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2014年7月15日 (火)

星太朗さんへの回答

画像処理に関して質問を受けましたが、コメント欄では狭いので、本記事にて回答します。

> ほんまかさん、こんばんは!
> 回答ありがとうございます!
>
> レベル調整で真ん中のスライダーを下げること=トーンカーブを山なりに持ち上げること
>
> これは、納得できますが、明るさをあげるとは、
> たとえば、ヒストグラム上のy=xを、傾きを変えずに原点だけ持ち上げる、たとえば、y=x+50、とかに。で、白とびが増える、つまり、全体的に持ち上げる、ということかな、と理解しています。

昔のフォトショップではそのとおりでしたが、現在では違います。(現在も従来方式の明るさコントラストのオプションがあります)

現在は、ほぼレベル調整やトーンカーブと同等になっています。これは次の原則をフォトショップが貫いたためだと思われます。

原則
輝度0は0に、255は255に

トーンカーブで言えば、ちょうど両端が固定されている感じです。y=x+50の方式ではこの原則が実現できません。256の諧調を有効に使うということでしょうか。

そのため、現在では、明るさ、レベル調整、トーンカーブ、すべて同等と思っていいと思います。つまりトーンカーブが万能で、レベル調整がそのサブセット仕様、明るさコントラストがさらにそのサブセットという感じです。


> コントラストを変化させるとは、(128,128)の点を中心に直線を回転させることで、コントラストをあげると、白とびと黒つぶれが、同時に起こる、ということ、と理解しています。
>
> 間違っていますか?

フォトショップの内部仕様がどうなっているかわかりませんが、ほぼその通りだと思います。

> コントラストは、情報が失われる割合が大きいので使いたくない、ってことですよね?今まで私は、バンバン使っていましたが・・・(笑)。

違います。ここは誤解があります。

まず、コントラストを上げること自体は情報落ちはありません。コントラストアップは、
1、2、3、4と並んだ諧調を1、4、6、8とするようなもんで諧調は荒くなりますが、情報落ちはありません。

いっぽう、コントラストダウンは、1、2、3、4と並んだ諧調を1、1、2、2と慣らすようなものです。こちらは、滑らかになりますが、情報落ちが発生します。

したがって、コントラストを上げること自体は情報落ちはありませんが、0から255の諧調のうち、どこかのコントラストを上げるということは、どこかのコントラスト下げなければならない、または切り捨てなければならなくなるので、結果として情報落ちが発生します。

私が、フォトショップの明るさ・コントラストコマンドのコントラストを使わないのは、その仕様が中間点127を中心にコントラストアップをしているからです。ほとんど自由度がないからです。コントラストを上げる処理自体を嫌がっているわけではありません。

> フォトショップの本、読み始めています。ほんまかさんのブログも、少しずつ読み始めています!
> 新しいことを知ると、すぐに試してみたくなるので、そのつど、再処理して、ブログの記事にしています。時間がありましたら、のぞいてみて下さいね。

はい、そうさせていただきます。

> 処理の回数が増えると、ざらざらになるのが、理解できるようになりましたが、これは、露出時間を増やしたり、枚数を増やしたりすることで、なめらかになるので、回避できるようになるのでしょうか?

コンポジット枚数を増やせば解消されます。ただ、処理の回数が増えるからザラザラになるわけではありません、次の質問で説明します。

> それとも、画像処理を進めることで現れるザラザラは、撮影とは別のものでしょうか?
> また、別物であれば、どのように対処されているのでしょうか?ステラナビには、バックグラウンドスムースと言うのがありますが、うまくいきません。これは使いこなしが難しいですね。

ザラザラになるのは、その画像が持ってるポテンシャル(コンポジット枚数とか露出時間とかノイズの少なさとか諧調の豊かさ)以上の強調処理(コントラストアップ)をその画像に課しているからです。画像が悲鳴を上げてます。

解消するには、画像のポテンシャルを上げるしかありません。早い話が露出時間とコンポ枚数です。または荒れるほど強調しないことです。

ただ、画像処理でごまかすことはできます。たとえば、背景で言えば、背景のコントラストを下げることです。トーンカーブにおいて、左側の曲線を寝かせるのはそのためです。ただ、これをやると淡い部分が背景に同化したり、暗黒星雲が消えてしまったりします。その辺の微妙な按配が難しいです。

あと、背景にぼかしなど加える方法もありますが、あくまでもごまかしで、以前はそれではなんとかなったのですが、最近の天体写真の主流としてそのようなごまかしは通用しなくなってきています。

とりあえず、ひとつの撮影対象に2~3時間かける覚悟がないとなかなかみなのように綺麗な写真にはなりません。

> 長々とすみません・・・。
> よろしくお願いします。

これからもがんばってください。

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コメント

ほんまかさん、こんにちは!

私の質問を記事にしていただいて、本当にありがとうございます!かなりびっくりしました。
回答に関しては、納得できた部分がほとんどなのですが、まだ腑に落ちて落ちていない部分があるので、しばらく咀嚼させてください。

ほんまかさんの解説は本当にわかりやすいです。
教えることを職業にでもされていたでしょうか?そんな印象さえ持ちます。

投稿: 星太朗 | 2014年7月15日 (火) 19時59分

ほんまかさん、こんにちは(・ω・)

最近、やまねももんがさんが、フォトショップで、実験をされています。それをみると、コントラストも、右と左は、固定されているような感じです。

あと、同じ輝度でも、均一に動かしているのではなく、ある程度のゆらぎを持たせているようですね。これは、興味深いです。

明日から、11日間、夏休みで、下呂に撮影に行きます☆彡

投稿: 星太朗 | 2014年7月18日 (金) 19時58分

星太朗さん、こんにちは?

コントラストの右と左は固定?
これは私の言った、
0は0に255あ255に ということですかね?

あと、ゆらぎ云々もすみません。よくわかりませんが?
CameraRAWのことですか? 現像ソフトの場合はベイヤーから補完して画像データ作りますので、そう単純ではないと思います。またカラー画像が前提と思います。それとノイズ除去やシャープネスの影響も考えないといけませんね。

明日から、11連休ですか? うらやましいですね。いっぱい撮影してきてください。

投稿: ほんまか | 2014年7月19日 (土) 00時37分

ほんまかさん、こんにちは!

回答が長くなりますので、私のブログに、回答を載せました。参照いただければ、と思います。
よろしくお願いします。

投稿: 星太朗 | 2014年7月19日 (土) 04時16分

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