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2013年12月29日 (日)

フロントヘリコイドも問題

天気いいですね。

撮影にいける人、うらやましいです。

さて、先日、BORG67FLをフロントヘリコイドにしたと書きましたが、フロントヘリコイドも大問題があることが判明しました。

このヘリコイド、ガタが多くグラグラなんです。どのくらいグラグラなのか、固定ネジを緩めた場合と締めた場合のGIFアニメーションをご覧下さい。

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これじゃ、天体撮影はサイコロ振るようなもんです。運がよければ、バッチリ、悪ければ片ボケ。

さて、どう解決するか。思いついたのは

1 M57ヘリコイドLIII【7861】を使う
 頑丈になったそうですが、どの程度なもんでしょうか?ぐらつきはないのでしょうか?27,800円もしますから、買ったはいいがダメだったら大損害です。だれか使っている人がいましたら教えてください。お願いします。m(--)m

2 80φ鏡筒+フェザータッチフォーカサーM57にする
 これなら頑丈そうです。ただ、鏡筒部分が短くバランス取るの難しそうです。追加出費も多いし、そもそも軽量コンパクトだからBORGにしたのに。。。あまり選択したくないです。

3 鏡筒バンド3本固定にする。カメラ側2本の鏡筒バンドでがっちり固定し、対物側の鏡筒バンドはヘリコイドのグラツキが出ない程度にゆるく締めた状態にする。
 ただ、これでスケアリングがぴったりの状態になる保証はないです。3つの鏡筒バンドの高さがすべて一致し、一直線に配置できないと、返ってくるってしまう可能性があります。

さて、どうしたもんか。。。

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2013年12月28日 (土)

年末だというのに問題続出

昨日紹介したハーモニックドライブですが、今日組み込み作業をして無事動いたのですが、オートガイド信号がノイズを拾ってしまい誤動作する問題に悩まされています。

それともう一つ。

BORG67FLですが、本栖湖遠征で結果が良好と書きましたが、たまたま良かったことが判明。ボーグの抱える根本問題にぶち当たってしまいました。これに関せしては、明日か、明後日かに書きます。とりあえず先に解決しそうなノイズ問題を解決します。

ルンルンで年を越せそうと思ったなのにがっかりです。

今年の年末年始は9連休のところが多いようです。月齢もよく、みんな天体三昧でしょうね。私は休みは4日しかなく、しかも介護ヘルパーが休みなので、遠征いけません。みんながうらやましいです。

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2013年12月27日 (金)

8万円で買った安心感

スカイキャンサーをオートガイド化して今のところ問題なくガイドできています。ガイドミスで星が流れるようなことも今までには一度もないです。

ただ、たまにですが、DEC側が一方的にズレ、なかなか修正されない現象がおきます。やきもきしていると、ようやく動き出し修正されます。いわゆるノコギリ波形です。おそらく極軸のズレによるDEC側のズレに対して、バックラッシュが大きく、修正が遅れるものと思われます。

こんな時は、小心者の私は、安心できず、車の中でゆっくり休憩なんてことはできず、3分もパソコンから離れていられません。こういった経験のある人は私だけでないと思います。

●問題点の洗い出し

原因はおそらくバックラッシュが大きいことと思います。ここでいうバックラッシュとは角度のことでなく時間です。というのは私の赤道儀のDECのウオームギヤの歯数は90枚と少ないうえ、モータ伝達ギヤ比も15:16と小さいことなんです。なんでギヤ比が小さいかというと、大きくすると、ギヤがクランプにぶつかってしまうのです。

さて、私が現在使っているモーターは、オリエンタルモーターの普通のギヤモーターで、バックラッシュが1~2°あります。仮にバックラッシュが2°だとします。DECの回転速度を恒星時だとすると、バックラッシュをキャンセルする時間は

DEC軸バックラッシュ角度= 2°÷(16/15)÷90 = 0.02°

恒星時なら1°あたり240秒ですから、

240秒×0.02 =4.8秒

実際には8倍速でやってますので、0.6秒になりますが、ガイド信号はミリ秒単位ですから、相対的にけっこうな長さです。

もし、ウオームギヤの歯数が144枚で伝達ギヤ比が1:3なら、

2°÷3÷144 = 0.00462°

240秒×0.00462=1.11秒

となります。

したがって、バックラッシュを小さくしたいなら、伝達ギヤ比を大きくすれば良いのですが、前述したとおり大きくできません。そこで、モーター自体のバックラッシュを小さいものに変える必要が出てきました。

●問題点その2

もう一つ、問題点があります。今現在、DEC側は8倍速でガイドしていますが、ちょっと荒いです。できれば2倍速でガイドしたいです。しかし、実際は4倍速でもガイド失敗しますし、キャリブレーションでさえ失敗することがあります。

原因はやはりバックラッシュが考えられますが、もう一つ可能性があります。ギヤ比が低いので、モーターの回転速度が遅く、1パルスの時間が長いのです。したがって、PHDGuidingからの修正信号の長さとモータの1パルス時間がほとんど同じことが考えられます。

分かりやすく言うと、PHDの修正信号がモーターの1パルスとか2パルス分しかない可能性があります。スッテッピングモーターですが、消費電流を節約するため信号がない時は電流を切っているのですが、その場合、1パルス分のガタが生じます。つまり、PHDからの1パルス分の修正が無視されていたり、2パルス分の修正が1パルス分しかカウントされていない可能性がります。それでガイドがうまくいかない可能性もあります。

この問題を解決するには
1 伝達ギヤ比を上げてモーターを高速に回す(実際はできない)
2 モーターの減速比を大きい物に変える。(既に一番大きい物を使っている)
3 マイクロステップ駆動にする
 マイクロステップ駆動はモーターの分解能を上げる制御方法で、パルスの数を多くすることができます。
4 5相モーターにする。2相モーターは分解能1.8°ですが、5相モーターは0.72°ですから、それだけでパルスの数を増やすことができます。

●解決策

理屈っぽい話が長くなりましたが、問題点を解決するには、モータをもっといいものに変えれば良いということです。

で購入したのが、これです。

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ハーモニックギヤモーターです。ドライバ基板とケーブルのコミコミセットで8万円ほどです。ハーモニックギヤとは、なんとバックラッシュ0の夢のモーターです。少々高かったのですが、これで少しは安心できると思うと、ついつい買ってしまいました。

大きさ2cm角ですが、ほんと小さいです。SDカードと比べてみてください。

もとのモーターと比べてもこんなに小さいです。

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ハーモニックギヤは、トルクが高いので、こんなに小さくても、もとのモーターと同じだけのトルクがあります。

実はバックラッシュを減らすには、ハーモニックギヤまでいかなくても、高性能な通常のギヤで十分なのですが、28mm角以下の小型のものは高性能なギヤでもそれほどバックラッシュが小さくならないんです。それで、究極のハーモニックギヤまで行ってしまいました。

もちろん5相モータなので、分解能も高く、減速比も1/100と大きいので、パルス長の問題もこれで解決です。

さっそく、ブラケットを自作し、赤道儀にとりつけてみました。

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今日はここまで。

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2013年12月26日 (木)

本栖湖遠征とBORG67FLテスト結果

クリスマスイブに、本栖湖へBORG67FLのテストのため遠征してきました。

本栖湖の奥の、キャンプ場入り口付近にある登山者用駐車場に陣取りました。西側に街灯が3つあるのですが、それほど気になりませんでした。伊豆に比べると、やっぱり寒いですね。気温はマイナス3度でした。月が昇ってくるまでのわずか30分の撮影です。

機材をセッティングした後、ピント合せをしたのですが、色にじみがないためにピントの山がつかみずらいです。何回もライブビューでピントを合わせをし、その度にヘリコイドの目盛りを読みました。

その結果、だいたい半目盛り(50μ)くらいのバラつきがあったので、その中間でピントを合わせました。逆に言えば、50μくらいのズレでは大差ないとも言えます。(ピクセルに直すと2ピクセルくらいです)

最初に撮影したのが次の画像です。

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ISO3200 5分×2枚コンポ フラット補正後レベル調整で強調

右側の星が肥大しています。プレビュー画面で最初のこの画像を見た時、がっかりしたのですが、同心円状にボケてるのではなく、右側だけボケてるので、これは収差ではなく片ボケと直感しました。おそらく、鏡筒バンドの締め過ぎが原因と思われます。また全体的にピンボケです。

そこで、一度鏡筒バンドを緩め、中心ではなくやや右側でピントを合わせました。その結果がこれです。

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ISO3200 5分×2枚コンポ フラット補正後レベル調整で強調

中心部と4隅のピクセル等倍画像です。

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なかなかいいです。厳密に見るとまだ周辺部はちょっと肥大してるのですが、これなら十分使えます。いやぁ~苦労した甲斐がありました。

ちなみに他の領域も撮って見ました。(バラ星雲の下の方です)

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さて、今回マルチフラットナーのバックフォーカスが問題となったのですが、結局ベストの位置はこの位置に決まりました。

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フラットナーとカメラマウントの間に0.3mmのスペーサーを入れているので、実際はこの写真よりさらに0.3mm引き出したところということになります。300mmの線が全部出て、さらに0.5mmくらい引き出したところでしょうか。最初のテストの時より2~3mmずれていたことになります。

ただこれはあくまでも私の個体での話ですから、すべての場合でここが最適かどうかわかりません。自分で確かめてみてください。

それと、鏡筒バンドの締め付けの問題ですが、以下の点が良くないと思いました。

●ヘリコイドを挟む形で2つの鏡筒バンドがあります。これはヘリコイドに力が加わるので良くない。
●M57延長筒は肉薄なので、ここに鏡筒バンドがくるのは良くない。

帰宅後、さっそく、上の2点を改良し、このようにしました。

●フロントヘリコイド仕様にし、鏡筒バンドの外側にもってきました。
●鏡筒バンドの位置をM57ヘリコイドの根本の厚い部分と、フラットナーの部分にもってきました。

1312246 スケアリングズレに配慮した鏡筒保持方法

それにしてもBORGは微妙です。スケアリングとか気を使います。自分でいろいろ考えて調整しなといけないから、賢くなりますね。天体写真の知識や技術を深めたいなら、一度はBORGにどっぷり浸かってみるのもいいかも知れません。

さて、BORG67FLを購入して、いろいろありましたが、今までのことをまとめしてみました。

1 マルチフラットナーのバックフォーカスは、説明書の記述やBORGのブログなどを信用せず自分で調節する。私の場合は、300mmの線が全部でたところからさらに0.5mmくらい引き出した場所がベスト

2 BORGはスケアリングはかなりいい加減、カメラマウントの前にスペーサーを入れるなどして、カメラの取り付け角を変える、リングの種類を変えるなどして、ベストの位置を探す。(スケアリング調整機能付きカメラマウントがあればベスト)

3 ヘリコイドの位置はフロント部が力が加わらなくて良い。またフロントヘリコイドにしても周辺減光は悪くならない。

4 鏡筒バンドの位置は、薄い延長筒の部分にならないようにする。また、あまりきつく締めない。

5 以上の対策をしたうえで、4隅で若干ピンボケになるが、(鉄塔による測定では50~90μ程度)それほど気にならない。十分使えるレベル。

6 色収差、ハロ、色滲みはなく、他の収差もほとんどない。星の色を自然な状態で再現でき、画像処理が楽。

7 周辺減光は-15%程度で極めて少ない。

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2013年12月24日 (火)

本栖湖遠征

今日クリスマスイブ。

本栖湖あたりに遠征してきます。

月が23時には出るので、30分くらいしか撮影できませんが、

目的はもちろん、BORG67FLのテスト。

調整したので、少しは良くなっていればよいのですが。

それと、年末調整でお金が少し戻ってきたので、

ちょっと高価な機材を買ってしまいました。これについてもそのうちに。(冷却じゃないよ。。。)

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2013年12月19日 (木)

コーン星雲からバラ星雲

BORG67FLの初作品になります。

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BORG67FL+マルチフラットナー EOS 5D Mark2 ISO3200
スカイキャンサー赤道儀 ペンシルボーグ+Lodestar+PHDGuiding
2枚モザイク 北側 8min×12枚 南側8min×6枚

せっかくなので処理してみました。色収差がないので処理が楽です。
周辺部はトリミングしてますが、それでも左上の星のボテボテ感が残念です。
それと、ピンボケなためか、微光星の写りが悪いですね。

もうちょっと手直しして応募したいのですが、プリンタが不調です。

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2013年12月18日 (水)

新遠征地の開拓、朝霧高原編

現在の私の冬の遠征地は伊豆です。でも、ちと遠い。仕事が終わってすぐ出かけても撮影開始ができるのは11時半ごろ。もうちょっと近いところを探す必要が出てきました。

私の遠征適地の条件としては、

1 埼玉から2時間以内でいけること。
2 到着が遅いので、西に傾いた冬の星座を狙うため。南西方向が開けていて暗いこと。
3 到着が遅いので、他の撮影者の迷惑にならないとこ(広いこと)
4 あまり寒くないところ。

こんなところで、最初に朝霧高原あたりがいいのではないかと思い、今日下見に行ってきました。

まず、最初は河口湖近くの育樹記念広場。

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細長い駐車場がありました。ここへ行くまでの林道はたぶん除雪されませんよね。冬はダメそうです。

次に本栖湖に行きました。

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舗装された駐車場は朝方、釣り人や写真家がいっぱいきそうです。奥の登山者用駐車場が良さそうです。近くにトイレもあります。

次に、朝霧高原にいきました。まずは有名なガリバー王国跡地の駐車場。

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意外と狭いです。下も舗装されていません。夜中にここに入っていったらみんんなに迷惑でしょう。それよりも近くの県道沿いにあった農産物直売所の駐車場の奥が、チョイ撮りには良さそうです。ここも押さえておきます。

最後に朝霧アリーナに行きました。ここは相当むかし、一回利用したことがあります。ここも良さそうです。

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実は、山梨方面に行ったのはもう一つ理由があります。

理由はこれ、

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干し柿の枯露柿。これを買いに行ったのです。おいしいですよ。

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2013年12月16日 (月)

BORG67FLピンボケ問題、定量的な評価

M57ヘリコイドには目盛りがついていますので、どれくらいピントがずれているか測ることができます。

そこで、周辺部でどれだけピントがずれているか計測してみました。測定方法は、例のごとく鉄塔を4隅にもってきてピントを合わせ、目盛りからピンズレ量を測定しました。同じことを3回繰り返し、平均をとりました。結果は以下の通りです。

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最大で120ミクロンもずれていました。直径に直せばF4.8ですから25ミクロンです。1ピクセル5ミクロンとすれば、5ピクセルボケることになります。テスト撮影するまでもなくこれではダメですね。

上の数値を見ると、右下の値だけ異常です。どうもスケアリングの問題も絡んでいるようです。

そこで、フラットナーとカメラマウントの間に紙で作ったスペーサーを入れ、カメラを180度回転させて同じ測定をしました。結果は以下の通り。

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4隅のズレ量が均等になりました。また、値も小さくなりました。鏡筒とカメラのスケアリングのズレが相殺されたのでしょうか? とりあえず結果オーライです。

この状態で、フラットナーのバックフォーカスを変えながら、ピントのズレを測定しましたが、値はだいたい50μ~から100μで、これ以上は良くなりませんでした。

まぁ、これがこの望遠鏡の能力なのでしょうか。後は実際に星を撮ってみて、許容できるかどうかですね。

(紙のスペーサーじゃ、なんともこころもとないので、次の遠征までちゃんとしたものを作らねば)

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2013年12月15日 (日)

FS-60CB+0.72RDを絞ってみる

FS-60CB+0.72RDをフルサイズで使う場合の悩みは周辺減光です。

そこで、絞りを入れて実験してみました。どの程度改善するか。

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減光率は以下の通り

口径60mm F4.2 -33%
口径50mm F5  -25%
口径45mm F5.6  -22%

絞ってもあまり改善しないことが分かります。もともとイメージサークル小さいですからね。

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2013年12月14日 (土)

BORG67FL VS FS-60CB

sazabiさんから、BORG67FL+マルチレデューサーとFS-60CB+RDでどちらが性能が良いか質問がありましたので、比較検証してみました。

まず、中心部の性能です。昨日も言ったとおり、性能評価は本気で処理しないとなかなか分かりません。短時間露出の撮ってだしのような画像では分からない部分もあります。そこで本気で処理してみました。

どちらの画像も8分×8枚のコンポジット、ダークもちゃんと引いて、中心部分の画像を切り抜き、2枚を合成した上で、かなりの強調処理をしました。したがって、どちらも条件は同じです。結果は以下の通り。

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左がBORG67FL、右がFS-60CBです。FS-60CBは強調処理すると隠れていた青ハロが出てきます。BORG67FLの方はいいですね。これだけ強調しても色滲みはほとんどなし、星もシャープで、星の色が良く出ています。よって、中心部分の星像はBORG67FLが勝ちです。

FS-60CBは他の画像でもだいたいこんな感じです。私のピント合わせ方法に問題があるかも知れませんが、BORG67FLも同じ人がピント合わせてしていますので、そう違いはないと思いますが。

次は周辺部分。周辺部分も星で評価したいのですが、ご覧のとおり、マルチフラットナーのバックフォーカスの問題で、BORG67FLの周辺部分がひどいピンボケになってしまいましたので、星では評価できません。

バックフォーカスを調整した鉄塔の写真で比較します。まずは、FS-60CBです。

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素晴らしいですね。まるでコピーしたかのような平坦性。最周辺部もまったくシャープです。星では青ハロが出ましたが、解像度ではBORG67FLより上のような気がします。ただ、周辺減光が大きい。

次は、BORG67FLです。

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FS-60CBに比べるとかなりバラつきがあります。周辺部ですが、APS-Cの領域から、もう崩れ初めています。バックフォーカスの問題だけでなく、スケアリングの問題もありそうです。これでも最適に調整したんですがね。FS-60CBと比べると。。。
私の今までの経験から言うと、鉄塔くらいの写真で差が出るようなら、星の写真ならはっきり差が出るはずです。

さて、

BORG67FLとFS-60CBの対決ですが、中心部ならBORG67FL、平坦性ならFS-60CBとなりました。

それにしてもBORG67FL、もったいないです。この中心部のシャープさが周辺まであったらなぁ~。なんとかなんないでしょうか?

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2013年12月13日 (金)

BORG67FLピンボケ問題

今日は仕事もそこそこに、マルチフラットナーのバックフォーカスの最適値を探していました。大まかなテストで、300mmの印と、一番引き出した状態の2mmくらいの間に最適値があることがわかりました。

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そこで、この区間を0.5mmずつ区切り、例のごとく鉄塔を撮影しました。

テスト結果は以下の通りです。鉄塔は右上隅にもってきて撮影しました。

1回目1312131_2 2回目1312132 3回目1312133

300mmの印のところはまずいのは分かるのですが、他は微妙です。再現性がなく、良かったり悪かったり。

そこで、フルサイズ4隅、APS-C4隅それぞれ撮影して、トータルとして良い位置を探しました。

その結果、私の検証では、マルチフラットナーの最適値はここと判明しました。

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ちょうど300の数字の底面が接する部分です。(BORGのHPでは引っ込めるといいような事が書いてあったのですが、逆でしたね。300の位置より伸ばさないといけなかった)

断っておきますが、バックフォーカスの調整は微妙です。これはあくまでも私の検証であって、他の人が他の機材でやって同じになるかはわかりません。

そのときの画像が以下の通りです。

1312134

まだ多少ピンボケ感が残っていますが、周辺部は最初の状態よりは良くなった気がします。これならいけそうな気がします。ただ、最終的な良し悪しはやはり星を撮影してみるまでは分かりません。(以前の画像と比べると逆に中心部分が悪くなったような気もします。ほんとに星を撮影するまでは確定的な判断はしないで下さい。)

もし、これでもダメな場合の時のためにF5.6絞りを作りました。

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結果は以下の通りです。

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ちょっと良くなった程度でしょうか。

いやぁ~、ほんと疲れました。とにかく微妙なんで、何度も何度も繰り返してテストしました。たまたま良かったのか、ほんとうに良いのかを見極めるため、何度も何度も繰り返しました。

先日の遠征では上の写真の300mmの印よりちょっと上側で合わせていましたが、こうして結果を見ると300mmの印よりだいぶ下でした。これだけずれていると、やはりピンボケになりますかね。でもまだ安心はできないです。だいぶずらしたので、他の収差が出る可能性もありますし、中心部分が悪くなったのも気になります。やはり最終的には星を撮影してみないとわかりません。もっと言えば、本気で星を撮影しないと評価はできません。

よく露出2分くらいの簡単画像でテストと称して星がシャープとか判断している例を見ますが、それじゃ分からないと思いますよ。収差というのは焦点を外しているわけですから、非常に淡いのです。ですから、たっぷり露出をかけ、画像処理をちゃんとして、強調処理をして始めて分かる収差もあります。今度、私が遠征できるのは1月8日です。まだだいぶ先なので、だれか星で同様の検証してくれませんかね。っていうか、メーカがやることじゃないか?これって???

補足

このブログ記事を「鳥屋さん」あたりが見たら、神経質な星屋がまた重箱の隅をつつくようなことやってるなって見えるかもしれません。まっ、そう思われても仕方がないのですが。

もしこの望遠鏡が適当に収差があってそこそこの性能なら、私はこんなもんだと思って、あきらめ、カメラレンズでも買っていたかもしれません。

でもこのBORG67FLですが、中心部分は非常にシャープで収差らしきものは見られません。周辺部にいたってもピンボケになるだけで、その他の収差は非常に少ないのです。

もし、ピンボケ問題が解決され、中心部のシャープさが周辺部まであったなら、こんな凄い光学系は私は今まで出会ったことがありません。しかも、コンパクトで軽量、そこそこ明るくて、周辺減光も少ない。まさに夢のレンズになる可能性があるんです。ようは素直にもったいないと思ったんです。

補足2

中心部分の結果も掲載します。中心はバックフォーカスには関係ないようにも見えますが。

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2013年12月12日 (木)

あきらめきれないBORG67FL

BORG67FL+マルチフラットナーの周辺がピンボケになる件ですが、どうもボケ方が綺麗過ぎるんですよ。

整理すると。

1 中心部分は非常にシャープ
2 周辺はピンボケにはなるが、その他の収差を見られない。

つまり、光束はおそらく一点に集まっているが、焦点面が平面でないことが考えられます。それならば、マルチフラトナーのバックフォーカスで調整できるはずです。

ところで、マルチフラットナーに書かれた300mmの印ですが、このフラットナーが発売された時にはBORG67FLはなかったわけで、他にもBORGには焦点距離300mmの望遠鏡はなかったと思います。さらに、こういってはなんですが、BORGがそれほどレンズテストをしているようなメーカーには思えません。

ということは、この300mmの印はまったく信用できないわけです。そこでフラットナーのバックフォーカスを大きく変えてやってみました。次のことが分かりました。

1 バックフォーカスを縮めると急激に悪くなる。
2 しかし、バックフォーカスを伸ばす方向だと、像の悪化は少なく許容範囲が広い

したがって、バックフォーカスの最適距離は、300mmの印より相当程度対物レンズ側にあると思われます。

そこで、マルチフラットナーとカメラマウントの間に12mm延長筒を入れて、バックフォーカスを伸ばし、さらに微調整をしながらテスト撮影してみました。

まずは、300mmの印で合わせた画像をご覧下さい。

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左側が中心部での撮影です。右側が右上隅にもってきての撮影です。

右上隅がピンボケしているのが分かると思います。これが星が肥大化する原因です。

次に、フラットナーとカメラの間に12mm延長筒を入れ、400mmの印あたりで撮影したのが以下の画像です。

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外が暗くなり高感度で撮影したので、像が荒れています。

これを見ると右上隅の方のピンボケ感がなくなっているのが分かります。よーく見ると右上隅の画像の方が悪いのですが、これはピンボケによるものではなく、コマ収差によるものと思われます。

ちょっと外が暗くなってしまったため、これ以上のことは分かりません。明日、明るいうちにもう一度詳細なテストをしたいと思います。おそらく300mmの印から相当離れた場所に最適位置があるのは確実です。最終的にはもう一度星を撮って判断しないといけませんが、ちょっと希望が見えてきました。

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2013年12月11日 (水)

BORG67FLファーストライト

伊豆遠征から帰ってきました。

一晩晴れで、風も予報に反して無風で天候は最高でした。しかし、カメラトラブルで十分な成果は得られませんでした。

11時半、現地到着。月が沈むのを待って撮影開始。最初はコーン星雲。8分12枚の予定。無事撮影終了。次に、バラ星雲を狙う。やはり8分12枚にセット。ここでトラブル発生。

カメラのシャッターが切れません。EOSユーティリティーはビジーのエラー。しまいにEOSユーティリティも起動しなくなります。そこで、自作のリモートシャッターに切り替えますが、これでも同様の症状。手でシャッターボタンを押せば、シャッターは開きますが、今度は閉じなくなってしまいます。カメラ電源を切ると戻ります。

結局、パソコンを起動しなおしたら、EOSユーティリティが正常に戻りましたので、撮影を再開できました。これだと、パソコンの問題のようですが、パソコンとは関係ないリモートシャッターでも同様ですから、カメラが壊れかけているようです。もう長いこと使っていますから。

しばらく自宅で検証作業をして、問題ないようなら、もう一度遠征で使い。もしまた再発したらEOS 6Dに買い替えようと思います。

さて、そんなトラブルでバラは6枚しか撮れませんでした。

戦意喪失なのですが、でも、よく考えたら、
私も週に一回しか休みがありませんし、しかも撮影開始ができるのは早くても11時ごろ。昔みたいに一作品に10時間もかけるほど余裕がなくなってきました。
今までは、長時間露出で超強調処理で淡い星雲をあぶりだす作風が多かったのですが、これからはそうもいきません。露出がたとえ1時間でも、それなりに見応えのある作品を作れるようにならないといけないと思い始めています。

さて、それではBORG67FLのファーストライト画像です。

67fl1

67fl2

67fl2_3
BORG67FL+マルチフラットナー+EOD5DMk2
ISO3200 8min

フラットも、ダークも、コンポもしていないない、レベル補正だけの画像です。

中心部分は非常にシャープです。色にじみもハロもありません。周辺減光も少ないです。

ただ、見てもらえればわかるとおり、周辺に行くにしたがって、星が肥大していき、周辺部は完全にピンボケです。鉄塔写真のテストで周辺部が多少ボケるのは覚悟していたのですが、やはり星だとはっきり出ますね。

67fl3

これを許容範囲という人もいるかも知れませんが、私的にはちょっとNGですね。この写真は強調処理していませんが、強調処理したらもっと顕著に出ると思います。

はっきり言ってフルサイズは厳しそうです。APS-Cもどうかな。う~ん、ちょっと残念です。

それともマルチフラットナー最適位置が違うのかな~、300mmの位置ではないとか。

さて、どうしようか。現状このシステムでは、天体写真撮る気がおきません。今後の方向性としては。

1 マルチフラットナーの最適位置をひたすら探す。
2 BORG60ED+マルチフラットナーに変える。暗いけど。
3 それならFS-60CB+フラットナーでもいいや。重いけど。
4 やっぱりカメラレンズ。EF300mmF4L。ずいぶん寄り道したけど。
5 フルサイズは小型システムに向かないや。カメラも壊れてきたので、いっそのこと、冷却CCDへ。
6 もう天体写真はやめる。

追記

そんなに星が肥大していないと思う方のために、強調した画像を貼っておきます。天体写真は必ず強調処理することを忘れないでください。

67fl4
周辺部分は星がうるさく感じると思いますが、中心部分はそれほどでもないと思います。そもそも、「星がうるさい」という表現を使いますが、これは星に収差があったり、ピンボケだったり、ガイドが甘かったため、強調処理によって、それが顕著に表れるためであり、ちゃんとした画像なら、強調処理しても星はうるさくなりません。

上の画像ですが、中心部分の赤い星雲を見てください。細部の構造がしっかり映し出されているのがわかると思います。(コンポすればもっと綺麗になる)いっぽう、左側の星雲を見てください。肥大した星によって星雲がかき乱されているのがわかります。このように星が肥大すると、星雲にも影響するんです。これではまとま作品はできません。

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2013年12月10日 (火)

BORG67FLのヘリコイドの位置は?

光路長の短いBORG67FLのシステムを組む上で悩むのがヘリコイドの位置です。理想は、対物レンズの直後におきたいです。なぜなら、こうすれば、ヘリコイドを鏡筒バンドの外側に出すことができ、鏡筒バンドを緩めなくてもピント調整ができるからです。

ただ、対物レンズの直後ではケラレが出て、周辺減光が多くなるのではという心配があります。そのため今回は対物レンズの後に延長筒を入れ、その後にヘリコイドを入れる構成にしました。すなわちヘリコイドをなるだけ対物レンズから離すようにしたわけです。

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しかし、ほんとうにケラレるのでしょうか?また周辺減光はどの程度増えるのでしょうか?

実際に対物レンズの直後にもってきて、フラットを撮影してみました。結果は以下の通りです。

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これでは分からないので、明るさの数値を抽出して計算すると減光率は-15%でした。これは前回とまったく同じです。つまり、

ヘリコイドの位置は周辺減光には関係ありません。

ただし、ヘリコイドを長く繰り出した状態ではないことに注意してください。(長く繰り出しても理論上は問題ないと思いますが。。。)

さて、そろそろ遠征の準備です。

追記

周辺減光の要因にもう一つM57オスオスアダプタ[7457]の存在があります。これをとらないと本当の比較はできませんが、いずれにせよ、少なくとも-15%より悪くなることはありません。

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BORG67FLテスト撮影その2

どうも前回のテスト撮影に納得しないんですよ。

フルサイズ4隅だから多少画質が落ちるのは仕方がないとして、一般写真であれだけボケるとなると、星ではもっと気になります。まぁ、それでも優秀な方ですけどね。

さて、そこでマルチフラットナーの調整をもう少し追い込んで見ました。前回1mmくらい引っ込めたので。今回は少し戻し、0.3mm~0.5mmにしてみました。正確な数値はわかりません、たぶんこのくらいだろうという値です。

その結果がこれ。

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だいぶ良くなったのが分かると思います。ほぼ完璧と言っていいくらいです。それにしても微妙ですね。

次に、ピント位置ですが、中心でピント合わせをしていたのを、画面右上中間部分であわせて見たのがこれです。

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4隅は完璧になりましたが、今度は中心がちょっとボケました。やはり中心で合わせておくのが無難そうです。

さて、お払い箱になったFS-60CBですが、眼視仕様に変更しました。正立プリズムとPENTAX XW20は愛損彗星用に急遽買ったものですが、むなしく消えてしまいました。まぁ、LOVE女医彗星でも見ます。

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さて、今夜は天気いいみたいなので、伊豆に遠征してきます。コーン~バラあたりを2枚モザイクで狙いたいと思います。BORG67FLの真価はいかに。楽しみです。

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2013年12月 8日 (日)

BORG67FLテスト

BORG67FLのテスト撮影です。

被写体は窓から見える鉄塔。

1312081BORG67FL+マルチフラットナー+EOS5DMark2

鉄塔を4隅にもってきて撮影した拡大画像はこちら。

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フルサイズ周辺部は中心部に比べ多少ボケているのが分かると思います。このボケが星にどの程度の影響がでるか、まだ分からないですね。ただ、わりと素直なボケ方ですので、流れるというか、多少星が肥大する程度でしょうか。

ところでBORGのホームページに、マルチフラットナーをフルサイズで使う場合の調整方法が書いてあります。1mmほど引っ込めそうですが、これを試してみたのが次の画像です。

1312083

う~ん、多少良くなった気がするが、、、微妙です。

次はフラット撮影です。

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ステライメージで読み込むとこんな感じ。

1312084   

減光率ですが、明るさをサンプルすると-15%ほどです。これはかなり優秀です。FS-60CB+0.72RDの場合の同様の評価方法で-33%ですが、FS-60CBのように周辺で急激に落ち込むことはないので、数値以上に良くなった気がします。

あとは、実際に星を写してみてですね。今度の火曜の晩晴れることを祈るばかりです。

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2013年12月 7日 (土)

BORG67FL来る

BORG67FLが来ました。

1312071

さっそく、組み上げてみました。K-ASTECさんが長期休暇なので、鏡筒バンドを三基光学館製にしましたが、ネジ穴の位置とか違うので、穴を開けなおす手間がかかって一日かかってしまいました。

だいぶ軽量化に成功しました。残念ながらウエイトは1個になりませんでしたが、一つ小さいタイプに変えれましたので、トータル1.5Kほどの軽量化です。

周辺減光等、性能評価は明日以降やります。今日は疲れた。

1312072

合焦情報です。

67FL対物+M57オスオス+36mm白延長筒+M57ヘリコイド+12mm延長筒+マルチフラットナー+カメラマウントアダプター+カメラマウント

で無限遠でます。12mm延長筒はなくても合焦します。ヘリコイドを出来るだけ短い状態で使いたかったので12mm延長筒を入れました。

ヘリコイドはM57ヘリコイドを選択しました。これは一番動作が細かいのでこれにしました。可動範囲が短いのが欠点ですが、天体の場合は無限遠でしか使わないんで関係ありません。

性能評価が楽しみです。今日はここまで。

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2013年12月 3日 (火)

BORG67FL

かねてから、購入を匂わせていたBORG67FLですが、

本日予約注文しました。

67fl

無事最初のロッドの在庫が確保できたようで、うまくすれば来週水曜にファーストライトと行けそうです。BORG67FLの性能をお伝えできると思います。いいのか、悪いのか?お楽しみに

さて、hanaさんの忠告も聞かず、BORGに手を出したのは、やはり軽量、コンパクトであることです。いろいろパーツの重量を計算すると、1Kgを切ります。FS-60CBがレデューサーなどを含めると2Kg近くありますから、1Kの軽量化になります。さらにウエイトも1K減らせますから、2kgの軽量化になります。

実は今のシステムはスカイキャンサーにとって、ちょっと重量オーバーなところがあって、何とか軽量化できないかいろいろ考えていたのです。

さて、気になるのは性能ですが、私が重要視しているのはやはり周辺光量です。私は、実は星の周りのハロとかそんなに気にしません。あまり酷いのは気のなりますが(ツアイスの100mmマクロとか。。。)

というのは、今までずっとカメラレンズで撮影してきたので、ハロなど当然のこととして受け止めていました。

私はどちらかというと、淡い星雲を凄く強調処理するのが好きだから、やはり重要なのは周辺光量です。これはフラット撮影ですぐ確認できますので、到着したらすぐ撮影してみたいと思います。

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