画像処理講座

2017年10月16日 (月)

天体写真の科学: 美しい天体写真はヒストグラムも美しい

前回のデジカメガチ検証企画に続いて、天体写真を科学的に評価してみようという試み。
今回は、ヒストグラムについて考えてみたいと思います。

ヒストグラムというのは、画像の輝度分布グラフです。画像全体のマクロな統計データです。したがって、画像の細かなことまでは何もわかりませんが全体としての傾向を知ることができます。

ここで、天体写真を分析すると、3つの要素に分かれることが分かります。

1 背景
2 星雲
3 星

星は、画像全体に占める割合が少なく、ヒストグラムに与える影響はほんのわずかです。ですから、ヒストグラムからは星については何も分かりません。

星野写真や、系外銀河の写真は、背景がほとんどを占めます。したがって、ヒストグラムの山は背景が支配的です。

星雲写真の場合は、背景に加えて、星雲独自の影響が出てきます。

これを分かりやすいように検証してみた図がこれです。

1710161
ちゃんとフラット補正された背景だけのヒストグラムは細い棒状になり、これがベースになります。背景はフラットがきちとんとされていれば、山の左端はほぼ垂直になります。

これに星雲が重なると、山のピークが右に移動し、山が太っていくのが分かると思います。

以上を踏まえて、ヒストグラムの見方を簡単に説明すると次のようになります。

1710162
①背景 山の左端は背景レベルで、背景がニュートラルグレーなら三色は一致しています。

②ピーク 山のピークは、画像全体の明るさで右に行くほど全体的に明るい画像です。

③山の幅 山の幅が広いほど、コントラストが高く、諧調の幅を有効利用していて、見ごたえのある画像ほど幅が広い傾向がありますが、逆は必ずしも真ではありません。たとえば、周辺減光がひどい画像のコントラストをそのまま上げれば、山の幅は広くなりますが、けして美しくはありません。
また、星野写真や系外銀河の場合はほとんど背景なので、山の幅は狭いです。

次に美しい天体写真のヒストグラムに何か規則性はあるのか、調べてみました。

私が、ネットを徘徊して、美しいと思う天体写真を勝手に集め、ヒストグラムを調べてみました。
また、それとの対比で初心者が多く投稿するサイトから、無作為に画像を集め、ヒストグラムを調べてみました。ここから何がわかるか。

結果をみる前にヒストグラムの見方で注意してほしいことがあります。

一番大事なことは、ヒストグラムは結果であって、ヒストグラムが目的ではありません。
タイトルにあるように美しい天体写真のヒストグラムは美しいのですが、ヒストグラムが美しいからと言って、美しい天体写真とは限りません。

星雲が画面全体を占める天体写真の場合は、ヒストグラムの背景成分は少なく、形の崩れや色の偏差が大きいです。一方、星野写真や系外銀河の場合は背景が支配的で、山の形の崩れが少なく、色の偏差も少ないです。

以上を踏まえて、私が集めた美しい天体写真のヒストグラムの一部をご覧ください。

1710163
ベテランさんの美しい天体写真の特徴。

1 まず、背景がほぼニュートラルグレーです。

2 色の偏差が少ないです。赤い星雲の写真でも赤の偏差はこの程度です。色の偏差が少ないからと言って、カラフルではないというとではありません。
ベテランさんの画像はどれもみなカラフルです。色の偏差が少ないからこそ、そこからはみ出した色がとてもカラフルに強調されるのでしょう。

3 背景のレベル、ピークの位置がその人個々の作品によって違いはなくどれも同じです。
これは特筆すべきことです。しっかりした処理フローと評価基準があるのでしょう。あと、プリントしてフォトコンに応募することも影響していると思われます。
もちろん、人によってそのレベルは違います。Cさんのヒストグラムは山が全体的に左よりで暗めの写真ですが、背景が引き締まっていて、とても美しい写真ばかりです。
Aさんは全体的に山が右寄りの画像が多いのですが、アンタレス付近だけ、輝度0から勝負している感じで、Aさんのアンタレス付近にかける気合を感じます。ほんと美しい写真です。暗黒星雲のある画像はこのように0から始まるものが多いです。

4 私が一番感心したのは、ベテランさんの作品はどれも、ヒストグラムの山の左端の立ち上がりが滑らかで微妙に乱れています。
これは、背景のならし処理、たとえば、ヒストグラムの左端を上げて寝かす処理や、背景の彩度を下げる処理、このようなごまかしをやっていない証拠です。私はたまにこのようなごまかしをするのですが、M45のヒストグラムのように左端がもっと奇麗になります。ですからすぐばれてしまいます。
とにかく、背景から星雲の淡い部分の表現を重要視しているのが分かります。そしてこれができるのはフラットなどしっかりした下処理が出来るからこそでしょう。

次に対比として初心者さんのヒストグラムを見てみましょう

1 全体的に山が左寄りで、暗いです。
これは、コントラストを上げたいのですが、周辺減光やカブリの影響で暗くせざるおえないという事情でしょう。
特に、ヒストグラムの山の左端が完全に切られている画像が多いです。これも、やはり周辺減光やカブリをうまく処理できず、暗くしてカットしてしまっている結果と思います。

2 一番最後のはくちょう星野は、ヒストグラムだけみると奇麗なのですが、山が高輝度部まで続いているのは天体写真としては不自然です。実は、カブリや、周辺減光の過補正がある状態でコントラストを上げてしまった結果で、写真は美しくありません。

こうして見ると、初心者さんの課題は、とにかく、周辺減光補正とカブリ補正のやり方をいち早く覚えることでしょう。

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2016年5月 3日 (火)

【余計なお世話?】素人丸出し天体写真脱却、3つのポイント

最近は、天体写真の閾が下がったおかげか、簡単に天体写真を始める人は増えたように思います。これはこれで非常に良いことですが、いっぽう、いかにも初心者が撮ったような素人丸出し天体写真をいっぱい拝見します。最初はしょうがないですね。だれでも最初はこうです。

そこで、今日は、ゴールデンウイーク中ということもあり、天体写真を撮りに行く人も多いので、ちょっとした気遣いでこのような素人丸出し写真から脱却できる簡単な3つのポイントを紹介します。余計なお世話かも知れませんが。。。

まず、素人丸出し天体写真を分析してみました。ポイントを3つ上げます。

その1 ピントが甘い。

1605031
天体写真を始めてやる人は、天体写真のピントのシビアさにあまり気付いていないように思います。カメラレンズの∞のマークで合わせるのはもっての他ですし、ファインダーによるピント合わせもNGです。

最近はカメラの解像度も上がっていますし、明るい光学系も多いので、よりシビアになってきています。

問題は、ピントの甘いことに気づいていないことです。ピントが甘いにも関わらず、このレンズはどうのこうの議論している例をよく見かけます。なぜ、気付いていないかというと、自分が使っている光学系のジャスピンの画像を見たことがないからだと思います。

特に明るい光学系を使ってる人は、一度同じ光学系を使っているベテランの人の天体写真を生プリントで見せてもらえば良いと思います。たいがいの人がびっくりするはずです。えっ、こんな奇麗に撮れんだぁと思うはずです。まぁピントだけでもないですが。

その2 構図が悪い

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構図が悪い要因は2つあります。ひとつは中心をはずしているやつ。特に多いのがポタ赤に自由雲台使ってる場合です。自由雲台は構図合わせにくいです。

もうひとつの要因は、写真の縦横が、赤経線、赤緯線に合っていないパターン。これは普通に赤道儀に載せて撮っていれば何もしなくても合うのですが、やはり自由雲台を使うとおかしくなります。

どちらも、必ず守らなければならない決まりはないですが、我々は、このような決まりに従った写真に慣れているので、やはりずれていると違和感を感じます。

100歩譲って、構図外しに何らかの意図があったとしても、それはうまい天体写真だから、「この見せ方は斬新」と思えるのであって、へたくそな写真の場合、さらにへたくそに見えます。ですから、どうせへたくそなら、せめて構図くらいちゃんとしましょう。

あと、最近は、星景写真を撮る人が多くなったのですが、もともと天体に興味なかった人の場合、星座を意識していない場合があります。有名風景写真家さんでも「ここで切るかぁ~」みたいな写真を見ます。少しは星座の勉強もしてほしいです。

その3 画像処理で周辺減光を意識しないで、「明るさ、コントラスト」だけで強調している写真。

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天体写真は一般写真と比べて、非常な強調処理を強いられます。星雲写真の場合はなおさらです。ここで強調処理の大敵となるのが、周辺減光です。この周辺減光になんら対策をとらないで、ただ、画像処理ソフトの「明るさ。コントラスト」コマンドだけで強調すると、下図のような悲惨な天体写真になります。

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また、このような中央集光状態を避けるため、背景を極短に暗くしている例も見かけます。これも悲惨な天体写真です。

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周辺減光の影響をなくすには、フラットフレームを撮影してフラット処理をするのが一番ですが、閾が高いのも事実で、フラット処理によらなくてもちょっとした気遣いで、格段によくなる方法もあります。

では、どうすれば良くなるか、簡単にできるポイントを明日、紹介します。

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2015年11月15日 (日)

星野写真のヒストグラム、その2

それでは、解答です。

1はあり得ないですね。1の位置はこの画像の一番暗い部分ですから、ここで分けても何も得られません。しかし、1より右側の部分なら、星の光の成分は入っていておかしくないです。しかし、今回の問題の場合は背景と星を区別できる明確な閾値がどこにあるかですから、どこか一か所決まるはずです。

それでは、実際にやってみましょう。題材はこれ。

1511151
これをフォトショップエレメンツのレベル補正で、下側のスライダーで区切ってみます。
まずは1の位置。

1511152
大して変わりません。次は2の位置。山の中央です。

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まだ、だいぶ背景の明るさが残っていますね。それでは、これよりちょっと右。3の位置。

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中央付近が明るいですが、これは天の川で背景でないので、かなりいいせんいってます。
次に山の右端。4の位置。

1511155
もう星しか残ってません。次に最後5の位置。

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微光星が消えてしまいました。これはやりすぎ。

ということで、正解は3か4です。理論的な正解は3。確実に背景と区別するなら4の位置ですね。

さて、何を言いたいかというと、すでに星々想々さんやラムダさんが、解答で述べてるように、画像処理前の星野写真のヒストグラムの山は、ほとんど背景、つまりカブリを意味してるんです。

星なんてものはすべて集めても、画像全体からすると微々たるもんです。ですからヒストグラムにはほとんど現れず、だいたいが背景なのです。この山はカブリのムラを表しているといっていいでしょう。

さて、理想的な背景の場合、ヒストグラムの山の左側は完全に垂直、絶壁になっているはずです。次の画像を見てください。

1511157
この例では、多少、傾いていますが、ほんとはもっと垂直になります。なぜか?
三段論法で証明してみましょう。

1 背景は画像の大部分を占める。したがって、背景レベルはヒストグラムの山のピークである。
2 背景は星も星雲も何もない。よって一番暗い部分だから、これより左側には何もない。
3 したがって、絶壁である。

三段論法使うともっともらしいですね。しかし、真実です。

では、なぜ、実際には山はなだらかなのでしょうか? これは主に周辺減光です。この傾きは周辺減光を意味します。つまり山の左端の部分は、画像の四隅の一番くらい部分の背景を表します。完全に背景がフラットなら垂直になります。

話をさらに進めます。

この例でわかったように、天体写真の画像なんてものは、ほとんとが背景でつまりカブリなんですよ。このまま強調処理したら、カブリを強調するようなもんです。

ただ、カブリ自体はそれほど問題ではありません。完全に一様なカブリなら、天体の光はその上に乗っているので、カブリの分を減算すれば、天体だけの光が残り、あとは好きなように強調処理すればいいのです。

問題はカブリではなく「カブリのムラ」です。もっと端的に言うと、周辺減光です。なぜならカブリのムラで一番大きなウエイトを占めるのが周辺減光だからです。

カブリのムラは大波みたいなものです。。大波の上に乗った「さざ波」が天体の光です。大波を沈めない限り天体の光はどうにも処理できません。

よく、淡い星雲がカブリに埋もれてしまうというような表現を使いますが、正確ではありません。正確には、カブリの上に乗ってるのです。カブリがあるから淡い星雲が写らないことはありません。飽和しない限り、ちゃんと上にのっかてるのです。

この下の大波をしずめないかぎり、上に乗ってる小さな波は強調できません。

良く淡い星雲の強調方法を聞かれるのですが、それの解答は背景を徹底的にフラットにすることです。

淡い星雲を強調することと、背景をフラットにすることはほぼ同義語です。

なぜなら、完全に背景をフラットにできれば、だれでも初心者でも、トーンーカーブでもレベル調整でもなんでも使って簡単に星雲を強調できます。

マスクだとか、画像処理テクニックなんてものは、最後の味付けの部分だけです。ほとんどはフラットで決まってしまいます。

逆に、完全なフラットなのに星雲がいっこうに表れないのは単に総露出時間が足りないだけで、どんなベテランが画像処理したって出てきません。

もし、あなたが画像処理で奇麗に天体を処理できなかったり、淡い星雲がなかなか出てこなくて悩んでるなら、それは背景をフラットにする技術がないためです。ただそれだけです。それは単にフラット処理だけの話ではありません。背景には様々なムラがあります。これを根気よく取りのぞく技術や忍耐力。これがすべてです。

背景をフラットにすることの重要性を分かっていただけたでしょうか。次回、暇があったら、「では実際にどうすれば良いか」説明してみたいと思います。

補足
SS-oneオートガイダーでは、星と背景を区別する閾値は以下の式で求めています。

閾値 = 輝度平均 + a×分散

統計学上はa=2なんだろうけど、たまに間違うので、経験上はa=4でうまく星を背景から分離できてます。

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2015年11月14日 (土)

星野写真のヒストグラム

久々の画像処理講座です。

今回は星野写真のヒストグラムの見方について説明したいと思います。なぜ、いきなりヒストグラム? と思うかも知れません。

実は、私、いまオートガイダー作ってるじゃないですか。オートガイダーで一番重要なのは星と背景を分離することなんです。ある閾値があって、それ以上なら星と判断してるんですが(注)、この閾値はどうやって求めればよいか。

実に難しい問題ですが、ヒストグラムを解析して判断するのが正しい方法です。そこでヒストグラムについてちょっと話したくなりました。

そこでクイズです。

次のヒストグラムは、星野写真のヒストグラムで星雲はほとんど写ってなく、仮に写っていても画面全体からすると小さいとします。また画像処理する前のデータとします。

1511141_2

さて、問題です。星と背景を分離する閾値はどこにするのが正解でしょうか? 別の言い方をすると、星はヒストグラム上のどこにある?

ベテランの方はもう分かってますよね。初心者の方は意外と誤解してるんです。答えは明日。

(注)もちろん、明るさだけで判断してるわけではありません。面積、円形度なども考慮して星と判断してます。

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2015年4月27日 (月)

「理想のポタ赤を作る」いろいろ

ご注文いただいた方の後半の方は、今夜お返事しますので、もうしばらくお待ちを。

すみません。

昨晩は晴れたので、いつもの空き地でテストしました。

●GPモータセットのテスト
オートガイド->問題なし
ノータッチガイド->ピリオディックモーション12秒

●電子極軸望遠鏡
レンズを25mm->16mmに変更 -> 導入しやすくなりました。16mmに決定

●オートガイドレンズ
候補の75mmレンズ -> 星像良し。ただし値段が高い当初より5000円アップ
候補の5-100mmレンズ->安いが全然だめ

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2014年7月15日 (火)

星太朗さんへの回答

画像処理に関して質問を受けましたが、コメント欄では狭いので、本記事にて回答します。

> ほんまかさん、こんばんは!
> 回答ありがとうございます!
>
> レベル調整で真ん中のスライダーを下げること=トーンカーブを山なりに持ち上げること
>
> これは、納得できますが、明るさをあげるとは、
> たとえば、ヒストグラム上のy=xを、傾きを変えずに原点だけ持ち上げる、たとえば、y=x+50、とかに。で、白とびが増える、つまり、全体的に持ち上げる、ということかな、と理解しています。

昔のフォトショップではそのとおりでしたが、現在では違います。(現在も従来方式の明るさコントラストのオプションがあります)

現在は、ほぼレベル調整やトーンカーブと同等になっています。これは次の原則をフォトショップが貫いたためだと思われます。

原則
輝度0は0に、255は255に

トーンカーブで言えば、ちょうど両端が固定されている感じです。y=x+50の方式ではこの原則が実現できません。256の諧調を有効に使うということでしょうか。

そのため、現在では、明るさ、レベル調整、トーンカーブ、すべて同等と思っていいと思います。つまりトーンカーブが万能で、レベル調整がそのサブセット仕様、明るさコントラストがさらにそのサブセットという感じです。


> コントラストを変化させるとは、(128,128)の点を中心に直線を回転させることで、コントラストをあげると、白とびと黒つぶれが、同時に起こる、ということ、と理解しています。
>
> 間違っていますか?

フォトショップの内部仕様がどうなっているかわかりませんが、ほぼその通りだと思います。

> コントラストは、情報が失われる割合が大きいので使いたくない、ってことですよね?今まで私は、バンバン使っていましたが・・・(笑)。

違います。ここは誤解があります。

まず、コントラストを上げること自体は情報落ちはありません。コントラストアップは、
1、2、3、4と並んだ諧調を1、4、6、8とするようなもんで諧調は荒くなりますが、情報落ちはありません。

いっぽう、コントラストダウンは、1、2、3、4と並んだ諧調を1、1、2、2と慣らすようなものです。こちらは、滑らかになりますが、情報落ちが発生します。

したがって、コントラストを上げること自体は情報落ちはありませんが、0から255の諧調のうち、どこかのコントラストを上げるということは、どこかのコントラスト下げなければならない、または切り捨てなければならなくなるので、結果として情報落ちが発生します。

私が、フォトショップの明るさ・コントラストコマンドのコントラストを使わないのは、その仕様が中間点127を中心にコントラストアップをしているからです。ほとんど自由度がないからです。コントラストを上げる処理自体を嫌がっているわけではありません。

> フォトショップの本、読み始めています。ほんまかさんのブログも、少しずつ読み始めています!
> 新しいことを知ると、すぐに試してみたくなるので、そのつど、再処理して、ブログの記事にしています。時間がありましたら、のぞいてみて下さいね。

はい、そうさせていただきます。

> 処理の回数が増えると、ざらざらになるのが、理解できるようになりましたが、これは、露出時間を増やしたり、枚数を増やしたりすることで、なめらかになるので、回避できるようになるのでしょうか?

コンポジット枚数を増やせば解消されます。ただ、処理の回数が増えるからザラザラになるわけではありません、次の質問で説明します。

> それとも、画像処理を進めることで現れるザラザラは、撮影とは別のものでしょうか?
> また、別物であれば、どのように対処されているのでしょうか?ステラナビには、バックグラウンドスムースと言うのがありますが、うまくいきません。これは使いこなしが難しいですね。

ザラザラになるのは、その画像が持ってるポテンシャル(コンポジット枚数とか露出時間とかノイズの少なさとか諧調の豊かさ)以上の強調処理(コントラストアップ)をその画像に課しているからです。画像が悲鳴を上げてます。

解消するには、画像のポテンシャルを上げるしかありません。早い話が露出時間とコンポ枚数です。または荒れるほど強調しないことです。

ただ、画像処理でごまかすことはできます。たとえば、背景で言えば、背景のコントラストを下げることです。トーンカーブにおいて、左側の曲線を寝かせるのはそのためです。ただ、これをやると淡い部分が背景に同化したり、暗黒星雲が消えてしまったりします。その辺の微妙な按配が難しいです。

あと、背景にぼかしなど加える方法もありますが、あくまでもごまかしで、以前はそれではなんとかなったのですが、最近の天体写真の主流としてそのようなごまかしは通用しなくなってきています。

とりあえず、ひとつの撮影対象に2~3時間かける覚悟がないとなかなかみなのように綺麗な写真にはなりません。

> 長々とすみません・・・。
> よろしくお願いします。

これからもがんばってください。

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2014年6月22日 (日)

よっちゃんとのトーク解説2

今日は、トークのうち、もう一つの話題、カラーバランスについて解説します。こちらの方が内容は簡単だと思います。初心者の方も容易に理解できると思います。

トークでは、まず、私が次のように切り出しています。「最近のみんなの作品はグリーンが良く出ていてうまい」

昔は、グリーンが出ていなくて、赤みががった作品が多かったということですが、たとえばこんな感じです。

1406221

天の川が全体に赤みがかっています。理由として考えられるのは、

1 改造デジカメは一般に赤かぶりになるがうまく補正できていない
2 カブリを目立たなくするため、グリーンのコントラストを下げている

で、グリーンをちゃんと出した作品が↓です。

1406222

どうでしょうか、立体感が出たと思います。この作品は星ナビの入選作品ですが、我ながらうまくできたと思います。私、昔の方がこの辺はうまかったです。

それで、私の天の川の色ととり方についても語っていますが、下図のように天の川の周辺がちょっとグリーン、またはシアンぽくなるのが私の基準です。

1406223

次にこの画像を、青をちょっと強めてみました。

1406224

寒色系なので、透き通るような透明感が出ます。各色の役割についてわかっていただけたと思います。

ここで、注意があります。たとえばグリーンが出ているとか強いとか表現していますが、これは色の絶対的な輝度が高いと言っているわけではありません。もし、そうなら、レベル調整で、いくらでも自由にカラーをコントロールできるからです。

そうではなく色の起伏です。(色のコントラストともいう) 色のコントラストが低いと、レベル調整でどんなに色の絶対値を上げてもやはりのっぺりした画像になります。一番分かりやすいのはヒストグラムの山の幅です。もし一色でも山の細いのがあると、美しい色表現はできません。過度にカブリ補正した画像などは、このような傾向になるので要注意です。

さて、トークですが、オリオン座南部の私の作品を例にいろいろしゃべっています。その作品です。

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この作品は意図的にカラーバランスを崩してます。まず、背景はニュートラルグレーではなくグリーンを弱めにしてます。そして、赤い星雲の赤を弱めています。こうすることによって、色の重なり具合いを分かりやすく表現しています。それが功を奏してか、これも天ガに入選した作品です。

よっちゃんはこれを「GB遊び」といって、もう時代遅れと言っていましたので、そしてこの作品の場合は赤をかぶせればよいと言っていました。その通りにしてみました。

1406226

よっちゃん曰く、同じ赤でも、グリーンぽい赤もあれば、ブルーぽい赤もある、いろいろな赤があるので、十分色を表現できるとのことでした。いかがでしょうか。

さて、2回にわたってトーク解説をしましたが、トークの他の部分についてはたわいない会話なので、説明してもしょうがないでしょう。

それよりも、ほんまかは、α7sを買うのでしょうか?それが問題だ。

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2014年6月21日 (土)

よっちゃんとのトーク解説その1

お久しぶりです。

なんだかんだ、忙しく、ブログの更新が開いてしまいました。そんな中、よっちゃんのブログのトークコーナーにめでたく?出演することができました。パチパチパチ。

私、自分から出せと言っておきながら、何のネタの準備もなく望んだため、ダラダラ会話してしまい、よっちゃんや、聞いてくださる方に大変ご迷惑をおかけしました。すみません。

次回は必ず、ネタを準備して望みます。っていうか、また出るきか?

さて、ダラダラ会話でしたが、多少有意義な議論がありました。2つほどあったと思います。

1 強調処理におけるトーンカーブVSレベル調整
2 カラーバランスについて

強調処理とカラーバランスという天体写真のおける重要なテーマについて議論できたことは良かったと思います。ベテランの方なら話している内容はわかってくれたと思います。残念ながら何を言ってるか分からなかった人はすみません。そこで2回にわたって、上記議論の内容を解説していきたいと思います。

●トーンカーブについて

よっちゃんは強調処理ではトーンカーブは使わないそうです。私はしょっぱなから使います。

●トーンカーブの問題点

トーンカーブは接線の傾きが重要で、傾きが寝ている部分はコントラストが低く、眠たい感じになる。

●ほんまか反論

階調は256段階というように決まっており、どこかのコントラストを高くすれば、どこかが低くなるのはしょうがない。トーンカーブはそのことがはっきりわかって、分かりやすい。

で、トーンカーブを使わない場合、レベル調整を使用しますが、

●レベル調整の利点は

リニアで調整しやすく、コントラストが低くなることはない、高輝度部のトビはマスク併用で抑える。

●ほんまか反論

レベル調整だと全体的に均一に明るくなる(特に淡い部分だけというのではなく)、マスクとマスクのない部分で不連続になる。

さて、言葉で説明してみても分からないと思いますので、実際にやって見ましょう。お題の絵はこちら。

1406211

まず、私流にトーンカーブをかけてきます。かなりきついS字カーブです。

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トーンカーブで重要なのはその傾きです。傾きが大きいとコントラストが高く、傾きが小さいと、コントラストが低くなります。これを寝かせるといいます。

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ピクセル等倍画像です。トーンカーブが寝ているのは、星の回りのボーとしたところ、それから燃える木の中心部あたりです。確かにちょっと眠い感じがします。一度こうなってしまうと2度と元には戻りません。

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それでは、次に、レベル調整で強調処理をしてみます。

ここで一言断っておきます。ここの説明は画像処理の結果を見て、どちらかの優劣を決めるものではありません。私は、よっちゃんが具体的にどのような処理をしているか知りません。私ならこうすると言うだけです。

また、私は普段、このような処理をしていないので、普段からやっている人と同じレベルの画像ををだすことなど絶対にできません。

ここでの説明は、トークの内容が理解できなった方のために、理解の手助けになるヒントを与えるだけです。

それでは説明します。こんどはレベル調整で下と上のスライダーを狭めます。真ん中のスライダーを動かしてはいけません。(真ん中動かすとリニアになりません)

1406215

このレベル調整は、トーンカーブでも再現できます。以下のような具合です。リニアというのはここから来ています。

1406216

ただ、ピクセル等倍で見ますと、高輝度部が飛んでいるのが分かると思います。

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そこでマスクの登場です。このマスクをどう作るかが大問題です。私はレベル調整を切り詰めて作りましたが、作り方や、どの程度まで抽出するかの程度の問題。これで結果がまったく異なります。

14062182

このマスクを適用すると、高輝度部とトビが抑えられますが、次のように不自然な画像にあります。

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拡大画像です。マスクが効きすぎています。そこでマスク自体にレベル調整をかけて、マスクをちょっと薄めてみます。

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下のスライダーの出力レベルを右にスライドさせます。

14062110_2 

ちょうど良くなったと思いますが、トーンジャンプしてますね。実はここまでするのに凄い苦労しました。普段からやってる人なら問題なと思いますが。あと、星の周りにフリンジができてしまいました。これもだめですね。繰り返しますが、マスクなどの手法が悪いのではありません。私が悪いのです。

さて、マスクを使う、私の懸念ですが、マスクとマスクでない部分の境界で階調に不連続性が出るのではないかということです。図でイメージするとこんな感じです。

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レベル調整の場合の最終画像を出しておきます。

14062111

トーンカーブの場合の画像ももう一度出しておきます。

14062112_2

あまり変わりありませんね。トーンカーブの方があきらかにコントラスト低いですが、本番ならもっとちゃんとやりますから。レベル調整の方も同じです。

いかがでしょうか、トークの内容が分からなかった方はもう一度と聞いてみてください。

次回はカラーバランスです。

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2012年2月29日 (水)

画像劣化について

前記事の画像処理方法について、「明るさの最小値」は画像劣化をするとのご指摘を頂いたので、比較の画像を添付します。

「明るさの最小値なし」は、前記事の手順において、「明るさの最小値」フィルターの処理を外しただけの画像です。その他の処理は同じです。またダスト&スクラッチも今回の件とは直接関係ないので外してあります。ピクセル等倍画像です。

Hikaku1

全画像は以下です。(1Mの制限のためJPG劣化はご容赦下さい)

Hikaku3

Hikaku4

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アンタレス付近の画像処理その2

間が空いてしまって大変、すみません。続けます

これが、前回までのフラット処理が終了した画像です。

Blog1202291

さて、天体写真の特性としては、星、と星雲の輝度差が大きいというのがあります。ですから、星雲と星を同じように処理するのは難しいところがあります。輝星の場合は既に中心部が飽和しているし、あまり密集していなからよいのですが、微光星の場合は、星雲と同じように強調すると、なんともギンギンな画像になってしまいます。

これを避けるため、従来は、星雲選択マスクや、星除外マスクを使ってきましたが、マスクの作り方によってだいぶ結果が異なる写真になってしまいます。それにマスクの弊害は、輝度の逆転現象を起こしてしまうことがあります。星の周りのくぼみなど見られる写真があると思います。

そこで、最近、星雲マスクや星除外マスクを使わない処理を考えてみました。

まず、背景レイヤーを複製して、それに対し、(フィルター)→(その他)→(最小値)を施します。これで微光星が消えます。(完全ではないが)

Blog1202292

次に合成方法を「比較明」にします。

Blog1202293

元に戻りました。これで、この画像は、「背景、微光星」の部分と「星雲、輝星」の部分に分離できました。よって、それぞれ、独立に処理することができます。これがこの方法の最大の長所です。

それでは、最初に星雲・輝星レイヤーをトーンカーブの調整レイヤーで強調してみましょう。ここで注意するのは、調整レイヤーを作る時に、
「下のレイヤーを使用してクリッピングマスクを作成」にチェックを入れておきます。そうしないと、すべてのレイヤーに影響してしまいます。

Blog1202294

中央部分が少し、黄色カブリしているので、カラーバランスで調整します。

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星雲の彩度を上げてみます。

Blog1202296

これで、星雲・輝星部分の処理は終わりです。次に、背景と微光星部分の処理をします。このとき背景レイヤーのすぐ上に調整レイヤーを挿入するようにします。

まずはトーンカーブで、微光星をもう少し明るくします。

Blog1202297

ただ、明るくすると、微光星のハイライト部分がちょっと、カリカリして目にきついところがあったので、図の矢印のようにハイライト部分を下げています。これでだいぶ柔らかい感じになります。

次に、背景の彩度を落とします。これは、微光星の周りに多少赤ハロがあったのと、背景のムラを目立たなくするためです。

Blog1202298

以上で、背景と微光星の処理は終わりです。

さて、最後に画像全体の調整を行います。まず、フラット処理が不完全でまだ中央部分が明るいので、ここで、中央部分の明るさを下げます。

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さらに、背景を滑らかにするため、トーンカーブでお決まりの処理をします。このならし処理は定番ですが、気をつけないと、星雲の淡い部分が潰れてしまいます。ほんと、ギリギリの処理です。結局こういったところのさじ加減で、良し悪しが決まるんですよね。

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最後に、星雲・輝星レイヤーの不透明度を落として、星雲と星とのバランスを整えます。
また、元画像にフィルムのキズや、ノイズなどが多少あったため、このレイヤーにダストアンドスクラッチを6ピクセルほどかけています。普通6ピクセルもD&Sをかけるとボケボケになるのですが、比較明合成していることと、不透明度を落としているので、それほど影響はありません。

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最後にレイヤーを統合しておしまい。

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