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2015年2月25日 (水)

「理想のポタ赤を作る」あるものとは

業者に、明日何が何でもとりに行くと連絡したところ、またまたのらりくらり。待ってくれと、私も疲れたので、もうこの話はやめますが、ただ裏を返せば、やる気はあるんだということが分かったので、好意的に捉えることにします。ここは辛抱。

さて、先日予告したあるものとは、これ。

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電子極軸望遠鏡です。

ポタ赤使ってて、一番面倒なのは、極軸合わせと構図合わせ。どちらも、小さいほど面倒なんです。これらは、大きい赤道儀ほど楽です。実際使っている人なら分かると思います。小さなポタ赤に300mmレンズつけて、構図合わせなんて、ほんと、我慢比べですよ。もう最後には、いぇ、これでいいいや。と投げやりに。

構図合わせの面倒さは、「理想のポタ赤」ではステップ微動や、自動導入が使えるのでこれで解消です。ところが極軸合わせの面倒さはまだ残ります。そこで、これを解消したのが電子極軸望遠鏡です。

2.4インチタッチパネルLCD、CMOSセンサー、GPSセンサー、方位センサー、傾斜センサー搭載の優れもの。だれでも短時間で、しかも正確に極軸を合わせられます。

これが導入画面。

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拡大画面。

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時角計算不要です。GPSデータから自動で北極星の位置を計算します。

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これは、方位、傾斜センサー画面です。これらのセンサーにより、北極星を覗き込まなくて導入できます。もう覗く必要はありません。

画質調整画面。

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そして、これがセンター出し画面。極軸望遠鏡のセンター出し。つまりレチクル中心の赤経軸の回転軸を一致させる、あの面倒な作業です。この画面を使えば、タッチパネル上で行えます。1分もあればできてしまいます。

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そして、最後に地点登録画面。良く行く遠征地の地点登録をしておくと、その場所での方位センサー、傾斜センサーの値を覚えています。そうすると、次回からはセンサーによる北極星の導入が正確になります。8箇所まで登録できます。

ケースはこんな感じです。

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こんなものを「理想のポタ赤」につけると、さらに値段が高くなるのでは、と心配するかもしれませんが、大丈夫です。今のところ、光学式極軸望遠鏡と同じくらいのコストで製作するつもりです。もちろん、光学式極軸望遠鏡の方がいいという人にはその選択肢も残してはおきますが、

ただ残念なことにポタ赤リリースには、間に合いません。早くても4ヶ月はかかると思います。ですから、最初は光学式極軸望遠鏡をつけますので、あとから交換ということになりそうです。

この電子極軸望遠鏡ですが、赤道儀の取り付けネジがM27となってますので、GPシリーズの赤道儀にも付けられます。これ単体の販売も予定しています。

この電子極軸望遠鏡の唯一の欠点といえば、邪魔なこと。一応簡単に脱着できるようにしておきます。その都度脱着すると光軸がずれるのでは、と心配するかも知れませんが、そうはずれないと思ってます。気になるなら、便利なセンター出し機能もあるし、付けっぱなしにしておくかですね。

これほんと便利ですよ。一度使うと、もうやめられなくなります。

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コメント

これはすごい!特にセンター出し機能まであるのは感動です!初心者でも簡単にセッティングできますね。

あと赤道儀本体の方も、私もいくらでも辛抱いたします。急いては事を仕損じる・・・と思うので。

投稿: enif883 | 2015年2月25日 (水) 22時24分

enif883さん、初心者でなくても、極望のセンター出しや、極軸合わせは面倒です。

「急いては事を仕損じる」
若いのに良いこといいいますね。ここは私も落ち着くことにします。もう一回深呼吸して仕切りなおしです。
ご理解感謝です。

投稿: ほんまか | 2015年2月25日 (水) 22時55分

これは良い!
自分みたいに「極軸望遠鏡を覗いたのは数十年振り」なんて人達には、とてもありがたい「あるもの」です(笑)
しかしまあ、アストロトレーサーと言い、コレと言い技術の進歩はスゴイですね

天体観測への敷居が下がって、皆(特に子供とか)が気軽に観測できるようになると良いなぁ

投稿: KEN | 2015年2月26日 (木) 00時05分

KENさん、ありがとうございます。
KENさんみたいに数十年ぶりなんて人は、今のデジタル天体写真の様変わりぶりは、驚愕ものでしょうか?

ただ、星景写真はともかく、天体写真の分野で敷居が下がったかといえばそうでないような気がしますね。
もっともっと電子化技術を取り入れて使いやすさを追求する必要がありますね。

投稿: ほんまか | 2015年2月26日 (木) 11時04分

素晴らしいアイデアですね、完成が楽しみです。
南天での活用もお考えでしょうか?
昨年ニュージーランドに初遠征してきましたが、極軸合わせは断念してしまいました(広角レンズ撮影でお茶を濁しました。。)。
理想のポタ赤で、南天もちょちょいで極軸合わせが出来たらいいなぁーと妄想中です^^

投稿: とし | 2015年2月26日 (木) 23時02分

としさん、ありがとうございます。

南天こそほしい機材と思います。
ただ懸念があります。

はちぶんぎの台形が写るかどうか?
その他、南天での使いがっては?

確認しようにも、私は国内の遠征すら行けない身で、
まして南半球の遠征なんて絶対無理。

ということで、今現在南天使用は考えていないのですが、
南天でのテストに協力してくれる人がいれば、
そうしたいですね。

投稿: ほんまか | 2015年2月26日 (木) 23時43分

 この開発に大変期待しております。 いつもメーカー以上に先進的な開発を意欲的になさっていますので、普段から感心しながら拝見しておりましたが、このたびの電子極軸望遠鏡(以下:デジタル極望)のニュースに『いよいよ出てきたか・・・』の感動で、初めて投稿させていただきました。赤道儀において追尾の悪化要因は、①恒星時追尾精度 ②ピリオディックエラー ③据付精度 がありますが、特に移動式赤道儀では③の解決が遅れていると思っています。 一般に極望を使って丁寧に据付ても、最低4分角程度の誤差が残ると聞いたことがあります。 その誤差原因は、a:極軸と極望光軸の傾き b:極軸パターンの尺度 C: 極望パターンのズレ d:接眼レンズの傾き e:視点のズレ などが考えられます。 これらが複合すると想像以上の誤差(たぶん10分角くらいかそれ以上)に拡大します。 しかしデジタル極望が完成すればb~dの問題を解消できますので、精度向上の観点からも時代を改革できる手法と言えます。
 デジタル極望への期待としては据付精度が最低2分角、できれば1分角以下を目標に赤道儀が据付できるよう、ブレイクスルーで設計・製作されることを期待しています。(プレッシャーになるかもしれませんが)
 質問ですが、極望対物レンズの焦点距離やカメラのチップサイズで、投影される像の大きさが変わりますが、これはソフトで解決でしょうか?
 また北極星以外に、より極点に近い恒星(8~9等星)も利用すれば、さらに据付精度を高めることが可能と考えています。 実際に口径20mmの極望を改造し、最近の高感度オートガイド用カメラで撮影する実験をしましたら、北極星以外に数個は確実に写っていましたので、可能なレベルと思っています。 同様に南極点付近にも「はちぶんぎ座σ星」以外にも暗い星が数個ありますので可能と思います。 これらを総合して開発頂ければ、大変うれしいです。 仕様が合えば購入したいと考えています。

投稿: ありま星 | 2015年2月27日 (金) 17時54分

ありま星さん、なが~いコメントありがとうございます。
ご質問にお答えします。
まず、精度の問題ですが、これは導入の容易さとトレードオフのところがあり、私も悩みました。精度を上げるにはレンズの焦点距離を長くすればいいのですが、そうすると、視野角がせまくなり導入が難しくなります。
いろいろ悩んであげく、レンズの焦点距離25mm、チップサイズ1/6インチにしました。
この場合、視野角は短辺で4°です。短辺方向のカメラの解像度は480ピクセルあるので、理論的な分解能は
240分÷480=0.5分
となります。ただ、目視で1ピクセルの精度で合わせるのは不可能で、4ピクセル分くらいの精度と思います。

続く

投稿: ほんまか | 2015年2月27日 (金) 19時13分

今の仕様で精度を上げるには、いくつか方法があります。
まず、一番簡単なのは、レンズの焦点距離を長くすることです。視野が狭くなっても、精度を重視したい人には25mmレンズの代わりに35mmレンズを付けてもいいです。
残念ながら35mm以上になると、赤経軸の中に入らなくなります。
次の方法はやはりソフトで頑張ることになります。
まず方法ですが、目視による合わせではなく、画像解析で星の重心を出し、数値でずれをを表示する方法です。これなら間違いなく1ピクセルで合わせられます。

ただ、ここまで正確に合わせるとなると、いろいろ問題があります。

続く

投稿: ほんまか | 2015年2月27日 (金) 19時17分

まず、レンズの焦点距離の誤差の影響です。これに関しては、出荷前に実際に2つ離れた星でキャリブレーションして出荷するつもりです。
また、同時にセンター出しの精度も上げる必要があります。

精度を上げることに関しては、できる限り頑張ってやりたいとは思っていますが、他の作業もあるので、今はなんとも言えないです。

今回は、価格優先でカメラを選定したのですが、価格が少し高くなってもいいなら、高解像度のカメラにして、拡大倍率を上げるのが、視野も狭くならず精度を上げることもできます。精度重視の2号機を考えてもいいです。

続く

投稿: ほんまか | 2015年2月27日 (金) 19時23分

次に感度の問題です。

今回は価格優先だったので、あまり高感度ではありません。暗い星を写すには露出時間を長くすればいいのですが、そうすると、星が遅れて動くことになるので、非常に合わせにくくなると思います。

やはり、暗い星まで写したいなら高感度とタイプのカメラになると思います。
南半球でも使用できる高感度バージョンももし、需要があるなら作ってもいいですね。価格は高くなりますが。

ちなみに今現在星がどれくらい写るかというと、北極星は当たり前ですが、はっきり写ります。M42なんかもはっきり形が分かります。
ただ、4等くらいになると厳しいですね。ノイズと区別つかなくなります。

以上。

投稿: ほんまか | 2015年2月27日 (金) 19時30分

ほんまかさん。早速ご返事いただき、ありがとうございました。 本機が狙っているところが概ね理解できました。 あとは結果を見ての判断ですね。 デジタル極望には据付作業の迅速化と、精度向上の両立を期待しています。

投稿: ありま星 | 2015年2月28日 (土) 11時38分

こんにちは
すごく便利そうですね。是非使ってみたい!
このLCDパネルの操作を、スマホで出来るようにすることは無理なんでしょうか?いつもド素人質問ですいません。

投稿: 星観るオヤジ | 2015年2月28日 (土) 14時33分

星観るオヤジさん、ありがとうございます。

スマフォ操作ですが、かさばるLCDモジュールの代わりに、WiFiで画像飛ばして、スマフォでモニタ、操作するようにすればコンパクトになると、検討はしたことあります。
ただ、ソフト、ハード、コストの面で、ちょっと難易度はあがります。またいちいちスマフォで接続設定するのも面倒と思い。今の構成にしました。

USB接続なら、もうちょっと簡単にできますので、USB接続も検討したのですが、画像はともかく、その他のセンサーのデータをどうやってスマフォ、あるいはPCに送るか、迷ったので、これも実現しませんでした。

ただ、どちらもアイデアはいいと思うので、今後の課題ですね。

投稿: ほんまか | 2015年2月28日 (土) 18時23分

最近四半世紀ぶりに天体写真を再開した者です。当然老眼でありまして、ファインダー・極軸の覗きには、リフトアップフレームの眼鏡を上げ下げして苦労しております。タカハシの値上げも有り中型赤道儀の購入を考えておりましたが、この記事を見て気が変わりました。予算をこっちにまわしますので、楽しみにお待ちしております。

投稿: いればひろし | 2015年2月28日 (土) 19時14分

いればひろしさん、ありがとうございます。
私は、極望の下から覗く体勢が苦手なんですよ。

中型赤道儀の購入を考えてるなら、GP2赤道儀という選択もありますよ。
GP2でもポタ赤のコントローラーや、この極望を使えます。

投稿: ほんまか | 2015年2月28日 (土) 19時34分

いつも更新を楽しみにさせて頂いております。

思っていたより高価になってしまい、素人でかつ使用頻度が限られる私には敷居が高いのではと思い思案中です。

以前、オートガイドをGP2にもつけられるとのお話が
有りましたので、GP2にほんまかさんのオートガイドと電子極軸望遠鏡をつけると、精度はさておき、コストが下がるのでは・・・とも考えています。
しかし、GP2も製造中止になっているので、どこでも入手できるようではないので尚更悩んでおります。

しかし、この企画は非常に興味がありますので、
是非とも、頑張って頂きたいと思います。

投稿: たくちゃん | 2015年3月 2日 (月) 12時48分

たくちゃんさん、
GP2はモーターセットを出す予定です。
私もGP2はメインで使って、ポタ赤の方はサブで使う予定です。
GP2は確かに製造中止ですが、大量に出回っていますので、中古市場では入手に困らないでしょう。

投稿: ほんまか | 2015年3月 2日 (月) 19時47分

はじめまして。
天体写真の画像処理方法について勉強したく検索していたところ辿り着きました。
画像処理について勉強すべき所、この記事を拝見し大変素晴らしい内容に心動かされ、ついつい書き込みをしております。
質問ですが、この電子極軸望遠鏡の機能として、北極星が見えない場所では擬似的に北極星を表示することで、
時角サークル内へ導入し極軸設定するは可能なのでしょうか?
自宅では北極星が見えないため、このようなシステムは大変ありがたいです。

投稿: ヒロ | 2015年3月28日 (土) 16時50分

ヒロさん、はじめまして。
擬似的に北極星を導入というところがどのような意味かわかりませんが、たとえば、次のようなことでしょうか?

まず、最初に星の動きなど使って極軸を正確に合わせる。
次に極軸望遠鏡を覗くわけですが、北極は見えないので、たとえば家の屋根のとかが見えるわけですが、その見える場所を覚えておいて、
次回、観測のときには、まったく同じ場所に三脚を設置し、その屋根の目印で極軸を合わせる。

これらなら2回目以降、かなり正確に合わせられると思いますが、ただ、これらなら電子極軸望遠鏡でなくても普通の極軸望遠鏡でできます。

この極軸望遠鏡は方位、傾斜センサーを搭載しているので、それで極軸を合わせることはできます。ただ、精度的には±1°程度です。広角~標準レンズでは大丈夫かも知れませんが、それ以上の場合は厳しいでしょう。

その場合、ガイドカメラなどで、実際に星の動きを見ながら合わせこんでいくしかないでしょう。そのような極軸の合わせ方を支援するソフトウェアもありますので、調べてみてください。

投稿: ほんまか | 2015年3月28日 (土) 17時18分

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