トラベル赤道儀

2019年4月30日 (火)

EM100赤道儀のSS-one化、トラベラー情報

平成最後の日。

マイコン屋の私にとって「平成」はまさに「半導体産業衰退」の時代でした。
平成の初めごろ、私は大手半導体メーカーでマイコンの設計をしていました。
そのころは日本の半導体は絶好調でした。
台湾や韓国のメーカーが追い上げていたのは知っていましたが、どこか「日本の技術にはかなわない」と驕っていたところがありました。
あのころ、日本のメーカーも、もう少し危機感を持っていたら、もう少しマシな衰退方法もあったろうに思うのですが、、、

いまだに日本製=良、中国製=悪 という固定概念でとらえてる人が多くて、、、もう原産国で判断する時代でもないのに。

私、個人的には早々に会社を辞めて独立したのは正解でした。令和は日本の産業がもう少し元気になれるように願うばかります。

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EM100赤道儀のSS-one化改造を依頼されました。
1904301 赤径部

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赤緯部
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電子極軸望遠鏡も内蔵できました。
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オーバーホールもしてほしいということで、オーバーホールもしました。
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このころの赤道儀はやたら部品点数が多いです。EM10あたりから部品点数が一気に減ります。どちらがいいかは分かりません。とにかく分解は大変でした。実際の星でテストしてから出荷します。
古い赤道儀もSS-one化で最新の電子赤道儀に生まれ変わります。改造依頼は随時受け付けております。
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SS-oneトラベラーの内蔵コントローラもほぼ開発が終わっています。
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本体も作り始めました。
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今回6台生産することにしました。1台は私のなので、5台の販売になります。
7月中には完成しそうです。意外と早くできるかも。

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2019年2月25日 (月)

SS-oneトラベラーさっそく不具合報告

SS-oneトラベラーの不具合報告が一件ありました。個体差によるものなので対象は一部の個体と思われます。(すべてではない)

今回の不具合、簡単に言うと、DECのモーターにかける電圧がちょっと高すぎたかも知れないです。高いと電流がたくさん流れ、リミッターがかかり、モーターへの給電がストップしてしまいます。

●不具合が発生するか確かめる方法
鏡筒を載せ、電源を入れてから10分くらい放置してください。
DEC軸を手で動かしてみてください。給電ストップされているなら簡単に回ってしまいます。

●不具合が発生した場合の対処方法
DECのモーターにかける電圧を少し下げます。方法は、製品に同封した「SS-oneトラベラーの注意事項」に書いてあります。
DECのHigh Voltageの値を70から60に下げてください。
RA側は下げなくて大丈夫です。なぜならRAのモーターの方がコイルの抵抗が大きく、DECと同じ電圧なら、電流は全然少ないからです。RAの値はそのままで良いです。

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2019年2月24日 (日)

SS-oneトラベラー開発の歴史

SS-oneトラベラーの発送、すべて完了しました。
やっと肩の荷が下りた感じです。いままでトラベラーの作業が占める割合が多かったので何も出来ない状態でしたが、これからはもう少し余裕が出来そうです。

今日は、トラベラー計画完遂記念として、トラベラーの開発の歴史を振り返ってみたいと思います。

構想
FSQ85EDやBORG90FLなど中型屈折鏡筒が楽に載せられ、構造を思いきって簡略化し、ほんとうに電車で持ち運べる新しい概念の赤道儀を作りたいというのが最初でした。
名称は、「ポタ赤」でも良かったのですが、最近は「ポタ赤」というと、ポラリエみたいなものを想像するので、「トラベル赤道儀」という名称にし、製品名を「SS-oneトラベラー」とすることにしました。

第一試作機

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そこで、最初に作ったのがこれ。第一減速機に採用したのが、なんとタイミングベルト。このアイデアはあっけなく撃沈でした。
以前、ハーモニックドライブ赤道儀のところで説明したように、ウオームギア以外の減速機は、回転力が双方向に伝播するので、中間ギアのガタがそのまま赤経軸に出てしまいまいました。もうガタガタでした。特に、この試作機の場合、中間ギアにウオームを採用しているので、モーターの軸方向のガタまで赤経軸のガタに影響してしまいました。

これ以降、第一減速機はウオームホイル・ギアということにしました。

基本構造

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トラベラーの赤緯軸が前に飛び出し、赤緯回転面の極軸に対する重心が低いという特徴がこの時点でほぼ決まりました。

一見、ユニークな構造のようですが、ドイツ式赤道儀の欠点を克服しようとすると自然とこの形になります。確か、HUQさんも同じような事を言っていました。
それができないのは、強度の問題とか、極望の問題とか、いろいろ制約があるためで、このような制約が緩和されれば、合理的な形と思います。
事実、天文台などの据え置きの赤道儀とか、CRUXシリーズも結局は、この2つの特徴を有しています。

第2試作機

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基本構造を元に、その有効性を確認するために作ったのがこの第2試作機。

第3試作機
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さらに、実際に使うことを目的に作ったのが、この試作機。

胎内星まつりに展示

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ここではじめて、みなさんにお披露目。けっこう評判が良かったので、本格的に作ることを決意しました。

それで最初に作ったのが特注ウオームホイル

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2枚だけだと、流石に高価で、6万6千円でした。

第4試作機

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特注ウオームを元に作ったのがこの試作機。ほぼ完成型と言っていい。

挫折と復活
ところが、ここへきて、量産化を断念しないといけないことになってきました。金属加工業者と折衝を続けてきましたが、普通に頼むと、とても現実的な値段にならないことが分かりました。

そこで、量産化はあきらめ、私の手作りの試作機レベルで良いなら、という条件で募集しました。

私は、1人でも居れば作ろうと思いました。多くても4~5人と思っていましたが、なんと10名もの方が応募してくれました。やる気が戻ってきました。

ハーモニックドライブ化
もうひとつ転機がありました。ここ最近話題のハーモニックドライブです。

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ハーモニックドライブなら、ウオームを特注する必要はないし、構造も簡単だから、作るのは楽だと思いました。

ただ、ハーモニックドライブは非常に高価なので、SS-oneトラベラーの定価はもう決まっていたので、ハーモニックドライブにすれば、利益は0どころか赤字になるだろうと。

応募した10名の方にアンケートをとったところ、ウオームがいい、という人はおらず、ハーモニックドライブでいくことにしました。

ハーモニックドライブで苦戦
ところが実際にやってみると大変。ハーモニックドライブが悪いのではなく、中間ギアなしのダイレクトドライブのため角分解能の粗さがたたって、ガイドがまったく安定しません。

そこでいろいろ工夫しました。最初にやったのはガイドアルゴリズムの改善。SS-oneはモーターを直接パルスで制御しているので、この効果は非常に大きく、かなり安定しました。しかし、まだ突発的にガイドが乱れることがあり、苦戦。

この突発的な乱れが、モーター線のノイズが原因と分かりました。そこで行ったのが、
1 モーターにかける電圧を高くする
2 RAとDECで、モーター線を分ける
3 モーター線を短くする

これで突発的な乱れもなくなり、ほぼ問題ないレベルまでにできました。

CNCフライス盤の導入
そして、もうひとつ大きな転機がありました。CNCフライス盤の導入です。

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CNCフライス盤の導入で、このような立体的な部品が作れるようになり、部品点数の削減、強度アップにもつながりました。

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ところが、そのCNCフライス盤が思うように動いてくれません。

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結局、ノイズフィルターを挿入したり、モーターを交換したりして、やっとまともに加工できるようになりました。

最終試作機完成

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すったもんだでやっと完成しました。

CNCフライスのおかげで複雑な設計もできるようになり、将来のラズベリーパイ内蔵も考慮しました。

胎内星まつりにも2回目の展示。

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とにかくトラベラーを最初に持った時の感想はみな同じ。「軽い」

もともとトラべラーは4Kg以内が目標でしたが、ハーモニックドライブの採用でさらに軽くなり、最終的には3Kちょっとでした。

ついに完成

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ということでやっと完成したSS-oneトラベラーです。

改めまして、みなさんありがとうございました。

今後ですが、まずはコントローラ内蔵化です。

コントローラ内蔵でなくても良いからほしいという人もいますが、「SS-one AutoGuider Pro」の在庫もないし、コントローラを内蔵した方が、ガイド性能は良いのは確実です。ですから、コントローラ内蔵化の後に、一般販売を考えています。

価格は流石に上げざるを得ません。コントローラ、オートガイダー内蔵で、30万円を考えています。高いは高いのですが、他のハーモニックドライブ赤道儀に比べれば、かなりお安いのはないでしょうか。とにかく早くやるようにします。

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2019年2月17日 (日)

SS-oneトラベラー完成、第一号機発送

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やっと、完成しました。本日、一台発送しました。明日は2台発送します。2月中にはすべて発送します。(オートガイドカメラなど、トラベラーオプション以外のものがあると遅くなります。)

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それにしても長かった。構想からちょうど2年。やっとこさ完成です。お客さんも良く待ってくれました。感謝、感謝です。

ほんとはもっと早く作りたかったのですが、前半は業者との折衝に費やされました。結局、業者任せでは、現実的な値段で販売できなことがわかり、後半は、CNCフライスを導入して完全手作りにしたのですが、フライスのトラブルや、ハーモニックドライブの特性の把握に苦労するなど、2年かかってしまいました。

ということで、今日は完成を記念して、SS-oneトラベラーの写真展開催です。たっぷり写真を掲載します。

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1902173コネクタは3つあります。

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モーターコネクタはRAとDECでピン数が違うので、間違って挿すことはありません。

こちらは反対側。

1902175SS-oneの常識、電子極望内蔵です。

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上下微動は、回しやすさを優先して大きめのハンドルにしました。

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ちょっと上から、将来はラズベリーパイ内蔵です。

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最終的な重さは、3.11kg、3kちょっとオーバーしましたが、ハーモニックドライブならではの軽さです。

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こちらは、ビクセンアリガタ直付けオプションです。

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こちらはシルバーバージョン。シルバーは、傷が目立たないの良いです。

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望遠鏡を載せた写真も。1.2kのウエイトで、5kの重量をバランスできます。(写真は、4cmの短シャフトを併用した場合です)

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子午線越えも有利な形状です。

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星野写真では、ぶつかることを気にせず、がんがん回せます。ウエイトも付けたまま持ち運び可能。

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ビクセン互換のウエイトシャフト。

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今日はここまで。

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2019年2月 9日 (土)

SS-oneトラベラーの進捗状況

もう、ほとんど完成しています。

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一部、ネジ類で足りないものがあり、取り寄せてる段階です。
今月中旬ごろから順次発送し、遅くとも今月中には発送完了する予定です。

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2019年1月12日 (土)

SS-oneトラベラー オプション品販売開始

SS-oneトラベラーのオプション品の販売を開始します。

こちらからご購入できます。
http://shop.ss-one.net/?mode=cate&cbid=2416463&csid=0

なお、しばらくしたら受付終了しますので、必要な方はすみやかにご購入お願いします。
寸法を変更したい場合は備考欄にてお知らせください。別途お見積りし価格を変更します。

(既にSS-one AutoGuider Proをお持ちで、トラベラー専用版に変更する作業も承っております。お問い合わせください)

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本体の方は、これから1台1台、丁寧に磨いて、磨いて、塗装、コーティングして送ります。2月の初めに第一号機を送り、2月中に全部送るつもりです。

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2018年12月25日 (火)

SS-oneトラベラー、形だけ完成!

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といっても、研磨と塗装はまだですが。

とりあえず今年中に形だけでも出来て良かった。今年の作業はここまで。来年早々に、一台一台、一部品一部品、丁寧に研磨して塗装して送ります。あと、電気的配線もあるけど、そんなのは大したことはない。

オプション品についても、だいたい固まりました。値段はまだ決めてませんが、これも来年早々に受付開始します。オプション品の紹介を少しします。

まずは、SS-oneトラベラー専用のSS-one AutoGuider Pro。通常より1万円くらい安くします。また、将来コントローラを内蔵型にする場合は無料で交換できます。

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次にウエイト関係、トラベラーは多彩なウエイトオプションを選べるのが特徴です。

ビクセン互換、φ20、L32cmウエイトシャフト。長さはオーダーメイドできます。

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φ20、ウエイト重さ1.6kg このウエイトでほとんどの場合、バランスします。
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次に2本シャフトシステム。φ12、L26cmウエイトシャフト。長さはオーダーできます。
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このシャフト用のウエイトがこれ、重さ1.2kg、これでほとんどの場合、バランスします。
四角いので持ち運ぶとき収まりが良いです。トラベラーならではですね。
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2本シャフトの短いバージョン。L4cm。
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どうやって使うかというと。こんな感じ。

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持ち運ぶときの固定用。または、カメラレンズなどによるポタ赤的な撮影ではこの状態で十分バランスします。トラベラーはポタ赤としてもすっきり使いやすいです。

これは、バッテリーホルダ小。厚み3cmから、5cmの小型のバッテリーをホールドします。オーダーメイド可能。

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こちらは、バッテリーホルダ大。厚み4.5cmから9cm。オーダーメイド可能。
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最後にビクセンアリガタ直付けオプション。直付けなので、通常より1cmくらいさらに重心を低くできます。
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このオプションでない場合は、このようなプレートになります。
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M8×2 35mm間隔というタカハシ規格。

来年早々には注文受付開始しますので、何を買うか考えておいてくださいね。

 

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2018年12月 4日 (火)

SS-oneトラベラーの進捗状況

SS-oneトラベラーの進捗状況ですが、ご覧のとおりです。

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こうして見ると、今にも完成しそうですが、目標の今年中の完成は無理そうです。
まだ、研磨も塗装もあるので。

まぁ、もう2年も待たせてるんだから、今さら1~2か月遅れたって、どうってことないですよね。

いちおう、言い訳めいたこと言っておくと、何か問題があって遅れているわけではなく、実際に作っていると、ここはこうした方がもっと良くなるとか、いろいろでてきて、それをバカまじめにやり直してるので、遅れてしまっています。また作業は止まることなく、少しづつですが進展しております。

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トラベラーのオートガイド、モーターケーブルを短くしたら、ものすごく安定しています。
中間ギアなしのハーモニックドライブの場合、マイクロステップの電気的安定度がすべてと言っていいでしょう。またオートガイダーと一体型なのでコンビネーションも抜群です。

最初、私は、ハーモニックのダイレクトドライブは、角分解能が粗いのでオートガイド精度はそんなに良くないと思っていましたが、認識が変わりました。
将来、モーターコントローラを内蔵したらもっと良くなるかもしれません、楽しみです。

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2018年11月 1日 (木)

業務連絡 SS-oneトラベラー仮注文者の皆さま

先ほど、ご入金の案内のメールを一斉送信しました。届いていない方はご連絡ください。
また必ず返信して、ご希望の色をお聞かせください。

今年中に完成するように頑張ります。

Pic1

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2018年10月30日 (火)

SS-oneトラベラーさらなる改善、ナロー挫折しそう。

SS-oneトラベラーのモーター線を改善してみました。
まず、今までRAとDECを一本の線でまとめていたので、これを分離しました。
そして、写真のように短くしてみました。

1810303
すでに、オートガイドアルゴリズムの改善によってガイド精度が向上していたのですが、これによりさらにガイドが安定することが分かりました。
また、今、モーターにかける電圧を上げて安定させているのですが、電圧を低く設定できるかも知れません。

将来的には、モータードライバもラズパイもすべて赤道儀本体に内蔵するので、さらに良くなることが期待できます。

中間ギアのないハーモニックドライブの場合、マイクロステップ駆動の安定性、つまりモーターのA相とB相の電圧の比の微妙な誤差が回転角にそのまま表れますので、このように電気的に安定させることが重要という、当たり前と言えば当たり前の結果ですが、やっと到達できました。

逆に、このように電気的な不安定性が解消されれば、ハーモニックドライブは極めて、正確で安定であることも分かりました。

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さて、ここんとこ中途半端に天気の良い日が続いております。晴れてはいるのですが、細かい雲がひっきりなしに通過する状態で、なかなかまとまった撮影データが得られません。

そんな中、ナローに挑戦していますが、写らないですね~。

ハート星雲にずっと挑戦していたのですが、難しい。そこで、昨晩は、パックマン星雲の方にトライしてみました。

そしたら、はじめてHα以外の存在をCMOS Capのプレビュー画面で確認することができました。嬉しかった。ということで、昨晩は薄明まで撮るつもりだったのですが、やはり雲に邪魔され、効率が悪いので、25時に引きあげました。

それでも、2時間分のデーターを得られました。

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FSQ85ED+ASI1600MM+SS-one CMOS Cap. ゲイン13/25 5分×24枚
SS-oneトラベラー@開発中

はじめてとらえたHα以外の光。ちなみにHαはたった一枚でこれだけ、

1810301
O3の周辺減光の多さが、どれだけ強調しているかが分かると思います。

FSQの明るさはF5.3。F値が暗いと、S/Nが悪くなるのはどうにもならないですね。暗いのは、撮影時間を長くすれば挽回できるのですが、ダークで取りきれない固定的ノイズのS/Nの悪さは、もうどうすることもできず、やはり明るい光学系がほしくなります。

最初は、F4くらいの光学系を考えていたのですが、これをみるとF2.8くらいがほしくなります。サンニッパとか、でも300mmだと広すぎるかから、ヨンニッパとか。でも重すぎ。

結局、「明るさは正義」ということか。ということは「お金持ちは正義」

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