完全手動モザイクの実演
訂正×輪投げツール->○投げ縄ツール(笑)
わたし、コンポジットはいつもステライメージを愛用しているのですが、私の「入門者向けブログ」で何か、もっと安上がりなコンポジットソフトを紹介できないかなと思って、
DeepSkyStackerをダウンロードしたんですが、いまいち、よくわからんとこがあります。英語だし。
だれか詳しい人がおられましたら、教え頂けるとありがたいです。
1
フラットもダークもしなくて、単にコンポジットだけしたい場合です。左のメニューの、
「Stack Checked pictures」をクリックすれば良いんですよね?
「Register Checked pictures」をクリックしても始まるのですが、この「Register....」というのは何をやってるんでしょうか?
2
コンポジット後なんですが、ご覧のように画像がかなり明るくなってしまいます。トーンカーブを直線に戻して見たのですが、それでもまだだいぶ明るいです。
加算平均なので、元のレベルのままにならないのでしょうか?
それと、下の方、ボタンがはみ出してしまっています。これはなんとかならないのでしょうか?
すみませんが、よろしくお願いします。
フラット補正に続き、初心者向け、画像処理講座。
今回は、背景をニュートラルにする方法です。星雲星団写真や星野写真は背景ニュートラルが基本です。背景をニュートラルにするための評価方法や、調整方法はいろいろあり、人によって違いますが、私の方法を紹介します。いずれの方法であれ、画像の一点あるいは一部だけで判断するのは危険で、画像の複数の領域を見るようにします。
ソフトはフォトショップCSを使いますが、エレメンツでも同様のことができると思います。
背景の色あいを評価するのは簡単です。下図のように星雲のない部分をマウスでドラッグして領域選択します。丸でも四角でもかまいません。
それで、ヒストグラムを見れば、上図では赤が弱いのがわかります。そこで赤を強めます。
そのためには、次のようにします。
1 まず一度、どこかをクリックして選択を解除します。
2 次に、新規調整レイヤーのレベル調整レイヤーを作ります。
領域が選択された状態で調整レイヤーを作ると、その選択部分しか適用されない調整レイヤーが出来てしまうので、必ず領域解除してから作ってください。
3 もういちど、背景をかこみます。
4 レベル調整で赤チャンネルを選択します。
5 上のヒストグラムを見ながら、山をそろえる感じで、レベル調整の真ん中のスライダーを調整します。
これで完成ですが、画像の一部だけで判断するのは良くありません。背景には色ムラや色の傾斜がありますので、いろいろな部分で判断します。
今度は、画像の右側を調べてみます。そうすると、先ほど背景をニュートラルにしたにもかかわらず、青が強いことがわかります。
そこで画像の右側だけ青を弱める処理をしてみましょう。
1 最初のように新規調整レイヤーのレベル調整を作ります。
2 左のツールバーから、グラデーションツールを選択し、
3 上のツールバーから線形のグラデーションを選びます。
4 この状態でマウスを左から右にドラッグすれば、
5 右の調整レイヤーの部分がグラデーションに変わり、右だけ白くなります。
この状態で、再度、背景の右側を囲み、レベル調整で青を選択し、真ん中のスライダーでヒストグラムの山が揃うように、調整すればOKです。
特に、カブリなどで、背景に色の傾斜がある場合は、このグラデーションによる調整レイヤーの方法は有効です。
こんなことを繰り返し、背景をならして、可能な限りニュートラルに近づければ、フラット同様、星雲を思いっきり強調できます。色ムラや色の偏りがある状態で星雲を強調しても、ムラや偏りの方が強調されてうまくいきません。
さて、背景を基準に色の調整をすると、今度は星雲や天の川の色がおかしくなってしまいます。次回、背景はそのままに、星雲や天の川だけ色合いを調整する方法を紹介します。
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言葉の説明
●ニュートラル
色の三原色、赤、青、緑の成分が同等な状態です。グレーとも言います。白や黒は当然ニュートラルです。
●レイヤー
フォトショップでは、背景画像をベースにその上に、さらなる画像や画像に対する処理を上へ上へと重ねていく構造をとります。それらをレイヤーといいます。そして一番最後にすべてのレイヤーを合成します。このような構造のため、すべての処理を後から簡単に修正可能になります。
●調整レイヤー
レイヤーのうち、画像に対する処理、たとえば、レベル調整や明るさ/コントラストのレイヤーを調整レイヤーといいます。
画像に直接これらの処理をすると、後から、修正不可能になりますので、必ず調整レイヤーを作って行うようにします。フォトショップ画像処理の基本です。
●レイヤーマスク
上の説明ではこの言葉は使いませんでしたが、右の調整レイヤーの積層図で、白い四角部分は、レイヤーマスクといい、画像のどの部分に影響を及ぼすか、指定できます。初期状態では真っ白で、100%下の画像に影響を及ぼします。ここを真っ黒にすれば、まったく影響を与えません。また50%グレーなら半分だけ影響を与えます。
今回はここをグラデーションに塗って、右側だけ影響するマスクを作りました。
ここで私がいつもやってるフラットフレームによる簡易フラット補正の仕方を紹介します。
まずはこのようなEL発光パネルを買います。アマゾンとかで売ってます。
●ピントは無限遠で。(重要)
●絞りは撮影時と同じ。
●望遠鏡の場合はカメラの向きも撮影時と同じで。
●理想は、現地で撮影前後に撮影するのが理想です。この場合センサーのゴミ跡も補正できます。家でやる場合はゴミが移動する可能性があります。この場合、撮影画像のゴミ跡と、フラットフレームのゴミ跡の両方が出てしまいますので、撮影前にセンサークリーニングします。
●余計な光が入らないように部屋は暗くします。
●撮影はマニュアルモードで、ISOは低め(撮影時と同じ必要なし)、シャッタースピードで適正露出を調整します。シャッタースピードが早いとムラが出来やすくなります。
準備が出来たら、一枚テスト撮影します。ヒストグラムが中央が良いです。シャッタースピードで調整します。
シャッタースピードが決まったら、バシバシたくさん撮影します。このとき、レンズの位置を変えたり、向きを回転させたり、とにかく、いろいろランダムに変えて撮影します。
撮影したら、現像します。フォトショップでの現像例です。
ここで重要なのは、ヒストの3色の山をそろえることです。これが現像後フラットの利点です。色のレベルが揃っているので、色ムラが出ることはありません。
前回理論編で説明したように現像後にフラットすることは厳密には正しくはありません。ただ、周辺減光がそれほど大きくなければ誤差の範囲でうまくいきます。
次は、撮影したフラットフレームをすべて加算平均コンポジットして一枚にします。ステライメージの例です。メニューの[バッチ]->[コンポジット]です。
コンポジットしたファイルを保存して、フラットフレームの完成です。
次に、フラット補正したい画像を開きます。
[ツール]->[周辺減光/カブリ補正]で周辺減光の様子をみると、少しですが、周辺減光があります。たったこれだけでも、星雲を強調するために10倍とかに引きのばす訳ですから、影響は大きいです。
それでは、フラット補正します。メニューの[画像]->[ダーク/フラット補正]
ここでフラット補正をチェックし、フラットファイルを指定して、OKです。これで完了です。
もう一度[ツール]->[周辺減光/カブリ補正]で確認します。
なお、ファイルがたくさんある場合は、バッチ処理もできます。[バッチ]->[共通ダーク/フラット補正]です。
終わり。
---10/29 11:13 補足追加 ---
フラットフレームは条件が同じなら(望遠鏡の場合はカメラの向き、カメラレンズの場合は絞り)、使い回すことができます。一度撮っておけば一生使えます。
前回、ヒストグラムの話で、フラット補正の話が出たので、簡単なフラット補正の話をしたいと思います。
フラット補正は重要なのですが、何が何でも厳密な手順に従ったちゃんとしたフラット補正をしなければならないということではありません。どれくらい厳密にしなければいけないかは、もともとの周辺減光の大きさと、どれだけ画像を強調したいのかにかかっています。
大雑把にいえば、3段階にレベル分けできると思います。
1 そもそも周辺減光を少なくする
2 ツールによるフラット補正
3 フラットフレームによるフラット補正
この中から自分に合ったものを選べばよいと思います。一番いけない事は何もしないことです。
1の周辺減光を減らすにはいくつかの方法があります。
カメラレンズなら絞る。
望遠鏡の場合は周辺光量の多い光学系を選ぶ。
周辺減光が増えるレデューサーの使用を避ける。
センサーサイズの小さなカメラにする。
などがあります。
2のツールによるフラット補正は、たとえばステライメージの「周辺減光/カブリ補正」がお薦めです。
周辺減光が少ない場合はこれでなんとかなる場合がほとんどです。
これでも無理なら、いよいよフラットフレーム撮影によるフラット補正をしなければなりません。ただ厳密にやろうとすると面倒なことも多いので、私は、フラットを現像後に行う簡易フラット補正の方法を説明したいと思います。
その前に、フラットフレーム撮影による、フラット補正の原理を簡単に説明します、次回、実践編を紹介します。
天体写真をパシャっと撮ると、「天体の光+背景」F(x)に周辺減光関数α(x)をかけたものがセンサーから出力されます。これを表現した図です。
x軸はセンサーの横軸です。周辺減光関数は最大値が1です。周辺だと0.6とかになります。
次にフラット光源という一様な強さAの光を撮影すると、やはり周辺減光関数α(x)が乗算されて、Aα(x)という値がセンサーから出力されます。
したがって、天体の写真(α(x)F(x))をフラットフレーム(Aα(x))で割り算し、Aを掛けてやれば、周辺減光に依存しない生の天体画像F(x)が得られます。
ところがですね。天体の光に対して、センサーがそのままの値を比例関係に基づいて、出力してくれれば良いのですが、実際はそうではありません。たとえば、オフセットという概念があります。センサーの入力信号に対して、ノイズと区別しやすいように、オフセットと呼ばれる固定値を加算して出力する場合があります。この値をBとします。
そすると、上図のように正しくフラット補正できません。
CMOSカメラの場合は、このオフセットの値は分かるので事前に引くことができますが、デジカメだと分かりません。しかしデジカメの場合、ダーク減算で同様の効果が得られます。
(ダーク減算 α(x)F(x)+B - B = α(x)F(x)、 Aα(x)+B - B = Aα(x))
したがって、正しいフラット補正をするためには、ダーク減算も同時に、現像前にする必要があります。(フラットフレームの方もダーク減算する)
また上の式で、重要なのは結果はAの値には依存しないので、フラットフレームの明るさはさほど重要ではありません。また3色で異なっていてもかまいません。しかし、デジカメの場合は内部でどのような処理をしているか分からず、必ずしも理論どうりに行かない場合もあります。
実際問題、Bの値は非常に小さく、周辺減光自体がそれほど大きくなければ、無視してかまわない場合があります。その場合、ダーク減算しない現像後のフラット補正も可です。次回その方法を説明します。
前回のデジカメガチ検証企画に続いて、天体写真を科学的に評価してみようという試み。
今回は、ヒストグラムについて考えてみたいと思います。
ヒストグラムというのは、画像の輝度分布グラフです。画像全体のマクロな統計データです。したがって、画像の細かなことまでは何もわかりませんが全体としての傾向を知ることができます。
ここで、天体写真を分析すると、3つの要素に分かれることが分かります。
1 背景
2 星雲
3 星
星は、画像全体に占める割合が少なく、ヒストグラムに与える影響はほんのわずかです。ですから、ヒストグラムからは星については何も分かりません。
星野写真や、系外銀河の写真は、背景がほとんどを占めます。したがって、ヒストグラムの山は背景が支配的です。
星雲写真の場合は、背景に加えて、星雲独自の影響が出てきます。
これを分かりやすいように検証してみた図がこれです。
ちゃんとフラット補正された背景だけのヒストグラムは細い棒状になり、これがベースになります。背景はフラットがきちとんとされていれば、山の左端はほぼ垂直になります。
これに星雲が重なると、山のピークが右に移動し、山が太っていくのが分かると思います。
以上を踏まえて、ヒストグラムの見方を簡単に説明すると次のようになります。
①背景 山の左端は背景レベルで、背景がニュートラルグレーなら三色は一致しています。
②ピーク 山のピークは、画像全体の明るさで右に行くほど全体的に明るい画像です。
③山の幅 山の幅が広いほど、コントラストが高く、諧調の幅を有効利用していて、見ごたえのある画像ほど幅が広い傾向がありますが、逆は必ずしも真ではありません。たとえば、周辺減光がひどい画像のコントラストをそのまま上げれば、山の幅は広くなりますが、けして美しくはありません。
また、星野写真や系外銀河の場合はほとんど背景なので、山の幅は狭いです。
次に美しい天体写真のヒストグラムに何か規則性はあるのか、調べてみました。
私が、ネットを徘徊して、美しいと思う天体写真を勝手に集め、ヒストグラムを調べてみました。
また、それとの対比で初心者が多く投稿するサイトから、無作為に画像を集め、ヒストグラムを調べてみました。ここから何がわかるか。
結果をみる前にヒストグラムの見方で注意してほしいことがあります。
一番大事なことは、ヒストグラムは結果であって、ヒストグラムが目的ではありません。
タイトルにあるように美しい天体写真のヒストグラムは美しいのですが、ヒストグラムが美しいからと言って、美しい天体写真とは限りません。
星雲が画面全体を占める天体写真の場合は、ヒストグラムの背景成分は少なく、形の崩れや色の偏差が大きいです。一方、星野写真や系外銀河の場合は背景が支配的で、山の形の崩れが少なく、色の偏差も少ないです。
以上を踏まえて、私が集めた美しい天体写真のヒストグラムの一部をご覧ください。
1 まず、背景がほぼニュートラルグレーです。
2 色の偏差が少ないです。赤い星雲の写真でも赤の偏差はこの程度です。色の偏差が少ないからと言って、カラフルではないというとではありません。
ベテランさんの画像はどれもみなカラフルです。色の偏差が少ないからこそ、そこからはみ出した色がとてもカラフルに強調されるのでしょう。
3 背景のレベル、ピークの位置がその人個々の作品によって違いはなくどれも同じです。
これは特筆すべきことです。しっかりした処理フローと評価基準があるのでしょう。あと、プリントしてフォトコンに応募することも影響していると思われます。
もちろん、人によってそのレベルは違います。Cさんのヒストグラムは山が全体的に左よりで暗めの写真ですが、背景が引き締まっていて、とても美しい写真ばかりです。
Aさんは全体的に山が右寄りの画像が多いのですが、アンタレス付近だけ、輝度0から勝負している感じで、Aさんのアンタレス付近にかける気合を感じます。ほんと美しい写真です。暗黒星雲のある画像はこのように0から始まるものが多いです。
4 私が一番感心したのは、ベテランさんの作品はどれも、ヒストグラムの山の左端の立ち上がりが滑らかで微妙に乱れています。
これは、背景のならし処理、たとえば、ヒストグラムの左端を上げて寝かす処理や、背景の彩度を下げる処理、このようなごまかしをやっていない証拠です。私はたまにこのようなごまかしをするのですが、M45のヒストグラムのように左端がもっと奇麗になります。ですからすぐばれてしまいます。
とにかく、背景から星雲の淡い部分の表現を重要視しているのが分かります。そしてこれができるのはフラットなどしっかりした下処理が出来るからこそでしょう。
次に対比として初心者さんのヒストグラムを見てみましょう
1 全体的に山が左寄りで、暗いです。
これは、コントラストを上げたいのですが、周辺減光やカブリの影響で暗くせざるおえないという事情でしょう。
特に、ヒストグラムの山の左端が完全に切られている画像が多いです。これも、やはり周辺減光やカブリをうまく処理できず、暗くしてカットしてしまっている結果と思います。
2 一番最後のはくちょう星野は、ヒストグラムだけみると奇麗なのですが、山が高輝度部まで続いているのは天体写真としては不自然です。実は、カブリや、周辺減光の過補正がある状態でコントラストを上げてしまった結果で、写真は美しくありません。
こうして見ると、初心者さんの課題は、とにかく、周辺減光補正とカブリ補正のやり方をいち早く覚えることでしょう。
最近は、天体写真の閾が下がったおかげか、簡単に天体写真を始める人は増えたように思います。これはこれで非常に良いことですが、いっぽう、いかにも初心者が撮ったような素人丸出し天体写真をいっぱい拝見します。最初はしょうがないですね。だれでも最初はこうです。
そこで、今日は、ゴールデンウイーク中ということもあり、天体写真を撮りに行く人も多いので、ちょっとした気遣いでこのような素人丸出し写真から脱却できる簡単な3つのポイントを紹介します。余計なお世話かも知れませんが。。。
まず、素人丸出し天体写真を分析してみました。ポイントを3つ上げます。
その1 ピントが甘い。
天体写真を始めてやる人は、天体写真のピントのシビアさにあまり気付いていないように思います。カメラレンズの∞のマークで合わせるのはもっての他ですし、ファインダーによるピント合わせもNGです。
最近はカメラの解像度も上がっていますし、明るい光学系も多いので、よりシビアになってきています。
問題は、ピントの甘いことに気づいていないことです。ピントが甘いにも関わらず、このレンズはどうのこうの議論している例をよく見かけます。なぜ、気付いていないかというと、自分が使っている光学系のジャスピンの画像を見たことがないからだと思います。
特に明るい光学系を使ってる人は、一度同じ光学系を使っているベテランの人の天体写真を生プリントで見せてもらえば良いと思います。たいがいの人がびっくりするはずです。えっ、こんな奇麗に撮れんだぁと思うはずです。まぁピントだけでもないですが。
その2 構図が悪い
構図が悪い要因は2つあります。ひとつは中心をはずしているやつ。特に多いのがポタ赤に自由雲台使ってる場合です。自由雲台は構図合わせにくいです。
もうひとつの要因は、写真の縦横が、赤経線、赤緯線に合っていないパターン。これは普通に赤道儀に載せて撮っていれば何もしなくても合うのですが、やはり自由雲台を使うとおかしくなります。
どちらも、必ず守らなければならない決まりはないですが、我々は、このような決まりに従った写真に慣れているので、やはりずれていると違和感を感じます。
100歩譲って、構図外しに何らかの意図があったとしても、それはうまい天体写真だから、「この見せ方は斬新」と思えるのであって、へたくそな写真の場合、さらにへたくそに見えます。ですから、どうせへたくそなら、せめて構図くらいちゃんとしましょう。
あと、最近は、星景写真を撮る人が多くなったのですが、もともと天体に興味なかった人の場合、星座を意識していない場合があります。有名風景写真家さんでも「ここで切るかぁ~」みたいな写真を見ます。少しは星座の勉強もしてほしいです。
その3 画像処理で周辺減光を意識しないで、「明るさ、コントラスト」だけで強調している写真。
天体写真は一般写真と比べて、非常な強調処理を強いられます。星雲写真の場合はなおさらです。ここで強調処理の大敵となるのが、周辺減光です。この周辺減光になんら対策をとらないで、ただ、画像処理ソフトの「明るさ。コントラスト」コマンドだけで強調すると、下図のような悲惨な天体写真になります。
また、このような中央集光状態を避けるため、背景を極短に暗くしている例も見かけます。これも悲惨な天体写真です。
周辺減光の影響をなくすには、フラットフレームを撮影してフラット処理をするのが一番ですが、閾が高いのも事実で、フラット処理によらなくてもちょっとした気遣いで、格段によくなる方法もあります。
では、どうすれば良くなるか、簡単にできるポイントを明日、紹介します。
それでは、解答です。
1はあり得ないですね。1の位置はこの画像の一番暗い部分ですから、ここで分けても何も得られません。しかし、1より右側の部分なら、星の光の成分は入っていておかしくないです。しかし、今回の問題の場合は背景と星を区別できる明確な閾値がどこにあるかですから、どこか一か所決まるはずです。
それでは、実際にやってみましょう。題材はこれ。
これをフォトショップエレメンツのレベル補正で、下側のスライダーで区切ってみます。
まずは1の位置。
まだ、だいぶ背景の明るさが残っていますね。それでは、これよりちょっと右。3の位置。
中央付近が明るいですが、これは天の川で背景でないので、かなりいいせんいってます。
次に山の右端。4の位置。
ということで、正解は3か4です。理論的な正解は3。確実に背景と区別するなら4の位置ですね。
さて、何を言いたいかというと、すでに星々想々さんやラムダさんが、解答で述べてるように、画像処理前の星野写真のヒストグラムの山は、ほとんど背景、つまりカブリを意味してるんです。
星なんてものはすべて集めても、画像全体からすると微々たるもんです。ですからヒストグラムにはほとんど現れず、だいたいが背景なのです。この山はカブリのムラを表しているといっていいでしょう。
さて、理想的な背景の場合、ヒストグラムの山の左側は完全に垂直、絶壁になっているはずです。次の画像を見てください。
この例では、多少、傾いていますが、ほんとはもっと垂直になります。なぜか?
三段論法で証明してみましょう。
1 背景は画像の大部分を占める。したがって、背景レベルはヒストグラムの山のピークである。
2 背景は星も星雲も何もない。よって一番暗い部分だから、これより左側には何もない。
3 したがって、絶壁である。
三段論法使うともっともらしいですね。しかし、真実です。
では、なぜ、実際には山はなだらかなのでしょうか? これは主に周辺減光です。この傾きは周辺減光を意味します。つまり山の左端の部分は、画像の四隅の一番くらい部分の背景を表します。完全に背景がフラットなら垂直になります。
。
。
話をさらに進めます。
この例でわかったように、天体写真の画像なんてものは、ほとんとが背景でつまりカブリなんですよ。このまま強調処理したら、カブリを強調するようなもんです。
ただ、カブリ自体はそれほど問題ではありません。完全に一様なカブリなら、天体の光はその上に乗っているので、カブリの分を減算すれば、天体だけの光が残り、あとは好きなように強調処理すればいいのです。
問題はカブリではなく「カブリのムラ」です。もっと端的に言うと、周辺減光です。なぜならカブリのムラで一番大きなウエイトを占めるのが周辺減光だからです。
カブリのムラは大波みたいなものです。。大波の上に乗った「さざ波」が天体の光です。大波を沈めない限り天体の光はどうにも処理できません。
よく、淡い星雲がカブリに埋もれてしまうというような表現を使いますが、正確ではありません。正確には、カブリの上に乗ってるのです。カブリがあるから淡い星雲が写らないことはありません。飽和しない限り、ちゃんと上にのっかてるのです。
この下の大波をしずめないかぎり、上に乗ってる小さな波は強調できません。
良く淡い星雲の強調方法を聞かれるのですが、それの解答は背景を徹底的にフラットにすることです。
淡い星雲を強調することと、背景をフラットにすることはほぼ同義語です。
なぜなら、完全に背景をフラットにできれば、だれでも初心者でも、トーンーカーブでもレベル調整でもなんでも使って簡単に星雲を強調できます。
マスクだとか、画像処理テクニックなんてものは、最後の味付けの部分だけです。ほとんどはフラットで決まってしまいます。
逆に、完全なフラットなのに星雲がいっこうに表れないのは単に総露出時間が足りないだけで、どんなベテランが画像処理したって出てきません。
もし、あなたが画像処理で奇麗に天体を処理できなかったり、淡い星雲がなかなか出てこなくて悩んでるなら、それは背景をフラットにする技術がないためです。ただそれだけです。それは単にフラット処理だけの話ではありません。背景には様々なムラがあります。これを根気よく取りのぞく技術や忍耐力。これがすべてです。
。
。
背景をフラットにすることの重要性を分かっていただけたでしょうか。次回、暇があったら、「では実際にどうすれば良いか」説明してみたいと思います。
補足
SS-oneオートガイダーでは、星と背景を区別する閾値は以下の式で求めています。
閾値 = 輝度平均 + a×分散
統計学上はa=2なんだろうけど、たまに間違うので、経験上はa=4でうまく星を背景から分離できてます。
久々の画像処理講座です。
今回は星野写真のヒストグラムの見方について説明したいと思います。なぜ、いきなりヒストグラム? と思うかも知れません。
実は、私、いまオートガイダー作ってるじゃないですか。オートガイダーで一番重要なのは星と背景を分離することなんです。ある閾値があって、それ以上なら星と判断してるんですが(注)、この閾値はどうやって求めればよいか。
実に難しい問題ですが、ヒストグラムを解析して判断するのが正しい方法です。そこでヒストグラムについてちょっと話したくなりました。
そこでクイズです。
次のヒストグラムは、星野写真のヒストグラムで星雲はほとんど写ってなく、仮に写っていても画面全体からすると小さいとします。また画像処理する前のデータとします。
さて、問題です。星と背景を分離する閾値はどこにするのが正解でしょうか? 別の言い方をすると、星はヒストグラム上のどこにある?
ベテランの方はもう分かってますよね。初心者の方は意外と誤解してるんです。答えは明日。
(注)もちろん、明るさだけで判断してるわけではありません。面積、円形度なども考慮して星と判断してます。
ご注文いただいた方の後半の方は、今夜お返事しますので、もうしばらくお待ちを。
すみません。
昨晩は晴れたので、いつもの空き地でテストしました。
●GPモータセットのテスト
オートガイド->問題なし
ノータッチガイド->ピリオディックモーション12秒
●電子極軸望遠鏡
レンズを25mm->16mmに変更 -> 導入しやすくなりました。16mmに決定
●オートガイドレンズ
候補の75mmレンズ -> 星像良し。ただし値段が高い当初より5000円アップ
候補の5-100mmレンズ->安いが全然だめ
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