前回、素人丸出し天体写真の3つの原因を書きました。
1 ピントが甘い
2 構図が悪い
3 周辺減光ほったらかし
今日は、ではどうすればいいか。その対策を紹介します。
ネットにアップしても恥ずかしくない写真に向けて。
1 ピントが甘い
これは、∞マークやファインダーに頼ることなくライブビューでピントを合わせることだと思います。そして実写にて確認することだと思います。実写確認においては、拡大表示で見ることが大切です。まぁ、あたりまえの結論ですが。 あと、ピント位置は温度変化で変わりますので、撮影途中も何度か確認することも必要です。
いわゆるバーティノフマスクは、ピント合わせのアシスト用に知られていますが、私は一度使ったのですが、あまりしっくりきませんでした。人によってはいいのかも知れません。
それと、カメラレンズの場合は、絞ることも有効かも知れません。絞れば収差や周辺減光も減りますので。
いずれにしても、優秀な光学系でピントがジャスト合ったときのあの星の美しさは、なんともいえないものがあります。ほんのちょっとずれただけで、すべてが台無しです。光学系に投資しただけの見返りを得るためにもピント合わせは念入りに。
2 構図が甘い
まず、広角を除いて、自由雲台はやめることですね。自由雲台は百害あって一理なしです。広角でも使わない方が良いと思います。広角で、地平を水平にしたい場合などありますが、その場合は、レボルビング装置を使うのがいいです。構図合わせに限って言えば、ドイツ式+レボルビング装置が一番です。構図合わせしやすいだけでなく、バランス的にも優れているので絶対にお勧めです。
実は、私も、天体写真を始めたばかりのころは、何の疑問もなく自由雲台を使っていました。そのため、構図合わせに四苦八苦し、それ以外のことがおろそかになっていました。
また、自由雲台で構図合わせに四苦八苦すると、極軸だってずれるし、作品にも影響します。私は、自由雲台をやめたとたん、作品のレベルが間違えなくアップしました。
あと、望遠鏡などの場合、カメラ回転装置がついていると思いますが、基本は、カメラを赤緯軸プレートに対して、水平または垂直にします。天体写真は、向きが安定感をもたらします。正しい角度になっていれば、それだけで安定感を持ちます。構図で損をするべきでありません。
星雲写真などは、当然対象を中心にすると思いますが、望遠の場合はこれが意外と難しいです。
明るい対象の場合はファインダーで確認できますが、暗い対象の場合は、実写にて真ん中きているか確認します。ずれている場合は赤道儀の微動装置で修正します。ポタ赤の場合は手動微動ができない場合もあるのでやっかいです。自由雲台の場合はロックすると構図がずれます。だからずれることを想定して合わせるなんてことします。こうまでして自由雲台を使う必要がどこにあるんでしょうか。
星雲写真など望遠系の場合は、対象を中心にもってくる、これだけのことが実は非常に難しいのです。大きい赤道儀ほど楽です。小さい赤道儀ほど難しく、ポタ赤が一番難しいです。
それでも対象が中心に来ない場合は、トリミングしましょう。
3 周辺減光対策
天体写真を始めたが、雑誌のフォトコンに載ってるように星雲が奇麗に出ないと悩んでる方も多いのでしょう。
それは周辺減光のせいです。そもそも周辺減光がなければ、撮った写真を現像して、レベル調整するだけで、まぁまぁ、それなりの写真になります。周辺減光があるとレベル調整すらできないのです。
周辺減光をなくすには、フラットフレームを撮影して、フラット補正するのが一番です。これに勝る方法は他にありません。
だから、本気で天体写真をやりたいなら、あるいはフォトコンで入選したいなら、どんなに閾が高くても習得するしかないです。
ただ、天体写真を始めたばかりのころから、あまり下処理的なことに没頭するのもあまり楽しいものではなく、撮る楽しみに専念したいというのが本音だと思います。そこでここでは比較的に簡単にできる周辺減光対策を紹介します。
3.1 まずは周辺減光の少ない機材をえらぶ。
実は、周辺減光対策で一番有効なのは、最初から周辺減光の少ない機材を選ぶことです。私は常にそうです。
タカハシのイプシロンなどは、すごい中央集光です。フラット補正によほど自信がない限り手出しできません。
最近は明るい光学系やレデューサーが多いのですが、明るいと周辺減光も大きいです。フラットナーやエクステンダーは、必ずしもではないですが、周辺減光が少なくなる傾向です。
あたりまえですが、APS-Cよりフルサイズの方が周辺減光はおおきいです。
カメラレンズの場合は絞って使いましょう。大口径レンズを絞って使うのが理想です。たとえば、300mmF4のレンズより300mmF2.8のレンズをF4に絞った方が、周辺減光は少ないです。絞ると、淡い星雲の写りが悪くなるのではないかと心配しますが、逆です。周辺減光が多いと強調処理できませんが、少ないとたくさん強調できますので、結果的に絞った方が淡い星雲は奇麗にでます。
さて、次にフラットフレームによらない画像処理による周辺減光軽減方法です。方法はたくさんあります。いくつか紹介しますので、この中から自分にあった方法を一つ、あるいはいくつか組み合わせればいいでしょう。
●フラットエイド
ライトフレーム(撮影画像)からフラットフレームを作るソフトがあるみたいです。私は使ったことありませんが。フラットエイドで検索すれば出てきます。使ったことないので、是非を論じられませんが、いちおう紹介しておきます。
●ステライメージの周辺減光補正

意外と使えます。ただ、ステライメージ買わないといけないですが。3万円ちょっとしますが、ステライメージはけっこういろいろ使えるので、買ってそんはないと思います。
●フォトショップのトーンカーブ

トーンカーブを使えば、周辺減光を抑えつつ、星雲強調ができます。ヒストグラムの山の左側のカーブを平らにし、右側のカーブを立てるのがコツです。
ただ、技巧的であること。フォトショップエレメンツなど安いソフトにトーンカーブがないこと、トーンカーブ単体で完全に補正できないことが欠点です。
ここであえて紹介したのは、このトーンカーブの曲げ方が、天体写真の基本中の基本だからです。
つまり、天体写真においてヒストグラムの山の左側はできるだけならす(切りたてる)、そして右側で強調するということです。この辺の詳しい説明は過去記事
http://honmaka.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/8-f6eb.html
を参照してください。
●比較明合成
トーンカーブの使えない画像処理ソフトあるいはトーンカーブの苦手な場合に上記トーンカーブと同じ効果が得られるのが、比較明合成による画像処理です。
1 [レベル補正]でヒストグラムの山をだいたい中央にもってくる

2 [レイヤーを複製]でレイヤーをコピーして合成方法を比較明にする

3 そのコピー画像に対して、コントラストを上げた後に、明るさを調整する

4 元の画像に対しては、逆にコントラストを下げる。

5 比較明合成しない場合と比べて、これだけの差が出ます。

たんに、明るさ・コントラストによる強調だけでは、周辺減光も強調されてしまいますが、比較明と合成することにより周辺減光を抑えつつ強調することができます。
微調整が難しい処理方法ですが、ヒストグラムの山の左側はならし右側で強調するという天体写真の基本を体感できる処理なのであえて紹介しました。これ単独の方法というより、他の処理と組み合わせての方式だと思います。
●フォトショップの円形グラデーションツール
1 新規調整レイヤーの[明るさ・コントラスト]を作る

2 レイヤーの白い画面をクリックし①、グラデーションツール②をクリックし、円形グラデーション③を選択(フォトショのバージョンにより異なる)、画面の中央から周辺にドラッグすれば円形グラデーションができます。

3 次に明るさ・コントラストでレイヤーで明るさを低くすれば、中央部分が暗くなります。

これも、これ単独で周辺減光を補正できるものではなく、他の方法の補完と考えた方がいいでしょう。
●簡易フラットフレーム補正
フラットフレームを撮影してのフラット補正ですが、その中でも一番簡単な方法です。上記で紹介したいずれの方法よりもはるかに良いです。
ステライメージのフラット補正を利用します。またいずれ紹介したいと思います。RAP2を使う完璧なフラット補正にはおよびませんが、かなり効果はあります。
さて、いかがでしたか。ピント、構図、周辺減光。この3点に注意すれば、それなりに見栄えのいい天体写真になるはずです。
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