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2016年5月13日 (金)

【ガチ検証】天体写真実験室 ISO感度比較最後

前回、ISO400とISO6400で違いを見ることができました。それでは、その間はどうなの。

ということで、またまた行ってきました。本栖湖。同じ場所、同じ時間で今度はISO3200とISO1600です。

ただ、なぜか今回の方がカブリがひどく、うまく処理できませんでした。どちらも2~3回処理をやり直しています。

それでは結果です。比較のため、前回の写真も一緒に出します。

データ
ApoSonar 135mmF2->F3.5 EOS 6D
SS-oneポタ赤+SS-oneオートガイダー

ISO6400 1分64枚=64分
ISO3200 2分×32枚=64分
ISO1600 4分×16枚=64分
ISO400   16分×4枚=64分

ISO6400

16051213
ISO3200
1605131
ISO6400で出なかった分子雲が少し出ています。

ISO1600

1605132
なぜか、この画像だけはうまく処理できず、特に色が平坦で分子雲も良く分からなくなってしまいました。写りがいまいちなんですよね。ただ、ISO3200に比べて木目が細かいです。

最後に前回のISO400

1605123
やっぱりISO400が一番いいな。

まとめ。

感度の違いって微妙です。普通の天体写真くらいでは、ほとんど差がないと言ってもいいくらい。ただ、この対象のように淡い場合は、なんか差があるような気がします。

高感度ほど、レンジが広く、コントラストが高いです。硬調という感じ。

低感度ほど、レンジが狭く、低コントラストですが、木目が細かい感じ。

ひとつ言えるのは、低感度だからといって、淡い部分の写りが悪いということはないことです。十分時間をかければちゃんと写ります。そして低感度が高感度より悪いことはないように思えます。

ここからは、推測ですが、ISO感度はあまり関係なく、一枚あたりの露出時間が問題なんじゃないかと。たぶん、次のような図式ではないかと。

露出時間2倍 >= 2枚コンポジット

コンポジットには必ず情報落ちがあります。ですからコンポジットでは補えない何かがあるように思います。

たとえば、輝度10の被写体があり、1分露出を増やすごとに0.1ずつ輝度が上がるとします。そうすると、10分露出を増やせば輝度は11になります。しかし、コンポジットの場合は、何枚重ねても10のままです。

また、多数枚コンポの場合、すべての枚数を一度にコンポするならいいのですが、トーナメント方式のように数回に分けて行うと、ファイルに格納できる諧調に上限があるので、ここで情報が落ちる可能性があります。

そういったことで、非常に微妙なところでコンポより1枚の露出時間が長い方が有利なのではないかと。高感度だと、飽和するまでの時間が短いので、結果としてやや低感度の方が有利なのではないかと推測します。

いずれにしてもISO400でここまで写るというのは、高感度多数枚コンポで淡いものを得意にしていた私にとっては、衝撃です。なんか天文人生をやり直したい気持ちです。他に別な方法があったんではないかと考えてしまいます。



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コメント

ほんまかさん。こんばんわ。
 待ってましたと拝読していました。まとめの部分のコンポジットと輝度、情報落ちのくだりは物凄い勉強になります。
 これまで自分の環境で、感度と露出時間の関係が不確かなままで真っ白にならない程度にと決定していました。撮影対象によってはまた違うのかなと思いますが今回の結果は撮影のとてもいい目安になります。

投稿: 天文部部長 | 2016年5月13日 (金) 20時38分

天文部部長さん、
結果的には低感度の方がよさそうですが、
低感度だと、一枚あたりの露出時間が延びるので、
撮影の失敗率があがります。
F値との兼ね合いもあるので、難しいところですね。

投稿: ほんまか | 2016年5月13日 (金) 20時59分

淡いものを撮影するときはISO感度を下げ、一枚当たりの時間をかけたほうがよりよい結果が得られる・・・ちょっと驚きです。もしISO感度よりも一枚当たりの露光時間が重要なら、少し絞って撮影したほうが、淡い天体には有効になりますね。

とはいえ、ほんまかさんも仰っていますが、一枚当たりの露出時間を延ばすと、一枚失敗した時のダメージが大きくなってしまいます。現実的には、淡いものを撮るときはISO400~800、ある程度明るいときはISO1600~3200くらいが適切な気もします。

投稿: enif883 | 2016年5月14日 (土) 14時19分

enif883さん、
絞ったら、ダメですよ。
単純な露出時間ではなく、露出中に取りこんだ光の量です。
明るい光学系の場合は、露出時は短くしないと飽和しますが、それはかまわないのです。同じ明るさなら露出時間が長い方が有利ということです。

適正な感度は難しいと思います。赤道儀の格や、ガイド精度、F値や、対象の明るさなどを、総合的判断して決めるべきですね。何が何でも低感度がいいというわけでもないし。

投稿: ほんまか | 2016年5月14日 (土) 16時39分

あくまでも同じ光量を取り込んだ場合、という仮定がありましたか。すみません。失敗率も考えると、なるべく明るいほうが望ましいようですね。ともかく淡い部分を撮るなら、低感度で撮影するほうがやや有利に思える、ということはわかりました。ありがとうございます。

投稿: enif883 | 2016年5月14日 (土) 19時10分

enif883さん、アポゾナーは明るいので、オートガイドするなら対象によらず低感度がいいと思います。
ノータッチや暗い光学系の場合は感度を下げるわけにはいかないので、高感度もやむなしですね。

投稿: ほんまか | 2016年5月14日 (土) 19時33分

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