電子望遠鏡に適したCMOSカメラ
電子望遠鏡に最適なCMOSカメラは何か、けっこう悩んでます。いちおうカラーカメラならどれでも使用できるようにはしたいのですが、目的に応じて、最適なカメラはあるはず。
とりあえず、フォーサーズから1/3インチまで一覧を作ってみました。(ビニングは640×480まで解像度を落とす前提でのソフトビニングのことです。)
写り具合、感度で言うなら、センサー固有の感度が高いものより、高画素のセンサーをビニングするのが圧倒的です。たとえば8×8なら感度64倍です。たった1秒の露出で64秒露出したのと同等になります。
そういった意味ではフォーサーズを選びたいですが、欠点があって、高価なこと。それから、ラズパイだとさすがに動作が重いです。カメラの向きを変えて、1~2秒後に画像が動く感じです。自動導入で、ビシビシ導入するならいいのですが、対象を探し回るなら、ちょっとストレスを感じると思います。
フォーサーズは、既に持っている人が使うなら良いのですが、電子望遠鏡のために新規に買うのはやはり価格が高い。
星見屋さんや、HUQさんが、ASI385MCは感度が高いので勧めてくれましたが、385ならASI224MCだと思います。385は1/2インチですが、横に長いんですよね。短辺は224と変わりません。感度もソニーのSNR1sで測るなら両者とも同じです。価格も安いので、ASI224MCの方が良いと思います。
ただ、1/3インチというのは、センサーサイズが小さすぎて、導入が大変です。
たとえば焦点距離500mmくらいの望遠鏡に1/3インチだとスバルも入らないんですよ。スバル全体を入れるなら200mmくらいです。
そう考えると、望遠鏡というよりカメラレンズですね。ズームレンズがいいと思います。実はもうズームレンズ買ってあるのです。トキナーの80-200mmF2.8です。訳あり品を6,000円くらいで購入しました。
広角端で導入して、ズームアップする。F2.8と明るいので写りも有利です。
欠点は、望遠鏡らしくないこと。はたして観望会で人気が出るかどうか。個人的に星空散歩を楽しむなら、ズームレンズはいいかも知れません。
ということで、それぞれ一長一短あるので、これというのはないのですが、中間をとるというか、バランスが良いのは、1/2インチで4×4ビニングまで出来るASI178MCではないかと思います。
●ライブスタッキングがカギ。
電子望遠鏡の成否のカギはライブスタッキングだと思います。
最初は加算で行っていたのですが、画像の荒れがひどく、直に飽和してしまいます。
その後、加算平均にしたのですが、写り具合は良くありません。
そこで一番いいと思うのは、自動レベル調整付きの加算スタックではないかと思っています。自動レベル調整付きなので、最初のうちは加算の効果が大きく、必要なレベルに達すると加算平均の効果が大きくなり、ノイズがどんどん減っていきます。もちろん飽和もしません。
短い時間のスタッキングによる天体写真の場合は、セルフオートガイドができる利点もあります。セルフオートガイド、つまり、オートガイド用に別に光学系やカメラが必要ありません。ただ残念なのは、SS-one AutoGuider Proはオートガイド信号の外部入力端子がないのでこの恩恵にあずかれません。今から考えると失敗でした。ST4ガイド入力があるならセルフオートガイドできます。
ライブスタッキングによる天体撮影は、でき具合を確認しながら写真を撮れるので、家に帰ってから失敗した~とかなく、ライトに天体写真を楽しみたい人には有効な方法になるかも知れません。
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コメント
ほんまかさんこんばんは。
以前ASI224MCとASI178MCを比較しました。
http://hoshizolove.blog.jp/archives/20593125.html
SNR1sの値がどれくらい効くかを実感的に知りたかったのが目的だったのですが、数値よりも実感として224の方が圧倒的でした。
まず178のゲインの最大値が510までしかないので、最大の明るさが取れないのが最初に困ったことでした。このことは、一発目に出てくる画像の迫力に一番影響が出ます。これは比較して使って見て初めて感じとれたことでした。ノイズはスタックしていけばやがて小さくなるので、むしろそれほど気にならないです。S/Nよりは、センサーとしてSが大きいことが重要だという印象です。
その一方224の弱点はすぐに飽和してしまうことでしょうか。ゲインを高くするとダイナミックレンジが取れなくなるので、どうしても飽和しやすくなってしまいます。最近 ASI294MCを手に入れて試したのですが、飽和に関してはやはり294の方が使っていて余裕がある印象です。ただしご指摘の通り値段が高いので、わざわざ電子望遠鏡のためだけにこのカメラを買うかというと大方の方はNOなのかもしれません。それでも現状ASI294MCは性能だけ見るとベストに近い選択だと言えると思います。
投稿: Sam | 2018年1月 8日 (月) 20時42分
Samさんお久しぶり。
確かに178は224に比べて1/4倍くらいSが低いようですね。
ただ、178は224に比べて、4倍のビニングアドバンテージがあるので、ほぼ互角とみています。かつセンサーサイズが224より大きいので、そこは有利かと。
それよりも、294の写りは良いようですね。
最強と言ってもいいですね。
これでビニングすれば、この画像が一瞬で得られるわけですから、電視観望の凄さをアピールするには最強のカメラになりそうです。
ほしいな。
投稿: ほんまか | 2018年1月 8日 (月) 22時40分
うーん、やっぱり294MCですね。
FSQ-85ED(327〜675mm) + フォーサーズは視野的にとても魅力的です。
投稿: Bergamot | 2018年1月 8日 (月) 23時26分
ただ、ZWOのリナックス最新ドライバの日付が昨年9月21日で対応してない可能性があります。
投稿: ほんまか | 2018年1月 8日 (月) 23時59分
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
興味深く読ませて頂きまして、なるほど焦点距離を変える(鏡筒を変える)という部分は自分はあまり考えていませんでした。撮影には向かないので使っていませんでしたが、次の機会にでもうちのチビテレ兄弟(古いな~)とASI178MCで試してみたくなりました。
性能と価格、難しい問題ですね。勝手な言い分ですが、個人的には観望会・観測会など天文普及の場に導入しやすいとありがたいです。
投稿: 天文部部長 | 2018年1月 9日 (火) 04時48分
天文部部長さん、
あけましておめでとうございます。
チビテレ、懐かしいですね。
焦点距離的にはちょうどいいのではないでしょうか。
カメラに選択に関しては、ユーザ次第でしょうね。
安いのを使うか、フォーサーズを使うか。
カメラごとの写り具合に関しては詳細にレポートします。
投稿: ほんまか | 2018年1月 9日 (火) 18時50分
ほんまかさん
ZWOのエンジニアに確認取りました。
ASI294MCは最新のSDK V0.6.0921で対応しているそうです。
投稿: Bergamot | 2018年1月 9日 (火) 23時25分
Bergamotさん、
ありがとうございます。
ASI294MC。。。買おうかな・・・
投稿: ほんまか | 2018年1月12日 (金) 19時14分