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2017年3月 5日 (日)

映像技術が新たなパラダイムを生む

今、高級車を買うとカメラがいっぱい着いています。あるいはオプションで付けられるようになっています。私の車は高級車ではないが、左ドアミラーにカメラがあり、左ドアにモニタがあります。まったく不要で邪魔なだけですが、たぶん、これがないと車検を通らないから不必要でも着いてるんだということは容易に想像できます。このカメラがあることによって車のデザインが自由になるのだと思います。

また、最近は各メーカーとも自動運転の研究に熱心です。自動運転については実現性や、本当に必要なの、人間がどんどんバカになるなど、批判的な意見も多くあります。ただ、そこから生み出される技術は、事故回避技術につながります。特にこれから高齢化社会ですから、その技術はますます重要になるのは明らかです。将来、事故回避装置装備車限定免許が出てくることも予想されます。

このように映像技術や他の新技術は、その本来の目的以上に新たなパラダイムを生む可能性を秘めています。ですから、「そんなもの要らない」で済ますわけにはいきません。

さて、赤道儀はどうか。私が最初に電子極軸望遠鏡を作ったときに、「そんなもの要らない」と良く言われました。要るか要らないかは個人のいろんな事情によるので、いいのですが、ただ、赤道儀を作る側からするとこんなありがたいものはありません。ほんとに設計が自由になります。

赤道儀の設計側からするともう一つありがたい技術があります。「オートガイド前提」です。従来は赤道儀はまず、ノータッチガイド性能は十分担保した上で、そのうえで、オートガイドもできるよ。みたいな設計です。SS-oneポタ赤もSS-one Miniもそうです。ただ、今度新たなオートガイドカメラを販売しますが、オートガイドによる経済的、物理的負担もかなり下がってきました。とすると、もう最初からオートガイド前提で良いような気がします。

オートガイド前提なら、ピリオディックモーションは関係ないので、ウオーム歯数はそれほど重要ではありません。実は赤道儀を作るときに一番のネックはウオームホイールなんです。標準品では天文用に使うような歯数の多いものはなく、どうしても特注になってしまいます。たとえば、SS-oneポタ赤の場合、ウオームホイールとギアのセットで1.5万円もします。2つ使うのでウオームだけで3万円もかかってしまいます。それに特注だと、ある程度個数がないと頼めません。

この問題があるため、私はもう赤道儀は作らないと決めていました。ただ、ほとんどの部品を標準品で作れるとなると話は別です。ユーザ側からするともちろん価格は安くなるメリットがあります。作る側からすると、少量生産が可能になります。たとえば10台とかいう単位で生産が可能です。もちろん、すべて標準品というわけにはいきませんが、どうしても特注しなければならない部品だけ100個とか生産しておいて、あとは必要に応じて10個くらいの単位で買っていけばよいので、継続販売が可能です。

今までは、最初のロッドを売り切ってしまうと、その後は販売終了にせざるをえませんでした。SS-oneポーラー、SS-oneポタ赤、SS-one AutoGuiderみんなそうです。ただ、少量生産可能なら、継続して販売することができます。

ということで、現在、3つ目の製品となる新たな赤道儀を設計中です。中型の軽量赤道儀という位置づけです。詳細はまた発表します。

赤道儀に電子極望やガイドカメラが当然のようにつくと、いろんな形の赤道儀が出てきます。また、個人での製作も容易になります。今後の赤道儀も車のようにカメラがいっぱいつくかも知れません。ガイドカメラに電子極望、座標同定用の電子ファインダーなど。

電子ファインダーは、私は、レンズの付け変えが面倒なので、それに自動導入があれば良いので、使っていません。ただ、今度のオートガイドカメラができたら、小さいので、2つ載せて電子ファインダーを使おうと思います。
ただ、電子ファインダーはいろいろ応用が利き、将来有望株です。最近、電子ファインダーがあれば、電子極望が要らないことに気付きました。電子ファインダーがあれば、普通の星、たとえばベテルギウスとかで、極軸合わせができます。ですから、電子極望と電子ファインダー、どちらがプライマリーか問われれば、電子ファインダーの方がプライマリーです。

電子ファインダーも「そんなもの要らない」と言われますが、1ユーザとしてはそれでもいいのですが、供給側の人間としては、新技術に対して、簡単に否定するのは賢いとは言えません。ほんとに賢い人間は、新技術に対して、簡単に否定はしません。「それ面白いね」といって引き出しにしまっておくものです。

近々、新赤道儀の概要をお知らせします。お楽しみに。

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コメント

お読みしているだけでワクワクしてきます。
現在のケーブルの煩雑さ調整の面倒さから解放されたい撮影者は多いかと思います。
構想お待ちしております。

投稿: ぴっぴ | 2017年3月 6日 (月) 02時11分

よく解りませんが、
「電子ファインダーがあれば、電子極望が要らないことに気付きました。電子ファインダーがあれば、普通の星、たとえばベテルギウスとかで、極軸合わせができます。」
何か簡単そうで楽しいです。

投稿: | 2017年3月 6日 (月) 13時16分

ぴっぴさん、
ケーブル削減は私のテーマでもあります。
モーターコントローラとガイダーを一体化した「SS-one AutoGider Pro」や、ヒーター内蔵ガイドカメラなどで、なるべくケーブルが減る方向にはもっていきたいですね。

投稿: ほんまか | 2017年3月 6日 (月) 17時27分

名無しさん、
簡単=楽しい という発想は、素直でいいですね。
世の中、簡単をあまり良く思わない人もいるんですよ。
電子ファインダーによる極軸合わせはまた今度解説します。

投稿: ほんまか | 2017年3月 6日 (月) 17時29分

>電子ファインダーがあれば、電子極望が要らないことに気付きました。

これ欲しいです。
ズレを視覚と数値的に明示してくれるのだと想像しますが
北極星の見えない場所や雲がかかっていたりの時は
従来通りに2恒星で極軸を決めるのですが
今のSS-one AutoGuiderに実装して貰えると楽が出来そうです。

投稿: koukiatu | 2017年3月 7日 (火) 00時28分

koukiatuさん、
ずれとかではなく、
ずばり、星を丸が表示されますので、そこへ合わせるだけです。北極星の場合とまったく同じです。
ぜひ、実装したいのですが、忙しくなかなか出来ません。

投稿: ほんまか | 2017年3月 8日 (水) 21時47分

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