クリスマスイブに、本栖湖へBORG67FLのテストのため遠征してきました。
本栖湖の奥の、キャンプ場入り口付近にある登山者用駐車場に陣取りました。西側に街灯が3つあるのですが、それほど気になりませんでした。伊豆に比べると、やっぱり寒いですね。気温はマイナス3度でした。月が昇ってくるまでのわずか30分の撮影です。
機材をセッティングした後、ピント合せをしたのですが、色にじみがないためにピントの山がつかみずらいです。何回もライブビューでピントを合わせをし、その度にヘリコイドの目盛りを読みました。
その結果、だいたい半目盛り(50μ)くらいのバラつきがあったので、その中間でピントを合わせました。逆に言えば、50μくらいのズレでは大差ないとも言えます。(ピクセルに直すと2ピクセルくらいです)
最初に撮影したのが次の画像です。
ISO3200 5分×2枚コンポ フラット補正後レベル調整で強調
右側の星が肥大しています。プレビュー画面で最初のこの画像を見た時、がっかりしたのですが、同心円状にボケてるのではなく、右側だけボケてるので、これは収差ではなく片ボケと直感しました。おそらく、鏡筒バンドの締め過ぎが原因と思われます。また全体的にピンボケです。
そこで、一度鏡筒バンドを緩め、中心ではなくやや右側でピントを合わせました。その結果がこれです。
ISO3200 5分×2枚コンポ フラット補正後レベル調整で強調
中心部と4隅のピクセル等倍画像です。
なかなかいいです。厳密に見るとまだ周辺部はちょっと肥大してるのですが、これなら十分使えます。いやぁ~苦労した甲斐がありました。
ちなみに他の領域も撮って見ました。(バラ星雲の下の方です)
さて、今回マルチフラットナーのバックフォーカスが問題となったのですが、結局ベストの位置はこの位置に決まりました。
フラットナーとカメラマウントの間に0.3mmのスペーサーを入れているので、実際はこの写真よりさらに0.3mm引き出したところということになります。300mmの線が全部出て、さらに0.5mmくらい引き出したところでしょうか。最初のテストの時より2~3mmずれていたことになります。
ただこれはあくまでも私の個体での話ですから、すべての場合でここが最適かどうかわかりません。自分で確かめてみてください。
それと、鏡筒バンドの締め付けの問題ですが、以下の点が良くないと思いました。
●ヘリコイドを挟む形で2つの鏡筒バンドがあります。これはヘリコイドに力が加わるので良くない。
●M57延長筒は肉薄なので、ここに鏡筒バンドがくるのは良くない。
帰宅後、さっそく、上の2点を改良し、このようにしました。
●フロントヘリコイド仕様にし、鏡筒バンドの外側にもってきました。
●鏡筒バンドの位置をM57ヘリコイドの根本の厚い部分と、フラットナーの部分にもってきました。
スケアリングズレに配慮した鏡筒保持方法
それにしてもBORGは微妙です。スケアリングとか気を使います。自分でいろいろ考えて調整しなといけないから、賢くなりますね。天体写真の知識や技術を深めたいなら、一度はBORGにどっぷり浸かってみるのもいいかも知れません。
さて、BORG67FLを購入して、いろいろありましたが、今までのことをまとめしてみました。
1 マルチフラットナーのバックフォーカスは、説明書の記述やBORGのブログなどを信用せず自分で調節する。私の場合は、300mmの線が全部でたところからさらに0.5mmくらい引き出した場所がベスト
2 BORGはスケアリングはかなりいい加減、カメラマウントの前にスペーサーを入れるなどして、カメラの取り付け角を変える、リングの種類を変えるなどして、ベストの位置を探す。(スケアリング調整機能付きカメラマウントがあればベスト)
3 ヘリコイドの位置はフロント部が力が加わらなくて良い。またフロントヘリコイドにしても周辺減光は悪くならない。
4 鏡筒バンドの位置は、薄い延長筒の部分にならないようにする。また、あまりきつく締めない。
5 以上の対策をしたうえで、4隅で若干ピンボケになるが、(鉄塔による測定では50~90μ程度)それほど気にならない。十分使えるレベル。
6 色収差、ハロ、色滲みはなく、他の収差もほとんどない。星の色を自然な状態で再現でき、画像処理が楽。
7 周辺減光は-15%程度で極めて少ない。
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