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2015年9月28日 (月)

「誰でもわかるマイコン入門」LX200コマンドその1

突然ですが、ブンブンさんのリクエストに答えて、「誰でもわかるマイコン入門」を一時復活し、LX200コマンドについて解説したいと思います。

LX200コマンドは、自動導入対応モータードライブを作るのに大切なコマンド体系です。これをマスターすれば、誰でも自動導入モータードライブが作れます。

前半は主にコマンドの説明、後半はmbedマイコンを使って、LX200コマンド解析機を作ってみたいと思います。

LX200コマンド自体は、テキストベースの簡単なコマンドで誰でも理解できます。しかし、実際に作ろうとすると、けっこう難しいところがあります。具体的には座標計算です。たとえば、赤経13hから12hに移動させる場合、1時間分なので、モーターを西に15度回転させればいいように思えますが、そう単純ではありません。モーターが動いている間にも星は動きますので、その分も考慮しなければなりません。そのへんの、実際に直面する問題にも解説をしていきます。

それでは、前置きはこのくらいにして、スタートです。

LX200コマンドとは
 LX200コマンドはミードの望遠鏡を制御するためのコマンド体系です。このコマンド体系は仕様が公表されていますので、これを真似すれば、ミードの望遠鏡に対応した自動導入ソフトを使って、自分のシステムも制御できるわけです。

 LX200コマンドは、RS232C通信(ボーレート9600bps)を使ってやり取りされます。RS232C通信はパソコンではすっかり影を潜めましたが、マイコンの世界では単純で分かりやすく、基本中の基本の通信方式となっています。

 またLX200コマンドはテキストベースなので、つまり文字列なので、画面に"Hello, World"を表示するような感覚でプログラミングができ、非常にわかりやすくなっています。マイコン入門の題材にしても良いくらいです。

 なお、LX200コマンドの正式な仕様書は、ぐぐれば、すぐ見つかるので、見ておいてください。

どんなコマンドがある?
 LX200コマンドにはさまざまなものがあります。自動導入に必要なもの以外にも、オートフォーカサーが使うコマンドや、時刻や場所に関するものなどさまざまです。すべてのコマンドに対応する必要はありません。どのコマンドに対応すればよいかは、自動導入ソフトによって異なりますが、だいたい相場は決まっています。

 したがって、本当に必要なコマンドのみ説明することとします。

ホストとコントローラ
 自動導入ソフトがのったパソコンをホストを言います。いっぽう、モータードライブの方をコントローラといいます。

 LX200コマンドは、ホストから、コントローラにコマンド(実際には文字列)を送ることによって成り立ちます。コマンドによっては、コントローラからホストに応答を返さないといけません。制御権はあくまでもホストの方にありますから、コントローラからホストの方へ何かを要求することはありません。一方向の命令体系です。

コマンドの実際
 それではどのようなコマンドがあるか見ていきましょう。

:GR#
 LX200コマンドはコロン(:)で始まり、シャープ(#)で終わるのが特徴です。大文字小文字は区別されます。このコマンドはもっとも基本的なコマンドで、ホストが、コントローラに対して、現在の赤経座標を知らせてくれという要求コマンドです。

 したがって、コントローラはこのコマンドを受け取ったら、次のような文字列を返してやる必要があります。

 12:34:56#

 この例では、赤経12時34分56秒です。一般に次のような書式で文字列を返してやります。

 HH:MM:SS#

 なお、LX200コマンドでは低精度の座標もサポートしていて、低精度の座標では

 HH:MM.T#

 Tは、分の1/10になります。したがって、先ほどの12時34分56秒を低精度で表せば、

 12:34.9#

 となります。多くの自動導入ソフトに対応させるには、両方の書式に対応しておくのが望ましいです。

:GD#
 このコマンドは、GRと同じく、現在の赤緯を返すコマンドです。たとえば赤緯12度34分56秒なら

 +12*34'56#

となります。書式は次のようになります。

 sDD*MM:SS#

sは符号で+か-です。赤道より北が+になるような座標です。南の場合はマイナスになります。

 低精度の場合は次のような書式になります。

 sDD*MM#

 SSの部分がありません。

 GR,GDコマンドの例でも分かるように、座標を管理するのはホスト側ではなく、コントローラ側になります。これはコントローラ側の負担の方が大きいことを意味します。

 コントローラ側では座標は一周360度の角度で保存しておいた方が便利です。そして必要に応じて、赤経、赤緯の座標に直すようにします。

プログラム例

 赤経軸の子午線からの角度をRaDegreeとします。(0~360度)、赤緯軸の赤道からの角度をDecDegreeとします。(-90度~+90度)

赤経座標への変換(コピペしてね)
=========================================================================
   if (!strcmp(CommandBuffer, ":GR#")) {
    int HH, MM, SS;
    double d;
    d = RaDegree;
    if (d >= 360.0) {
     d -= 360.0;
    }
    else if (d < 0) {
     d += 360.0;
    }
    if (d >= 360.0 || d < 0) {
     d = 180.0;
    }
    HH = d/15.0;
    d = d - 15.0*HH;
    MM = d*(60.0/15.0);
    d = d - MM/4.0;
    SS = d*(60.0*60.0/15.0);
    if (Lx200Preci == 0) { //精度
     printf("%02d:%02d:%02d#", HH, MM, SS);
    }
    else {
     printf("%02d:%02d.%01d#", HH, MM, SS/6);
    }
   }
==========================================================================

赤緯座標への変換
==========================================================================
   else if (!strcmp(CommandBuffer, ":GD#")) {
    int sign, DD, MM, SS;
    double d = DecBaseDegree;

    if (d >=0) {
     sign = '+';
    }
    else{
     sign = '-';
     d = -d;
    }
    DD = d;
    d = d - DD;
    MM = d*60.0;
    d = d - MM/60.0;
    SS = d*60.0*60.0;
     if (Lx200Preci == 0) {
      printf( "%c%02d*%02d\'%02d#", sign, DD, MM, SS);
     }
     else {
      printf("%c%02d*%02d#", sign, DD, MM);
     }
   }
==========================================================================

GR/GDコマンドはホストから頻繁に送られてきます。200msに一回とか、そのような頻度です。自動導入で、GOTO命令を発行すると、カーソルが目標に向かって動きますが、それはコントローラ側のこのような計算によるものです。

座標の更新
 コントローラが保持している天球上の角度(RaDegree、DecDegree)は、当然ですが、モータを動かせば値を更新しなければなりません。

 RaDegreeとDecDegreeの値をどのような方法で更新するかは、モータードライブシステムによって異なります。

 一番、正確な方法は、エンコーダー入力です。モーターがどれだけ回ったかではなく、実際にどれだけ赤道儀が動いたかを計測するのがエンコーダーです。赤道儀の手動にも対応できます。

 ただ、エンコーダー搭載の赤道儀はそうそうあるものではありません。自作となると、負担が大きいです。

 もう一つの方法はパルスを計測する方法です。モーターにどれだけパルスを送ったかを常に数えているのです。パルスモーターは回転角は正確にパルス数に比例しますので、パルスを計測すればモーターの回転角が分かります。
 マイコンによっては、1パルス送るごとに割り込みが入るものもありますので、そのような割り込みを使ってパルスを計測します。

 最後の方法は、時間を計測する方法です。モーターの回転速度(恒星時とか100倍とか)と動作時間が分かれば、そこから角度が計算できるはずです。

 たとえば、1秒ごとにかかるタイマー割り込みの中で、 モーターの速度を対恒星時でV倍とすると、

  RaDegree += (15.0/3600.0)*(V-1);

 となります。Vは日周運動と同じ方向は+、逆は-になります。-1してあるのは日周運動分をキャンセルするためです。

 この方法はあまり正確ではなく誤差も蓄積しますが、プログラム的には一番簡単な方法になります。

ちょっと長くなったので、今日はここまで。

 

 

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ケーブル地獄からの脱出

先のブログ記事で「ケーブル地獄」という言葉を使ったためか、結構反響が大きく、悩んでいる人が多いことが分かった。

確かに、最近は電子化で特にオートガイダーがからむとケーブルがごちゃごちゃ。また、カメラを2台載せるケースも多く、さらにケーブルがごちゃごちゃ。

ケーブル類をいかに少なく、シンプルにするかは、システム全体を軽量化するのと同じくらい重要な問題。

私は、こうなってしまった原因の責任の多くは、メーカーにあると思っていますが、いまさらメーカーに文句を言っても始まらないので、ケーブル類をシンプルにする方策をいくつか考えてみました。

1 束ねる

1509272
一番シンプルな方法ですが、基本だと思います。効果も大きい。結束バンドなどで束ねて、三脚やピラーなどにきれいに這わせる。使う人のもっとも性格が現れやすい方法ですね。

2 ハブ方式

1509273ケーブルの分岐を機材の近くで行う方法。実は以前、私はこの方法を採用していました。写真はこれ。

1509276
ただ、この方法はシステムの追加や変更に弱い。柔軟性がない。

3 デージーチェーン

1509274
カメラ電源やヒーター電源など同じものがいっぱいある場合に有効。根元の方でトラブルがあると、それ以降全部落ちる。ただ、その場合は途中を外せばいいだけのこと。

4 無線化

1509275

すべてではないが、一部を無線化する。RS232Cなどは、WiFiやBluetoothなどで置き換え可能。

また無線化とは直接関係ないが、システムの一部をスティックPCや、小型コンピュータなどにして、システム全体をコンパクト化、リモートコントロール化する例もある。

私、3のデージーチェーンがけっこういいのではないかと思ってます。さっそく、試作してみたいと思います。良ければ商品化も。

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2015年9月27日 (日)

電子極軸望遠鏡あれこれ

次は、電子極軸望遠鏡について、取り留めのないことですが、書きたいと思います。暇なんで。

電子極軸望遠鏡はQHYも計画していて、じわじわ普及していくものと思われます。実際、販売してみると意外なところに要求があるものです。

ただ、電子極軸望遠鏡は、あれば便利だし、使えばもう普通の極望には戻れないところもあるのですが、なければないですんでしまうもの。今まで不便に感じてなければ、なくても別に困らないものです。

だから、電子極軸望遠鏡の単独の販売では、あまり普及しないのではないかと思ってます。むしろ、電子極軸望遠鏡は赤道儀に内蔵されて、はじめて効果が最大になると思います。

そして、電子極軸望遠鏡は、ユーザよりむしろ赤道儀メーカーにとって恩恵が多いように思えます。

赤道儀とくにポタ赤を設計する上で、赤経回転軸中に光学極軸望遠鏡を埋め込むというのは、設計上制約がとても大きいです。

たとえば、SS-one。これはウォーム歯数が120枚なのですが、小型にするため、もっと歯数を少なくしたいと考えたことがあります。しかし、120枚が最小の歯数なのです。極軸望遠鏡があって、その外側にシャフトがあり、その外側にベアリングがあり、その外側にウォームホイルがきます。そうすると、どうしても最低限120枚の歯数が必要になります。

また、光学式は、全長が長くなります。ポラリエはポタ赤では珍しく赤経軸上に極望を入れますが、全長が長いため、極軸を合わせるときは、赤経回転テーブルを外すという、中途半端な仕様になっています。

電子極軸望遠鏡を使えば、こういった設計上の制約から解放されます。赤経軸上にある必要もありません。

もちろん、メーカーにとってはコスト増になることや、その後のメンテナンスや耐久性なども考えなければなりませんが。けして不可能ではないと思います。コストに関しては、そんなにかからないと思います。光学式極軸望遠鏡だって、1万数千円くらいするわけだし。その範囲で作ることは可能と思います。

電子極軸望遠鏡に限らず、いろんな電子機器の開発と内蔵化、これはどんどん推し進めていってほしいですね。

そうしないと、どんどんケーブル地獄に陥ってしまいます。

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CMOSセンサーあれこれ

部品がこないので、つかの間の休息です。しばらく、いろいろしゃべろうと思います。

今日はCMOSセンサーについて。

ソニーがCCDの生産終了を予告して、今後はCMOSセンサーがますます重要になってきます。CMOSセンサーはマイコンとの相性が良いので、私もいろいろ作ろうと妄想が広がるのですが、各社とも技術情報をなかなか出さないので、特にソニーは出さないので、自分でカメラ作るのはきわめて困難なのは残念な状況です。

さて、現在、高感度オートガイドカメラとしてよく使われるセンサーとしては、Aptina(今は買収されてONセミコンダクター)のMT9M034があります。QHY5LⅡやASI120などが使っています。あと、これとほとんど同じ仕様で一年新しいセンサーでAR0130があります。ToupTekのカメラで使われています。ASIもカラー版は使われています。

ただ、両センサーとも、もう古いですね。販売が、2011、12年くらいだったと思います。それにAptinaはあまり元気がないですね。今は、ソニーが元気です。

今、ソニーの注目センサーは、オートガイダー用としてはIMX224ですね。MT9M034と同じ1/3インチのセンサーです。QHY5LⅢやASI224に使われています。他社も今後このセンサーを使ったのを出してくると思います。

感度の単位が、Aptinaとソニーでは違うので、単純な比較はできないのですが、MT9M034などと比較して4倍くらい高いような印象です。

感度が高くなって、オートガイド上、有利なことは、露出時間を短くできることです。つまり修正間隔を短くできます。たぶん1/8秒とか、このくらいの間隔で修正信号出せるではないでしょうか。そうすると、オートガイドの精度もあがります。またバックラッシュの大きいシステムでも有利と思います。

また、経緯台で追尾するには修正間隔が短いほど有利ですから、ほんと夢物語ではなくなってきました。

QHYの電子極軸望遠鏡もIMX224使ってるのかな。

あとはIMX224を使ってるカメラがもう少し安くなってくれればな。と思うこのごろです。

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2015年9月26日 (土)

ポタ赤あれこれ

中国からの部品がなかなか、こないので作業が滞っています。天気も悪いので、テストにも行けず。今日はポタ赤について思うことをあれこれ、書いてみようと思います。特に話の趣旨はないです。

ポタ赤といっても、コンセプトはいろいろあり、広角レンズ用の小さいポタ赤、望遠鏡も載せられる大きいポタ赤。SS-oneはもちろん、大きい方です。あまりに大きいので、ポタ赤とは言えないかもしれませんが、名称はともかく、持ち運びにコンパクトで、セッティングが容易になるように設計したつもりです。

SS-oneがこの大きさになったのは500mmでも安定したガイドができることを目指したからです。なぜ、500mmか? 理由があります。

星雲星団の写真を撮り始めると、だいたい500mmくらいまで焦点距離伸ばしたくなるものです。このくらいなら画面にそれなりの大きさで星雲星団が写ります。よく200mm~300mmくらいで良いという人がいますが、フルサイズならM31を写しても、豆粒のようで、これで満足はなかなかできないものです。そこでさらに焦点距離を伸ばそうとするのですが、ここで、新たな赤道儀でシステム組むか、従来の赤道儀でそのまま行こうか、分かれるところになります。SS-oneは後者の方を選択をしたわけです。

いっぽう、ポタ赤に小ささや、軽さを重視する人が居ます。徒歩で移動したり、登山のお供にしたり、あるいは星景写真であちこち撮影場所を変える人には重要な要素と思います。

ただ、車で移動し、その場で設営する場合、なぜそれほどまでに小型軽量にこだわるのか、私には理解できません。まぁ、理解できなくてもいいのすが、それなりの需要があるのは事実なので、私も小型のポタ赤について、あれこれ考えています。

小型のポタ赤の場合、まぁせいぜい焦点距離100mmくらいまでのカメラレンズが適用範囲かと思います。しかし、実際には200mmくらいまで追尾できたら嬉しいです。(実際には200mmでも満足しないと思いますが)

そこで重要になってくるのが、追尾性能です。

なんか「ポタ赤=追尾性能比較」みたいな図式も感じられます。一番、注目されるのが、ピリオディックモーション。

ただ、ポタ赤のほんとうの追尾能力は、三脚や雲台などもすべてを含めたトータルな性能として評価するべきで、ある一点だけ良いからといって安心できるものでもないです。ポラリエはピリオディックは良さそうですが、貧弱な三脚に載せたんじゃ、その性能を発揮できません。

私は、ピリオディック性能以上に、重要な要素は極軸の精度だと思います。

まず、容易に極軸をだせる赤道儀かどうかです。ただの通し穴では、200mmで長時間露光は難しいです。

あと、極軸望遠鏡の光軸と赤経軸の回転軸を一致させる、いわゆるセンター出しの精度と容易さです。

私は、極軸望遠鏡が外付けの場合、それほど精度良くセンター出しができるとはおもわないのですが、実のところどうなんでしょう?

仮に、合わせられたとしても、それは赤経軸の粗動回転軸の中心であって、微動回転軸の中心ではありません。

これはあまり注目されないのですが、赤道儀の粗動回転軸と微動回転軸は必ずしも正確に一致してません。EM-200のようなちゃんとした赤道儀なら、かなりの精度で一致してると思いますが、しかし、赤経軸が短いポタ赤はだいぶずれているのではないかと思います。SS-oneも正直自信がありません。

そう考えると、一番確かなのは、実際の星の動きで極軸を合わせる方法でなないでしょうか。ドリフト法でしたっけ?

ただ、これで合わせたとしても、小型のシステムの場合は、一度構図合わせをすると、一発で極軸がずれます。(どれだけずれるかはシステム全体の強度にかかってきますが)

そう考えると、小型のシステムで正確に極軸を合わせるのは無理とは言いませんが、かなりいろんなことに気を使わないと実現できないような気がします。

私は、ピリオディックモーションや、極軸精度を考えると、小型システムほどオートガイドを取り入れた方がいいような気ます。

むしろ、ノータッチやりたいなら大きな赤道儀を使うべきです。

とは言え、オートガイドの負担はかなり大きなものがあります。一番の負担はパソコンの導入と思います。タブレットの普及で、以前よりはパソコンの負担は軽減しましたが、それでもまだいやなものです。

そういった意味では、スタンドアローンオートガイダーの開発は重要性が高いのではないかと思います。オートガイドがもっと身近になれば、小型システムでもどんどん使われるのではないかと。

ピリオディックモーション性能や極軸性能はあきらめ、そのかわり小型で負担にならないオートガイダー内蔵みたいな小型ポタ赤があったら、それはそれでいいなと思うこのごろです。(それを作るとは言ってないです。あくまで妄想です)

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2015年9月25日 (金)

業務連絡

微動装置ですが、ご入金いただいた分に関しては、本日までにすべて発送しました。ただ、CD-1ユーザ版は、アダプターボードの手配が遅れている関係で、明日か明後日の発送になります。

なお、微動装置ですが、2台ほど余っております。まだ間に合います。

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2015年9月23日 (水)

「経緯台で天体写真」FTSの恩恵

久々の経緯台シリーズです。

経緯台の方も少しずつですが、進んでいます。というか、スタンドアローンオートガイダーあれを進化させて、経緯台のコントローラに使用したい思っています。ですから同時進行というのが正しいかな。

今日は、フリートラッキングシステム(FTS)の恩恵についてちょっと。FTSは何も経緯台に限った話ではないです。赤道儀でもFTSを使うことができます。FTSは2軸の平行移動と、1軸の回転でもって、どのような状態でも、星を追尾することができます。

写野の回転ができるので、今までにない撮影が可能になります。一番分かりやすいのは、縦横構図の自動切換えです。プログラム撮影で縦横の切り替えも行えます。もちろん、縦横だけでなく、もっと絶妙な構図も可能です。

そして、私が一番うれしいと思うのは、完璧なモザイク結合ができることです。

普通、赤道儀でモザイクをやると、こうなってしまいます。

1509231_2北向きほど顕著です。ところが、FTSを効かせれば、モザイクも、こんな完璧になります。

1509232

あとは、ディザーガイドで、平行移動だけではなく、回転も入れることができます。周期的なノイズに対応できます。また、あまりやらないとおもうけど、写野を180°回転させての合成も可能。このようにFTSは単に経緯台で撮影ができるというだけでなく、色々な撮影スタイルをとることが可能になるんです。

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タカハシ赤道儀用 電子極軸望遠鏡その2

タカハシ赤道儀用電子極軸望遠鏡のカメラを何にしようか悩んでいるところです。

と、GENTAさんから、情報が入りました。QHYも電子極望、計画してるそうです。

http://qhyccd.com/PoleMaster.html#PoleMaster

最初、このニュース聞いたときは、QHYがやるなら、わざわざ自分がやることはないな。

と思ったけど。スタンドアローンオートガイダーで表示機はどうせ作るわけだし、QHYが電子極望だすなら、いずれ電子極望があたりまえになるかもしれない。そうしたら、今まではできることがプラス評価だったけど、今度はできないことがマイナス評価になってしまう。

そんな思いもあって、ますます、作らねばという思いです。ただ、ただ、上記QHYの技術Overviewを読むとすごい。高感度のカメラを使って、北極星近くの暗い星も写し出して、星の並びから、真の北極を算出し、点で表示。いっぽう赤経軸の回転中心も点で表示し、それを一致させることで極軸を合わせるそうです。

この方式の利点は。

1 正確、おそらく1ピクセルの精度で合わせられる
2 カメラを水平にする必要がない、赤道儀がどのような状態であっても極軸が合わせられる。撮影中も極軸の確認ができる
3 南天では効果絶大。

ここまでやるかという感じです。これは私がやりたかったけど、できなかったことです。これをやるには、それなりの高感度CMOSセンサーが必要と思われます。

まぁ、唯一の欠点としては、パソコンが必要ということ。普段、冷却CCDとかでパソコン使っているならいいけど、極軸合わせのためだけにパソコンは使いたくないですよね。

とりえあず、私は私で、しこしこと開発進めます。

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2015年9月21日 (月)

タカハシ赤道儀用、電子極軸望遠鏡

タカハシ赤道儀用の電子極軸望遠鏡ですが、けっこうご要望が多いようで、しかも、訴えが切実です。

「もう歳なので、しゃがんで覗き込むのがつらい」
「最近眼が悪く、パターンが見えない」

なんか、天体写真界も超高齢化が進んでいるような。。。

ともあれ、お人よしの私は、懇願されると、頑張ってしまう。

タカハシの赤道儀は極望が取り外せないので、それじゃ、コリメート式でいこう、と思っていろいろ検討したのですが、けっこう問題が多い。

1 極望の接眼部に確実に固定するのが難しい(ネジ山とかないので)
2 コリメート式は視野が狭くなる。(丸い視野を四角く切り取るので)
3 センター出し機能が使えない。

特に2の問題が大きいですね。そこでいろいろ考えたのですが、極軸の対物側に小さなカメラを付けたらよいのでないかと。

Em11t2m

いや、もっと言えば、カメラの光軸と極軸の回転中心が一致してれば、どこでも良いんですよ。むしろ、極軸上にない方がいい。そうすれば、電子極軸望遠鏡と光学式の両方が使えます。これは盲点でしたね。私も何か、常識にとらわれすぎていた。

ともあれ、これでちょっと進んだ感じです。

ところで、タカハシの赤道儀といっても、いろいろありますよね? どれに対応すればいい?とりあえず、EM-11とEM-200でいいですかね?

タカハシの赤道儀は高いですね。とりえあず買わないと始まらないので、EM-11を買います。中古でいいのあればよいけど。

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2015年9月20日 (日)

業務連絡

微動装置ですが、代引き購入の方は明日発送します。

お支払い代金ですが、端数を切り捨てた30,000円ジャストとなっています。

銀行振り込みのい方は、明日、メール送りますので、休み明け以降の入金をお願いいたします。入金あり次第発送します。

以上です。

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スタンドアローンオートガイダーの概要

お待たせしました。スタンドアローンオートガイダーの概要の発表です。やっと発表できるレベルになりました。

まずは形。これです。

1509201
クレジットカードサイズ。これは試作機なので厚みがありますが、実機はこの半分くらいの厚さ。胸のポケットにすっと入るくらいの感じです。

オートガイド中の画面です。スタンドアローンオートガイダーの画面はちゃちいものが多いのですが、iPhone3と同じ解像度の画面です。星がちゃんと写ってるの見ると安心しますね。

1509202

なお、ガイド信号は、SS-oneコントローラとRS232C接続になります。あと、SS-oneユーザ以外の方のためにST-4ガイドポートもつけますが、実際にいつ対応するかは未定です。

さて、これだけだと、単なるオートガイダーですが、ここからがすごい。

まずは、デジカメとUSB接続し、デジカメをコントロールできます。

1509203

シャッター、露出、ISO感度、絞り、焦点などを設定できます。普通のインターバルタイマーの場合は、同じ条件で撮影を繰り返すだけですが、このコントローラの場合、ISO感度や絞りを変えながらのインターバル撮影もできます。

さらに、撮影した画像はダウンロードして、撮影中に見ることができます。撮影中に画像を確認できるのは安心できますね。

さて、この画像ダウンロード機能を使って、フォーカスエイドができます。

1509204

ピントを変えながら、連続撮影し、星を拡大表示します。星はユーザが設定したサイズの最小値と最大値の範囲にある星を自動選別し、400%に拡大表示します。

ピントの変え方は、次の3通りがあります。
1 オートフォーカスレンズ(自動)
2 手動
3 電動フォーカーサー(自動)

1と2は分かりますね。3の電動フォーカサーですが、パルスモーター用にパルス信号を出しますので、工作のできる人は自分で作ってください。もちろん、作例はこのブログで紹介します。市販のフォーカサーを改造してもいいですね。

天体写真もどんどん高解像度化してますからね。これからの天体写真はピントが命です。

さて、まだまだ続きます。WiFiアダプタをつければ、スマフォからも制御できます。

1509205

車の中からの完全制御も夢でないです。

さらに、さらに、タカハシ赤道儀対応の電子極軸望遠鏡の表示もこいつを使う予定です。

つまり、これは

1 スタンドアローンオートガイダー
2 カメラ制御
3 フォーカスエイド
4 電子極軸望遠鏡

の一台4役なんです。

すごいですね。

さらに、さらに、モーターをコントロールするためのパルス信号を3チャンネルだし、すべての仕様を公開しますので、これだけで、モータードライバーができてしまいます。オートがイーダー付きのモータードライバーです。自作派の方へのサポートも欠かしません。

もう分かる人は分かってると思いますが、これだけ高機能にできるのは、LinuxというOSを搭載してるボードを使っているからです。Linuxボードは最近安くなってきて、ますます重要性が増してきました。これもそのうち紹介したいと思います。

さて、完成時期ですが、とりあえず、SS-oneユーザ向けに、今年中にはと思っていましたが、よくよく考えると、もう3ヶ月しかないんですね。でも頑張ってやります。

値段は、カメラ込みで5万円ちょっとくらいの予定です。高いですかね? SS-oneユーザでタイプAをお持ちの方は割引あります。しかし、これだけ高機能で、M-GENよりは安いですからね。納得はしてもらえると思います。(電子極軸望遠鏡だけのセットはもっと安くなります)

それでは、続報をお楽しみに

追記
ディザーガイドや、SS-oneのプログラム撮影との連動はもちろん対応します。

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2015年9月18日 (金)

微動装置入荷!!

上下水平微動装置入荷しました。

1509183
これからチェックし、取付説明書を書いて、休み明けには発送します。

1509181_2
なんか、かっこ良くなりました。

1509182
ウオーム式最高です。これとSS-oneポーラー組み合わせたらもう極軸合わせ楽しくて楽しくて。

1509184
こちらは、ポラリエ用微動装置です。取付金具が完成しました。いっぽう、ポラリエにSS-oneポーラを付ける計画ですが、「センター出し」の方策が見つかりません。こちらは実現困難です。

さて、おまちかね、スタンドアローンオートガイダーですが、これもだいぶ形になってきました。(写真にカメラが写ってますが) 明日か、あさってには、ブログ出します。

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2015年9月10日 (木)

地味にアップデート

ユーザから、オートガイドのキャリブレーション時に、テレスコープウエストでもイーストでもできるようにしてほしいというご要望がありましたので対応しました。

アップデートはSS-oneのホームページからファイルをダウンロードして、上書きしてください。

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SS1-oneコントロールソフト
動作にはMicrosoft .NET Framewaork 4.0以上が必要です。
インストーラはありません。解答したフォルダを好きな場所にコピーしてお使いください
ダウンロードはこちら
2015/9/10 Ver1.02にアップデート
●オートガイドキャリブレーションを望遠鏡東側でも西側でもどちらでも出来うように改善
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変更点はこれだけです。

1509101

テレスコープイーストかウエストかわからない場合は、望遠鏡の位置=「固定」でやってください。東か西か考える必要はありません。ただ、望遠鏡の東西が入れ替わった場合は、毎回キャリブをやるか、矢印の向きを逆にします。

望遠鏡の位置=「スイッチから取得」にした場合は、東西スイッチの状態が正しいなら、毎回キャリブやる必要はありません。ガイドカメラの位置や向きが赤道儀上で不動なら、一生やる必要はありません。永久に有効です。PHDなど使っているとキャリブは毎回やるものと勘違いしますが、本来は一回やれば良いものです。

あと、ユーザからご要望で「望遠鏡の東西を180度入れ替えるコマンドがほしい」という要望がありましたが、これはファーム対応で、現在やってます。

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2015年9月 6日 (日)

SS-oneポーラーのレビュー動画ができました。

enif883さんが、SS-oneポーラーのレビュー動画を作ってくれました。

SS-oneのホームページにも掲載しました。

enif883さん、いつもありがとうございます。

いくつか補足があります。

●SS-oneポーラーは赤道儀に付けっ放しにするものかどうか質問がありますが、私としては、その都度、脱着することを想定しています。光軸の再現性はそれなりにあります。

●動画ではSS-oneコントローラとUSB接続していますが、これはSS-oneコントローラから電源をとってるだけです。何か通信してるわけではありません。電源は5Vならモバイル電源やパソコンのUSBなどからとれます。

●センター出し作業は毎回する必要はありません。そうそうずれるものではありません。ただ毎回やってもそれほど苦にはならないから、やりたい人はどうぞということです。

さて、SS-oneポーラーも一段落したので、これでやっと、スタンドアローンオートガイダーの開発に専念できます。というか、これもとっとと片づけて、はやく「経緯台がやりたい」

オートガイダーの方は、こちらもどんどん妄想がエスカレートし、凄いことになっています。近々、近況をご報告できる状況です。お楽しみに。

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