言葉の定義
前回、「ダイナミックレンジ」という言葉を出したので、ちょっと言いたいことがあるのですが、
なぜか、この天体写真界では、特に冷却CCD関係では、「ダイナミックレンジ」=「諧調」のようなとらえ方をしている感じがあって、すごい違和感を感じるのです。
今も、ある冷却CCDのページを見てきたんですが、
● ダイナミックレンジが広いので諧調が豊富
● 16ビット諧調だから、ダイナミックレンジが広い
● ダイナミックレンジが広いから、あるいは16ビット諧調だから光害に強い
すごい違和感。
ダイナミックレンジというのは、光の下限と上限の幅で、諧調はそこを何段階に分けるかであって、本来まったく相関のないものと思うのですが??? それとも私が誤解してるのでしょうか。
ちなみに、天体写真の場合は、多段階露出+コンポジットという手法が使えるので、
むしろ、ダイナミックレンジは小さくしてもらって、そこを細かく分けてもらったほうがありがたいと思うのですが、そんなCMOSがいつか出てくるのでしょうか?
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コメント
この謳い文句は16ビット(65536)をdB計算してダイナミックレンジが97.8dbあるよって言いたいんですよ。
今のデジカメは良くて14ビットですから「4倍も広いんだぜ」って。
いくら分解能があがっても光子が飽和して溢れてしまっては意味ありませんね。
大事なのはセンサのキャパシティです。
受光面積の大きなセンサで16ビット分解能ってなら意味があるでしょう。
ほんまかさんが違和感覚えるはよくわかります。
「ダイナミックレンジは小さくしてもらって、そこを細かく分けてもらったほうがありがたい」ってこれやるならゲインかける前にオフセットが設定できれば実現できそうですね。
投稿: Bergamot | 2016年5月17日 (火) 16時02分
光子いう数えられる世界の話なので、あまり細かく分けても意味はないです。受光部のフルウェル容量に見合った分解能が適切です。
投稿: | 2016年5月17日 (火) 16時16分
Bergamotさん、
そうゆうことたっだんですか。
そこから、「ダイナミックレンジ」という言葉が一人歩きしたのですかね。
投稿: ほんまか | 2016年5月17日 (火) 17時54分
名無しさん、
でも、デジカメは14bitで、冷却CCDは16ビットで、その16ビットを喜んでいる人がいるのですから、16ビットまでなら細かく分けても意味があると思うのです。
それなら14ビットの諧調をDレンジを1/4にして有効的に使ってもいいのではと思った次第です。
また、1枚あたりの画像で考えると確かにあまり細かく分けてもしょうがないかもしれませんが、天体写真の場合は、コンポジットするので、もう少し細かくわける余裕があるんではないかと思った次第です。
投稿: ほんまか | 2016年5月17日 (火) 18時02分
天体写真でやってい何枚も撮って重ねるコンポジットはまさにダイナミックレンジの拡大に他なりませんよね。
光子が飽和する前に取り込んでリセットしてまた取り込む。
コンポジットで加算し続ければどんどん拡大されます。
32ビットあれば16ビット階調のデータをそれこそ65536枚重ねられるんですよ。
ステライメージは32ビット(以上?)で処理しているので「加算」コンポジットすると実際ヒストグラムのレンジは拡大されます。
もちろん暗部の数値も持ち上がりますが….
クリッピングや平均化で失われる情報もなくなります。
投稿: Bergamot | 2016年5月17日 (火) 20時35分
光子一つ分を複数諧調に分けても、それは値が飛び飛びになるだけなので意味はありません。1光子=1ADU程度で設計されています。フルウェル容量以上の「諧調」は、ビニング時に効果があります。また、コンポジットは微光の対象の検出におのずと限界が生じますので、基本はSNRの改善を目的とされるのがよろしいかと。
投稿: | 2016年5月18日 (水) 17時59分
Bergamotさん、
ステライメージは確か浮動小数だったか。
ステライメージがあるおかげで情報落ちなくコンポできるのはいいですね。
投稿: ほんまか | 2016年5月18日 (水) 18時16分
名無しさん、
もし、デジカメのフルウェル容量を知っていたら教えてください。
だいたいの値が分かれば、「あっ、これ以上分けても意味ないね」って直感的に分かると思うのです。
投稿: ほんまか | 2016年5月18日 (水) 18時17分
デジカメは14ビットなので16000e程度ということでしょうか?
デジカメが14ビットに制限されているということは、フルウェル容量の制限からなのでしょうか?
また、冷却CCDが16ビットなのは、デジカメよりフルウェル容量が高いからでしょうか?
詳しそうなので、教えて頂ければ幸いです。
投稿: ほんまか | 2016年5月18日 (水) 18時22分
フォトダイオードの電荷量は電圧として読み出されます。
電荷量を電圧に変換する仕組みは、CMOSセンサーでは各ピクセル内にあり、CCDではチップに1つで全てのピクセルで共用します。
だから議論を電圧で考えてみてはどうでしょう?
ダイナミックレンジは、フォトダイオードに印加する電圧で決まってしまうと思います。
CMOSセンサーでは微細加工技術を使うので、この電圧はかなり低くて、実質的には1Vぐらいではないでしょうか。
この低い電圧からして、14ビット諧調というのはかなり限界に近いと思います。
一方でCCDではフォトダイオードに印加する電圧を高くできるので、これがダイナミックレンジにおけるCMOSセンサーとの差になっていると思います。
投稿: 通りすがり | 2016年5月20日 (金) 11時42分
通りすがりさん、ありがとうございます。
1Vしかないなら、それを14ビット諧調に分けるのはかなり限界に近いの、なんとなくわかります。
あと、CMOSとCCDの差が電圧で、それがDレンジの違いに反映しているかも知れないとのことですね。
デジカメとCCDの諧調の差がどこにあるのか前から謎だったので、なんか分かったような気がします。
ありがとうございました。
投稿: ほんまか | 2016年5月20日 (金) 12時51分
まず、初めに先のポストでは、わかりやすくするために1光子=1ADUとしましたがこれは量子効率=1の場合で、正確には1電子1ADUです。
CCDは、アンプ部への印加電圧は高いですが実際の信号の電圧幅は1V程度です。印加電圧はあまり関係ないかと。フルウェル容量は、あくまで受光のバケツの大きさと深さに依存しますので、基本的にはチップサイズが大きくて、画素数が「少ない」ものの方がフルウェル容量は大きいと考えるべきです(バケツの深さが同じという仮定の下で)。
市販のデジカメの値は判りませんが、画素寸法からすれば14bit程度が(ギリギリで)妥当かと思います。昔のCCDでは、フルウェル容量の係数は1000e-/μm^2程度です。CMOSでは直接デジタルデータで出てくるためか、この値は書かれていません。まぁ、基本メーカにお任せということです。
なお、デジカメは基本常温で使用するので、ショットノイズの影響下にあることを覚えておくべきでしょう。
投稿: | 2016年5月21日 (土) 23時41分
名無しさん、
度重なる説明ありがとうございます。
デジカメについては、具体的な数値は分からないということで残念ですが、14ビットでかなりぎりぎりの値であろうことはなんとなく分かりました。
ありがとうございました。
投稿: ほんまか | 2016年5月22日 (日) 19時18分