、8万円ということはスカイメモでも買ってしまったのではと無粋なことを考えてしまいましたが、ほんまかさんがそんなことをするわけないですよね。

前回の記事のコメントにあった、71FL新レデューサ気になっています。ただ、もう人柱は勘弁ですけれど。

投稿: hana | 2013年12月28日 (土) 10時19分

hanaさん、
これだけスカイキャンサーに手を加えたのに、今更、スカイメモはないですよ。

71FLのレデューサーですが、期待できるんじゃないですか。専用設計ですから、ただBORGは光学系以外にも問題ありますからね。

投稿: ほんまか | 2013年12月28日 (土) 21時42分

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